アルカナの衣を。〜クラスの人気イケメンに告白されたけど、ごめんなさい!僕、男なんです〜

天宮叶

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「おはよう縁。」

「っ!お、おはようっ。」

学校に到着して靴箱の所で上履きに履き替えていると豊も丁度来て僕を見つけて声をかけてくれた。

横髪が寝癖で跳ねていて、豊が動く度にぴょこぴょこ動くのが可愛くてつい目で追っていると、豊がなんか変?って聞いてきたから指でその箇所を指さすと気づかなかったって手で寝癖を抑えた。
その仕草がやっぱり可愛いく思えて笑ってしまった。

「笑いすぎー。」

ジト目で言われてまた笑いが込み上げてきて、僕につられたのか豊も笑い始めて、2人で笑いながら教室に向かう。

「何笑ってんのー?」

先に教室に来ていた西崎君が僕達の方に近づいてきてガシッと僕の肩に腕を回した。

「お、おお、重いよ。」

抗議すると西崎君がケラケラ笑ってそのまま話し始めた。内容は昨日のテレビ番組のことで僕は観てないから黙って話を聞きつつ豊を見た。

「?」

何故か豊ははっきり分かるくらい眉間に皺を寄せていて、ずっと僕の肩に回された西崎君の腕を睨んでいる。不思議に思ったけどそれを指摘するのも変かなと思ってそのまま黙っていたら豊がおもむろに1歩西崎君に近づいた。

西崎君が不思議そうな顔で豊のことを見て、豊が何も言わずに僕の肩に回った西崎君の腕を僕から外す。

「なになになに。」

「…縁が重いってよ。」

「…はあ?w」

豊の言葉に西崎君が笑い混じりに疑問の声をぶつけると豊は不貞腐れた顔をしながら僕の隣に並び直した。

「てか、縁って遠坂のこと?え??いつからそんなに仲良くなったわけ???」

「…いつでもいいだろ。」

ぷいってそっぽを向いた豊の態度に困惑した顔をした西崎君が僕の方を見て目で問いかけてくる。

「え、えーと…べ、勉強会、し、した時に…。」

「ふーん。」

僕の答えに満足してないのか西崎君がつまんなそうに相槌を打ってからちらっと豊のことを見た。豊は相変わらずそっぽを向いていて、少しすねたようなその態度に違和感を覚える。

なにか怒らせるようなことしちゃったかな…って思いながらもずっと入口で話してる訳にも行かなくて席に行こうと2人を促すと、あっさり2人とも着いてきてくれた。

「相変わらず3人で居るんだね!」

席に着くと里中さんもいつものように合流して場が賑やかになる。

でも、豊は西崎君に何故か少し態度が素っ気ない気がした。

「ねえねえ遠坂君って甘いもの好き??」

「う、うん。」

里中さんが聞いてきたから頷くと里中さんはわかりやすく嬉しそうな顔になって、ポケットから2枚券を取り出した。

「このあいだ話た美味しいクレープのお店のクーポン券があってね!友達みんな部活あって行けないし期限来ちゃうから一緒に行かない?」

食い気味に言われてたじろぐと西崎君が里中さんからクーポン券を奪い取った。

「俺らもいるのに遠坂だけ誘うのかよ。」

「ちょっと返してよ!!」

「取ってみろよ~。」

西崎君がクーポン券を頭の上ら辺でヒラヒラさせてそれを里中さんがぴょんぴょんしながら取り返そうとしているのを僕と豊は苦笑いしながら眺める。

西崎君は相変わらず里中さんにちょっかいをかけてるけど里中さんは西崎君の気持ちに全然気づいてない。

「陽菜、縁は俺と放課後予定あるから無理だよ。」

豊が里中さんにそう言って僕と里中さんが同時に豊を見た。

僕達って用事あったっけ?

「予定あるの~?残念…。」

里中さんが肩を落として目に見てわかるくらい残念そうにしているのを西崎君がどんまいって慰める。豊は人差し指を口元に当てて僕に向かってしーってしてきて、その仕草に僕は疑問の言葉を飲み込んだ。

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