転生エルフによる900年の悠久無双記~30歳で全属性魔法、100歳で古代魔術を習得。残り900年、全部無双!~

榊原モンショー

文字の大きさ
34 / 57

第34話 転生エルフ(106)、ヴリトラに約束を取り付ける。

しおりを挟む
「ぬはははは、こないだぶりなのだ。我が友リースよ」

「ずいぶん早いご帰還だね、魔力切れには早いんじゃないかい?」

 ヴリトラが自由を手に入れてから、まだ半年しか経っていないはずだ。
 魔力切れの心配もしたがヴリトラは首を振っていた。

「無論、お主からもろうた魔力はまだまだ尽きる気配はない。それどころかこんなことも出来るようになったのだ」

 ユグドラシル分枝下での威圧感が凄まじいヴリトラだったが、ポンと音を立てるとヴリトラの身体が一気に縮んだ。
 パタパタと可愛らしい翼音を慣らして俺の肩にちょこんと座るヴリトラからは、圧の欠片も感じられない。

「ど、ドラゴンさんが小さくなっちゃいました……? さすがリース様の魔力です。ぷにぷにしてて可愛いですっ」

 それどころか、ミノリが人差し指でぷにぷにとヴリトラの身体を突っつくほどだ。

「元々が魔力の塊から出来た身体だからかな。割と自由が利くんだろう。で、そこまでの自由すら手に入れたドラゴンさんが、またなんでこんな所に?」

 肩に乗ったヴリトラに問えば、「外界は魔族が邪魔で居心地も悪い。しばらく世話になろうと思うてな」とあっけらかんと答えた。

「魔王復活を数年後に控えた今、魔獣・魔族も徐々に瘴気を増して集結しようとしておる動きがある。そのことはお主も知っておろう?」

「……そうなんですか?」

 ミノリやジン君たち人間にはまだ気付かない程度の違和感ではあるからミノリが気付かないのも当然だ。
 最初に違和感に気付いたのは、ミノリと初めて会ってトゥラの実を渡された時だった。
 魔族や魔獣の活性化に繋がる「瘴気」が1%混じっていたあの頃と違い、今はそこらの実を拾ってくれば5%ほどと含量が増えてきている。
 ミノリが採取してくれている肉や魚も、一度は俺の魔法で瘴気抜きをしているほどだ。

 魔族領域に近いこの場ならまだしも、世界を飛び回ったヴリトラも感じるほどには魔王復活の予兆は世界を徐々に蝕み始めていたのだろう。

「それに夜は魔獣や魔蟲が以前より活発になっておる。いかに我とて眠る間にが蠢いておるのはそれなりに不快なのだ。我は安眠のために魔族を倒すと決めたのだ。お主についておれば、魔王も倒せるのだろう?」

「相変わらず気ままな龍だねぇ。言っておくけど、魔王を倒すのは俺じゃないからね」

「なぬ!? お主ほどの力があれば、魔王であれども倒せように。てっきり、勇者候補の小童が《因子》を開花させ次第、魔法も因子も総取るものと思うておったのだ。お主なら出来なくもあるまい?」

 何という外道なことを思いつくんだろうか、このドラゴンは。
 ……とはいえ、それも不可能ではない。
 この世にはかつて魔族が使用した闇属性魔法の一種として、その者に宿る属性魔法を奪う属性吸収トリビュートドレイン、身につけた技能を奪う技能吸収スキルドレインが存在したほどだ。
 数少ないが《因子》に関する書物もいくつかはある。読み込んで練り直せば、因子吸収・・・・なんて新しい魔法も出来ないこともないとは思うけど……。

「まぁ見てなよ。今はこうだけど半年経てば別人になるよ。もしかしたら、ミノリさえも越える逸材かもしれない。俺がわざわざ才能開花した彼から奪い取る必要がないことくらい、すぐに分かるからさ」

