彦星物語 -the story of Altair-

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出逢

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外国人【がいこく-じん】 自分たちとと文化、習慣、観念が異なる人々。故に彼らに対し固定観念を作り上げ、偏見が生まれる。



第1章   出逢

人々を破壊するのは巨人や怪獣であるが、僕を破壊したのはたった1人の女性だった。

 大学新二年生を迎える春休み、僕はボランティアとしてインドネシアにいた。僕はボランテイアサークルに所属していて、今回の国際ボランティアもサークルのメンバーとともに派遣された。僕は国内ボランテイアは興味がない、というより奉仕の気持ちすら湧かない。日本は豊か過ぎるからだ。海外にその日を生きるためにお金を稼いでいる人々は何人いるだろうか? 百円でどれだけの人々が救えるだろうか? そう考えたら震災寄付などする気が失せた。
   
かといって、日頃から海外の貧しい人々の為に尽力しているかと言われればそうでもない。稼いだ金で酒を飲み、やりたいことをやりたいだけやっている。海外募金といえば、お釣りが小銭だった時に募金箱に入れるくらいだ。その金がどの様に使われ、どんな人達の役に立ったのかは無論知る由もない。

しかし、実際に現地に行ってボランテイアをするのは、自分の成果が直接目に見える。自分のやったことが現地の人々にどの様に影響して、どれだけ豊かに生活できる様になったかを直接体感することができる。その様な経験は今の僕に一番必要なことだと思った。

ワーク初日、どのような環境で仕事をするのか緊張していた。仕事内容は家の建設の手伝いである。砂を運んだり、セメントを作ったり、煉瓦を運んだり大工さんを全面的にサポートする仕事だ。仕事場に向かうバスは山の中にはいり、舗装がされていない道をバスが進んでいく。店などなく、時々家が見えるくらいで、あとは植物が生えているだけであった。バスが進むにつれ、周りの景色が貧しくなっていくのを見て、僕は褌を締め直した。

目的地に到着し僕たちはバスを降りた。周りを見渡す。人が行き来して形成された道、植物、植物、植物、、、。なにもないのだ。19年間見たことのない景色に思考の糸が絡まって、解こうとして余計絡まる、そんな状態だった。コーディネーターに連れられ少し歩くと、茶色い長方形が見えてきた。ソレは木と藁で作られており、ドアがなく、地面に布を敷いて床代わりにしていた。そう、ソレは紛れもなく家であったが、家の定義からかけ離れていた。中には台所、トイレなんて勿論なく、木と木がしっかりとくっ付いていないので、日差しや雨が中に入ってきてしまう。家と呼べるような代物ではなく、外見から辛うじて家だと判断できていた。まるで自分が物語の世界にいるような感覚に陥った。

僕は家がある。彼らも家がある。

僕の家にはドアも床もある。彼らの家にはどちらもない。

僕は季節に関わらず快適に過ごすことができる。彼らは夏は暑く、冬は寒い。

僕は毎日フカフカなベッドで寝ている。彼らは冷たい地面で寝ている。

同じ地球ほしの下に生まれた人間なのに。

僕は予想以上の光景に文字通り言葉を失った。僕の中の硝子がパリンと割れた。聞けば彼らは子供5人に両親、合わせて7人で生活している。1ヶ月の収入は1万円。予想以上の貧しい状況を目の当たりにして、「かわいそう」と思ってしまった。

ワークが始まると子供達が手伝ってくれた。言葉は通じずとも彼らに言葉を教えてもらったりして楽しい時間を過ごした。彼らの無邪気な笑顔は、一切の濁りもなく僕の脳に衝撃を与えるのには充分だった。これが笑顔っていうんだなと再認識し、貧しい生活している彼らの笑顔は、豊かに生活している僕たちよりも数倍幸せに見えた。


気づけば、インドネシアに来てから5日が経ち、ボランティアの半分が終わっていた。今日はワークが休みなので、観光しようとなった。ここでは多くの人々で賑わっていた。綺麗な服を纏い、お洒落したその姿に自然とワークの子供達と対比させてしまっていた。激しすぎる貧富の差に動揺を隠せずにいた。

ある有名な宮殿でお土産を買おうと思い、母親に伝統のものを買ってあげようと思い、一つ選んでをレジに持って行った。僕は調べた単語を頼りに、
「これいくら?」
と、インドネシア語で聞いた。店員さんは、
「ーーーーーー」
僕は困惑した。なに言ってるかわかんねえ。返された言葉の意味が全くわからなかった。それもそのはず数字は全く勉強してなかったからである。英語で言っても通じない。どうしようかと思っていた刹那、背後から、
「 It costs 20000 rupia. (それは二万ルピアよ。)」
と教えてくれた。振り返るとそこに1人の女性がいた。
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