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番外編
アンコール.2
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***
-ベルヴァ王国・茉莉花宮-
5年後
「アォォォォォオ…アォォォォォオ……」
茉莉花宮の中心部には、1日では回り切れない程の広大な「庭園」がある。
一流の庭師に手入れされた花々は美しく咲き乱れ、甘い蜜の香りがあたりに漂う。
フルールお気に入りの場所であり、ウルティムスが「フルールのために」と建てさせた「ガーデンハウス」は、友人達との「お茶会会場」となっていた。
しかし
そこにいたのはフルールではなく、雪のように真っ白な毛と、ピンクゴールドの瞳が印象的な「子狼」
子狼は雲ひとつない晴天に向かって、寂しげな声で「遠吠え」をしていた。
その遠吠えは、まるで「誰か」を呼んでいるようで
「まぁ…「アンジュエル様」は、お母様が恋しいのね…可愛らしいわ…」
「まだ、5つですものね…」
子狼の子供らしい姿を、近くに控えていた侍女達は微笑ましく見つめる。
子狼の名は、ベルヴァ王国第一王子、アンジュエル・レイル・ベルヴァ(5)
フルールとウルティムスの第一子であり、ベルヴァ王国の王太子であった。
そんなアンジュエルが数回、遠吠えを繰り返すと
ズズズッ…
「!!!」
アンジュエルの小さな影から、ある「獣人」が姿を現す。
「んふっ、私をお呼びですか?」
「小さな天使様」
片膝をつき、優しい手つきでアンジュエルの頭を撫でるのは、ベルヴァ王国一の魔法の使い手。
魔法省大臣のレオン・マーレ(28)だった。
***
レオンの姿を見たアンジュエルは、眉をキッと、吊り上げ威嚇するも
「ガルルっ…ガウッ!(レオン、遅いよ!めっ!!よ)」
ふわふわの真っ白な尻尾は、ぐるんぐるん激しく揺れていた。
「っ…天使すぎるぅ…///」
アンジュエルの愛らしい姿に、レオンは胸元を押さえ悶える。
「ガウッ!ガウッ!(レオン!僕、怒ってるよ!)」
「ガウッガウッ…(お母様、とっくに帰って来た!)」
「バウッ!ガウッ!!(でもレオンは、すぐ僕に会いに来なかった!…何で!?)」
レオンはフルールの「撮影」に同行する為、暫くの間、ベルヴァ王国を離れていた。
レオンを慕っているアンジュエルは、レオンと離れる事を嫌がり、宮殿内で大暴れした事は記憶に新しい。
今か今かと指折り数えて、レオンの帰りを待っていたアンジュエル。
だが
レオンは帰って来なかった。
母であるフルールはとっくに帰って来たと言うのに…。
アンジュエルは、それが許せなかったのだ。
「んふっ、申し訳ありません…アンジュ様」
「…父と弟妹達に捕まってしまって……マーレに戻らないといけないのです…」
「!!!」
「ガウッ!ガウッ!(ダメ!ずっと僕と一緒にいて!)」
「ガルルッ…(僕から離れちゃ、めっ!なの!!!)」
レオンを離すまいと、小さな口で一生懸命、レオンの袖口を引っ張るアンジュエル。
「ぐふぅ…////」
アンジュエルの可愛すぎる言動に、レオンはにやける口元を押さえる。
天使のようなアンジュエルのお願いは、なんでも叶えてあげたいレオン。
しかし
王位継承権はないが、レオンはれっきとしたマーレ王国の「第一王子」である。
任された業務は山程ある為、どうしてもマーレ王国に戻らなければならなかった。
心を鬼にし、レオンはアンジュエルを突き放すも
「くぅん…(僕のこと嫌いなの…?)」
「大好きです、愛しています!!!」
大きな瞳に涙を溜めながら、上目遣いで問いかけられ、レオンの決意をガラガラと崩れ去る。
「くぅうん…(レオン、抱っこして)」
「っ~////…あぁ、アンジュ様………私の天使…」
「んふっ、今日も堪らなく愛らしい…」
頬を染めながら、うっとりとアンジュエルを見つめるレオン。
