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プロローグ
逃避行開始
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『ジズー、起きてー!
そろそろ起きたほうがいいよー!』
zzz……。
『オゥ……、熟睡してらっしゃる……。
しょうがないなぁ』
バチッ!!
「にゃっ!!??」
いってえぇぇ!
えっ?
なんだなんだ?
『おはようジズー、そろそろ起きたほうがいい時間だよ』
『薫子さん!?
え、今なんかバチッとしたんだけど薫子さんなの?』
『最初はキュートな薫子ボイスで起こしたんだけど、ジズー超熟睡してたからね。
地球の日本の流儀にならって電流っぽいのを流してみたよ!』
『やめてよバラエティじゃないんだから!
でもそっか、熟睡しちゃってたか。
起こしてくれてありがと』
『素直にお礼を言われるとなんとも言えないけど……。
まぁいいわ。
今は夜が明ける二時間前ってとこね。
少し早いかもしれないけど、ジズー昨日何も食べてないんだから何か食べてきなさい!
街の外の草原とか東の森に果実のなる木とかあるから、ジズーならぱっと行ってぱっと帰ってこれるでしょ?
これからしばらく気が休まることのない逃避行が始まるんだから、英気を養う意味でもちゃんと食べなきゃ』
『なるほど、そうするよ。
じゃあちょっと寝起きの運動がてらご飯いってきまーす』
『いってらっしゃーい』
てくてくてく。
しっかし暗いなぁ。
電気の明かりってのはすごかったんだなぁ。
スワンやエジソンは偉大だ。
街の出入り口の門に着いた。
さすがに閉まってるか、まぁ当然だよね。
街を囲う壁は、高さ十メートルくらいかな?
この体ならひとっ飛びだな。
ぴょーん!
すたっ!
てくてくてく。
うん、外はもっと暗い。
猫でよかったわー。
夜目がきくってすばらしい。
いきなり獣を狩って生肉がぶりってのは元人間として抵抗感があるから、やっぱ薫子さんが言うように果物にしとくのが無難か。
果物の木、果物の木……と。
あ、あった。
なんだろうこれ、りんごっぽいけど。
くんくん。
うん、匂いもりんごっぽい匂いだ、いい香り。
食べてみよう。
しゃりっ!もぐもぐ。
うん、りんごっぽい味だ、おいしいと思う。
あー、なんか物を食べるのってほんと久しぶりだなぁ。
ずーっと点滴だったもんなぁ……。
……ぐすっ。
いかん、なんか泣けてきた。
食事ってステキなことだったんだなぁ。
大地の恵みに感謝だ。
しばらく無心で食べ続け、りんごっぽい物を五個食べた。
ちょっと食べ過ぎちゃったかな。
「ごちそうさまでした」
りんごっぽい物がなる木に感謝をして、教会に戻った。
『薫子さん、ただいま~』
『おかえり、いい食べっぷりだったね』
『やっぱお腹減ってたみたいだね。
自覚はなかったけど』
『さらっと怖いこと言うなぁ。
澪さんと雫さんもいるんだから、逃亡中も食事には気をつかってよ?』
『そうだね、気をつけるよ』
『王都を出た後は龍の巣に向かってもらうわけなんだけど、王都の南門から南に向かって道がのびてるの。
でね、その道は王国最南端の村まで続いてて、まずそこまでが歩きだと一ヶ月半くらいかかるかな。
途中に街や村はいくつかあるから、情報収集とか補給はその都度って感じになるのかな。
道をしばらく進むと左側に森が出てくるの、王都からだと徒歩で二時間ぐらいかな。
この森はとても大きな森で、最南端の村のあたりまでずっと続いてるの。
もし国が大規模な軍を追っ手に投入したとしても、森に逃げ込めば魔女と聖女の力でゲリラ戦でしのげると思うんだ。
この森は資源が豊富で王国も依存してるから、森を焼いてあぶり出すってこととかさすがにしないと思うんだよね。
で、最南端の村からさらに南に歩きで二週間くらい行くと怖い感じの森が見えてくるから、そこが目的の龍の巣!』
『龍の巣まで順調にいってだいたい二ヶ月くらいか……。
女の子二人と二ヶ月一緒に旅……。
き、緊張するー!』
『なんでよ……』
『薫子さん!
話題に困ったりしたらすぐに助けてね!?』
『だからなんでよ……』
『なんということだ!
神は我を見捨てるというのか!』
『あーもう、めんどくさいなぁ!』
バチッ!
『いってえ!』
『落ち着きなさい!』
『……、はい……』
『話続けるよ?
