おとぎ話の悪役令嬢のとある日常(番外編)

石狩なべ

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悪役令嬢のとある日常

愉快で愉快な羽根つき大会(1)

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(*'ω'*)年齢参照:テリー(13)/キッド(17)/メニー(10)/ルビィ(11)/ソフィア(23)
 ――――――――――――――――――――








 1月1日。年初め。
 街中には『Happy new year!』と看板が立てられている。
 花火が鳴り響く。街中が年の初めを祝い、寒空の中、広場や、商店街で、年の初めの最初の祭が開かれている。大勢の人々が街を歩く。
 
 その中に、三人の少女が、それぞれの場所を掴んで、はぐれないように歩いていた。

「それにしても、今年もまた多いね……」

 先頭のメニーが声を上げると、メニーの鞄の紐を握るリトルルビィが頷いた。

「出店を見るだけで一苦労だよ」

 リトルルビィがため息をつくと、リトルルビィのマントの裾を握るテリーが辺りを見回した。

「一回噴水通りに行った方がいいかも。方向転換よ!」

 リトルルビィの肩をぽんと叩いて、伝達を任せる。

「メニー、方向転換だって! 噴水通り!」

 リトルルビィが伝えると、メニーが頷いた。

「噴水通り? 了解!」

 先頭のメニーが道を進み、行列の出来るにぎやかな道を無理やり歩き、噴水のある広場まで進んでいく。商店街を抜けると、ぎゅうぎゅうになっている人の行列から抜けた。

「ぷはっ!!」

 三人が、声を揃えて、息を吐いた。

「ううう……苦しかった……」

 メニーが胸をなでおろす。見れば、噴水前にたどり着いている。
 三人が向き合い、商店街への道を眺める。

「あんだけ人がいたら流石に歩けないわね……」
「去年も多かったけど、今年もすごい……」

 テリーとメニーがうんざりしたように、その光景を眺めた。

「福袋を買う予定だったけど、あれじゃあ無理ね」
「ううっ……! 理不尽だ……」
「メニー、そんなこと言ったってあれは駄目よ。あれは人が多すぎる」
「時間の問題かな」

 リトルルビィが眉をひそめて言い、テリーが頷く。

「それもあるわね」

(福袋を買って、リトルルビィの家で開けて、三人で面白おかしく過ごすはずが……)

「むむっ……。これはなかなか、難しいミッションだわ……」

 テリーがチッと舌打ちすると――。

「何々? 福袋? お前、他にやることあるんじゃないの?」

 例えば、婚約者に年賀状送るとかさ。

「むぎゃあああああああああああああああああ!!!」

 耳元で聞こえた声に悲鳴をあげて、メニーの背中にテリーが飛びついて隠れた。その方向に振り向くと、帽子を深く被り、マフラーで口元を覆い、丸眼鏡で顔を隠したキッドが、じいいいいっとテリーを睨んでいた。テリーがメニーの肩から顔を覗かせて、目を見開く。

「キッド!?」
「あ、キッド」

 リトルルビィがきょとんとして、頭を下げる。

「あけましておめでとう! キッド!」
「うん。あけましておめでとう。リトルルビィ。今年もよろしくね」

 睨んでいたのが嘘のようにキッドが笑顔を浮かべると、メニーもぺこりと頭を下げた。

「キ、キッド様……あの、あけまして……おめでとうございます……」
「今はプライベートだよ。メニー」
「あ、うう……」
「ふふっ。あけましておめでとう。今年も美しい君のままで、もっと美しくなってね。メニー」

 メニーにも笑顔を浮かべ、その背中にいる人物に視線を移す。

 「さーて? 問題はお前だ。テリー……」

 また再びじっと睨むと、テリーの表情が曇っていく。

「な、何よ……。……あけおめ」
「あけおめじゃないよ……。お前……!」

 ぐっと、キッドが歯をくいしばり、テリーを睨んだ。

「お前、よくも今年も年賀状をじいやにだけ送ってくれたな……。俺は傷ついたよ。それはそれは、実に誠にはるかに非常に異常に大いに、もう、俺の心のガラスのハートはぼろぼろのバラバラだよ!」
「相変わらず大袈裟なんだから。たかだか年賀状を送らなかっただけじゃない」

