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一話
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「ジャガイモ、ニンジン、カレーのルウにお酒のおつまみ(できればお酒も)」
買い物袋を覗き込みながら神浦 舜弥はスマホのリストを読み上げていた。
そして大きなため息を一つ。
「できればお酒って……未成年がお酒買えると思うか?絶対捕まるんだど、僕」
舜弥は自分の母に呆れた。
「母さん法律分かってないの?僕に捕まれって言いたいんなら話は別だけど……僕は捕まりたくないから!」
なのでお買い物袋にはお酒は入っていない。
当たり前だろう。
すると舜弥のスマホが鳴った。
「……ん?誰?」
そして画面を見る。
「ああ……花野さんだ」
花野 奏。舜弥の同級生。才色兼備という言葉が似合う女子だ。
クラスの男子は少なからず奏を狙う。
舜弥にとっても奏は気になる女子の一人だ。
「……はい、もしもし」
「もしもし、神浦君。こんにちは」
「こんにちは、どうしたの?花野さん」
「あのね、私達、クラス全員で忘年会しないかっていう話してたの。来ない?」
「忘年会?まだ十一月だけど。早くない?」
「そんなことないよ。みんなの都合とかあるから。神浦君も大変だと思うけど、どうせやるならみんなとやりたいし。大丈夫。あいつ等には変なことさせないから」
舜弥はいじめられっこだ。
先月、耐えきれきれなくなり、ついに登校拒否になった。
「……考えておくよ」
「うん!そういうばさぁ……」
まだ話が続くらしい。
舜弥は相づちを打ちながら歩く。
「あ!そうだ!神浦君さ、今度学校来れるようになったら私とお昼食べない?」
「行けるようになるように頑張るよ」
「うん!」
「じゃあ、切る……うわぁ!」
通りかかった高層マンションが爆発した。
同時に買い物袋を落としてしまった。中身がコンクリートに散らかる。
「何があったの?!神浦くん!」
「ま、マンションが……」
「マンションが……?」
「爆発した……」
「爆発?!」
フリーズする奏。
爆発をみて動けなくなる舜弥。
「早く逃げなきゃ!神浦君!」
「う、うん」
舜弥はしゃがみ込み、散らかったものを拾い集める。
ふと、聞こえた。
「君!!危ない!」
「よけてーーー!」
誰かがそう言った。
(え?僕のこと……?)
舜弥は上を見上げる。
巨大な瓦礫が目の前に迫っていた。
「…………え…………?」
轟音。
と、同時に、悲鳴。
「きゃゃゃゃあ!!!」
「こ、子供が瓦礫の下敷きになったぞ!」
「大変だ!」
「この爆発は一体何なんだ!!」
「助けないと!!」
瓦礫からはみ出ている舜弥の手にはスマホが乗っていた。
そこからも声が聞こえた。
「神浦……君?ねぇ……神浦君?か、神浦君……」
反応がない。
「ねぇ、やだよ……か、神浦君!!!!!」
スマホ越しとは思えないほどの悲痛な声が響いた。
この事件はテロ事件だった。
あの後、すぐに武装した警察が高層ビルの中に入っていった。
首謀者は捕まり、「日本政府への反発だ」と発言した。
警察の動きが迅速だったため、死亡者はテロ事件としては圧倒的に少なかった。
死亡者はたった一人。それもたった十四歳の少年だった。
買い物袋を覗き込みながら神浦 舜弥はスマホのリストを読み上げていた。
そして大きなため息を一つ。
「できればお酒って……未成年がお酒買えると思うか?絶対捕まるんだど、僕」
舜弥は自分の母に呆れた。
「母さん法律分かってないの?僕に捕まれって言いたいんなら話は別だけど……僕は捕まりたくないから!」
なのでお買い物袋にはお酒は入っていない。
当たり前だろう。
すると舜弥のスマホが鳴った。
「……ん?誰?」
そして画面を見る。
「ああ……花野さんだ」
花野 奏。舜弥の同級生。才色兼備という言葉が似合う女子だ。
クラスの男子は少なからず奏を狙う。
舜弥にとっても奏は気になる女子の一人だ。
「……はい、もしもし」
「もしもし、神浦君。こんにちは」
「こんにちは、どうしたの?花野さん」
「あのね、私達、クラス全員で忘年会しないかっていう話してたの。来ない?」
「忘年会?まだ十一月だけど。早くない?」
「そんなことないよ。みんなの都合とかあるから。神浦君も大変だと思うけど、どうせやるならみんなとやりたいし。大丈夫。あいつ等には変なことさせないから」
舜弥はいじめられっこだ。
先月、耐えきれきれなくなり、ついに登校拒否になった。
「……考えておくよ」
「うん!そういうばさぁ……」
まだ話が続くらしい。
舜弥は相づちを打ちながら歩く。
「あ!そうだ!神浦君さ、今度学校来れるようになったら私とお昼食べない?」
「行けるようになるように頑張るよ」
「うん!」
「じゃあ、切る……うわぁ!」
通りかかった高層マンションが爆発した。
同時に買い物袋を落としてしまった。中身がコンクリートに散らかる。
「何があったの?!神浦くん!」
「ま、マンションが……」
「マンションが……?」
「爆発した……」
「爆発?!」
フリーズする奏。
爆発をみて動けなくなる舜弥。
「早く逃げなきゃ!神浦君!」
「う、うん」
舜弥はしゃがみ込み、散らかったものを拾い集める。
ふと、聞こえた。
「君!!危ない!」
「よけてーーー!」
誰かがそう言った。
(え?僕のこと……?)
舜弥は上を見上げる。
巨大な瓦礫が目の前に迫っていた。
「…………え…………?」
轟音。
と、同時に、悲鳴。
「きゃゃゃゃあ!!!」
「こ、子供が瓦礫の下敷きになったぞ!」
「大変だ!」
「この爆発は一体何なんだ!!」
「助けないと!!」
瓦礫からはみ出ている舜弥の手にはスマホが乗っていた。
そこからも声が聞こえた。
「神浦……君?ねぇ……神浦君?か、神浦君……」
反応がない。
「ねぇ、やだよ……か、神浦君!!!!!」
スマホ越しとは思えないほどの悲痛な声が響いた。
この事件はテロ事件だった。
あの後、すぐに武装した警察が高層ビルの中に入っていった。
首謀者は捕まり、「日本政府への反発だ」と発言した。
警察の動きが迅速だったため、死亡者はテロ事件としては圧倒的に少なかった。
死亡者はたった一人。それもたった十四歳の少年だった。
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