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魔女と宅配便
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△▼△▼△▼△▼
鬼気迫る受信メール欄
「なんか向こうに迷惑かけてそうだし、見ちゃったからには即連絡しないと不味いよなぁ」
半ば脅迫されるようにその一番上にあるメールを開いてみる
件名は“たすけて”
「いや怖いって」
画面いっぱいに奇妙な文字列が何かの模様のように並んでいるのだ、恐怖しかない
更なる狂気に怯えながらも画面をスライドして続きを見ると
こちらに連絡されたし
の文字の後に電話番号が色違いで表示されている
上部分が狂気的な内容の為、いきなり普通になられてもそれはそれで恐ろしい訳で
「悪霊に取り憑かれた人と話ししているみたいだ…そんな経験ないけど」
番号をタッチするとそのまま発信するかの選択が現れたので一呼吸おいてから発信ボタンを押すと
「「ゔわぁぁぁん!!よがっだぁぁぁぁ!!づながっだぁぁぁぁ!!」」
女性の悲鳴にも似た泣き声がスマホのスピーカーを震わせる
コール音しなかったぞ、どんな超反応で着信とったんだよ
そしてなにより気になるのは
「今、外からも同じ声がーーー」
ドンドンドンドン!!
取り立て屋顔負けのノックを受けて振動する扉に驚いて出そうとした言葉が中断される
ドンドンドンドン!!!!
更に振動が深みを増した
家電買いに行った時にオーディオコーナーにあったデカいスピーカーみたいだな、とそんな呑気なことがふと頭をよぎる
「「ちょっと!開けてよ!開けて下さい!お願いします!!!」」
そして劈くように哀願するような声
ずいぶん乱暴なので躊躇していたのだが、あまりの必死さに申し訳なくなり直ぐに開けることにした
ちなみに扉の外とスマホから声が聞こえている為、臨場感たっぷりのステレオサウンドとなっております
「すみません!今開けます!」
鍵を開けて扉を引く
ここで押してしまうと女性の顔に傷がついてしまうかもしれないからね?
俺は紳士なのである
玄関先には荷物を抱え、我が社の制服に身を包んだ可愛らしい女性が
訂正、可愛いらしいと予想される女性が顔中を汁まみれにしていた
鼻を啜りながらもひとまず俺にお礼を言おうとしたのだろう、開いた扉から玄関に入ろうとーーー
「あ、あぁ、ありがーーーへぶぅっ!!」
入れなかった。
あんまりにもあんまりな状況である
備え付けの靴箱に片足を置きながら手を伸ばして扉を引いた俺
まるでガラスに顔を押しつけているかのようにして空間にぶつかっている女性
そして時は動き出す
「なんなのよぉぉぉもぉぉぉぉ!!荷物だけでもっ…ダメぇ!?もぉぉぉ!」
荷物を何度か空間に押しつけながら
また半狂乱に陥ってしまった女性をどうしようかとわたわたしていると
「『入って良い』と一言許可を入れるだけでよろしゅうございます。」
背後からまた別の声がして振り返る
振り返った瞬間に既視感を感じたので視線を少し下に落とすと
「お久しゅうございます、主殿」
やっぱりというかなんと言うか
テン婆さんが恭しくお辞儀をしていた
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鬼気迫る受信メール欄
「なんか向こうに迷惑かけてそうだし、見ちゃったからには即連絡しないと不味いよなぁ」
半ば脅迫されるようにその一番上にあるメールを開いてみる
件名は“たすけて”
「いや怖いって」
画面いっぱいに奇妙な文字列が何かの模様のように並んでいるのだ、恐怖しかない
更なる狂気に怯えながらも画面をスライドして続きを見ると
こちらに連絡されたし
の文字の後に電話番号が色違いで表示されている
上部分が狂気的な内容の為、いきなり普通になられてもそれはそれで恐ろしい訳で
「悪霊に取り憑かれた人と話ししているみたいだ…そんな経験ないけど」
番号をタッチするとそのまま発信するかの選択が現れたので一呼吸おいてから発信ボタンを押すと
「「ゔわぁぁぁん!!よがっだぁぁぁぁ!!づながっだぁぁぁぁ!!」」
女性の悲鳴にも似た泣き声がスマホのスピーカーを震わせる
コール音しなかったぞ、どんな超反応で着信とったんだよ
そしてなにより気になるのは
「今、外からも同じ声がーーー」
ドンドンドンドン!!
取り立て屋顔負けのノックを受けて振動する扉に驚いて出そうとした言葉が中断される
ドンドンドンドン!!!!
更に振動が深みを増した
家電買いに行った時にオーディオコーナーにあったデカいスピーカーみたいだな、とそんな呑気なことがふと頭をよぎる
「「ちょっと!開けてよ!開けて下さい!お願いします!!!」」
そして劈くように哀願するような声
ずいぶん乱暴なので躊躇していたのだが、あまりの必死さに申し訳なくなり直ぐに開けることにした
ちなみに扉の外とスマホから声が聞こえている為、臨場感たっぷりのステレオサウンドとなっております
「すみません!今開けます!」
鍵を開けて扉を引く
ここで押してしまうと女性の顔に傷がついてしまうかもしれないからね?
俺は紳士なのである
玄関先には荷物を抱え、我が社の制服に身を包んだ可愛らしい女性が
訂正、可愛いらしいと予想される女性が顔中を汁まみれにしていた
鼻を啜りながらもひとまず俺にお礼を言おうとしたのだろう、開いた扉から玄関に入ろうとーーー
「あ、あぁ、ありがーーーへぶぅっ!!」
入れなかった。
あんまりにもあんまりな状況である
備え付けの靴箱に片足を置きながら手を伸ばして扉を引いた俺
まるでガラスに顔を押しつけているかのようにして空間にぶつかっている女性
そして時は動き出す
「なんなのよぉぉぉもぉぉぉぉ!!荷物だけでもっ…ダメぇ!?もぉぉぉ!」
荷物を何度か空間に押しつけながら
また半狂乱に陥ってしまった女性をどうしようかとわたわたしていると
「『入って良い』と一言許可を入れるだけでよろしゅうございます。」
背後からまた別の声がして振り返る
振り返った瞬間に既視感を感じたので視線を少し下に落とすと
「お久しゅうございます、主殿」
やっぱりというかなんと言うか
テン婆さんが恭しくお辞儀をしていた
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