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本編
月が見ている
頭上に星空が広がっている。
柔らかな光を放つ満月は、先ほどよりはっきりとずれて見えた。
月明かりに照らされた白い塔の頂上に、黒ずんだ鐘が浮かび上がっている。あれが王都に時刻を報せる聖鐘だとすれば、ここは教会だろうか。
夏真っ盛りでも、王都の夜は涼しい。
肌寒さを感じて上着を掻き合わせようとしたところで、それは誰のものだったかと首を傾げる。
――ん? 私、上着なんて持ってた……?
身をよじると、傍らの温もりが動いた。
ポカンと見上げる銀髪は、月光を弾いて淡い金色をまとっている。
「あぁ。起きたね、ナナセ」
微笑んで見下ろしているのがリオルディスだと理解し、目を瞬かせる。
ナナセ達は、白い漆喰でできた簡素な露台に並んで座っていた。
目の前には、ちょっとした規模の畑。
現代の感覚からすれば違和感があるけれど、教会というのは清貧を旨とし、自給自足を行っていると聞く。やはりここは教会の敷地内なのだろう。
とりあえず、状況に頭が追い付かないということだけは分かった。
確か先ほどまでは、二人で食事をしていたはずだ。料理はおいしかったし、とても会話が弾んだ。
それを、自分の失言で台無しにした。
――そうだ、私っ……!
リオルディスの気分を害してしまった。
席を立った彼がナナセを置いていってしまうのではと、この先会えなくなるのではと焦り、必死で追いかけたのだった。
「す、すみませんでした……! 私、たいへん失礼なことを申し上げ……」
急いで立ち上がり、頭を下げる。
その拍子に肩からずり落ちたのは彼のジャケットで、ますます恐縮してしまう。
「かかか重ね重ね、ご迷惑をおかけしました! こんな肌寒い中、リオルディス様の暖を取り上げるなんて……!」
「いや、それはいいんだけど……」
急いで返そうとするナナセをやんわりと押さえながら、彼は不思議そうに首を傾げる。
「もしかして……何も覚えていない? ナナセがここに寄りたいと言ったのだけど……」
「そんな我が儘まで……すみません……」
酩酊しながらもこのまま別れるのはよくないと考えたのだろうが、あまりに迷惑をかけているのだから謝るしかない。
「いや、こちらこそすまない。やはり酔っていたのか。どうしてもと言うから、何か大事な話でもあるのかと思って」
「たいへん申し訳なく……っ」
「怒ってはいないけど、心配になるから俺がいないところでそんなに飲まないでね」
「はいっ。それはもう、二度と世間に迷惑をかけない所存で……」
謝罪し続けるナナセの唇に、リオルディスの人差し指がごく紳士的に触れた。
「ねぇナナセ。お願いだから、もう謝らないで。酒を飲んでいる時くらい羽目を外せばいいと、俺は言ったよ?」
「食事のたびに醜態をさらすなんて、人としてどうかと思いますよ……」
言いかけて、ナナセは口を噤む。
今、恐ろしいことに気付いてしまった。
「……も、もしかして私、酔うたびに結構、やらかしてます?」
疑問にした途端、思い出してきた。
彼とお酒を飲んだこれまでの記憶。
散々くだを巻いて愚痴をこぼしたこと、説教を垂れたこと。
日本に残してきた家族のことも何度か話しているかもしれない。
思い出せば生活に支障が出てしまうかもしれないと記憶を封じているつもりだったのに、何て間抜けな。
「嘘ー……」
衝撃のあまり脱力していると、励ますように肩を叩かれた。