「ふーぬ」

「しかもちょうど良いところに来てくれた。ついでにキミには頼みたいこともあったんだ」

 ポリポリと脚で毛繕いをするヴリトラにある提案・・・・を耳打ちすると、彼女は動きをピタリと止めた。

「ぬはははは、面白い。良かろうなのだ。もしも残り半年で小童に相応の成長が認められたならば、の話ではあろうがな」

 そんなヴリトラの目線を受けるジン君は、変わらず一心不乱に剣を振り続け――。


●●●

 ――あっと言う間に、ヴリトラとの約束から半年後がやってきた。

「炎属性上級魔法魔力付与エンチャント焔ノ帯剣ファイヤソードッ!!」

 目にも止まらぬ速さで 魔力付与エンチャントを繰り出すミノリ。
 その対面で魔力を練るジン君の魔力妨害ジャマーには、今や突っかかりや淀みはほとんどない。

 ガァンッ!!

 木剣同士が激しくぶつかり合った瞬間、ミノリの魔力は霧散する。

「――ぐっ! 魔力付与エンチャン……」

「させません!」

 再びガンッ――、と。ミノリに魔力を溜めさせまいと、ジン君は木剣を間髪入れずに打ち付けた。
 ミノリが魔力を充填させる前にジン君が先に魔力を練り直す。
 半年前であれば、ジン君は魔力を充填し直すどころか練ることすら出来なかった。
 
 相手に体勢を整える隙を与えずに攻撃を続ける。ミノリも魔力を練る時間は早くなったが、こうも充填する寸前に魔力妨害ジャマーで防がれては溜めようもない。
 こればかりは、剣の技量で勝るジン君に分があるようだ。

「ほぅ。最初の頃と比べると見違えるようなのだ」

 それは思わず俺の肩で戦いの行方を見守るヴリトラも舌を巻くほどだった。

「人間というものは不思議なのだ。才能がないなら別の道を探せば良い。50年しか生きられぬ生命体にも関わらず、彼奴あやつのように平気で10年を費やしてしまう輩がいる。長命種われわれにとっての10年と、人間やつらにとっての10年など同列にしようもないではないか」

「良くも悪くも彼は愚直だったんだよ。魔法がないことを言い訳にせずに、ずっと自分を磨き続けた。まさかここまで本当に1年休まず1日で魔力を使い切るとは思わなかったけどね」

 ここに来て、1回の立ち会いでも10分を越える激闘を見せることが多くなってきた。
 だがミノリも先輩弟子として負けてはいられない。
 額から滴る汗を拭うこともせずにジン君を見据え、剣を振るう。
 魔力妨害ジャマーを受けて魔力がいくら霧散しようと、あの手この手で炎の魔力を練り直し、突撃していく。

「何が奴等をそこまで奮い立たせるのやら。我々には分からぬな」

 「くぁぁぁ」と小さな欠伸をするヴリトラ。

「……執念だよ、2人ともね」

 最初の頃と比べると、今のジン君が1日で魔力容量分の魔力を消費しきるには膨大な時間と魔力錬成が必要になっていた。
 だが、それでもジン君は俺の言いつけ通り1日1回魔力を全て空にしてみせた。
 《勇者》因子が開花するか分からないのに、文句一つ言わずに俺の言葉を信じ続けてくれた。
 ミノリもそうだ。出会ってから10年もの長い間、文句一つ言わずに俺と行動を共にし続けてくれた。
 
「ふーぬ。お主、齢100を越えておる割には人間のような考えをするのだな」」

「とんでもない。彼らの方がずっと人間らしいよ」

 30年の人間生活を一度不意にしている俺なんかより、あの2人の方がよっぽど人間として輝いている。
 弾け飛ぶ魔法に迸る汗。
 両雄一歩も引くことなく、模擬戦は続く。

 ミノリVSジン君の立ち会いは今日で365戦目。
 この日の立ち会いにて、ついにジン君はミノリを前に一度も膝をつくことなく戦いを終えてみせたのだった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

処理中です...