異世界で猫に転生した俺は、理想の飼い猫生活を目指す

にゃんこ先生

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プロローグ

猫、旅立つ

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 俺は女神様に協力すると決めた。
 眷属=友達のような感じに考えていいなら、眷属になるのは何も問題はない。
 こんなキレイで良い人そうな女性と友達になれるなら、むしろウェルカムだ!
 俺は女神様が落ち着くのを待って話を進めた。
「それで、眷属になるにはどうすればいいんですか?
 儀式か何かがあるんでしょうか?」
「いえ、儀式のようなものは必要ありません。
 眷属になるためには一定以上の絆が必要になります。
 絆が一定以上になれば、自然と眷属になります。
 絆というようなものは数値化できるものではありませんので、こういう表現になってしまいますが……」
「絆……ですか」
 うーん、漠然としてるなぁ。
「えっと、じゃあ俺は何をすれば……?」
「絆を結ぶには、ざっくり言うと仲良くなればいいんです。
 つまり、友達のような感じになればいいかと!」
 また友達て……、もしかして友達が欲しいのかな?
 女神様と友達になるだなんて畏れ多い気もするけど、必要なことだし本人も望んでそうな感じだし。
「わかりました。
 俺でよければ友達になりましょう」
 すると女神様はとても嬉しそうに
「はい!
 こちらこそ、よろしくおねがいします!」
 と、満面の笑みで応えてくれた。
「でも、召喚された人たちは召喚されて一ヶ月経ってるんですよね。
 できるだけ早く助けに行ったほうがいいんですよね?
 俺、病気になってから家族以外と接する機会がほとんどなかったので、友達ってどうしたらいいのかわかんないんですけど……」
「私もです!
 管理者なんてやってると友達なんてできる機会ありませんでしたから!
 幸いと言ってはなんですけど、この部屋は時間の概念がありませんので時間経過はありません。
 絆を結べるくらいの友達になるために、いろいろお話しましょう!
 ささっ、こちらに座ってください!」」
 そう言ってこたつへ勧められた。
 気にはなっていたが、なぜにこたつ……。
 そしてなんだろう、ぼっち仲間を見つけたような目で俺を見てる気がする。
「このこたつはですね!
 あなたを召喚する際に用意したんですよ!
 日本について調べると、こたつは人と人の距離を縮めるとあったので!
 あ、お茶どうぞ!
 あ、これお菓子です!」
 テキパキとお茶とお菓子を用意してくれる女神様。
 俺今魂なんだけど、お茶とか飲めるのかな。
 そして女神様は向かいに座ってニコニコ顔。
 おおぉぉぉ、なんだこれお見合いか!
 意識しちゃうとすっごい恥ずかしい!
 女神様キレイだしなぁ……。
 でも、いつまでも照れてられない。
 俺だって女神様と友達になれるのは嬉しいんだから。
「あの、女神様。
 お互いもっとフランクな言葉遣いにしませんか?
 友達なら他人行儀な言葉遣いなのは寂しいですし。
 俺も普通の言葉遣いで話すので……話すから、女神様も普通に話してくれたら嬉しいな」
「あ、はい!
 いえ、うん!
 私もそうしたいと思っていたの、ふふふ、嬉しいなー!」