 呟くと、キッドの目の色が変わり、テリーに怒鳴った。

「お前な! 婚約者だぞ!? 俺はお前の、婚約者だ! 最高に最強に深奥《しんおう》で深甚《しんじん》で深遠《しんえん》に関わりの深いはずの! 婚約者! 去年まではお前も子供だったということで許してたけどね、今年という今年は怒ったよ! 俺はもう怒ったよ!?」
「あんた毎年怒ってるじゃない」
「うるさいうるさい! 怒ると分かっているなら年賀状くらい出せ!」
「何よ! 年賀状くらいでうるさいわね!」
「ふざけるな! なんでじいやに出して俺には出さないんだよ!」
「出したくないのよ! あんただけにはね!」

 叫び合って、黙り、じっと、キッドとテリーが睨み合った。

「テェエエエリィイイイー……!」
「なあああにいいいよおおお……!」
「くすす。これは面白いところに遭遇した」

 リトルルビィとメニーが視線を移すと、ソフィアが四人を見て、くすすと笑っていた。

「ソフィア!」
「こんにちは、リトルルビィ。あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう! ソフィア!」
「メニーも、あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます。ソフィアさん」

 メニーがぺこりと頭を下げると、ソフィアが微笑んだ。

「今年はもっと仲良くなろうね」

 いつでも私がテリーを貰ってもいいように。

「メニーと私は協力し合うべきだ。怪盗時代の時のようにね」
「記憶にありません」

 それと、

「お姉ちゃんを物扱いしないでください!」
「くすす。物扱いなんてしてないよ。将来の伴侶扱いさ」
「やめてください! 切実にやめてください!」
「そうよ! ソフィアったら何言ってるの!」」

 憤慨するメニーの横で、リトルルビィがソフィアを睨んでいた。メニーが救われた目を向ける。

「リトルルビィ……!」
「テリーはね! 私と結婚するんだから!」
「そうじゃない!」

 メニーが拳を握った。ソフィアがくすすと笑い、可愛い子供達を見下ろす。

「全く。リトルルビィ、新年早々面白い冗談を。いい? テリーが選ぶのは、この私だ!」
「私よ!」
「変な争いしないでください! 二人とも!」

 ばちばちの二人に、メニーが一生懸命声を張り上げる。

「二人がお姉ちゃんのことが好きなのは知ってますけど、お姉ちゃんの気持ちを優先させてください! でしょ!? お姉ちゃん!」
「私と結婚したら甘い新婚生活が待ってるよ。どう思う? テリー」
「私の方がテリーを大切に出来るもん! テリーもそう思うでしょ!?」

 三人が振り向けば、

「このこのこのこのこの!」
「やーい! ばーかばーか!」
「木偶の坊!」
「暴れん坊!」
「とんちんかん!」
「怒りん坊!」
「はっ!」
「ほら捕まえた!」
「ぐぬぬ! 離せ! くそがき!」
「これでどうだあああああ!!」
「むぎゅううううううううううう!!」
「この、ぶーーーーすーーーーー!!」
「ぐううううううううう!!!!」

 いつメニーの背中から離れたのか、いつの間にかキッドともみ合いになっているテリーがいて、三人がきょとんと瞬きをした。
 キッドが高らかに笑い、テリーの頬がぐちゃぐちゃに遊ばれている。

「ほら、悔しかったら抵抗してみなよ! テリィイイ!?」
「ヒッホ! ヒッホへっはいふるははいははっ!!」

 キッド! キッド絶対許さないからっ!!

「え!? なんて言ったの!? よく聞こえないよーー!?」
「ふひいいいいいいい!!」

 分かっているくせに、キッドは意地悪く微笑み、天使のように微笑み、テリーの頬をこねくり回す。
 その二人を、三人が呆れたように見守る。メニーがソフィアに目配りした。

「ソフィアさん……」
「くすす。任せて」

 ソフィアが笑い、近づいて、大人として、子供二人の間に無理矢理入る。

「お二人とも、ストップ」
「むぐっ!」
「むぐぅ!」

 ソフィアに止められたキッドとテリーが同時に声を上げる。くすすと笑うソフィアに、キッドが気づき、再び嘘のように微笑む。

「あ、ソフィアだ。あけましておめでとう」
「キッド殿下、あけましておめでとうございます。挨拶は大事ですが、こんな所で大暴れされては、どんなにうまく変装しているとはいえ、気づかれてしまいますよ。くすす」
「テリーが悪いんだよ。こいつ俺に年賀状送らなかったから」
「え?」