「それもね、色々我慢しすぎているからこそだと思うよ。素面で本音を話せたら、少しは改善するんじゃないかな」
「……リオルディス様、絶対に面白がってますよね?」
「そんなことない。これでも、俺だって君には色々打ち明けているんだよ? 覚えていないようなら、もう一度話そうか?」
いたずらっぽく囁かれ、ナナセは悩んだ。
リオルディスの打ち明け話には好奇心が疼くけれど、今はすっかり素面だ。
「忘れられないかもしれないので、記憶に残っても構わない範囲でお願いします」
親切心から忠告したつもりが、彼は夜目にもはっきりと破顔した。
「――君のそういう真面目なところに、どうしたって惹かれてしまうんだろうな、俺は」
はち切れそうな想いをそのまま口にしたような、鮮やかな言葉の羅列。
リオルディスは穏やかな眼差しを向けながら、おもむろにナナセの正面で跪いた。
それをただ呆然と見下ろす。
「……初めてレムンド様に事情を聞かされた時は、異世界人だなんて正直信じられなかったし、戸惑いの方が強かった」
それでも言われるがままに、最低限は守るつもりだった。黒髪と黒い瞳は珍しいけれど、やけに表情の乏しい少女。
レムンドを信じるなら、突然家族と引き裂かれ辛い境遇にあるはず。なのに、いつも真っ直ぐ前を向いて、泣き言一つ漏らさない。
慣れない生活様式に懸命に馴染もうとし、仕事にも真摯に打ち込む。
「見守っていると、次第に好ましく思うようになった。そういった気持ちを感じたことがなかったから、はじめの頃はそれが何なのか、自分自身分かっていなかったけどね」
リオルディスは二十七歳になるまで、一度として女性に本気になったことはなかった。
家同士の繋がりを深めるための政略、より良い条件を引き出すための駆け引き。
色恋と言わず、人間関係の全てを煩わしく感じていた。
我ながら冷たく、無機質な人間だった。
だからこそ家庭を大事にできるとも思えず、忙しさや長期の遠征、死の危険があることなどを理由にして結婚を遠ざけていた。
それなのに、なぜこんなに惹かれるのか。
「きっと、君の横顔が……」
「横顔?」
リオルディスは唇に苦笑を刻んだ。
頑是ない子どもに言って聞かせるような、優しい大人の笑み。
「君の横顔が――まるで、何にも心を許したくないみたいに見えたから」
弱いところを見せまいとする横顔を眺めていたら、放っておけなくなった。
誰にも踏み込ませない心の内側に入れてほしいと、願うようになった。
「酔った勢いじゃなくても、本当の気持ちを聞かせてほしいんだ。残してきた家族のことや友人のこと、気になっていた先輩のこと、何だっていい」
ナナセは頬が熱くなった。
酔った自分はそんなことまで話したのか。
「でも、リオルディス様に愚痴るわけにはいかないですし……」
心はぐらぐら傾いてしまっていたけれど、何とか最後の一線で踏み止まろうとする。
そんななけなしの理性を、リオルディスはいとも容易く突き崩すのだ。
「俺じゃ、駄目?」
覗き込むようにしての上目遣い。寂しげに垂れる眉尻と、つんと尖らせた唇。
極め付きにブラウスの袖口をツンツンと引かれては、ナナセは陥落するしかなかった。
――嘘でしょ……あざと可愛い系男子にまでなれるなんて……。
普段は頼り甲斐があるのに可愛い仕草もはまるとか、ギャップ萌えか。全属性を網羅するつもりか。
奥が深すぎて沼にはまってしまいそうだと、ナナセは現実逃避ぎみに考える。
そうしていないと、滅茶苦茶にすがりついて甘えてしまいそうだったから。
誰にも見せないはずだった本音、弱さ。
唇が震える。
「――帰り、たい」
