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プロローグ
森の中でひと休み
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飲み水は確保できたし、できるなら今のうちに何か食べたほうがいいな。
ちょっと探してくるか。
「じゃあ俺果物でも採ってくるよ」
「え、どうやって?」
「どうやってって……、どういうこと?」
「私たちの分の果物も持ってきてくれるってことでしょ?
どうやって持ってくるの?
あ、ジズーさんもなんか便利な魔法使えるとか?」
「いや、俺は魔法なんて使えないけど……。
あ……、そっか。
俺猫だった!
果物なんて持てないし運べないか……」
「そうだよ~、猫ちゃんなんだからそういう事は私たちに任せてくれていいんだよ~?」
「うぅぅ……、なんてこった。
猫がこんなに無力だなんて……」
「そんな落ち込まないでよ。
猫だからこそできることだってあるだろうし、適材適所だよ」
「すんません、お手数おかけします……。
じゃあ何か別のことを……。
あ、そうだ。
女神像って持ってこれた?」
「女神像なら雫ちゃんが見つけたって言ってたよね?
とりあえず私はちょっと果物探してくるね」
「「いってらっしゃーい」」
「女神像は小さいものはこれしかなかったんだけど、これでいいかな?」
そう言ってリュックから取り出したのは、チェスの駒くらいの木の女神像だった。
「おぉー!
理想の大きさだよ、木像だから手直ししやすそうだし、ありがとう!」
「そっかそっか、よかった~。
じゃあこれ、はい」
「ありがとう!」
木の女神像を受け取って、像をよく見てみた。
一応薫子さんって言われればなんとかわかるかなって程度のクオリティだな。
これだけ小さいからしょうがないのかな。
これで神気の消耗を抑えれなかったら、俺が爪で削って手直しすればいいか。
「ごめん、ちょっと女神様と話すね」
「ここで?
私ここにいて大丈夫なの~?」
「あ、全然大丈夫だよ」
『薫子さーん、聞こえるー?』
『はーい、聞こえるよー。
あ、やっぱりその像じゃ神気消耗しちゃうみたい』
『やっぱりかぁ。
この像、薫子さんに似た誰かって言われたほうが納得するくらいの出来だもんなぁ。
よし、今から手直しするよ!』
『ジズー。
昨日も言ったけど、より美人に、よりスタイルよく、だよ!
お願いね!』
『あ、はい』
薫子さん十分美人すぎるのに、自分に自信がないタイプかな?
「手直しが必要みたいだから、ちょっと像いじるね」
「は~い、一応私は見張りしておくね~」
「ありがとう」
あまりゆっくり時間かけてられないけど、できるだけリクエストに応えれるようにがんばろう。
爪で木像を削ろうとした瞬間、頭の中に薫子さんの姿が出てきた。
「うお!
え、なに!?」
『私の像なんだから、私本人がモデルをします!
見本があったほうがいいよね?
がんばって!』
『はい……』
ひ、必死すぎるぅぅぅ!
「ど、どうしたの~?」
「い、いや……、頭の中に急に薫子さ……女神様の姿が出てきてビックリしただけだから大丈夫。
ごめん、驚かせちゃって」
「あ、そうなんだ。
ん?
女神様って薫子って名前なの~?」
「うん、見た目が超大和撫子って感じだったから俺が薫子って名前にしたんだよ」
「薫子って名前にしたって……。
え、じゃあジズーさんが女神様を名付けたってこと?」
「そうそう。
神様って基本名前がないみたいで、俺も前世の記憶は残ってたけど名前は思い出せなくてさ。
眷属になるし、仲良くなるためにもって感じでね」
ガリガリガリ。
あ、ちょっと削りすぎちゃったかな。
『いい感じのくびれになったからむしろOK!』
リアルタイムでチェックしてるのか……。
「へ~、なんかすごいね~。
神様に名前をつけるなんて。
眷属ってことは、女神様はジズーさんのご主人様になるの~?」
「ご、ご主人様!?