ソッ…と、自分に伸ばされる手に、アンジュエルの口角が上がる。
だが
「いい加減にしなさい、アンジュ!!!」
「「!!!」」
怒りと呆れを含んだ鈴のような声が、あたりに響き渡った。
ギギギッ…と、アンジュエルが背後を振り返ると、そこには…
「…くぅん…(お母様…)」
眉を吊り上げた母、フルールが立っていたのだった。
***
-ベルヴァ王国・茉莉花宮-
5年後
「アォォォォォオ…アォォォォォオ……」
茉莉花宮の中心部には、1日では回り切れない程の広大な「庭園」がある。
一流の庭師に手入れされた花々は美しく咲き乱れ、甘い蜜の香りがあたりに漂う。
フルールお気に入りの場所であり、ウルティムスが「フルールのために」と建てさせた「ガーデンハウス」は、友人達との「お茶会会場」となっていた。
しかし
そこにいたのはフルールではなく、雪のように真っ白な毛と、ピンクゴールドの瞳が印象的な「子狼」
子狼は雲ひとつない晴天に向かって、寂しげな声で「遠吠え」をしていた。
その遠吠えは、まるで「誰か」を呼んでいるようで
「まぁ…「アンジュエル様」は、お母様が恋しいのね…可愛らしいわ…」
「まだ、5つですものね…」
子狼の子供らしい姿を、近くに控えていた侍女達は微笑ましく見つめる。
子狼の名は、ベルヴァ王国第一王子、アンジュエル・レイル・ベルヴァ(5)
フルールとウルティムスの第一子であり、ベルヴァ王国の王太子であった。
そんなアンジュエルが数回、遠吠えを繰り返すと
ズズズッ…
「!!!」
アンジュエルの小さな影から、ある「獣人」が姿を現す。
「んふっ、私をお呼びですか?」
「小さな天使様」
片膝をつき、優しい手つきでアンジュエルの頭を撫でるのは、ベルヴァ王国一の魔法の使い手。
魔法省大臣のレオン・マーレ(28)だった。
***
レオンの姿を見たアンジュエルは、眉をキッと、吊り上げ威嚇するも
「ガルルっ…ガウッ!(レオン、遅いよ!めっ!!よ)」
ふわふわの真っ白な尻尾は、ぐるんぐるん激しく揺れていた。
「っ…天使すぎるぅ…///」
アンジュエルの愛らしい姿に、レオンは胸元を押さえ悶える。
「ガウッ!ガウッ!(レオン!僕、怒ってるよ!)」
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レオンはフルールの「撮影」に同行する為、暫くの間、ベルヴァ王国を離れていた。
レオンを慕っているアンジュエルは、レオンと離れる事を嫌がり、宮殿内で大暴れした事は記憶に新しい。
今か今かと指折り数えて、レオンの帰りを待っていたアンジュエル。
だが
レオンは帰って来なかった。
母であるフルールはとっくに帰って来たと言うのに…。
アンジュエルは、それが許せなかったのだ。
「んふっ、申し訳ありません…アンジュ様」
「…父と弟妹達に捕まってしまって……マーレに戻らないといけないのです…」
「!!!」
「ガウッ!ガウッ!(ダメ!ずっと僕と一緒にいて!)」
「ガルルッ…(僕から離れちゃ、めっ!なの!!!)」
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しかし
王位継承権はないが、レオンはれっきとしたマーレ王国の「第一王子」である。
任された業務は山程ある為、どうしてもマーレ王国に戻らなければならなかった。
心を鬼にし、レオンはアンジュエルを突き放すも
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だが
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ギギギッ…と、アンジュエルが背後を振り返ると、そこには…
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