異世界球児は二刀流 〜魔法は捕るもの投げるもの〜

みみっく

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ゆーくんの異世界記(一巻)

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勇作は全て思い出した、思い出した上で全て線で繋がったことに合点がいき、開口一番に叫ぶ

真実トゥルーエンドが鬱展開ってどんな糞ゲーだよ!!!!」

勇作は頑張った

経験値を貯めてステータスを上げ、試行錯誤して自身のヘンテコなステータスと向き合ったのだ

その間なんと16年

早々に自分1人でどうにか出来るものではないと見切りをつけ仲間と共に成長し、魔王を討伐

討伐後はゆっくりとスローライフ…

とは行かず、自らを永遠の封印の礎としてその世界を去ったのであった

「せめて異世界あそこの情報を少しでも覚えていれば現世ももっと楽だったのになぁ…」

ミラクルさんが酒を注いでくれる

「いろいろあったみたいだねぇ?まぁ僕としてはゆーくんとお酒が飲めて嬉しいよ!」

「ミラクルさぁん!!!」

異世界での事、現実世界での事も相まって勇作はすっかりしっかり精神崩壊メンタルブレイクしていた

ミラクルさんはと言うとそんな勇作を魔法でこっそり治療しつつ記憶域に干渉して浅くはあるが何があったかを探っていたりする

ミラクルさんがうっすらと概要を把握した頃

「みっともない所をお見せして申し訳ないです…」

測ったかのように勇作は落ち着いた

まぁ記憶を覗いてる当人が治療しているのだから当たり前、測ったと言うよりは謀ったの方が正解だ

「言うのも辛そうだったから僕の素敵なぱぅわーで大まかにだけど何があったかは見たよ!すんごい扉引いたねぇ」

そしてこの言い草である
非常に恩着せがましい

「なんとなくですけど、俺に出てくる扉はあの世界しか出ない気がします」

消沈した面持ちで項垂れる勇作

「そんな事!こと、と、と…うん、そうかもしれないね?」

自身の経験を元に否定しようとするも、相手はイレギュラーが服を着けて指をふりつつパルプ○テを唱えているような存在ゆーくんだ、なんとも言えない

そもそも何度もココに来られる人物なんてそうは居ないのだ

今までに送り出した物達は皆幸せな未来や結末を迎えており、現世に戻らずに暮らす事が多かったので勝手にご褒美だと思っていたのだが、勇作の記憶をざっくり見ただけでもアレは罰ゲームだそれも闇のやつ

「ステータスの検証と市政の安定に大半を費やしましたからね、実際に魔王討伐でかかった時間を言えば2年半~3年でしょうか」

「最終局面では無双してたねぇ」

「まぁあの魔王倒しても意味ないんですけどねー」

「「あっはっはっ!!!」」

暫く時が止まり静寂が訪れる

「笑い事じゃねぇよォォォォ!!!!」

「だよねー?」

勇作の慟哭と共に時は動き出した

ミラクルさんは再度勇作の治療を開始する

「なんで、どうして、あんな目に…」

また不安定ゾーンに突入した勇作の背中をミラクルさんが優しくさすっていると

2人の目の前に1枚の紙がひらひらと落ちて来た

「あれ?カンペだ」

いつもならめんどくさがって神託で話するのに父上どうしたんだろう?と思いながらも勇作にカンペの説明をする

「簡単に言うと神々からのメッセージだね!落書きだったりメモがわりだったりもするけど現世に落ちたらこんなのでも祀られて聖遺物みたいな扱いになるから気をつけないとね!!」

「何も書いていないように見えますが…」

「うん、だって何も書いてないもん」

イラァッ

「何か聞こえなかった??」

「気のせいじゃないですか?」

ミラクルさんのミラクルセラピーで勇作の精神も大分落ち着き、感情を出せるまで回復したご様子

するとそこでカンペに文字が浮かび上がる

【チュートリアル】

「………っはァ?」

「うわぁ…」

神に対して完全にヤカラの返事の勇作
流石に気の毒で思わず声が漏れたミラクルさん

そして慌てたように勇作の背後に現れる扉
相変わらず不気味な色をしている

【前回はチュートリアル】

「そっか!なるほど!わかりました!行ってきマーーース☆ってなるかぁぁぁぁぁ!!!」

ごもっともな暴れっぷりに傍観を決め込こむミラクルさんの前に落ちたカンペには

【禁則事項解除】

「えぇ…このタイミングで?無茶すぎない?」

ドン引きするくらいの間の悪いお報せが書かれていた

【ごめりんこ(>_<)】

真顔でカンペを破ろうとするミラクルさん

【まだやぶらないで!】

はぁ…と一つ嘆息し、いつの間にか客の居なくなっていた店内で暴れる…正確には喚いている勇作が落ち着くのを待ってどう切り出したもんかと頭を捻るミラクルさんだった
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