小説を書きたい!

ももちよろづ

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発端

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何処の世界にも、影響を受け易い人と言うのは居る。

俺達が、産まれてから言葉を覚えるのが、両親の模倣である様に、それが必ずしも悪い事だとは言わない。

言わない、けど。


「ショウ君!ショウ君!」


何事にも、限度と言うものがある。

分別の付く大人であれば、尚更。


「小説、書きたい!」

「唐突ですねぇ」


仕事の休みが重なった日の朝、リビングで。

ルームシェア相手の、セツさんが、又、思い付きで物を言い出す。

慣れっ子だが、一応、事情を訊いてみる。

「何で、又?」

「皆が書いてるの見てたら、楽しそうでさ!

 俺も、書いてみたい!」

俺達は、漫画やら、アニメやら、

日々、何かしらの物語に触れているから、

こんな事を言い出す日も来るだろう、とは思っていた。

彼自身、実は、本好きで、そこそこの読書量があるのである。

それで、何でこんなに漢字が読めないのか、と正直、思うが。



ずは、どの投稿サイトで書くか、決めましょうか」

「そんなに、沢山あるの?」

「えーと、『小説家にな●う』でしょ、

 アルファポリス、

 エ●リスタ、

 カ●ヨム、

 ス●キブンゲイ、

 ノベルアッ●プラス、

 ハー●ルン、

 pix●v……」

「わぁ~、いっぱいあるんだなぁ~……(知らんけど)」

「サイト毎に、傾向や特徴が、違いますね」

「う~ん、取り敢えず、『小説家にな●う』かな。

 『な●う系』とか、名前よく聞くし、大手みたいだし」



「ペンネームは、何にしますか?」

「へ?」

「本名で書く訳に行かないし、屋号を決めないと」

「そっか、う~ん……?」

「じゃあ、俺が考えてあげます。

 ①セッちゃん

 ②げろしゃぶ

 ③ゲレゲレ

 ④自家発電三郎」

「選ばす気ねぇだろ!

 いいよもう、セッちゃんで!」

「じゃあ、『セッちゃん』、と」


カタカタ……
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