無人島と殺人

ゆーゆ

文字の大きさ
上 下
3 / 8
まずは一人目「笹島ナオキ」

隣での殺人事件

しおりを挟む
 うぅー。
 嫌だなぁ。
 ほんっと、何でナオキ君なんかと、肝試しを一緒に行かなくちゃならないんだよー。
 あーあ、ついてないな。
「ね、あれこんにゃくじゃない?」
 ナオキ君が、ご機嫌そうに言ってきた。
 指差された方を見てみると、確かに、あれはこんにゃくだ。
「へえ、意外と分かりやすいものなんだな」
「そうだね」
「うん」
「……」

 しーん

 沈黙が重い。
 確かここら辺はユウキ君のエリアに近いと思うが、一向に仕掛けが見当たらない。
 ははーん。
 あいつさては、サボったな。
 と思ったら。

 バキッ!

「うわあぁあッ!」
「うわあッ?!」
 ナオキ君は、折れた枝の音にビックリして叫んで、おれは、ナオキ君の叫び声にビックリして叫んだ。
 あちゃー、カッコ悪りぃ……
「な、何ビビってんだよ。さっさと行こうぜ」
「お、おう……」

 ガサガサ
 パキポキ

 落ち葉や枝の折れる音が、近づいてくる。
 ……誰かが、こっちへ向かってくる。
『ヤバイ』
 本能が、そう告げている。
「逃げるぞ!」
「ええッ!?」
 おれは、驚いたまんまのナオキ君の手をひいて、一目散に逃げ出した。

 ガサガサ
 バキボキ

 追いかけてくる。
 誰なんだ、コイツ。
 おれが振り向こうとしたら、いきなり横で「グサッ!」という、鈍い音がした。
 とたんに、血が吹き出してきて、おれにもかかった。
 生温かかった。
 同時に、そいつが逃げていく足音がした。

 ガサガサッ
 ボキボキッ

 おれは、ふと横を見てみた。

「うわああぁあああぁぁああぁ!!」


 ナオキ君が、血まみれで倒れていた。
 そして、ナオキ君は、すでに息をしていなかった。
 おれは、その場に立ち尽くした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

明日もいい天気 〈GANA. 短編集〉

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

白鷹水滸伝

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

1人の男と魔女3人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

桜花の道理

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

夏休みの宿題@アリンコ

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

リンネちゃんは死にたいの。でも今日は楽しく生きている

ホラー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

殿下、ウザイのですが?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:627

あやかし寮母の守る家

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

どうせ明日も晴れている。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

少女達の裏の顔

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...