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告白
③〜由利視点〜
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胸ポケットからナフキンを取り出してお客さんに気が付かれないように小さくため息を漏らした。領収書なんかがいれられている引き出しを開けてそこにナフキンを仕舞う。
この引き出しを開ける時はいつも少しだけ緊張する。
大量の好きが一気に目の中に飛び込んできて、なんとも複雑な気分を味合わせられるから。
「毎回思っているんだけど、それなんて書いてあるんだよ」
「毎回言ってんだろー。教えません!」
幼馴染の宇崎 花虎が隣に置かれたうさぎのぬいぐるみを弄りながら尋ねてきて、それにおちゃらけて返事を返した。
別に隠す必要なんてないのかもしれない。それでも、なんとなく誰にも見せたらダメだと思うから、うさぎにもこの好きの束は見せたことがない。
彼が中学の時に出会ってから、少しずつ心を開いてくれて懐いてくれることが嬉しいと思っていた。
まるで弟みたいな存在。
けれど、彼にとって俺は兄ではなく好きな人だったのだと告白された時に初めて気がついた。
なんとも言えない複雑な感情が渦巻いていて、気が付くと『ごめん』って返事を返していたんだ。
それに傷ついた顔をしたあの子の姿を今も思い出せる。
別にその時に何かを深く考えていたわけではなかった。咄嗟の言葉だった。
俺は所謂ノンケというやつで、女の子としか付き合ったことはないし女の子しか好きになったことは無い。それに、あの時彼はまだ高校生で年の差は9つ。手を出したら犯罪だって、彼が帰ってから気がつくくらいには動揺していた。
きっと諦めるだろう。
そう思っていたのに、彼は高校生になって再びなごみに訪れるようになってから毎日好きをこうやって形にして渡してくる。
そのやり取りにも慣れてきている自分がいた。それでも、この好きを目にするのは未だに慣れない。一過性の熱だと思っていたのに、彼はどうやら本気らしいと気がついてしまったから。
その好きは気のせいじゃないのか?大人の男が少し魅力的に見えるだけでは?
ずっとずっと言おうと思っていた言葉はそう気がついてからは心の奥底に呑み込んで封印した。だって、そんなこと言うなんて彼に失礼だ。
俺は同性愛に偏見がある訳では無いし、人並みに恋愛だってしてみたいと思う時もある。だから、彼の気持ちを否定するような言葉はあまり言いたくはなかった。
そんな曖昧さが自分を悩ませている種だとは分かっているのだけど。
ちらりとうさぎの方を見れば、俺と話すのに飽きたのかバイトの呉君の方を眺めながら小さくほほ笑みを浮かべていた。
呉君とうさぎはなんだかんだあってやっと付き合い始めたばかりだ。幸せそうな幼馴染の姿を見ると俺も嬉しくなる。同時に、もしも彼からの告白を受けたら彼もこんな風に笑うのか?と思ってしまう自分も居た。
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別に隠す必要なんてないのかもしれない。それでも、なんとなく誰にも見せたらダメだと思うから、うさぎにもこの好きの束は見せたことがない。
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