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豊に手を引かれながら遊歩道を歩く。
動画で見た時と同じように川が夕日に照らされてキラキラと輝いている。夕日に照らされた豊の顔をこうやって動画じゃなくて直接見ることができる日が来るなんて前までは想像もしていなかった。
「あ、あの、動画…う、嬉しかった。」
「あれくらいならいつでも撮って送るよ。」
「そ、それも、嬉しい…。でも…あ、あれ、は、と、とく、、特別。」
「喧嘩してたんだったよね。」
「…ううん。し、てない。」
近くの芝に2人で座って夕日を見ながら、あの時のことを一生懸命伝える。
それを豊は急かすことなく聞いてくれる。
「ぼ、僕…ゆ、たかにバレないように、沢山…う、うう、嘘ついてた。」
「…それは、女装をってことだよね。」
僕が頷くと豊がそっかって言って僕の頬をさらっと撫でた。それに驚いて豊を見たら、すごくすごく甘くて優しい顔で僕のことを見ている瞳と目が合う。
「ずっと1人で悩んでたんだよね。もっとはやく気づいてあげれたらよかったのに。」
「そ、そんなこと…っ、ぼ、僕が、さ、最初から言ってたら…。」
「…まあ、確かに言って欲しかったし、嘘つかれてたのは正直ショックだと思うよ。」
豊の言葉にボロって涙が零れた。
やっぱり嫌われちゃったのかな…。
男と付き合うなんて本当は嫌なんじゃないかな。
嫌な想像が一気に頭を駆け巡って次から次に涙が零れる。
いつの間にか夕日は沈んできていてキラキラと眩しかった川が段々と輝きを失っていくのが自分のことみたいで切なくなった。
「縁泣かないで。」
豊が僕との間に少し空いていた距離を詰めて、僕の顎を痛くないように掴むとそっと顔を上げるように促してきた。顔を上げたら豊が僕の目元に触れるだけのキスをしてきて、驚きと恥ずかしさで一瞬で涙が止まる。
「これからは本当の縁のことを沢山俺に教えて欲しい。それでこれまでのことは許すっ!なんてね。」
「…へ…?」
ニヤって笑った豊はそんなことを言ってから僕の唇に触れるだけのキスをしてきた。
もう周りは暗くなってきていて周りからは僕達は見えなくなってきているけれど、僕には豊の顔がはっきり見えていて、固まる僕の至近距離で豊があの動画みたいに眩しいくらいきらきらの笑顔を向けてくれているのがはっきりと確認できた。
心臓がドキドキ激しくなって苦しい。
こんな至近距離であの笑顔を向けられたら、もっと豊のことを好きになってしまう。
男同士の恋はいつまで続くのかすら分からないのに、どんどん豊かに溺れていくのを止められない。
「ゆ、たか…。」
「そんな顔してたらもっとキスしちゃうよ?」
「…そ、外、だよ…。」
「暗いから見えないよ。」
豊の唇が僕のを食べちゃうみたいに甘噛みしたり吸ったりしてきて、背中がなんだかゾクゾクする。
しばらく啄むようなキスをされて慣れない僕は息が上手く出来なくて口を開いた。
その瞬間に豊の舌が僕の口の中に入ってきて、僕の舌を絡みとるような動きに思わず逃げようと頭を後ろに引いたけれど、豊に頭を抑えられて逃げられなくて、感じたことの無いそれが気持ちよすぎて生理的な涙が零れた。
「縁、ちゃんと息して。」
僕に休憩させる為なのか少し唇が離れて、僕はその隙に小さく深呼吸した。それを見計らったようにまた唇が合わさって、上顎のとこを舐められたりすると更に体がゾワゾワした。
快感にたまらず豊のシャツを掴むと豊がその手に自分の手を絡めてきて、それにすら下腹の辺りがきゅってなって、気持ちよすぎて怖くなる。
「…ん…や、だ。」
「ふ、嫌ならしない。」
「ぅ、ん…き、もちくて…こ、こわいっ、。」
「…っ、かーわいい。」
辞めるって言ったくせにまたキスをしてくる豊に僕のキャパは既にオーバーしている。