世界樹は龍の巣の真ん中あたりにあるんだけど、龍の巣は最高クラスのモンスターだらけだから気をつけてね。
ジズーなら問題ないと思うけど、澪さんと雫さんもいるから一応ね。
あと、龍の巣の上空には天使族がいるんだけど、あの子たちは生真面目すぎて融通がきかなくてね。
世界樹がらみだと余計に融通きかないと思うから、とても面倒だから極力接触しないでね。
で、世界樹のある所なら私も降りれるから、そこで私が二人を転移させてミッションコンプリート!』
『おー、そっか薫子さんも来るんだ。
そういうことならできるだけ早く会いに行くよ!』
『えっ?』
『ん?』
『あ、ごめんなんでもない(天然かよー、ドキっとしちゃったじゃん)』
『よっし、それじゃそろそろ行こうかな。
旅の間のサポートよろしくね?』
『もちろん、まかせてね!
いってらっしゃい!』
『いってきまっす!』
相変わらず薫子さんのいってらっしゃいはやる気が漲るなぁ。
男ってほんと単純だ。
てくてくてく。
お、二人とももういる。
よかった、トラブルなく出発できそうだ。
「おはよう、澪さん、雫さん」
「あ、おはようジズーさん」
「ジズーさんおはよう」
「さっき聞いたんだけど、龍の巣までは歩きだと順調にいって二ヶ月かかるみたいなんだ。
大丈夫かな?」
「もちろん!」
「うん、大丈夫」
「よし、それじゃ行こうか。
ちょっと待っててね、門番を気絶させてくる」
「あ、待って」
「ん、どうしたの?」
「そんなことしなくても大丈夫だよ、私魔法で飛べるから」
「え、まじすか?」
「マジっす」
「俺と雫さんを抱えて飛べるの?」
「もちろん!
ずっとは飛べないけどね、魔力消費するから。
でも城壁を越えるくらいなら余裕だよ」
「そ、そっか。
じゃあ念の為城の窓がない所から飛び越えよっか」
「そうだね、あっちに死角になってる場所あるよ」
「ここでいいかな、じゃあいくよ。
二人ともつかまって」
「「おっけー」」
「じゃあ、いくよー!」
バビューン!
「おぉ~、ジャンプと違ってなんか変な感じ!
おもしろい!」
「ガクガクガク――、怖い怖い怖い怖い、高いとこ怖い……」
雫さんは高所恐怖症だったのか……。
「街で何かやることとかなければ、このまま街の外壁も越えちゃうよ?」
「特にないかな。
あ、龍の巣は南だから南門を越えちゃってー!」
「りょうかーい!」
バビューン!
「怖い怖い怖い怖い……」
雫さんがんばれ……、あとちょっとの我慢だ。
「はい降りるよー」
スタッ!
俺たちは街から少し離れたところに降りた。
「ふと思ったんだけど。
飛べるんだったらいつでも逃げれたんじゃないの?」
「王都から抜け出すだけならいつでもできたけどね。
でも、地球に帰れるあてもなく、二人でこの世界で生きていく自信もなく、おまけにずっと国に追われ続ける。
そんな生活無理すぎるじゃない?」
「あー、なるほど確かに」
「でも、地球に帰る手段があって、協力してくれる人もいる。
それなら動くのは今でしょ!」
「今でしょ~!」
地上に戻って雫さんもすっかり元通りのようだ。
「よし、それじゃ今から逃避行が始まります!
この道を二時間ほど歩くと左手に森があるらしいんだけど、まずはできるだけ早く森を目指します。
その森は王国の最南端の村あたりまで続いてるらしくて、資源がとても豊富みたいだから旅の間の水とか食料とか寝床とかで森にはお世話になろうとます。
あと、できるだけ急ぐ理由は、追っ手が大軍だった場合に森の中で迎え撃ちたいからです。
人数の差はゲリラ戦でカバーしたいと思います。
何か質問とか問題とかあるかな?」
「ううん、話を聞いて納得できた。
その方向でいいと思う」
「うん、私も」
「では!
戦意が漲るように三人で歌を歌いましょう!」
「「えっ?」」
「はい、では欧州チャンピオンズリーグのアンセムを歌いましょう!
歌詞がわからない場合は鼻歌でオッケーです!」
「「アンセムかい!!」」
……。
「「「~♪~♪~♪」」」←二人と一匹で歌っています。
……。
「「「チャ~ンピオ~ンズ♪」」」
「っしゃー!