 それからいろんな話をした。
 最初はガイアについていろいろ聞いたりしてたけど、少しずつお互いのことを話すようになった。
「へぇー、サッカーっていうのそんなに楽しいんだ?」
「楽しいよ!
 俺は観ることしかできなかったけど、それでもすごく楽しかったよ!」
「観てみたいなー。
 そうだ、あなたがガイアで……って、いつまでもあなたって言うのはなんか違うよね。
 あなたも私を女神様って呼んでるし」
「あー、まぁそうだね。
 でもお互い名前がないもんねぇ。
 あだ名をつけるとか?
 それかお互いの名前をつけるとか?」
「名前!
 いいね、私自分の名前って憧れてたのー!
 さすがに自分で自分の名前をつけるのは違うなーって思ってたから今まで名前がなかったの!」
「そう?
 それじゃ、お互いに名前をつけ合おうか。
 でもいいの?俺が女神様の名前を決めちゃって」
「もちろんだよ!
 あなたは私の友達なんだし、眷属にだってなるんだからね!
 むしろ当然?」
「おぉぉ、そっかそっか。
 そう言ってくれるなら、しっかり考えるよ」
「私はあなたにピッタリな名前を思いついたよ!
 あなたが大好きなジダンの愛称のジズー!
 ジズーって名前、どうかな?」
「ジズー!
 俺なんかが畏れ多い……、けど、いいね!
 ジズーいいね!
 俺は今からジズーだ!」
「よかったー、気に入ってもらえて」
「じゃあ俺もいい名前を考えないと……、うーん」
 何気にこういう名前つける系苦手なんだよなぁ。
 ユーザー名とか決めるのに一時間とかかかるの普通だし。
 思いつくものどれもこれも重複しまくりなんだよな。
 あ、でも人?の名前をつけるのに重複なんてないか。
 となると素直に考えるのが一番だなぁ……。
「わくわく、そわそわ」
 わくわくそわそわしてらっしゃる。
 気持ちはわかるが。
 ……。
 きた!閃いた!
「決めました!
 女神様の名前は薫子!
 女神様の見た目が、なんかすっごく薫子って感じがするんだ、黒髪でロングヘアだし。
 俺の個人的なイメージなんだけど、薫子って名前は上品で美しいお嬢様のようなイメージなんだ。
 そのイメージが女神様にピッタリだなって思ったんだけど……、どうでしょう……?」
「……。
 上品で美しいお嬢様……。
 私にピッタリ……」
「……」
「私は今から薫子です!
 ふふふ、お嬢様……、えへへへ」
 すごく嬉しそうだ、よかった。
 と、その瞬間、優しい光が俺を包み込んだ。
「え、え?」
「あ、十分な絆を結んでジズーは眷属になったみたい。
 当然よね!
 名前を付けあったんだもんね!
 私この名前、ずっと大事にするよ!」
 わーお、本当に照れるようなことを言ってくるなぁ。
 俺顔真っ赤なんじゃないか?
「それじゃ、名残惜しいけど……。
 眷属になったし、召喚された日本人に会いに行って、世界樹に連れていくよ」
「あ、うん、そうだね。
 そのためにジズーを召喚したんだもんね……」
 目に見えてションボリする薫子さん。
 まぁ、気持ちはすごくわかる。
 俺も友達いなかったからなぁ……。
「この件が終わったら、またのんびりと話そうよ。
 おつかれさまーみたいな感じでさ」
「いいね、それ!
 じゃあ私もサポートすっごくがんばるよ!」
「それじゃ、えーっと……。
 俺は転生するんだっけ?」
「うん、まずはここでジズーに転生してもらって、その後ジズーをガイアに転移させるよ。
 無茶なお願い聞いてくれるお礼とお詫びを兼ねて、私の加護をつけるね。
 私の加護があると、怪我をしないうえに病気にならない体になるの。
 旅の途中で大怪我を負ったり病気になったりしたら大変だからね」
「ありがとう、助かるよ」
「それじゃ、転生させるね」
 そう言って薫子さんは手を掲げ、俺は光りに包まれた。



