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「いってきまーすー!」

いつもの風景、いつもの空。なのに、いつもとは違って見える。




「おはよーー!」

僕は元気に教室のドアを開けた。
みんなはびっくりしてたけど、すぐに歓迎してくれた。

「月華、大丈夫か!!?」
「うん!大丈夫だよ~」

前よりね~
体はダルいけれど、咳は出ないし、前に比べれば全然楽ー!


「月くん、これ……」

差し出してきてくれたのは、かわいくラッピングされたクッキー??
どうしたんだろう?

「退院のお祝いに作ったの、良かったら…」
「え!ありがとう!大事に食べるね」

この子は確か…入学式の時、近くにいた女の子だ~
優しい子だ~

僕が受け取ったらその子は、顔を赤くして友達の方へ走っていってしまった。良かったねーとか言われてるけど、なんの事だろう?


「モテモテだな、月華。少し妬けるぞ」

結燈?なにか焼くの??

「月華、本当に大丈夫?熱は?」

流衣がおでこを僕に合わせてきた。
大丈夫だってば~

それよりも、流衣が僕の背に合わせてしゃがんで合わせてるのが、ムカつくなあー!
僕のためとはいえ、僕の背が小さいのが誰から見ても丸わかりじゃん。

むーー~!


「おはようございます~♡」

その声だけで、僕の体が震え始めた。

流衣が、僕のおでこから流衣のおでこを離す瞬間だったから、多分、流衣に伝わった。

「月華……?」

ほら…

「ん?流衣、月華がどうしたんだ?」


結燈が流衣の小さな呟きに気づいてしまった。
え、どうしよう…よりも先に、僕は怖いという思いでいっぱいになってしまった。

有栖川さんは、自分の席。つまり、僕の席の隣に座ってる。

でもきっと、席替えするよね。
大丈夫だよね?きっと…

大丈夫だよ、僕、大丈夫。

無意識に流衣の手を握っていた。
流衣は優しく僕の手を握り返してくれた。


「月華、具合悪くなったらいつでも言ってね」

うんって言おうとした瞬間に……


「席につけーー」

さくちーが来た。僕は大丈夫と暗示をかけながら、席に座った。



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