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第三話 それより

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「あの、この状況で言うのもどうかと思うんだけど、お腹すいた」

私の言葉を後押しするようにお腹の音が、あたり一面に鳴り響く。

「………お前に緊張感はないのか」

「あるに決まってんじゃん。あほなの」

「あ?アホなのはこの頭か?」

「いたい!いたいって!!」

このくそ吸血鬼が!!
頭グリグリしやがった!!

「離してっ!!セクハラで訴えるぞ、ロミオ」

「………」

「ロミオに突っ込めよ」

「一人じゃないっていいな」

「聞けや、おい」

「敬語は使わなくていいのか?」

スルーか、おい。

「貴様に敬語を使う価値はない、と見た」

「なんだと、おら」

じりじりと近寄ってくるロミオに対し、ソロソロと距離を取り出す私。

「まぁ、いい。少し待っていろ」

ロミオはキッチンへと向かう。

エプロンを持って。
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