【完結】売れっ子アイドル、転生したら嫌われ子豚だった!~アイドル魂で子豚人生満喫中です~

赤井たまご

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最終章・アイドルの幸せ

song.59

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58話につきまして
一部セリフが漏れており、修正いしました…(涙)
申し訳ありません…(>_<)

よろしければ、58話の読み直し~59話に
進んで頂けるとよいかと思います!
よろしくお願い致します!

本編スタート↓↓

***

-バダク王国・王宮の一室-

「ど、どうして…!?何でヴォルフ前国王が、子孫であるティム達を呪うの?」

フルールは驚愕の事実に声を張り上げ、ウルティムスに強く問いかけた。

「……此処からは、俺様の「想像」だが…」

部屋の窓からは太陽の光が漏れ、瞳を伏せたウルティムスの黒髪を明るく照らす。

「…ヴォルフがエレジー運命の番と共に過ごせた期間は、かなり少ない…」

「狼はな…一度「こいつだ」と決めたら、一生涯そいつと共に生きるんだ」

「例え、そいつが死んでも…新しい番を受け入れる事はない」

狼はとても一途な獣。

フルールは何処かで、そんな噂を耳にした事があった。

ウルティムスと出会ったばかりの頃は、そんな噂に耳を傾ける事はなかったが、今では噂が「事実である」と、フルールは胸を張って言える。

それ程に、ウルティムスは番のフルールを、不器用ながらも大切に扱っていた。

「ヴォルフは当時、まだ15のガキだった…本当は…」

「番と共に「死にたかった」のかもしれない…」

「っ…!!」

「だが、出来なかった…」

悲しい言葉を紡ぎながら、ウルティムスはゆっくりとフルールに近付き、手を伸ばす。

エレジーに「子供」を託されたから…」
「だからヴォルフは、生きる選択をした…」

ウルティムスはフルールを力強く抱き締めた。

「番に愛されたい、愛したい、声を聞きたい、触れ合いたい…」

「生きている間、ヴォルフは「孤独」や「虚無感」と、常に戦っていただろうな…」

「…「感情」さえなければ…きっと少しは楽だった…」

フルールはウルティムスの逞しい胸に顔を埋める。

すると

「…!!!」

ウルティムスの胸にある呪いが、微かに「赤く光っている」ことに気付き、まるで「助けて」と悲鳴をあげている様であった。

「…まさか…だから、この「呪い」を…?」

「…ヴォルフ前国王は、孤独のあまり…「ただの獣」に戻りたかった…?」

フルールはゆっくりと、ウルティムスを見上げる。

「…愛と呪いは紙一重だ」

「………」

「…報われなかった「愛」は「呪い」となり、報われた「呪い」は「愛」となる」

悲しげな表情を浮かべるフルールの顔を、ウルティムスは優しく両手で包み込み、コツン…と、額を合わせた。

「事実は「本人」にしか分かんねぇーけど…」

「ヴォルフの「愛」は、まだこの世をさ迷い続けてて…子孫に「救い」を求めてる…そう思うと、しっくりくるんだよな…」

「…ティム以外にも「呪い」を…?」

「今は、俺様だけだが…曾祖父は「呪い」を持っていた」
「だが、運命の番と「身」も「心」も結ばれ、20半ば頃には「呪い」は解除されていた」

「……そう、なんだ…「呪い」はずっと続くのかな?…僕達の「子」にも…」

フルールが不安げに、小さく呟くも

「…レオンは…「多分」俺様の代で終わる…と、言っていた」

「!!…本当に!?何で、そう思うの…?」

「……ルルが「聖歌人ヒム」だから」

「…??」

ウルティムスの言葉の意味がいまひとつ理解出来ず、フルールはキョトンとする。

「エレジーも「聖歌人ヒム」だったからな……求める「魂」は「1つ」って、事だろう…」

ウルティムスはそう小さく呟きながら、フルールの前に片膝をつく。

「…?」

「長きに渡った争いも終わり、4大国の関係も前向きに動き出した…」
「この「呪い」も、きっと俺様で終わる…改めて言う」

ウルティムスはソッ…と、優しくフルールの手を握り

「フルール、生まれて来てくれてありがとう」

「!!」

慈愛に満ちた強い眼差しで、フルールを見つめた。

そして

「ウルティムス・レイル・ベルヴァは、今此処で神に誓おう」

「俺様はルルを一生愛し守り抜く、例え死が二人を引き裂いても、生まれ変わって必ずルルを迎えに行く…だから……」

「俺様に「全て」を預けろ、愛してる…フルール」

ウルティムスはプロポーズ愛の言葉を、フルールに囁く。

フルールの「左手薬指」には、ダイヤが嵌め込まれたピンクゴールドの「指輪」が輝いていた。

「……っ…こんな時でも…俺様……」

「ずっと前に、用意してたもんだけどな…」

フルールの大きな瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。

チュッ…

指輪にソッ…と、口付けをしたフルールは

「僕も…愛してるよ…ウルティムス」

ありったけの思いを言葉に乗せ、ウルティムスに微笑んだ。

その笑顔はとても美しく、ウルティムスは「誰にも見せない」と、心に誓ったのだった。

***

その後

フルール達はバロンとネックに見送られ、バダクの民の声援を背に、ベルヴァに向けて旅立った。

道中、フルールとウルティムスの手は「ずっと」繋がっており、時折二人は見つめ合い、幸せそうに微笑み合う。

その姿は、まさに「バカップル」であり、近くで見せられている従者達の方が、恥ずかしくなってしまうのだった。


サァァァァァッ…

お日様の香り漂う穏やかな風が、フルール達を優しく包み込む。

まるで風に乗るように、妖精のプリュームはクルクルと舞う。

雲ひとつない青い空を見上げながら、フルールは思った。

「…あ、空が笑ってる……」

***
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