それじゃ行こう!」
「「おー!」」
そろそろ起きたほうがいいよー!』
zzz……。
『オゥ……、熟睡してらっしゃる……。
しょうがないなぁ』
バチッ!!
「にゃっ!!??」
いってえぇぇ!
えっ?
なんだなんだ?
『おはようジズー、そろそろ起きたほうがいい時間だよ』
『薫子さん!?
え、今なんかバチッとしたんだけど薫子さんなの?』
『最初はキュートな薫子ボイスで起こしたんだけど、ジズー超熟睡してたからね。
地球の日本の流儀にならって電流っぽいのを流してみたよ!』
『やめてよバラエティじゃないんだから!
でもそっか、熟睡しちゃってたか。
起こしてくれてありがと』
『素直にお礼を言われるとなんとも言えないけど……。
まぁいいわ。
今は夜が明ける二時間前ってとこね。
少し早いかもしれないけど、ジズー昨日何も食べてないんだから何か食べてきなさい!
街の外の草原とか東の森に果実のなる木とかあるから、ジズーならぱっと行ってぱっと帰ってこれるでしょ?
これからしばらく気が休まることのない逃避行が始まるんだから、英気を養う意味でもちゃんと食べなきゃ』
『なるほど、そうするよ。
じゃあちょっと寝起きの運動がてらご飯いってきまーす』
『いってらっしゃーい』
てくてくてく。
しっかし暗いなぁ。
電気の明かりってのはすごかったんだなぁ。
スワンやエジソンは偉大だ。
街の出入り口の門に着いた。
さすがに閉まってるか、まぁ当然だよね。
街を囲う壁は、高さ十メートルくらいかな?
この体ならひとっ飛びだな。
ぴょーん!
すたっ!
てくてくてく。
うん、外はもっと暗い。
猫でよかったわー。
夜目がきくってすばらしい。
いきなり獣を狩って生肉がぶりってのは元人間として抵抗感があるから、やっぱ薫子さんが言うように果物にしとくのが無難か。
果物の木、果物の木……と。
あ、あった。
なんだろうこれ、りんごっぽいけど。
くんくん。
うん、匂いもりんごっぽい匂いだ、いい香り。
食べてみよう。
しゃりっ!もぐもぐ。
うん、りんごっぽい味だ、おいしいと思う。
あー、なんか物を食べるのってほんと久しぶりだなぁ。
ずーっと点滴だったもんなぁ……。
……ぐすっ。
いかん、なんか泣けてきた。
食事ってステキなことだったんだなぁ。
大地の恵みに感謝だ。
しばらく無心で食べ続け、りんごっぽい物を五個食べた。
ちょっと食べ過ぎちゃったかな。
「ごちそうさまでした」
りんごっぽい物がなる木に感謝をして、教会に戻った。
『薫子さん、ただいま~』
『おかえり、いい食べっぷりだったね』
『やっぱお腹減ってたみたいだね。
自覚はなかったけど』
『さらっと怖いこと言うなぁ。
澪さんと雫さんもいるんだから、逃亡中も食事には気をつかってよ?』
『そうだね、気をつけるよ』
『王都を出た後は龍の巣に向かってもらうわけなんだけど、王都の南門から南に向かって道がのびてるの。
でね、その道は王国最南端の村まで続いてて、まずそこまでが歩きだと一ヶ月半くらいかかるかな。
途中に街や村はいくつかあるから、情報収集とか補給はその都度って感じになるのかな。
道をしばらく進むと左側に森が出てくるの、王都からだと徒歩で二時間ぐらいかな。
この森はとても大きな森で、最南端の村のあたりまでずっと続いてるの。
もし国が大規模な軍を追っ手に投入したとしても、森に逃げ込めば魔女と聖女の力でゲリラ戦でしのげると思うんだ。
この森は資源が豊富で王国も依存してるから、森を焼いてあぶり出すってこととかさすがにしないと思うんだよね。
で、最南端の村からさらに南に歩きで二週間くらい行くと怖い感じの森が見えてくるから、そこが目的の龍の巣!』
『龍の巣まで順調にいってだいたい二ヶ月くらいか……。
女の子二人と二ヶ月一緒に旅……。
き、緊張するー!』
『なんでよ……』
『薫子さん!
話題に困ったりしたらすぐに助けてね!?』
『だからなんでよ……』
『なんということだ!
神は我を見捨てるというのか!』
『あーもう、めんどくさいなぁ!』
バチッ!
『いってえ!』
『落ち着きなさい!』
『……、はい……』
『話続けるよ?
