最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

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第三.五章 地下探し編

第六十二話 ニキスの一週間

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 ニキスは空を飛び、スカイ王国を目指していた。

(さて、今日を抜いたら六日あるな。まずはスカイで聞き込みだ)

 地上と比べて日が落ちるのが早いスカイは、ニキスが着く頃には夜になっていた。

「あら、コクリュウさん。今回はどんな用事でここに?」
「ちょっと王と話がしたいんだ。あの後、しっかりサウスの人間を本当に解放したのかとか、地下世界のこととかをな」
「ちかせかい……って、なんですか?」
「まあ、ちょっと特別な世界だ」
「……ああ! 地下の世界で、地下世界ですか!」
「そうそう。お前は知ってるか?」
「ごめんなさい、今聞いたのが初めてです。でも、王もきっと同じく知らないと思いますよ」
「まあ、要件はそれだけじゃないからな。行って損はしないだろう。それじゃあ、さようなら」

 ニキスは人間の身体になってから空を飛んだ。窓から直接王の部屋に入ろうという考えだ。
 窓に着いたニキスは、窓を軽く叩いた。音に反応して、王が後ろを向く。ニキスだとわかった途端、急いで窓を開けてくれた。

「コクリュウ、久しぶりだな」
「久しぶり。この国、前とはまるで違うな」
「当然だ。この国は、この国の民から有志を募り浮かせている。サウスの人間たちは解放した」
「しかし、闘技場が残っているのは気に食わんな。あそこで暴れすぎて悪魔っぽいのに思考を操作されていたというのに」
「民の好戦的な性格は元からだ。だからと言って、翼をもいだり、殺し合いをしたり、地上人を虐待することは許されん。今は禁止にしている」
「ふーん……まあ、八十点ってところか。闘技場を壊していたら百点だったんだがな」
「まあ八十点で十分だ。して、なぜここに来たんだ?」
「トーナメント後にこの国がどう変わったのか気になってな。あと、知りたいことが一つある」
「それはなんだ?」
「地下世界についてだ。何か知らないか?」
「地下世界か。空に浮かぶ我々に訊くことではないだろう。何も知らん」
「そうか……そうだよな。レイフに言われてここに来たが、思えば空の住民が地下を知るはずがないよな。しかし、今日を抜いてあと六日、暇なんだ。だから寄ったのさ」
「どうせなら天界に行ったらどうだ? 創造神なら何かしら知っているだろう」
「天界にも行く予定だ。しかし、創造神でも地下世界のことは知らないだろうと思っている」
「創造神が知らないことなどあるのか?」
「案外あるもんさ。じゃあ、またな」
「コクリュウ、我々にも出来ることをやっておく。もし耳寄りな情報を手に入れたら、教えてやる」
「そうか。ありがとな」

 ニキスは窓から飛び降り、竜の姿になって空へ羽ばたいた。天界にどんどん近づいていく。

(しかし、天界に六日もいて、一体なんの成果が得られるだろうか? でもまあ、天界の竜は古代文明時代からの生き残りもいるだろうしな。そいつらから訊けば良いか)

 ニキスは天界に入ると、そのまま入り口で仰向けになって寝た。
 翌朝、目を覚ましたニキスは早速創造神の元へと向かった。ボタンを押し、創造神を呼び出す。しかし、反応がない。

「あれ……創造神様、創造神様!」

 ニキスは下に向かって大声を出す。しかし、一向に創造神は現れない。

(困ったな……こんなときに限って創造神が出てこないとは。まあ良いか。先に竜たちから話を訊けば良い)

 ニキスは天界中を回り、地下世界について何か知っていないかをあらゆる竜に訊いた。

「地下世界? いやー、行ったことないから良くわかんねぇや」
「創造神様が存在するかどうかもわからんと言っているのだぞ。わしらでさえ知らぬに決まっておろう」
「コクリュウ、お前すっかり人間の犬になったな。昔は人間なんて、食料としか見てなかったのに」
「それは関係ないだろう。負けたから従っているだけだ」

