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なんでそんな顔してるんだ?
「それでいいから離せ」
身をよじるとすんなりと離してくれる。
体勢を整えると、足がかすかに痛むのが感じられた。転けたときに足をひねったようだ。
(あとで治癒魔術をかけておこう)
この程度ならゼンでも簡単に治すことができる。
それよりも問題はルーカスに怪我をしたことがバレたらますます馬鹿にされてしまうかもしれないということだ。
平気なふりをするために澄ました表情を浮かべ続ける。大勢の目の前で足を引きずるわけにもいかず、痛みを我慢してその場を離れた。
「お兄様素敵でした!」
駆け寄ってきたフィーロが輝かんばかりの笑顔で賞賛してくれた。
「ゼン様はダンスもお上手なんですね」
シャノンも笑顔で褒めてくれる。
可愛らしい弟達に褒められると痛みも吹っ飛んでしまいそうだ。
「僕もお兄様と踊りたいです!セカンドダンスは僕と踊ってくれませんか?」
「それは……」
「だめですか?」
潤んだ瞳で見つめられると断りづらい。
けれど足を治してもしばらくは違和感が続くため、失敗してフィーロを巻き込んでしまう可能性がある。
「フィーロ様、僕と踊りませんか?」
「シャノンと?」
「僕のお母様は子爵令嬢だったからダンスを教えてもらったことがあるんです。だから少しは踊れると思います」
シャノンの提案にフィーロは悩む素ぶりをしたあと、もじもじと体を揺らした。なかなか返事をしてくれないフィーロにシャノンは不安そうな表情を向けている。
(さては照れてるな)
シャノンとダンスを踊るのは嬉しいが至近距離になるため恥ずかしいのだろう。
「踊ってこい」
フィーロの背を押すと、顔を真っ赤にさせながらシャノンに手を差し出した。シャノンも嬉しそうに微笑むと手を重ねた。
本来使用人であるシャノンには踊ることは許されないのかもしれない。けれど、衣装の効果もあり誰もシャノンのことを使用人だとは思わないだろう。
よく見れば、シャノンの髪にはフィーロが買っていた髪飾りが着けられている。
──悪役令息と主人公か……。上手く行くといいけどな。
嬉しそうに音楽に合わせてステップを踏んでいる二人は初々しくて、いつまでも見守ってあげたくなる。
「ゼン、ちょっとこっちに来て」
二人のことを温かく見守っているとルーカスに話しかけられた。
あまりにも真剣な表情をしているルーカスを見ていると断るのは違う気がして、外につながるテラスへと一緒に向かった。
身をよじるとすんなりと離してくれる。
体勢を整えると、足がかすかに痛むのが感じられた。転けたときに足をひねったようだ。
(あとで治癒魔術をかけておこう)
この程度ならゼンでも簡単に治すことができる。
それよりも問題はルーカスに怪我をしたことがバレたらますます馬鹿にされてしまうかもしれないということだ。
平気なふりをするために澄ました表情を浮かべ続ける。大勢の目の前で足を引きずるわけにもいかず、痛みを我慢してその場を離れた。
「お兄様素敵でした!」
駆け寄ってきたフィーロが輝かんばかりの笑顔で賞賛してくれた。
「ゼン様はダンスもお上手なんですね」
シャノンも笑顔で褒めてくれる。
可愛らしい弟達に褒められると痛みも吹っ飛んでしまいそうだ。
「僕もお兄様と踊りたいです!セカンドダンスは僕と踊ってくれませんか?」
「それは……」
「だめですか?」
潤んだ瞳で見つめられると断りづらい。
けれど足を治してもしばらくは違和感が続くため、失敗してフィーロを巻き込んでしまう可能性がある。
「フィーロ様、僕と踊りませんか?」
「シャノンと?」
「僕のお母様は子爵令嬢だったからダンスを教えてもらったことがあるんです。だから少しは踊れると思います」
シャノンの提案にフィーロは悩む素ぶりをしたあと、もじもじと体を揺らした。なかなか返事をしてくれないフィーロにシャノンは不安そうな表情を向けている。
(さては照れてるな)
シャノンとダンスを踊るのは嬉しいが至近距離になるため恥ずかしいのだろう。
「踊ってこい」
フィーロの背を押すと、顔を真っ赤にさせながらシャノンに手を差し出した。シャノンも嬉しそうに微笑むと手を重ねた。
本来使用人であるシャノンには踊ることは許されないのかもしれない。けれど、衣装の効果もあり誰もシャノンのことを使用人だとは思わないだろう。
よく見れば、シャノンの髪にはフィーロが買っていた髪飾りが着けられている。
──悪役令息と主人公か……。上手く行くといいけどな。
嬉しそうに音楽に合わせてステップを踏んでいる二人は初々しくて、いつまでも見守ってあげたくなる。
「ゼン、ちょっとこっちに来て」
二人のことを温かく見守っているとルーカスに話しかけられた。
あまりにも真剣な表情をしているルーカスを見ていると断るのは違う気がして、外につながるテラスへと一緒に向かった。
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