歯を食い縛って堪えていたものが、せきを切ったように溢れだす。
大切な面影が次々に浮かんだ。
心の広い両親、子育てに奮闘していた姉、仕事をはじめたばかりで毎日必死だった兄。
「お父さんにもお母さんにも会いたい……。だって、本当に突然だった。あのまま会えなくなるなんて思ってなかった」
いつもと同じ、簡単な『行ってきます』の挨拶。顔すら見ないで言ったかもしれない。
高校での友人達も大好きだった。近所で飼われていた人懐っこい犬にも触りたかった。
体験してみたいことがたくさんあった。これから経験していくつもりだった。
ぼんやり目指していた大学。漠然と描いていた未来。そのどれもがあまりに遠い。
「やり残したことがいっぱいあるの……せめて、ちゃんと『さよなら』って、『大好き』って言えたなら、よかった」
俯くナナセの体を、温もりが包んだ。
濡れそぼった頬に気付いて反射的に顔を背けようとしたけれど、広い胸に押し付けられてしまう。
冷えていたからか、穏やかな熱に気が緩んでますます涙がこぼれる。
「そもそも、働き方改革とか何ですか? レムンドさん無茶ぶりしすぎ。荷が重いし、私なんてただの甘ったれた末っ子なのに」
「末っ子だと、荷が重いの?」
「末っ子というのは、両親や兄弟に甘やかされて育つって、相場で決まってるんです。日本では常識です」
「常識なんだ」
クスクスと笑う声が耳に心地いい。
「……大切な人なんて、いらない。ただ憧れているだけでよかったのに」
いつだって家族が恋しい。
なのに離れがたいのだ。
リオルディスの腕の中がこんなにも心地いいなんて、知りたくなかった。
きっと、離れられなくなる。
心から笑うことなんて、まだできない。
けれどリオルディスが苦しみを理解し、分かち合おうとしてくれるから、ナナセはまだ立っていられるのだろう。
ぼやけた視界で見上げる星空は、胸が痛くなるほど綺麗だった。月もだいぶ傾いていて、あと少しで完全に離れそうだ。
ナナセは寄る辺を求めるように、安心できる体温にすがった。
「リオルディス様。私、私――……」
「――ナナセ?」
突然リオルディスが、硬い声を上げた。
素早く体を引き離されて戸惑う。彼の表情は、異様な緊張に張り詰めていた。
リオルディスの視線をたどって自らを見下ろし、ナナセは目を見開いた。
指先が、うっすらと金色に光っている。
柔らかな光を放つ満月は、先ほどよりはっきりとずれて見えた。
月明かりに照らされた白い塔の頂上に、黒ずんだ鐘が浮かび上がっている。あれが王都に時刻を報せる聖鐘だとすれば、ここは教会だろうか。
夏真っ盛りでも、王都の夜は涼しい。
肌寒さを感じて上着を掻き合わせようとしたところで、それは誰のものだったかと首を傾げる。
――ん? 私、上着なんて持ってた……?
身をよじると、傍らの温もりが動いた。
ポカンと見上げる銀髪は、月光を弾いて淡い金色をまとっている。
「あぁ。起きたね、ナナセ」
微笑んで見下ろしているのがリオルディスだと理解し、目を瞬かせる。
ナナセ達は、白い漆喰でできた簡素な露台に並んで座っていた。
目の前には、ちょっとした規模の畑。
現代の感覚からすれば違和感があるけれど、教会というのは清貧を旨とし、自給自足を行っていると聞く。やはりここは教会の敷地内なのだろう。
とりあえず、状況に頭が追い付かないということだけは分かった。
確か先ほどまでは、二人で食事をしていたはずだ。料理はおいしかったし、とても会話が弾んだ。
それを、自分の失言で台無しにした。
――そうだ、私っ……!