そんなこと考えたこともなかったよ……。
でも、どうなんだろう……」
『ご主人様って響き、なんだかゾクゾクするね!』
なぜか嬉しそうな薫子さん。
「薫子さんがご主人様って言葉にゾクゾクしてるっぽい、そういう願望でもあるのかな」
「ただいまー。
薫子さんって誰?」
「「おかえりー」」
「澪ちゃん澪ちゃん!
なんかね、ジズーさんが女神様を薫子って名付けたんだって~!
すごくない?」
「え、なにそれ!
てか女が自分の名前を男につけてもらうって……。
なになに、二人って――エロい関係とか!?」
「いやいやいやいや!
何言ってんの、俺猫だよ!?
エロい……とか、そういうんじゃ……なくてさ……!」
「「……」」
「昨日から思ってたけど、ジズーさんってピュア?
猫の姿もあってか、穢れなき男の子ってイメージが強くなっていくんだけど」
「男の子って歳じゃないし!
一応元二十二歳だから!
別にピュアでもないよ、どこにでもいる普通の男だよ!」
「そういう態度が大人ぶってる男の子って感じだよね~。
ジズーさん、ジズーちゃんって呼んでいい?
私のことは雫お姉ちゃんって呼んで~」
「ちゃんって……、猫だから違和感ないのが困る……!
まぁ、好きに呼んでくれていいけど、でもお姉ちゃんは断る!」
「えぇ~?いいじゃ~ん!」
「絶対にノー!
俺は雫って呼ぶ!
澪さん、澪さんのこともこれから澪って呼んでいいかな。
長い付き合いになりそうだしさ」
「おっけー。
私もジズーって呼ぶよ」
「あ~あ、お姉ちゃんがよかったな~」
「はいはい、諦めてくださーい。
っと、よしこんなもんでいいかな」
我ながらいい感じに手直しできたんじゃないかな。
薫子さんの美しさはちゃんと再現できてる……よな?
「あ、女神像を彫ってたんだ?」
「彫ったというより、手直しだけどね」
『薫子さーん、手直ししたんだけどどうかな?』
『最初のよりはすっごくいいんだけど、私もうちょっと胸大きいんじゃない?
その辺り全然手を加えてないよね?』
『男だからこの辺いじりにくいんだよー、わかるでしょ?
しかも知らない人を彫ってるならまだしも、知り合いの像だよ。
なんか、こう……、わかるでしょ!?』
『澪さんも言ってたけど、ほんとピュアよねー。
っていうより、女性への耐性がなさすぎなのかな。
そんなんだと、これからもからかわれ続けるよ?』
『実際家族以外の女性とはほとんど接したことがないんだよー……。
はぁ……、この旅で慣れればいいんだけどなぁ』
『二ヶ月以上一緒に旅すれば嫌でも慣れるでしょ。
私としては今のままのジズーでいてほしい気もするけどねー』
ずっとこのままだなんて絶対嫌だ。
この旅でパリピレベルになってやる!
『ていうか、違う!
そうじゃない!
確認したかったのは像の出来じゃなくて、神気の消耗についてだよ!』
『わかってるって。
おかげさまで、ジズーが心をこめて手直ししてくれたから消耗なしで念話できるようになったよ。
これでいつでもお話できるね!』
『だからからかわないでって!
そういうの照れるわー』
「こうやって黙ってる時は女神様と話してるのかな」
「そうなんじゃない?誰も聞くことができない秘密の会話。
どんなこと話してんだろうね~?」
「変な話は一切してないよ!?」
『ジズー』
急に薫子さんの声が固くなった。
『どうかした?』
『澪さんと雫さんが逃げ出したことがたった今人間の王にバレたよ』
『え――?』
そうか、バレたか。
できるだけバレるのが遅くなればいいなと思ってたけど、けっこうすぐバレたな。
まぁ、そんなあまくはないってことか……。
『今追っ手が出発したわ。
規模は小さめの小隊一つ。
全員騎兵で二十人。
これからが本番よ、ジズー。
私も情報面でサポートするから、がんばろう』
『がんばろう、頼りにしてるよ』
「どうしたの?急に怖い顔して……。
なにかあった?」
「王に澪と雫の二人が逃げたことがバレたらしい。
追っ手も出た。
騎兵二十人らしい」
「「……」」
「ここからは薫子さんが情報面でサポートしてくれる。
がんばって逃げ切って、世界樹に辿り着こう!」
薫子さんの言う通り、ここからが本番だ。
絶対に二人を世界樹に連れて行く!