 一日中天界を回ったニキスだが、竜から有力な情報を得ることは出来なかった。すっかり疲れたニキスは、もう一度創造神を呼び出そうとした。しかし、相変わらずボタンを押しても反応がない。

(なんでだ……? そんなに忙しいのか? まあ、そういうときもあるか)

 ニキスは諦めて城の中で睡眠をとった。
 夢の中、ニキスはラルドに会った。

(お、ニキス。ここで会うとはな)
「私は今天界にいるのだが、全然創造神が出てきてくれないし、竜どもは口を揃えて知らないって言うし、成果を得られていない」
(そうぞうしん様に会えないっていうのは、もしかしたら僕のせいかもしれない。僕、ずっとそうぞうしん様と喋りながら捜索してるから、それが原因かも)
「じゃあ、創造神なしで捜してくれないか? 私は創造神に話を訊きたい」
(ごめん、邪魔しちゃって。明日からはエメと二人で捜すよ)
「ありがとう。さて、そろそろ私は目覚めるとしよう。今度は現実で会おう」

 ニキスは城の中で目を覚ました。早速ボタンを押してみる。すると、ようやく創造神が出てきた。

「ふぅぅー! あら、ラルド君が言ってた通りね。コクリュウ、私に何をしてほしいの?」
「創造神様、あなたは地下世界について知っているはずです。どうか、ラルドと夢を接続して、地下世界に奴を連れていってあげてください」
「私は地下世界のことは何も知らないわよ。前にも言ったでしょう?」
「それは本当ですかね。どうも創造神様は地下世界について何かを隠しているように感じるのですが……」
「知らないものは知らないわよ! あんまり言うと、ビンタするわよ」
「ひぃ、それは嫌です。しかし、それでは私は何も出来ずに帰ることになります。それはとても嫌です」
「コクリュウ、あなたは竜なのよ。本来は人間たちより上位の存在。人間の行動を見守るのが上位の存在としての役目じゃない?」
「では、見守れるように奴らの視界を見せてください」
「えぇ。あの者たちの映像を水晶に出すわ。それで見守りましょう」

 創造神は下から水晶を持ってきて、動かないよう台座に固定した。その水晶に変わりがわり映るサフィア捜索会の映像を観た。

「レイフは、本を読んでいるのか。ウォリアは……あれ? イースにいるはずじゃ……。ジシャンは、なんか戦っているな。ラルドは……」
「いちいち口に出さないで良いわよ。言われなくたって何をしてるのかくらいわかるわよ」
「す、すみません。この映像を、あと五日ちょっと観続けるのですね」
「そうよ。思い出した? 上位存在としての感覚」
「創造神様。私はあいつらと一緒にいると楽しいのです。今さら上位存在としてあいつらを見下したりするつもりはありません」
「何よ、私が見下してるみたいな言い方やめてよ」
「そんなつもりはありません。ほら、動きがありましたよ。レイフにカタラが近づいてます」

 創造神とニキスは残りの時間、下界でのサフィア捜索会の動きを追っていた。
 そして最終日、それぞれの者たちに大きな動きがあった。

(レイフは猫に慰められ、ウォリアは国を動かした。そして、ジシャンは……地下世界を知っていそうな奴を見つけた)
「あら? ラルド君の映像が観れないわね……故障かしら」

 創造神が水晶を叩くと、水晶は砕け散った。

「あ……」
「創造神様、いつになったら加減を覚えるのですか」
「て、てへ。もう私ったらドジっ子なんだから」
「とにかく、私は明日に備えて今日はもう入り口で眠りにいきます。創造神様、五日ちょっと、ありがとうございました」
「コクリュウ、待って」

 城から出ようとするニキスを、創造神は呼び止めた。

「? なんですか?」
「……いや、なんでもないわ。さようなら」
「???」

 創造神はそそくさと城の下へ潜っていった。

(やっぱり、地下世界について何かを知ってるんじゃ……)

 ニキスはそんなことを思いながらも、城から出ていった。
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