リオルディスの気分を害してしまった。
席を立った彼がナナセを置いていってしまうのではと、この先会えなくなるのではと焦り、必死で追いかけたのだった。
「す、すみませんでした……! 私、たいへん失礼なことを申し上げ……」
急いで立ち上がり、頭を下げる。
その拍子に肩からずり落ちたのは彼のジャケットで、ますます恐縮してしまう。
「かかか重ね重ね、ご迷惑をおかけしました! こんな肌寒い中、リオルディス様の暖を取り上げるなんて……!」
「いや、それはいいんだけど……」
急いで返そうとするナナセをやんわりと押さえながら、彼は不思議そうに首を傾げる。
「もしかして……何も覚えていない? ナナセがここに寄りたいと言ったのだけど……」
「そんな我が儘まで……すみません……」
酩酊しながらもこのまま別れるのはよくないと考えたのだろうが、あまりに迷惑をかけているのだから謝るしかない。
「いや、こちらこそすまない。やはり酔っていたのか。どうしてもと言うから、何か大事な話でもあるのかと思って」
「たいへん申し訳なく……っ」
「怒ってはいないけど、心配になるから俺がいないところでそんなに飲まないでね」
「はいっ。それはもう、二度と世間に迷惑をかけない所存で……」
謝罪し続けるナナセの唇に、リオルディスの人差し指がごく紳士的に触れた。
「ねぇナナセ。お願いだから、もう謝らないで。酒を飲んでいる時くらい羽目を外せばいいと、俺は言ったよ?」
「食事のたびに醜態をさらすなんて、人としてどうかと思いますよ……」
言いかけて、ナナセは口を噤む。
今、恐ろしいことに気付いてしまった。
「……も、もしかして私、酔うたびに結構、やらかしてます?」
疑問にした途端、思い出してきた。
彼とお酒を飲んだこれまでの記憶。
散々くだを巻いて愚痴をこぼしたこと、説教を垂れたこと。
日本に残してきた家族のことも何度か話しているかもしれない。
思い出せば生活に支障が出てしまうかもしれないと記憶を封じているつもりだったのに、何て間抜けな。
「嘘ー……」
衝撃のあまり脱力していると、励ますように肩を叩かれた。
「それもね、色々我慢しすぎているからこそだと思うよ。素面で本音を話せたら、少しは改善するんじゃないかな」
「……リオルディス様、絶対に面白がってますよね?」
「そんなことない。これでも、俺だって君には色々打ち明けているんだよ? 覚えていないようなら、もう一度話そうか?」
いたずらっぽく囁かれ、ナナセは悩んだ。
リオルディスの打ち明け話には好奇心が疼くけれど、今はすっかり素面だ。
「忘れられないかもしれないので、記憶に残っても構わない範囲でお願いします」
親切心から忠告したつもりが、彼は夜目にもはっきりと破顔した。
「――君のそういう真面目なところに、どうしたって惹かれてしまうんだろうな、俺は」
はち切れそうな想いをそのまま口にしたような、鮮やかな言葉の羅列。
リオルディスは穏やかな眼差しを向けながら、おもむろにナナセの正面で跪いた。
それをただ呆然と見下ろす。
「……初めてレムンド様に事情を聞かされた時は、異世界人だなんて正直信じられなかったし、戸惑いの方が強かった」
それでも言われるがままに、最低限は守るつもりだった。黒髪と黒い瞳は珍しいけれど、やけに表情の乏しい少女。
レムンドを信じるなら、突然家族と引き裂かれ辛い境遇にあるはず。なのに、いつも真っ直ぐ前を向いて、泣き言一つ漏らさない。
慣れない生活様式に懸命に馴染もうとし、仕事にも真摯に打ち込む。
「見守っていると、次第に好ましく思うようになった。そういった気持ちを感じたことがなかったから、はじめの頃はそれが何なのか、自分自身分かっていなかったけどね」
リオルディスは二十七歳になるまで、一度として女性に本気になったことはなかった。
家同士の繋がりを深めるための政略、より良い条件を引き出すための駆け引き。
色恋と言わず、人間関係の全てを煩わしく感じていた。
我ながら冷たく、無機質な人間だった。
だからこそ家庭を大事にできるとも思えず、忙しさや長期の遠征、死の危険があることなどを理由にして結婚を遠ざけていた。
