17 / 31
本編
内部犯
まずは冷静になるために、深呼吸をする。
「では、殿下方。ここに至るまでの詳しい経緯をお教えください」
落ち着いた声で問えば、ベルトラートは一つ頷いてから答えた。
「既に察していると思うが、僕達はお忍びで城下に遊びに行こうと思っていた。すぐには気付かれないよう、それぞれ自主稽古の時間に抜け出したのだ」
王子王女の不在は発覚しているだろうが、緊急事態であることに一体どれくらいの人が気付いているか。今にして思えば侍女長への報告は悪手だったかもしれない。
彼らは、自らの意思で城を抜け出している。以前にも失踪騒ぎを起こしているため、事件性はないと判断されることもあり得る。
『城を抜け出そうとしている殿下方を見かけた』という報告が、図らずもそれを助長してしまうのだ。
すぐに捜索が始まっていればこの馬車も見つかっていただろうが、もうかなりの時間が経っている。
悪い方に傾きがちな想像を振り切って、ナナセはさらに問いを重ねた。
「それらのお召しものや馬車は、どのように用意したのですか?」
「この衣装は、以前から隠し持っていた」
「ほぅ……つまり、何度かはお忍びをした経験があると」
ナナセが半眼になると、彼は後ろめたそうに黙り込む。どうやら図星のようだ。
「そ、それと目立たない馬車の手配だが、これは通りがかりの文官に頼んだ。小麦色の髪の男だったが、他に特徴は覚えていない」
小麦色の髪はそれほど珍しくないので、これといった手がかりにはならないだろう。変装をしていた可能性だってある。
「顔見知りではなかったのですね?」
「……文官の服を着ているからと油断した。今は浅慮だったと反省している」
ベルトラートが、使用人に対して躊躇いもなく謝罪する。
リリスターシェも悄然と続いた。
「わたくしも、ごめんなさい。こんなかたちであなたまで巻き込んでしまって、悔やんでも悔やみきれないわ……」
「すみません、ナナセ殿……」
ヴァンルートスにも謝られ、ナナセは笑って首を振った。
暗くて見えないはずなので、その代わりにできる限り柔らかな声を発する。
「大丈夫です。言ったでしょう、必ずお守りいたしますと。私はこうして巻き込まれたこと、本当に幸運だったと思っております」
守ることができる立ち位置でよかった。優しい子ども達を、矢面に立たせずに済む。
「犯人は一体何者で、目的は何だろう?」
ヴァンルートスの疑問はもっともだが、ナナセが気にすべきはどこに向かっているかという一点に尽きる。
犯行目的を知ることで分かることもあるだろうが、自らの使命を見誤ってはならない。
陰謀や政争だった場合、様々な思惑が絡まり合って、全景を把握しようにも視界が塞がれてしまう。
ナナセが優先するのは彼らの無事のみ。
犯人が誰かより、王族を害する意思の有無を明らかにすることが何より重要だった。
「確かに犯人……というより黒幕は気になりますが、まずは馬車の経路を把握したいですね。そうすれば脱出の機会も窺えます」
「だからこそ、黒幕の正体を突き止めるべきではないか? 王族を誘拐する大胆不敵な輩だ。おそらく貴族、または貴族と繋がりのあるもので、領地にさえ逃げ延びればどうにかなると考えているのだろう。ならば、黒幕から目的地を割り出せるはずだ」
ベルトラートの思わぬ発言に、ナナセは目を瞬かせた。やんちゃな子どもという印象だったが、驚くほど理知的だ。
思わず頷きかけ、我に返る。
「殿下のおっしゃることも一理ありますが、私はこういった時の対処法を知っています」
今こそ、ライトノベルや二時間サスペンスで培った無駄知識を総動員すべきだ。
「みなさん、馬車の外に耳を澄ませましょう。耳から得られる情報によって、現在地を特定する。誘拐事件解決の王道手段です」
ナナセの提案を聞いた子ども達の反応は、ものすごく微妙だった。
「それは、何の王道だ?」
「車輪が回る音しか聞こえないわ」
「そもそも僕は王宮を出たことがないので、外の音を拾えたところで手がかりとして生かせませんね……」
馬車は自動車と異なり、ひどく揺れる。
道がアスファルトで舗装されていないためなおさらだった。
近くで話している声すら聞き逃しそうになるのに、外の音など拾えるはずがない。完全に盲点だった。
「そういえば、私も外出の経験などほとんどありませんでした……」
「わたくし達もヴァンよりは詳しい程度よ」
「先ほど拘束された時に見た景色は、どう考えても王都ではなかったしな」
いちいち正論すぎて辛い。