「にゃー。(なんか薫子さんが大きくなったんだけど)」
「えぇっ!?」
「にゃっ?(あれ、にゃーってなんだ?)」
「ちょっとジズーどうしちゃったの?
 なんでそんな姿に……」
「にゃにゃにゃー!(あれぇぇ、しゃべれない!てかどんな姿になってんだ?)」
 鏡があったので見てみたら……。
 俺は猫になっていた!
「なんでなんでなんで、どうしてどうしてどうして……。
 はっ、とりあえずしゃべれるようになれば!
 えーっと、言葉を話せるようになる魔法は……、えいっ!」
「うわー!猫になってる!
 おぉぉ!?
 しゃべれた!
 薫子さん、これどうなってるの?」
「えとえと……、なんでだろう……。
 あっ、もしかして!
 ジズーって来世はその猫?というのになりたいって思ってた?」
「えっ?
 ……。
 そう言われれば確かに……」
 俺は猫派だ。
 猫動画を観る時は至福の時間だった。
 確かに来世は猫になりたいと思っていたと思う。
 それも野良ではなく飼い猫。
 ……、なるほど。
 俺の希望通りになっちゃったってことか。
「うん、確かに俺は猫になりたいって思ってたよ」
「そ、そっか……。
 ごめん、私てっきりまた人間になりたいと思ってるって思い込んでたよ……」
「あー、なるほどね。
 まぁでも、ビックリしたけど俺は猫になれて嬉しいよ!
「そっか、よかったー。
 とりあえず今は産まれたばかりの体だから思うように動けないよね?
 身体能力が高い年齢にまで成長させても大丈夫?」
「そうだね、このままじゃ何もできないし、お願いしてもいいかな?」
「それじゃいくよー、えいっ!」
 掛け声とともに体が大きくなっていった。
 体が急成長するってすっごく変な感じだ。
「人間だと十七歳くらいの体になったよ。
 それでもすごく小さいね。
 私は猫っていうのを知らないけど、猫ってそういうものなの?」
「そうだよ。
 小さくて可愛い、癒やしの頂点にいる至高の動物!」
「そ、そうなんだ……。
 うーん、ちょっと不安だから身体能力強化の魔法をかけておくね。
 こういうことやっちゃまずいんだけど、私の初めての眷属で初めての友達のジズーを失いたくないし。
 無事に世界樹まで来れるようにね、えいっ!」
 力強い光が俺を覆った。
 と思ったらすぐに消えた。
「特に変わった感じしないけど、魔法かけたの?」
「うん、力がすごく強くなってるよ。
 敏捷性もすごく強化してるからはやく動けるし、目もよくなってるよ。
 動体視力なんかもね。
 あと一つ、保険として人の姿になることができる人化の魔法を使えるようにしといたよ。
 ジズーとしてはいらない魔法だとは思うけど、猫の姿では対処できないようなこともあるかもしれないからね。
 必要なければ使わなければいいから」
「なるほど、助かるよ。
 ありがとう」
 なんとまぁ、ご都合主義満載な魔法をかけてもらった。
 でも、猫の姿になったばかりで知らない世界に行くんだ。
 失敗はできないし、すごく助かる。
「それじゃ、ガイアに転移させるね。
 準備はいい?」
「おっけー!
 いつでもいいよ」
「それじゃいくよー」
 薫子さんの声を聞きながら、光に包まれていった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『薫子さん、見てるかな?』
『はーい、見てるよー』
『まずは無事にガイアに着いたよ。
 ここがガイアでいいんだよね?』
『もちろん!ようこそガイアへ!
 説明した通り、地球と違って魔法があるしモンスターもいるからね。
 私の加護があるから怪我したりしないけど痛みを感じないわけじゃないから気をつけてね?』
『了解っと!
 で、まずは目標の六人を見つけないといけないわけだけど、どこに行けばいいのかな?』
『えーっとね、現在地は人間の国ニーゲン王国の王都から東にある小さな森の入口ね。
 転移した所に人がいたら面倒だからね、ちょっと人気のない所を選んだの。
 森ではないほうを見ると街道が見えると思うんだけど、どうかな?』
『あー、あれかな?道っぽいのがあるよ』
『おっけー!
 街道を西に行けば王都に着くから。
 六人は城にいるから、まずは王都に行って城の位置を確認してね。
 それにしても、外界との念話は初めてだけど、思ったよりもすごく神気の消耗が激しいわ……。
 私の像を介せば神気の消耗なく念話ができるはずだから、教会の場所も確認しておいてね?
 教会に私の像があるはずだから』
 徐々に薫子さんの声がしんどそうな感じになっていってる。
 あまりのんびり話すわけにはいかないようだ。
『了解。
 それじゃ、まずは王都に向かうよ。
 今後のことは俺が教会に着いてから話そう。
 それまではゆっくり休んでね』
『ありがとう、気をつけてね?』
『おう!』

 というわけで、俺のガイアでの猫生が始まった。
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