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可愛いってどういうことだ!?
「お客様、お品物でございます」
「ありがとう」
ケースに入れられた指輪を受け取ると、指輪とゼンの顔を見比べているフィーロに声をかけて店を出た。
「お兄様はルーカス様のことをどう思っているんですか?」
「……危険人物だな」
いつ破滅ルートに引き込まれるかわからない地雷のような存在だ。
それぞれのキャラの関係性は少しずつ小説のストーリーとは違ってきている。それでもルーカスが角狼と遭遇したように、起こることは起こる。
だからもしもルーカスがゼンやフィーロにとって危険な存在になってしまった場合には──。
「お兄様は口ではいつもルーカス様のことを拒否するけど、僕には嫌っているようには見えません」
シャノンにも同じようなことを言われた。
前までのゼンはルーカスのことが嫌いだった。その感覚が胸の中にほんの少し残っているのは確かだ。けれど今のゼンはルーカスのことを本当の意味で嫌いではない。
「好きだろうと嫌いだろうとあいつに心を許すことは難しい」
「うーん……。それならなおさら指輪は……お兄様って可愛い人なんです」
「可愛い?」
どうしてそんなことを言われたのかわからなかった。
フィーロはクスクスと笑みを浮かべながら、少し前を歩いていく。その後ろ姿を見つめながら、ゼンは頭に疑問を浮かべながら軽く首を傾げた。
「フィーロ、俺が可愛いとはどういうことだ」
駆け足でフィーロの背を追いかける。
「そのままの意味ですよ」
「理解ができない。説明してくれ」
「うーん。きっとルーカス様が教えてくれます」
「ルーカスだと?なぜルーカスが出てくるんだ。おい、フィーロっ」
まったく教えてくれる様子のないフィーロは、笑みを浮かべながら真っ直ぐに大通りを進んでいく。
「ケーキを食べたいです。大きなチーゴが乗っているやつ」
「あ、あぁ……食べに行こう」
上手く話をそらされた気はするが、フィーロが楽しそうなので気にしないことにした。
スイーツの店に行くと、真っ赤なチーゴがふわふわの生クリームの上にたくさんのせられたケーキを注文した。
ゼンはあまりケーキを食べないため甘さ控えめのチーズケーキを頼んだ。
口いっぱいにケーキを頬張るフィーロはものすごく幸せそうに見える。
「うまいか?」
「とーーっても美味しいです!」
「それならよかった」
チーズケーキにフォークを通しながら、フィーロが嬉しそうにケーキを食べているのを眺める。
先程の可愛い発言はよくわからなかったが、基本フィーロは反応に気持ちが良く現れるためわかりやすい。
ゼンもしっとりとしたチーズケーキを味わいながら一息つく。
(ルーカスには贈り物を買ったから文句は言われないだろう)
そういえば最近はプライベートでルーカスと会っていない。彼も忙しいため伯爵家へ来られないのは仕方ないことだ。
ゼンもわざわざ会いに行くことはしない。
──あいつがいないとこんなに静かなんだな。
そんなことを思うようになった自分自身に驚いてしまった。
「お兄様は本当に結婚しちゃうんですか?」
フィーロに話しかけられて考えを止めた。
「そのうちあいつも飽きるだろう」
好きだと伝えられたことはある。けれど自分を拒否するゼンを茶化して楽しんでいるのかもしれない。
それにストーリーの強制力が働けば、いつかはシャノンと恋人になるかも……。
フィーロのこともあり二人がくっつくのは素直に喜べない。
どうせならまったく知らない誰かと結婚してくれればいいと思う。
「僕は飽きたりしないと思います」
真っ直ぐに目を見つめてくるフィーロを見返す。
なぜそんなことが言い切れるのかゼンにはわからなかった。
「お兄様はなんでもできてすごい方です。でも僕と同じで普通の人なんだって今日わかりました。お兄様のことを知ることができて嬉しかったです」
最後の一個のチーゴを頬ばりながらフィーロが幸せそうに笑みを浮かべた。
その笑みを見つめながら、ゼンはやっぱり言われている意味がわからず困り顔になってしまった。