子ども達を助けるためにも冷静でいようと気を引き締めたはずなのに、むしろ彼らの方がしっかりしているのではないだろうか。
「居合わせたのが私でなければ、もっと殿下方のお役に立てたでしょうに……本当に申し訳ございません……」
「大丈夫よ、きっと助かる道はあるわ」
「そうですよ、ナナセ殿。あなたがいてくださるだけで、僕らがどれほど心強いか」
リリスターシェとヴァンルートスの優しさが辛い。尊べなくて辛い。
「他のありがちな展開としては、脱出に役立つ道具を試行錯誤して作るとか……」
「残念だが、何も置いていないようだぞ」
「では、素敵な王子様が華麗に駆け付けて助けてくれるとか……」
「その王子が助けを求めているんだが?」
ナナセの発言の不備を一つ一つ指摘していくベルトラートは、いっそ清々しい。
無駄知識はどこまでいっても無駄にしかならなかった。
「やはりここは、黒幕の正体とその目的を知る必要がありますね……」
「やはりそこに帰結するようだな」
いつの間にか主導権を握っていたベルトラートが、自らの推論を披露する。
「黒幕を割り出す糸口として、まずは拐かしの手引きをした文官の素性から考えよう。馬車を用意できる点からも、彼が王宮で働く身分であることは間違いない。所作は丁寧だったが、決して優雅ではなかった。上流階級出身ではないものの、王宮に勤めることによって自然に身に付いたと推測できる」
「年齢は二十代前半といったところかしら? その若さで王宮勤めということは、よほど優秀なのね」
「それなら、冬宮の騎士達に不審に思われなかったのも道理だね」
まるで某有名漫画に出てくる、少年探偵団のような利発さだ。ナナセが意見を差し挟む余地はない。
素晴らしいディスカッションに耳を傾けながらも、今が何時頃なのかを考える。
殿下方を追いかけたのは三時前だったはずだが、幌の向こうには既に薄い闇が広がっている。完全に日が落ちた時、荷台は真の闇に包まれるのだろう。
夜間の運転は危険を伴う。
どこかに停泊するのだろうか。それとも、夜陰に乗じてこのまま進み続けるか。
どちらにしても子ども達はそろそろ休息が必要だ。それに、食事や水分補給も。
問答無用で殺すでもなくどこかに連れ去ろうとしているのだから、最低限の保障はあると思いたい。
――でも、油断はできない。どこかに着いた途端殺される可能性もないわけじゃ……。
ふと、リオルディスの顔が浮かんだ。
近衛騎士団は、きっと殿下方を全力で捜してくれるだろう。それは彼らの職務だから当然と言える。
けれどこういう時に浮かぶのは、普段から信用している相手だけらしい。
頼りにしている分、どうしたって彼のことばかり考えてしまう。
――あぁ、会いたいな……。
「顔見知りではないが、王宮で働いている……。統括棟勤務の者かもしれないな」
「わたくし達は仕事の邪魔になるからと、出入りを禁止されているものね」
「おい。先ほどから一言も口を出さないが、真面目に聞いているのか、ナナセ?」
咎めるような眼差しでベルトラートに問われ、ナナセは顔を上げた。
「もちろん、しっかり聞いておりますよ。その文官について考えておりました。私は統括棟への出入りも多いので、該当する者が分かるかもしれません」
私的なことを考える傍ら、心当たりを探っていたのは本当だ。
条件を満たす人物がいるような――。
考え込んでいると、かすかな物音が耳に届いた。蹄の音だ。だんだん近付いてくる。
助けかと込み上げた淡い期待は、御者との話し声を聞いて潰える。仲間が一人合流しただけのようだ。
脱出がより難しくなってしまったと、眉を寄せながら耳をそばだてる。
合流した者の足音が、近付いてくる。
よく考えれば御者席は満員。荷台に乗るのは当然のことだった。
ナナセは慌てて搬入口から離れる。ほぼ同時に幌が持ち上げられた。
「……!!」
小麦色の髪の男性、二十代前半。
統括棟で働く文官は大勢いるため、すぐには思い付かなかった。
まして、犯人の仲間が顔見知りなんて。
「そんな、あなたが……?」
現れたのは、穏やかな風貌の文官だった。
ナナセも週に一度の頻度で会っていた。
言葉を交わすことは多くなかったが、真面目そうな人物という印象だった。
「こちらも、あなたが殿下方といるとは思いませんでしたよ。ナナセ殿」
エクトーレ直属の部下である文官は、少し困ったように微笑んだ。
「では、殿下方。ここに至るまでの詳しい経緯をお教えください」
落ち着いた声で問えば、ベルトラートは一つ頷いてから答えた。
「既に察していると思うが、僕達はお忍びで城下に遊びに行こうと思っていた。すぐには気付かれないよう、それぞれ自主稽古の時間に抜け出したのだ」