俺は改めて決意した。
ちょっと探してくるか。
「じゃあ俺果物でも採ってくるよ」
「え、どうやって?」
「どうやってって……、どういうこと?」
「私たちの分の果物も持ってきてくれるってことでしょ?
どうやって持ってくるの?
あ、ジズーさんもなんか便利な魔法使えるとか?」
「いや、俺は魔法なんて使えないけど……。
あ……、そっか。
俺猫だった!
果物なんて持てないし運べないか……」
「そうだよ~、猫ちゃんなんだからそういう事は私たちに任せてくれていいんだよ~?」
「うぅぅ……、なんてこった。
猫がこんなに無力だなんて……」
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あ、そうだ。
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「「いってらっしゃーい」」
「女神像は小さいものはこれしかなかったんだけど、これでいいかな?」
そう言ってリュックから取り出したのは、チェスの駒くらいの木の女神像だった。
「おぉー!
理想の大きさだよ、木像だから手直ししやすそうだし、ありがとう!」
「そっかそっか、よかった~。
じゃあこれ、はい」
「ありがとう!」
木の女神像を受け取って、像をよく見てみた。
一応薫子さんって言われればなんとかわかるかなって程度のクオリティだな。
これだけ小さいからしょうがないのかな。
これで神気の消耗を抑えれなかったら、俺が爪で削って手直しすればいいか。
「ごめん、ちょっと女神様と話すね」
「ここで?
私ここにいて大丈夫なの~?」
「あ、全然大丈夫だよ」
『薫子さーん、聞こえるー?』
『はーい、聞こえるよー。
あ、やっぱりその像じゃ神気消耗しちゃうみたい』
『やっぱりかぁ。
この像、薫子さんに似た誰かって言われたほうが納得するくらいの出来だもんなぁ。
よし、今から手直しするよ!』
『ジズー。
昨日も言ったけど、より美人に、よりスタイルよく、だよ!
お願いね!』
『あ、はい』
薫子さん十分美人すぎるのに、自分に自信がないタイプかな?
「手直しが必要みたいだから、ちょっと像いじるね」
「は~い、一応私は見張りしておくね~」
「ありがとう」
あまりゆっくり時間かけてられないけど、できるだけリクエストに応えれるようにがんばろう。
爪で木像を削ろうとした瞬間、頭の中に薫子さんの姿が出てきた。
「うお!
え、なに!?」
『私の像なんだから、私本人がモデルをします!
見本があったほうがいいよね?
がんばって!』
『はい……』
ひ、必死すぎるぅぅぅ!
「ど、どうしたの~?」
「い、いや……、頭の中に急に薫子さ……女神様の姿が出てきてビックリしただけだから大丈夫。
ごめん、驚かせちゃって」
「あ、そうなんだ。
ん?
女神様って薫子って名前なの~?」
「うん、見た目が超大和撫子って感じだったから俺が薫子って名前にしたんだよ」
「薫子って名前にしたって……。
え、じゃあジズーさんが女神様を名付けたってこと?」
「そうそう。
神様って基本名前がないみたいで、俺も前世の記憶は残ってたけど名前は思い出せなくてさ。
眷属になるし、仲良くなるためにもって感じでね」
ガリガリガリ。
あ、ちょっと削りすぎちゃったかな。
『いい感じのくびれになったからむしろOK!』
リアルタイムでチェックしてるのか……。
「へ~、なんかすごいね~。
神様に名前をつけるなんて。
眷属ってことは、女神様はジズーさんのご主人様になるの~?」
「ご、ご主人様!?
そんなこと考えたこともなかったよ……。
でも、どうなんだろう……」
『ご主人様って響き、なんだかゾクゾクするね!』
なぜか嬉しそうな薫子さん。
「薫子さんがご主人様って言葉にゾクゾクしてるっぽい、そういう願望でもあるのかな」
「ただいまー。
薫子さんって誰?」
「「おかえりー」」
「澪ちゃん澪ちゃん!