「ありがとう」
ケースに入れられた指輪を受け取ると、指輪とゼンの顔を見比べているフィーロに声をかけて店を出た。
「お兄様はルーカス様のことをどう思っているんですか?」
「……危険人物だな」
いつ破滅ルートに引き込まれるかわからない地雷のような存在だ。
それぞれのキャラの関係性は少しずつ小説のストーリーとは違ってきている。それでもルーカスが角狼と遭遇したように、起こることは起こる。
だからもしもルーカスがゼンやフィーロにとって危険な存在になってしまった場合には──。
「お兄様は口ではいつもルーカス様のことを拒否するけど、僕には嫌っているようには見えません」
シャノンにも同じようなことを言われた。
前までのゼンはルーカスのことが嫌いだった。その感覚が胸の中にほんの少し残っているのは確かだ。けれど今のゼンはルーカスのことを本当の意味で嫌いではない。
「好きだろうと嫌いだろうとあいつに心を許すことは難しい」
「うーん……。それならなおさら指輪は……お兄様って可愛い人なんです」
「可愛い?」
どうしてそんなことを言われたのかわからなかった。
フィーロはクスクスと笑みを浮かべながら、少し前を歩いていく。その後ろ姿を見つめながら、ゼンは頭に疑問を浮かべながら軽く首を傾げた。
「フィーロ、俺が可愛いとはどういうことだ」
駆け足でフィーロの背を追いかける。
「そのままの意味ですよ」
「理解ができない。説明してくれ」
「うーん。きっとルーカス様が教えてくれます」
「ルーカスだと?なぜルーカスが出てくるんだ。おい、フィーロっ」
まったく教えてくれる様子のないフィーロは、笑みを浮かべながら真っ直ぐに大通りを進んでいく。
「ケーキを食べたいです。大きなチーゴが乗っているやつ」
「あ、あぁ……食べに行こう」
上手く話をそらされた気はするが、フィーロが楽しそうなので気にしないことにした。
スイーツの店に行くと、真っ赤なチーゴがふわふわの生クリームの上にたくさんのせられたケーキを注文した。
ゼンはあまりケーキを食べないため甘さ控えめのチーズケーキを頼んだ。
口いっぱいにケーキを頬張るフィーロはものすごく幸せそうに見える。
「うまいか?」
「とーーっても美味しいです!」
「それならよかった」
チーズケーキにフォークを通しながら、フィーロが嬉しそうにケーキを食べているのを眺める。
先程の可愛い発言はよくわからなかったが、基本フィーロは反応に気持ちが良く現れるためわかりやすい。
ゼンもしっとりとしたチーズケーキを味わいながら一息つく。
(ルーカスには贈り物を買ったから文句は言われないだろう)
そういえば最近はプライベートでルーカスと会っていない。彼も忙しいため伯爵家へ来られないのは仕方ないことだ。
ゼンもわざわざ会いに行くことはしない。
──あいつがいないとこんなに静かなんだな。
そんなことを思うようになった自分自身に驚いてしまった。
「お兄様は本当に結婚しちゃうんですか?」
フィーロに話しかけられて考えを止めた。
「そのうちあいつも飽きるだろう」
好きだと伝えられたことはある。けれど自分を拒否するゼンを茶化して楽しんでいるのかもしれない。
それにストーリーの強制力が働けば、いつかはシャノンと恋人になるかも……。
フィーロのこともあり二人がくっつくのは素直に喜べない。
どうせならまったく知らない誰かと結婚してくれればいいと思う。
「僕は飽きたりしないと思います」
真っ直ぐに目を見つめてくるフィーロを見返す。
なぜそんなことが言い切れるのかゼンにはわからなかった。
「お兄様はなんでもできてすごい方です。でも僕と同じで普通の人なんだって今日わかりました。お兄様のことを知ることができて嬉しかったです」
最後の一個のチーゴを頬ばりながらフィーロが幸せそうに笑みを浮かべた。
その笑みを見つめながら、ゼンはやっぱり言われている意味がわからず困り顔になってしまった。
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