王子王女の不在は発覚しているだろうが、緊急事態であることに一体どれくらいの人が気付いているか。今にして思えば侍女長への報告は悪手だったかもしれない。
彼らは、自らの意思で城を抜け出している。以前にも失踪騒ぎを起こしているため、事件性はないと判断されることもあり得る。
『城を抜け出そうとしている殿下方を見かけた』という報告が、図らずもそれを助長してしまうのだ。
すぐに捜索が始まっていればこの馬車も見つかっていただろうが、もうかなりの時間が経っている。
悪い方に傾きがちな想像を振り切って、ナナセはさらに問いを重ねた。
「それらのお召しものや馬車は、どのように用意したのですか?」
「この衣装は、以前から隠し持っていた」
「ほぅ……つまり、何度かはお忍びをした経験があると」
ナナセが半眼になると、彼は後ろめたそうに黙り込む。どうやら図星のようだ。
「そ、それと目立たない馬車の手配だが、これは通りがかりの文官に頼んだ。小麦色の髪の男だったが、他に特徴は覚えていない」
小麦色の髪はそれほど珍しくないので、これといった手がかりにはならないだろう。変装をしていた可能性だってある。
「顔見知りではなかったのですね?」
「……文官の服を着ているからと油断した。今は浅慮だったと反省している」
ベルトラートが、使用人に対して躊躇いもなく謝罪する。
リリスターシェも悄然と続いた。
「わたくしも、ごめんなさい。こんなかたちであなたまで巻き込んでしまって、悔やんでも悔やみきれないわ……」
「すみません、ナナセ殿……」
ヴァンルートスにも謝られ、ナナセは笑って首を振った。
暗くて見えないはずなので、その代わりにできる限り柔らかな声を発する。
「大丈夫です。言ったでしょう、必ずお守りいたしますと。私はこうして巻き込まれたこと、本当に幸運だったと思っております」
守ることができる立ち位置でよかった。優しい子ども達を、矢面に立たせずに済む。
「犯人は一体何者で、目的は何だろう?」
ヴァンルートスの疑問はもっともだが、ナナセが気にすべきはどこに向かっているかという一点に尽きる。
犯行目的を知ることで分かることもあるだろうが、自らの使命を見誤ってはならない。
陰謀や政争だった場合、様々な思惑が絡まり合って、全景を把握しようにも視界が塞がれてしまう。
ナナセが優先するのは彼らの無事のみ。
犯人が誰かより、王族を害する意思の有無を明らかにすることが何より重要だった。
「確かに犯人……というより黒幕は気になりますが、まずは馬車の経路を把握したいですね。そうすれば脱出の機会も窺えます」
「だからこそ、黒幕の正体を突き止めるべきではないか? 王族を誘拐する大胆不敵な輩だ。おそらく貴族、または貴族と繋がりのあるもので、領地にさえ逃げ延びればどうにかなると考えているのだろう。ならば、黒幕から目的地を割り出せるはずだ」
ベルトラートの思わぬ発言に、ナナセは目を瞬かせた。やんちゃな子どもという印象だったが、驚くほど理知的だ。
思わず頷きかけ、我に返る。
「殿下のおっしゃることも一理ありますが、私はこういった時の対処法を知っています」
今こそ、ライトノベルや二時間サスペンスで培った無駄知識を総動員すべきだ。
「みなさん、馬車の外に耳を澄ませましょう。耳から得られる情報によって、現在地を特定する。誘拐事件解決の王道手段です」
ナナセの提案を聞いた子ども達の反応は、ものすごく微妙だった。
「それは、何の王道だ?」
「車輪が回る音しか聞こえないわ」
「そもそも僕は王宮を出たことがないので、外の音を拾えたところで手がかりとして生かせませんね……」
馬車は自動車と異なり、ひどく揺れる。
道がアスファルトで舗装されていないためなおさらだった。
近くで話している声すら聞き逃しそうになるのに、外の音など拾えるはずがない。完全に盲点だった。
「そういえば、私も外出の経験などほとんどありませんでした……」
「わたくし達もヴァンよりは詳しい程度よ」
「先ほど拘束された時に見た景色は、どう考えても王都ではなかったしな」
いちいち正論すぎて辛い。
子ども達を助けるためにも冷静でいようと気を引き締めたはずなのに、むしろ彼らの方がしっかりしているのではないだろうか。
「居合わせたのが私でなければ、もっと殿下方のお役に立てたでしょうに……本当に申し訳ございません……」
「大丈夫よ、きっと助かる道はあるわ」
「そうですよ、ナナセ殿。あなたがいてくださるだけで、僕らがどれほど心強いか」