 ソフィアがきょとんとする。

「キッド殿下、届かなかったんですか?」
「え?」

 キッドの目が点になり、すぐに据わった。

「まさか…」
「くすす。テリー、あけましておめでとう。それと、年賀状もありがとう」

 ソフィアがテリーに顔を向けて微笑むと、テリーが頷く。

「あけましておめでとう。ソフィア。あんなの挨拶代わりよ。図書館でまあまあ世話になってるし」
「嬉しかったよ。達筆そうに見えて実は結構汚い字を書くのも、非常に可愛い。胸がときめいたよ」
「てめえ、新年早々、このあたしをけなしてくるなんて良い度胸じゃない……」
「けなすなんてとんでもない。君の字で、もっと君が恋しくなっただけさ」

 にこっと微笑むソフィアを見て、キッドの怒りゲージが頂点に上った。ぶちっと、この場にいる四人が、何か聞こえた気がした。

「こぅらあああああああああああああああああ!! テリーーーーーーーーー!!」

 襲い掛かろうとしたキッドを、ソフィアが抱き止めて、押さえ込む。

「こらこら」
「テリィイイイイイイイ! 許さない! 許さない!! 許してなるものかあああああああ!!」

 二人から後ずさり、テリーが声を張り上げた。

「キッド! 年賀状くらいで大人げないわよ!」
「ふざけるな! なんでソフィアに出して俺には出さないんだよ!」
「だから出したくないし書きたくないのよ! キッドだけにはね!!」
「ぐうううううううううううううっっっ!! テリイイイイイイイイイ!」
「おやおや。怖い怖い。キッド殿下、そんなに暴れないでください」
「テリーが! テリーが悪いんだ! テリーが悪いんだ!」
「悪くないもん! あたし悪くないもん! 悪くないもん!!」
「ふむ……。キッド殿下はテリーからの年賀状が欲しい。そしてテリーは書きたくない」

 なるほど。

「提案ですが」

 ソフィアの一言に、全員がソフィアを見る。くすす、とソフィアが妖艶に笑った。

「羽根つきで、決めてはいかがですか?」
「羽根つきって」

 リトルルビィが声をあげる。

「あの羽根つき?」
「そうだよ。リトルルビィ。お正月に遊ぶ、羽根つきさ」

 ソフィアが頷く。

「勝負して、キッド殿下が勝ったらテリーが年賀状を書く。テリーが勝ったらキッド殿下には我慢してもらう」
「望むところだ!!」

 キッドがテリーを睨んだ。

「お前に必ず勝って年賀状書かせてやる! 絶対書かせるからな! 今年こそは書かせるからな!」
「嫌って言ってるでしょ! 女の子に無理やり嫌なことさせようとするなんて最低! いいわよ! あたしが勝って今度こそ『大暴れしてごめんなさい、テリー様。許してください、この通り』って言わせてやる!」
「はっ! やれるものならやってみな!」
「後悔しても遅いんだからね!」

 ばちばちばちばち!!

 睨み合う二人を見て、リトルルビィが声を上げる。

「えー、いいな! 羽根つき面白そう!」
「くすす。そうだね。じゃあ、こうしよう」

 ソフィアの目が、怪しく光った。

「キッド殿下とテリーの勝負は二人の勝負として、皆で勝負して、優勝したら……」

 くすす。

「テリーとデート」
「ん?」

 テリーがきょとんとした。

「なっ……」

 キッドが顔を引き攣らせた。

「へっ!?」

 リトルルビィの目が輝いた。

「だから!」

 メニーが抗議した。

「お姉ちゃんを物みたいにするの、やめてください!」
「おや、そういうことじゃないんだよ。メニー」

 あくまで、景品があった方がやる気が出るというだけ。

「私か、キッド殿下か、リトルルビィが勝てば、この後、暗くなるまでテリーとデートさせてもらおうじゃないか」
「デートって何よ。行かないわよ」

 じっとテリーが忌々しげに睨めば、ソフィアは微笑みながらテリーに振り向く。

「テリー」
「ん?」
「お雑煮って食べたことある?」
「……何それ」
「テリーに食べさせたくて、多めに作ってあるんだ」

 そして。

「味見、してほしくて……」

 味見?

 切なげに呟くソフィアを見て、テリーがはっとする。彼女が呪いの飴を舐めたことにより、舌が麻痺していて、その舌をもう一度鍛えていることを、思い出す。

「ああ、なるほど。そういうことなら、行ってあげてもいいわよ」

(あんたが見えない努力しているのは、知ってる)