豊が満足するまでキスをされて、やっと終わった頃には外は完全に真っ暗で僕は気持ちよすぎてボロボロ涙を流して、顔はぐしゃぐしゃになっていた。
動画で見た時と同じように川が夕日に照らされてキラキラと輝いている。夕日に照らされた豊の顔をこうやって動画じゃなくて直接見ることができる日が来るなんて前までは想像もしていなかった。
「あ、あの、動画…う、嬉しかった。」
「あれくらいならいつでも撮って送るよ。」
「そ、それも、嬉しい…。でも…あ、あれ、は、と、とく、、特別。」
「喧嘩してたんだったよね。」
「…ううん。し、てない。」
近くの芝に2人で座って夕日を見ながら、あの時のことを一生懸命伝える。
それを豊は急かすことなく聞いてくれる。
「ぼ、僕…ゆ、たかにバレないように、沢山…う、うう、嘘ついてた。」
「…それは、女装をってことだよね。」
僕が頷くと豊がそっかって言って僕の頬をさらっと撫でた。それに驚いて豊を見たら、すごくすごく甘くて優しい顔で僕のことを見ている瞳と目が合う。
「ずっと1人で悩んでたんだよね。もっとはやく気づいてあげれたらよかったのに。」
「そ、そんなこと…っ、ぼ、僕が、さ、最初から言ってたら…。」
「…まあ、確かに言って欲しかったし、嘘つかれてたのは正直ショックだと思うよ。」
豊の言葉にボロって涙が零れた。
やっぱり嫌われちゃったのかな…。
男と付き合うなんて本当は嫌なんじゃないかな。
嫌な想像が一気に頭を駆け巡って次から次に涙が零れる。
いつの間にか夕日は沈んできていてキラキラと眩しかった川が段々と輝きを失っていくのが自分のことみたいで切なくなった。
「縁泣かないで。」
豊が僕との間に少し空いていた距離を詰めて、僕の顎を痛くないように掴むとそっと顔を上げるように促してきた。顔を上げたら豊が僕の目元に触れるだけのキスをしてきて、驚きと恥ずかしさで一瞬で涙が止まる。
「これからは本当の縁のことを沢山俺に教えて欲しい。それでこれまでのことは許すっ!なんてね。」
「…へ…?」
ニヤって笑った豊はそんなことを言ってから僕の唇に触れるだけのキスをしてきた。
もう周りは暗くなってきていて周りからは僕達は見えなくなってきているけれど、僕には豊の顔がはっきり見えていて、固まる僕の至近距離で豊があの動画みたいに眩しいくらいきらきらの笑顔を向けてくれているのがはっきりと確認できた。
心臓がドキドキ激しくなって苦しい。
こんな至近距離であの笑顔を向けられたら、もっと豊のことを好きになってしまう。
男同士の恋はいつまで続くのかすら分からないのに、どんどん豊かに溺れていくのを止められない。
「ゆ、たか…。」
「そんな顔してたらもっとキスしちゃうよ?」
「…そ、外、だよ…。」
「暗いから見えないよ。」
豊の唇が僕のを食べちゃうみたいに甘噛みしたり吸ったりしてきて、背中がなんだかゾクゾクする。
しばらく啄むようなキスをされて慣れない僕は息が上手く出来なくて口を開いた。
その瞬間に豊の舌が僕の口の中に入ってきて、僕の舌を絡みとるような動きに思わず逃げようと頭を後ろに引いたけれど、豊に頭を抑えられて逃げられなくて、感じたことの無いそれが気持ちよすぎて生理的な涙が零れた。
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「…ん…や、だ。」
「ふ、嫌ならしない。」
「ぅ、ん…き、もちくて…こ、こわいっ、。」
「…っ、かーわいい。」
辞めるって言ったくせにまたキスをしてくる豊に僕のキャパは既にオーバーしている。
豊が満足するまでキスをされて、やっと終わった頃には外は完全に真っ暗で僕は気持ちよすぎてボロボロ涙を流して、顔はぐしゃぐしゃになっていた。
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