プティカリーノ

うしお

文字の大きさ
4 / 49

4、初めてのジェル

しおりを挟む
「くぅ……っ」

三田村くんの指が抜けていったあと。くすぐったいというには、どこか異質な悪寒のようなものが背筋を駆け抜けていった。
思わずつめていた息を、小さく浅い呼吸を繰り返して整えていく。

「もう少し塗り込んでおいた方がいいので、もう一回塗りますね」

「ぁ、ああ、……ぅ、くっ」

「もしくすぐったいようでしたら、笑ってもらっても大丈夫ですよ。声は無理に我慢しなくてもいいですからね」

「んっ、あり、がと……ぁ、っ」

「間宮さんは、敏感なんですね。このスペシャルコースは、敏感な方の方が効果がでやすいので、きっと間宮さんに向いてると思います」

「ぁ、っ、そ、そうなの、かい、ンンッ」

にゅるりにゅるりと足の指の間を指でなぞられ、ぞくぞくと震える体で、目の前の鏡にすがりつく。
頬を赤く染めた全裸の男が、悩ましげな表情でなにかを堪えているのが見えた。
なんで、俺はこんな顔をしているんだろうか。
思わず吐息で曇る鏡に疑問をぶつけるが、答えは何も返ってこない。

「間宮さん、そろそろ左足にうつりましょうか」

「……ぁ、うん、ひだり、も……」

「大丈夫ですか? 右足は、ここに置いてくださいね」

なんだか頭がぼんやりとして、三田村くんの声がやけに大きく聞こえてくる。
言われるままに右足を、足元に置かれたラバーの中へ差し込んだ。
ぬるりとすべった爪先が、小さな穴の中に吸い込まれていく。

「ぁ、これ、ぇ……っ」

「五本指ソックスみたいでしょう? 奥までしっかり履いてくださいね」

三田村くんが、俺が足を入れたラバーを、まるで靴下を履かせるようにぐっと引いた。
五本の指は、しっかりとバラバラになって、小さな穴の中に押し込まれていく。
小さな穴にハマった指が、ゆるやかに締め付けられると、ジェルを塗られていた時のことを思い出してしまったのか、それだけでぞくりとした。

「さあ、間宮さん、次は左足をどうぞ」

「は、ぁ……っ」

熱く潤んだ吐息が漏れる。
ゆるやかに締め付けられている右足が、なんだか気持ちよくてたまらない。
バーをしっかりと掴みながら、震える左足を三田村くんに差し出した。

「よろし、くぅ……っ」

「はい。僕に全部、任せてください」

三田村くんの指が、足の指に絡みついてきた。
ついさっき、右足にしていたように、指の間をにゅるりにゅるりと撫ではじめる。
ぞくぞくが止まらない。
足の指に力が入り、間に入り込んでいた三田村くんの指を締め付けてしまう。

「間宮さん、僕の指を挟んじゃダメですよ。ほら、もっとリラックスしてください。大丈夫ですよ、痛いことはしませんからね。ほら、気持ちいいだけでしょう?」

三田村くんの指をきゅっと挟んでしまった俺の足をほぐすように、もう片方の手がふくらはぎをゆっくりと撫でさする。
ジェルに濡れた手が、にゅるりにゅるりと動く度に、少しずつ余計な力が抜けていく。

「ん……っ、きもち、いぃ……っ」

「そう、そうです。もっとリラックスしてください。ほら、またゆっくりとジェルを塗っていきますよ」

指先と同時に、土踏まずやかかとにも三田村くんの手がのびてくる。
右足と同じようにジェルを塗り込まれ、びくびくと体を震わせながら乗りきった。

「さあ、こちらの足も、中に入れましょう」

「ふ、ぁ……っ」

「ほら、ここですよ」

三田村くんに誘導されるまま、ラバーの中に足を入れると右足と同じように、ぐっと引いて履かせてくれる。
指先がまた、吸い込まれるように、小さな穴の中におさめられた。

「ひ、ぃ……っ」

左右の爪先から、ぞわぞわとした悪寒のようなものが全身にひろがっていく。
何故だか足ががくがくと震え、立っていられなくなってしまう。
思わず、バーにしがみつくようにしゃがみこめば、三田村くんの手が背中に触れた。

「は、ぁ……ンンッ」

ぬるりとしたジェルに包まれた手が、背中をゆっくりと撫でさすってくれる。
あたたかくて気持ちいい。
蕩けるような快感に、思わず熱い吐息が漏れた。

「大丈夫ですか? 間宮さん、立てますか? まだ足首までしかジェルを塗れていないので、もう少しがんばっていただかないといけないんですが」

「ぁ、ああ、ごめ、ん……っ」

どうにかして立ち上がろうと、バーを掴む手に力を入れようとするのだが、なんだか力が抜けてしまってどうにもならない。
踏んばれば立ち上がれるだろうと思うのに、ラバーを履かされた足は、ふにゃりと崩れたまま戻ってくれなかった。

「これは、立ちあがるのは難しそうですね。いま、椅子を持ってきますので、そのまま待っていてください」

「んっ、ありが、とぉ……っ」

三田村くんは、ただジェルを塗ってくれているだけだというのに、おかしな反応をしてしまう自分が恥ずかしい。
痩身効果のあるジェルという話だったが、どうにもあたたかくて気持ちいい。
足だけでここまで気持ちよくなってしまうとなれば、このまま全身に塗られてしまったらどうなるのだろうか。
だが、どうしても、この気持ちよさから逃げたいとは思えなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...