リリスターシェとヴァンルートスの優しさが辛い。尊べなくて辛い。
「他のありがちな展開としては、脱出に役立つ道具を試行錯誤して作るとか……」
「残念だが、何も置いていないようだぞ」
「では、素敵な王子様が華麗に駆け付けて助けてくれるとか……」
「その王子が助けを求めているんだが?」
ナナセの発言の不備を一つ一つ指摘していくベルトラートは、いっそ清々しい。
無駄知識はどこまでいっても無駄にしかならなかった。
「やはりここは、黒幕の正体とその目的を知る必要がありますね……」
「やはりそこに帰結するようだな」
いつの間にか主導権を握っていたベルトラートが、自らの推論を披露する。
「黒幕を割り出す糸口として、まずは拐かしの手引きをした文官の素性から考えよう。馬車を用意できる点からも、彼が王宮で働く身分であることは間違いない。所作は丁寧だったが、決して優雅ではなかった。上流階級出身ではないものの、王宮に勤めることによって自然に身に付いたと推測できる」
「年齢は二十代前半といったところかしら? その若さで王宮勤めということは、よほど優秀なのね」
「それなら、冬宮の騎士達に不審に思われなかったのも道理だね」
まるで某有名漫画に出てくる、少年探偵団のような利発さだ。ナナセが意見を差し挟む余地はない。
素晴らしいディスカッションに耳を傾けながらも、今が何時頃なのかを考える。
殿下方を追いかけたのは三時前だったはずだが、幌の向こうには既に薄い闇が広がっている。完全に日が落ちた時、荷台は真の闇に包まれるのだろう。
夜間の運転は危険を伴う。
どこかに停泊するのだろうか。それとも、夜陰に乗じてこのまま進み続けるか。
どちらにしても子ども達はそろそろ休息が必要だ。それに、食事や水分補給も。
問答無用で殺すでもなくどこかに連れ去ろうとしているのだから、最低限の保障はあると思いたい。
――でも、油断はできない。どこかに着いた途端殺される可能性もないわけじゃ……。
ふと、リオルディスの顔が浮かんだ。
近衛騎士団は、きっと殿下方を全力で捜してくれるだろう。それは彼らの職務だから当然と言える。
けれどこういう時に浮かぶのは、普段から信用している相手だけらしい。
頼りにしている分、どうしたって彼のことばかり考えてしまう。
――あぁ、会いたいな……。
「顔見知りではないが、王宮で働いている……。統括棟勤務の者かもしれないな」
「わたくし達は仕事の邪魔になるからと、出入りを禁止されているものね」
「おい。先ほどから一言も口を出さないが、真面目に聞いているのか、ナナセ?」
咎めるような眼差しでベルトラートに問われ、ナナセは顔を上げた。
「もちろん、しっかり聞いておりますよ。その文官について考えておりました。私は統括棟への出入りも多いので、該当する者が分かるかもしれません」
私的なことを考える傍ら、心当たりを探っていたのは本当だ。
条件を満たす人物がいるような――。
考え込んでいると、かすかな物音が耳に届いた。蹄の音だ。だんだん近付いてくる。
助けかと込み上げた淡い期待は、御者との話し声を聞いて潰える。仲間が一人合流しただけのようだ。
脱出がより難しくなってしまったと、眉を寄せながら耳をそばだてる。
合流した者の足音が、近付いてくる。
よく考えれば御者席は満員。荷台に乗るのは当然のことだった。
ナナセは慌てて搬入口から離れる。ほぼ同時に幌が持ち上げられた。
「……!!」
小麦色の髪の男性、二十代前半。
統括棟で働く文官は大勢いるため、すぐには思い付かなかった。
まして、犯人の仲間が顔見知りなんて。
「そんな、あなたが……?」
現れたのは、穏やかな風貌の文官だった。
ナナセも週に一度の頻度で会っていた。
言葉を交わすことは多くなかったが、真面目そうな人物という印象だった。
「こちらも、あなたが殿下方といるとは思いませんでしたよ。ナナセ殿」
エクトーレ直属の部下である文官は、少し困ったように微笑んだ。
あなたにおすすめの小説
異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない
紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。
完結済み。全19話。
毎日00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
異世界転移って?とりあえず設定を教えて下さい
ゆみ
恋愛
凛花はトラックに轢かれた記憶も階段から落ちた記憶もない。それなのに気が付いたらよくある異世界に転がっていた。
