【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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第3章・アイドルの恋愛事情

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***

翌朝
-バダク王国・王宮-

窓を開けると漂ってくる砂の香り。
焦げるような太陽の光が、部屋を明るく照らす。

食堂に用意された朝食を、もりもりとフルールが頬張っていると、突然、食堂の扉が開いた。

そこには「やたらと艶々した」バロンとネックの姿があり、寄り添いながら入って来た二人の姿に、フルールは体を硬直させた。

「うむ、おはようフルール」

「おはようございます」

「あ…お、お、おはよう…ございます…」

何事もなかったかの様に接してくる二人……だが、どうしてもフルールの脳裏には昨夜の光景が甦ってしまい、フルールはキョロキョロと辺りに目線をさまよわせた。

「あ…あの、昨夜は…ごめんなさい…邪魔して…」

フルールは顔を紅潮させながら、モジモジと二人に謝罪する。

しかし

「「???」」

「昨夜、何かありました?」

「へ?」

「うむ…あった…だろうか?」

「え?」

二人は不思議そうに、首を傾げた。

フルールは「熱い夜」を過ごした事で、二人は既に覚えていないのかも…と、思うも

「それより、協力して欲しい事があるのだろう?」

「昨夜、報告に来てくださいましたよね?」

「ガッツリ覚えてるじゃん!!!!////」

「「???」」

思わず大きな声で、突っ込んでしまうのであった。

バダクは「愛」に生きる王国だ。

番同士が愛し合うことは、素晴らしい事とされている為「交尾を見られた=恥ずかしい」という概念が薄かった。

その為、従者ですら用があれば「交尾の最中」であっても、何食わぬ顔で主の部屋の扉を開ける事があるという。

「…っ…(…悶々としてる僕が変な奴みたいじゃん…///)」

バダクの出身でもなく、性経験もないフルールが「悶々」としてしまうのは致し方ない事だが、フルールは「あの時の護衛」の言葉に、もっと耳を傾けるべきだったと、項垂れる。

「「???」」

暫くすると、フルールは顔をブンブンと左右に大きく降り、赤く色付いた自分の頬をペチペチと叩いた。

気持ちを切り替えたのか、バッ!と顔を上げ、真剣な表情で二人と向き合い

「僕が、お二人に「お願い」したいのは…」

「…「コンサート会場」を提供して欲しいんです!!!」

フルールは改めて「お願い」をするのだった。

***

-マーレ王国-

嵐が過ぎ去ったマーレ王国は、雲ひとつない快晴の空が広がっていた。

地面に残った水たまりには青い空が反射し、キラキラと輝いている。

今朝方、マーレ王国に到着したウルティムス一同は、広い会議室に連れて来られていた。

会議室の中央には、白い大きな「円卓」が置かれており、ウルティムスは出入口から「一番遠い」席へと案内される。

「…俺様を「この席」に座らせたってことは…話し合いをする意思はあるってことか…あ"ぁ"っ?」

「……まぁ、腐っても王族ですからね」
「…礼儀は弁えているでしょう?」

「………そうだな…」

ウィズダムの返答に納得くしたウルティムスは、そっと窓の外に視線を向けた。

窓の外には色とりどりの花久が、可憐に咲き誇っており、ところどころに溜まっている雨粒はまるで宝石のようで、花久の美しさを更に際立たせる。

1輪の花からポトリ…と、雨粒が落ちた瞬間

「クフッ…マーレへようこそお出でくださいました」
「…ベルヴァの若き王よ…」

酷く冷たい声が辺りに響き渡った。

視線をソッ…と、向けると、そこには能面のような顔をしたソヌスが立っており、その後ろにはレオンの姿も…。

「さぁ、ゆっくり「話し合い」と行きましょう…」

「時間は「沢山」あるのですから…クフフフッ」

不気味な笑みを浮かべるソヌスに、ウルティムスをはじめ一同は、眉間にシワを寄せたのだった…。

***
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