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交換条件と威嚇

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「いてぇ……あっ、ごめんな!よそ見しててっ」

慌てて顔を上げて謝罪すると、切れ長の瞳と目が合った。かすみ草みたいな薄い紫の瞳がおれの姿を映し出している。

(どこかで見覚えがある気がする……)

そう思った数秒後、被っていたフードが取れていることに気がついた。慌てて被り直したけど、しっかりと顔を見られてしまったから意味はない気がする。

「まさか……ライト騎士団長?」
「えーと、わかんない、です」

思わず敬語になってしまう。ライトって誰だ?

「そんなはずはない。君はクリス・ライト。王国直属騎士団の騎士団長を務めていた人だ。亡くなったはずなのになぜ……」

情報量が多すぎるだろ!

整理すると、クリスのフルネームはクリス・ライトで、クリスは騎士団長をしてたのか?
んで、目の前のイケメンはクリスと面識があるってことだよな。ダリウスとリアムがフードを被るようにいってたのは、クリスが有名人だったからなんだ。

ようやく疑問が解けたと同時に、やばい状況なんじゃないかと思った。

「ひ、人違いじゃないか」

ここは知らぬ存ぜぬを貫き通すしかない。立ち上がって、服の汚れを払うと、フードを被り直して逃げるように彼へと背を向ける。
けど、腕をガッツリ掴まれて動けなくなってしまった。

「逃がさないよ。私はエド・ガルシアス・ホープ。この国の王太子だ」
「王太子様!?」

思わず振り返ると、綺麗な微笑みを向けられる。

「どうやら本当に私のことは知らないようだね。ライト騎士団長に瓜二つの君にとても興味が湧いてきたよ」
「俺は全然興味持ってもらわなくてかまわないんだけど」

思わずツッコンでしまった。厄介事の匂いしかしない。クリスの関わるやつはどうしてこんなにめんどそうなのが多いんだよ。

「あはは、ライト騎士団長は絶対にそんなことは言わなかっただろうね」
「でしょうねー。てか、俺は装備屋に行きたいんだよ」

もう、看板は見えている。なのに、エドが邪魔で先に進めない。早くしないとダリウスが帰ってきてしまう。

「ああ、邪魔をしてしまったね。お詫びに装備の代金は私が払うよ」
「え!?本当か?」

思わずつられてしまった。

「その代わり、私の話し相手になって欲しいんだ」
「そのくらいなら全然おっけー!そうと決まれば装備屋に行こうぜ!」

即答してしまう。
早く帰らないといけないけど、少しくらい話しても大丈夫だろ。それに、装備を買ってもらえるのはありがたい。
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