世界樹は龍の巣の真ん中あたりにあるんだけど、龍の巣は最高クラスのモンスターだらけだから気をつけてね。
ジズーなら問題ないと思うけど、澪さんと雫さんもいるから一応ね。
あと、龍の巣の上空には天使族がいるんだけど、あの子たちは生真面目すぎて融通がきかなくてね。
世界樹がらみだと余計に融通きかないと思うから、とても面倒だから極力接触しないでね。
で、世界樹のある所なら私も降りれるから、そこで私が二人を転移させてミッションコンプリート!』
『おー、そっか薫子さんも来るんだ。
そういうことならできるだけ早く会いに行くよ!』
『えっ?』
『ん?』
『あ、ごめんなんでもない(天然かよー、ドキっとしちゃったじゃん)』
『よっし、それじゃそろそろ行こうかな。
旅の間のサポートよろしくね?』
『もちろん、まかせてね!
いってらっしゃい!』
『いってきまっす!』
相変わらず薫子さんのいってらっしゃいはやる気が漲るなぁ。
男ってほんと単純だ。
てくてくてく。
お、二人とももういる。
よかった、トラブルなく出発できそうだ。
「おはよう、澪さん、雫さん」
「あ、おはようジズーさん」
「ジズーさんおはよう」
「さっき聞いたんだけど、龍の巣までは歩きだと順調にいって二ヶ月かかるみたいなんだ。
大丈夫かな?」
「もちろん!」
「うん、大丈夫」
「よし、それじゃ行こうか。
ちょっと待っててね、門番を気絶させてくる」
「あ、待って」
「ん、どうしたの?」
「そんなことしなくても大丈夫だよ、私魔法で飛べるから」
「え、まじすか?」
「マジっす」
「俺と雫さんを抱えて飛べるの?」
「もちろん!
ずっとは飛べないけどね、魔力消費するから。
でも城壁を越えるくらいなら余裕だよ」
「そ、そっか。
じゃあ念の為城の窓がない所から飛び越えよっか」
「そうだね、あっちに死角になってる場所あるよ」
「ここでいいかな、じゃあいくよ。
二人ともつかまって」
「「おっけー」」
「じゃあ、いくよー!」
バビューン!
「おぉ~、ジャンプと違ってなんか変な感じ!
おもしろい!」
「ガクガクガク――、怖い怖い怖い怖い、高いとこ怖い……」
雫さんは高所恐怖症だったのか……。
「街で何かやることとかなければ、このまま街の外壁も越えちゃうよ?」
「特にないかな。
あ、龍の巣は南だから南門を越えちゃってー!」
「りょうかーい!」
バビューン!
「怖い怖い怖い怖い……」
雫さんがんばれ……、あとちょっとの我慢だ。
「はい降りるよー」
スタッ!
俺たちは街から少し離れたところに降りた。
「ふと思ったんだけど。
飛べるんだったらいつでも逃げれたんじゃないの?」
「王都から抜け出すだけならいつでもできたけどね。
でも、地球に帰れるあてもなく、二人でこの世界で生きていく自信もなく、おまけにずっと国に追われ続ける。
そんな生活無理すぎるじゃない?」
「あー、なるほど確かに」
「でも、地球に帰る手段があって、協力してくれる人もいる。
それなら動くのは今でしょ!」
「今でしょ~!」
地上に戻って雫さんもすっかり元通りのようだ。
「よし、それじゃ今から逃避行が始まります!
この道を二時間ほど歩くと左手に森があるらしいんだけど、まずはできるだけ早く森を目指します。
その森は王国の最南端の村あたりまで続いてるらしくて、資源がとても豊富みたいだから旅の間の水とか食料とか寝床とかで森にはお世話になろうとます。
あと、できるだけ急ぐ理由は、追っ手が大軍だった場合に森の中で迎え撃ちたいからです。
人数の差はゲリラ戦でカバーしたいと思います。
何か質問とか問題とかあるかな?」
「ううん、話を聞いて納得できた。
その方向でいいと思う」
「うん、私も」
「では!
戦意が漲るように三人で歌を歌いましょう!」
「「えっ?」」
「はい、では欧州チャンピオンズリーグのアンセムを歌いましょう!
歌詞がわからない場合は鼻歌でオッケーです!」
「「アンセムかい!!」」
……。
「「「~♪~♪~♪」」」←二人と一匹で歌っています。
……。
「「「チャ~ンピオ~ンズ♪」」」
「っしゃー!
それじゃ行こう!」
「「おー!」」
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