取り敢えずは言葉も通じる様だし周りの人達に助けられながら自分の立ち位置を把握しようと試みるものの、凛花を拾ってくれたイケメン騎士はどう考えてもこの異世界での攻略対象者…。しかもヒロインは凛花よりも先に既にこの世界に転生しているようだった。ヒロインを中心に回っていたこのストーリーに凛花の出番はないはずなのにイケメン騎士と王女、王太子までもが次々に目の前に現れ、記憶とだんだん噛み合わなくなってくる展開に翻弄される凛花。この先の展開は一体どうなるの?
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
見捨てられた(無自覚な)王女は、溺愛には気付かない
みん
恋愛
精霊に護られた国ルテリアル。精霊の加護のお陰で豊かで平和な国ではあったが、近年ではその精霊の加護も薄れていき、他国から侵略されそうになる。戦いを知らない国王は、スネフリング帝国に助けを求めるが、その見返りに要求されたのは──。
精霊に護られた国の王女として生まれたにも関わらず、魔力を持って生まれなかった事で、母である王妃以外から冷遇されているカミリア第二王女。このカミリアが、人質同然にスネフリング帝国に行く事になり─。
❋独自設定有り。
❋誤字脱字には気を付けていますが、あると思います。すみません。気付き次第修正していきます。
もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜
雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。
しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。
英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。
顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。
ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。
誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。
ルークに会いたくて会いたくて。
その願いは。。。。。
とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。
他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。
本編完結しました!
大変お待たせ致しました。番外編も完結いたしました!
【優秀賞受賞】賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~【完結】
Tubling
恋愛
無事完結しました^^
読んでくださった皆様に感謝です!
この度、こちらの作品がアルファポリス第19回恋愛小説大賞にて「優秀賞」を受賞いたしました!
ありがとうございます!!<(_ _)>
ルシェンテ王国の末の王女カタリナは、姉たちから凄惨な嫌がらせをされる日々に王女とは名ばかりの惨めな生活を送っていた。
両親は自分に無関心、兄にも煙たがられ、いっそ透明人間になれたらと思う日々。
そんな中、隣国ジグマリン王国の建国祭に国賓として訪れた際、「鬼神」と恐れられている騎士公爵レブランドと出会う。
しかし鬼とは程遠い公爵の素顔に触れたカタリナは、彼に惹かれていく。
やがて想い人から縁談の話が舞い込み、夢見心地で嫁いでいったカタリナを待っていたのは悲しい現実で…?
旦那様の為に邸を去ったけれど、お腹には天使が――――
息子の為に生きよう。
そう決意して生活する私と息子のもとへ、あの人がやってくるなんて。
再会した彼には絶対に帰らないと伝えたはずなのに、2人とも連れて帰ると言ってきかないんですけど?
私が邪魔者だったはずなのに、なんだか彼の態度がおかしくて…
愛された事のない王女がただ一つの宝物(息子)を授かり、愛し愛される喜びを知るロマンスファンタジーです。
●近世ヨーロッパ風ですが空想のお話です。史実ではありませんので近世ヨーロッパはこうだというこだわりがある方はブラウザバックをお願いします。
●本編は10万字ほどで完結予定。
●最初こそシリアスですが、だんだんとほのぼのになっていきます^^
●最後はハッピーエンドです。