なんかね、ジズーさんが女神様を薫子って名付けたんだって~!
すごくない?」
「え、なにそれ!
てか女が自分の名前を男につけてもらうって……。
なになに、二人って――エロい関係とか!?」
「いやいやいやいや!
何言ってんの、俺猫だよ!?
エロい……とか、そういうんじゃ……なくてさ……!」
「「……」」
「昨日から思ってたけど、ジズーさんってピュア?
猫の姿もあってか、穢れなき男の子ってイメージが強くなっていくんだけど」
「男の子って歳じゃないし!
一応元二十二歳だから!
別にピュアでもないよ、どこにでもいる普通の男だよ!」
「そういう態度が大人ぶってる男の子って感じだよね~。
ジズーさん、ジズーちゃんって呼んでいい?
私のことは雫お姉ちゃんって呼んで~」
「ちゃんって……、猫だから違和感ないのが困る……!
まぁ、好きに呼んでくれていいけど、でもお姉ちゃんは断る!」
「えぇ~?いいじゃ~ん!」
「絶対にノー!
俺は雫って呼ぶ!
澪さん、澪さんのこともこれから澪って呼んでいいかな。
長い付き合いになりそうだしさ」
「おっけー。
私もジズーって呼ぶよ」
「あ~あ、お姉ちゃんがよかったな~」
「はいはい、諦めてくださーい。
っと、よしこんなもんでいいかな」
我ながらいい感じに手直しできたんじゃないかな。
薫子さんの美しさはちゃんと再現できてる……よな?
「あ、女神像を彫ってたんだ?」
「彫ったというより、手直しだけどね」
『薫子さーん、手直ししたんだけどどうかな?』
『最初のよりはすっごくいいんだけど、私もうちょっと胸大きいんじゃない?
その辺り全然手を加えてないよね?』
『男だからこの辺いじりにくいんだよー、わかるでしょ?
しかも知らない人を彫ってるならまだしも、知り合いの像だよ。
なんか、こう……、わかるでしょ!?』
『澪さんも言ってたけど、ほんとピュアよねー。
っていうより、女性への耐性がなさすぎなのかな。
そんなんだと、これからもからかわれ続けるよ?』
『実際家族以外の女性とはほとんど接したことがないんだよー……。
はぁ……、この旅で慣れればいいんだけどなぁ』
『二ヶ月以上一緒に旅すれば嫌でも慣れるでしょ。
私としては今のままのジズーでいてほしい気もするけどねー』
ずっとこのままだなんて絶対嫌だ。
この旅でパリピレベルになってやる!
『ていうか、違う!
そうじゃない!
確認したかったのは像の出来じゃなくて、神気の消耗についてだよ!』
『わかってるって。
おかげさまで、ジズーが心をこめて手直ししてくれたから消耗なしで念話できるようになったよ。
これでいつでもお話できるね!』
『だからからかわないでって!
そういうの照れるわー』
「こうやって黙ってる時は女神様と話してるのかな」
「そうなんじゃない?誰も聞くことができない秘密の会話。
どんなこと話してんだろうね~?」
「変な話は一切してないよ!?」
『ジズー』
急に薫子さんの声が固くなった。
『どうかした?』
『澪さんと雫さんが逃げ出したことがたった今人間の王にバレたよ』
『え――?』
そうか、バレたか。
できるだけバレるのが遅くなればいいなと思ってたけど、けっこうすぐバレたな。
まぁ、そんなあまくはないってことか……。
『今追っ手が出発したわ。
規模は小さめの小隊一つ。
全員騎兵で二十人。
これからが本番よ、ジズー。
私も情報面でサポートするから、がんばろう』
『がんばろう、頼りにしてるよ』
「どうしたの?急に怖い顔して……。
なにかあった?」
「王に澪と雫の二人が逃げたことがバレたらしい。
追っ手も出た。
騎兵二十人らしい」
「「……」」
「ここからは薫子さんが情報面でサポートしてくれる。
がんばって逃げ切って、世界樹に辿り着こう!」
薫子さんの言う通り、ここからが本番だ。
絶対に二人を世界樹に連れて行く!
俺は改めて決意した。
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