それなのに、なぜこんなに惹かれるのか。
「きっと、君の横顔が……」
「横顔?」
リオルディスは唇に苦笑を刻んだ。
頑是ない子どもに言って聞かせるような、優しい大人の笑み。
「君の横顔が――まるで、何にも心を許したくないみたいに見えたから」
弱いところを見せまいとする横顔を眺めていたら、放っておけなくなった。
誰にも踏み込ませない心の内側に入れてほしいと、願うようになった。
「酔った勢いじゃなくても、本当の気持ちを聞かせてほしいんだ。残してきた家族のことや友人のこと、気になっていた先輩のこと、何だっていい」
ナナセは頬が熱くなった。
酔った自分はそんなことまで話したのか。
「でも、リオルディス様に愚痴るわけにはいかないですし……」
心はぐらぐら傾いてしまっていたけれど、何とか最後の一線で踏み止まろうとする。
そんななけなしの理性を、リオルディスはいとも容易く突き崩すのだ。
「俺じゃ、駄目?」
覗き込むようにしての上目遣い。寂しげに垂れる眉尻と、つんと尖らせた唇。
極め付きにブラウスの袖口をツンツンと引かれては、ナナセは陥落するしかなかった。
――嘘でしょ……あざと可愛い系男子にまでなれるなんて……。
普段は頼り甲斐があるのに可愛い仕草もはまるとか、ギャップ萌えか。全属性を網羅するつもりか。
奥が深すぎて沼にはまってしまいそうだと、ナナセは現実逃避ぎみに考える。
そうしていないと、滅茶苦茶にすがりついて甘えてしまいそうだったから。
誰にも見せないはずだった本音、弱さ。
唇が震える。
「――帰り、たい」
歯を食い縛って堪えていたものが、せきを切ったように溢れだす。
大切な面影が次々に浮かんだ。
心の広い両親、子育てに奮闘していた姉、仕事をはじめたばかりで毎日必死だった兄。
「お父さんにもお母さんにも会いたい……。だって、本当に突然だった。あのまま会えなくなるなんて思ってなかった」
いつもと同じ、簡単な『行ってきます』の挨拶。顔すら見ないで言ったかもしれない。
高校での友人達も大好きだった。近所で飼われていた人懐っこい犬にも触りたかった。
体験してみたいことがたくさんあった。これから経験していくつもりだった。
ぼんやり目指していた大学。漠然と描いていた未来。そのどれもがあまりに遠い。
「やり残したことがいっぱいあるの……せめて、ちゃんと『さよなら』って、『大好き』って言えたなら、よかった」
俯くナナセの体を、温もりが包んだ。
濡れそぼった頬に気付いて反射的に顔を背けようとしたけれど、広い胸に押し付けられてしまう。
冷えていたからか、穏やかな熱に気が緩んでますます涙がこぼれる。
「そもそも、働き方改革とか何ですか? レムンドさん無茶ぶりしすぎ。荷が重いし、私なんてただの甘ったれた末っ子なのに」
「末っ子だと、荷が重いの?」
「末っ子というのは、両親や兄弟に甘やかされて育つって、相場で決まってるんです。日本では常識です」
「常識なんだ」
クスクスと笑う声が耳に心地いい。
「……大切な人なんて、いらない。ただ憧れているだけでよかったのに」
いつだって家族が恋しい。
なのに離れがたいのだ。
リオルディスの腕の中がこんなにも心地いいなんて、知りたくなかった。
きっと、離れられなくなる。
心から笑うことなんて、まだできない。
けれどリオルディスが苦しみを理解し、分かち合おうとしてくれるから、ナナセはまだ立っていられるのだろう。
ぼやけた視界で見上げる星空は、胸が痛くなるほど綺麗だった。月もだいぶ傾いていて、あと少しで完全に離れそうだ。
ナナセは寄る辺を求めるように、安心できる体温にすがった。
「リオルディス様。私、私――……」
「――ナナセ?」
突然リオルディスが、硬い声を上げた。
素早く体を引き離されて戸惑う。彼の表情は、異様な緊張に張り詰めていた。
リオルディスの視線をたどって自らを見下ろし、ナナセは目を見開いた。
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