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第二話
しおりを挟む青天の霹靂とはこのことだ。
私は燈矢の言うことがすぐに理解できず、ポカンとしていた。
すると、彼が吹き出した。
「なんだ?その間抜け顔は」
「笑い事じゃありませんよ。代わりが見つかったって……婚約破棄ってどういうことですか?!」
私は彼に笑われてムッとしながら、問い質した。
「そのままの意味だが?もう君は用済みなんだよ。もう俺のゴーストライターなんてやる必要はない。仕事もやらないからし、君と会うこともないだろう」
「そんな……」
「俺の言ってること分かるよね?さっさと出て行って。邪魔だから」
ここは燈矢が住んでいるマンションの部屋だ。私は自分が作成した原稿を渡すために、この家に来た。
ずっと彼の家にいるのも惨めだ。
私は何も言わずに家から出た。
家の前の廊下に出てエレベーターに向かう途中で、私とは違う華やかな容姿の女性とすれ違った。
私がああいう子だったら燈矢に捨てられなかったのだろうか。
そう思いながらその女性を追っていると、彼女は燈矢の自宅に入って行った。
――お前の代わりはいる。
燈矢に言われた言葉が遠くの方から聞こえてくる。
「ああ、そっか……」
小さく掠れた声で呟く。
私の代わりはあの子なんだ。燈矢は私よりも彼女を選んだんだ。
でも、当たり前か。私よりも彼女の方が可愛いし、誰だってあの子を選ぶだろう。
そう納得しても、涙が溢れてきて止まらなかった。
しばらく立ち尽くして泣いていたが、エレベーターから降りてきた人に不審な目で見られたので急いで下りエレベーターに乗ってマンションを出た。
自宅に帰るまでの道中で、悲しみは怒りへと代わっていった。
とにかく彼との思い出の物は全部処分してしまおう。
まず指輪。今左手薬指をはめている指輪は彼から贈られた指輪だ。こんな物いらない。捨てるか……。
そう思ったところで、どうせ手放すなら売ってお金に換えた方が良くないか?と思い立った。
彼は一応ゴーストライターである私に報酬を払っていたが、OLよりも低い金額だった。
それなのに、私は彼と一緒にいたくて馬鹿みたいに安い給料で働いていたのだ。本当、大馬鹿者過ぎて恥ずかしくなってくる。
だからもう全部売っ払って過去を清算しよう。
家に帰ったら燈矢に貰った物を集めてリサイクルショップに行くと決めた。
自宅に帰ってきてすぐ、玄関の靴箱の上に飾っている犬の置物を掴んで袋に入れる。他にもネックレスなどのアクセサリーやら洋服やらを袋に入れて家を出た。
リサイクルショップで買い取ってもらい、それなりのお金ができたが、いつまでも無職というわけにはいかない。
どこかの会社に就職しようと思ったが、私は小説を書き続けたかった。
自分の名義で、誰かのゴーストライターではなく。
そこで私は新人賞に応募するべく、机に向かってストーリーを考え始めた。
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