「くすす。でも明日になったら、また味が落ちてるかもしれないから」
「ああ、そっか。だったら別に……」
「ちょっと待って」

 キッドが不満そうに声を上げた。

「年賀状は?」

 じいいいっとテリーを見る。テリーは顔をしかめて、キッドを睨んだ。

「あんたが勝ったら書いてやってもいいわよ? あんたが、もしも、勝てたらね!」
「というわけだ」

 キッドがソフィアに挑戦的な目を向けて、微笑む。

「悪いけど、この後テリーは、俺の年賀状を書かなければいけない」

 何故なら、

「俺が優勝してしまうからね! 簡単に! あっさりと! 呆気なく!」
「キッドってば何言ってるの?」

 リトルルビィがうんざりした表情を浮かべた。

「テリーはこの後、私達と福袋買いに行って、私の家で開封して楽しむのよ?」
「ああ、そうだった」

 テリーがキッドにいたずらな笑みを見せた。

「この後はリトルルビィの家に行かないと。ほらね、キッド、あたし忙しい身だから、あんたなんかに構ってる暇ないのよ」
「そうよ! そうよ! 年賀状くらいで大人げない!」

 リトルルビィがテリーの横で言うと、キッドが余裕に微笑む。

「ほざくがいい。皆の者! 何を言っても勝つのは俺だよ」
「くすす。キッド殿下、勝負はどうなるかわからないから勝負なのです。勝つのは私ですよ。今度こそ盗んでみせましょう。テリーの時間を」
「そういう風に言ってる人が負けるのよ。私が絶対に勝って、テリーを守るんだから!」

 盛り上がる三人を、テリーが引き攣る顔で眺める。

「くそ……。皆好き勝手に言いやがって……! あたしの自由時間が……!」
「お姉ちゃん、でも、よく考えたら、ちょうどいいかも」
「え?」

 隣に歩いてきたメニーに、テリーが視線を流した。

「何がちょうどいいのよ」
「商店街は今の時間帯混雑してるし、少しでも時間を潰してずらせば、簡単に福袋もお守りも買いに行けるようになるかも。売り切れてなければ、だけど」
「まあ、……確かにね」
「私も何とか頑張ってみるよ」
「え、メニーも羽根つきやるの?」

 テリーが驚きの声をあげると、メニーが微笑んだ。

「お姉ちゃん、私運動音痴だけど、羽根つきは結構出来るんだよ!」
「なるほど」

 ということは、こっちは二手というわけだ。

「あたしが勝ったらその場で解散。自由時間」
「私が勝ってもその場で解散。自由時間!」
「ふっふっふっふっ……。メニー。あんたいい子ね。そうよ。あたし達は二人で一つよ……!」

(こういう時は利用価値があるわね。沢山利用してあげるわよ……! メニー!)

「頑張ろうね! お姉ちゃん!」

 テリーの考えなど知らないメニーはぐっと拳を握り、微笑む。
 そして、三人に手を上げた。

「というわけで、私も参加します! 私が勝ったらその場で解散。私とお姉ちゃんとリトルルビィで、お出かけの続きです!」
「面白い」

 キッドがいやらしく微笑んだ。

「つまり、これは負けられない戦いというわけだ。くくっ」
「そのようですね」

 ソフィアが薄く、微笑んだ。

「胸がときめくよ。まるで仮面舞踏会の時のようだ。絶対に負けられない」
「勝つとか負けるとか、よく分からないけど」

 リトルルビィがむうっと頬を膨らませる。

「テリーは私と二人でお正月を過ごすのよ!」
「二人きりは禁止」
「え!?」
「なんでびっくりしてるの?」

 メニーが顔をしかめた。
 一方、ぐぐっと親指の爪を噛み始めるテリーを、口角を下げて不満そうなキッドが見下ろした。

「お守りなんていくらでも用意してあげるし、暗くなったら送ってあげる。テリー、とりあえず、年賀状書きにおいで」
「何度言えばいいのよ。キッド、嫌だって言ってるでしょ……!」

 テリーが眉をひそめて言えば、ソフィアがにこりと微笑む。

「テリー、お雑煮の味見は?」
「あー、それね。ソフィアの案件は非常にそそられる……」

 ソフィアの美味しい料理を誰よりも先に味見できるのは、嬉しいものである。テリーが口の中で溢れてきた唾を飲み込むと、リトルルビィがむうっと頬を膨らませて、テリーを見上げた。

「テリー! 福袋! 売り切れちゃう!」
「はいはい。リトルルビィ。福袋ね。もちろん忘れてないわよ」

 うーーーーん。

(まじで切りがない……)
(確かに、ここは勝負して勝った人を優先に動いた方がいいかも)

 その方が優先順位を決めて動けるというものだ。

(いざって時は、次の日でもメニーとは出かけられる)
(福袋も買いに行ける。お守りも買いに行ける)

 まあ、でも、皆、

「何か勘違いしてない?」

 テリーが訊くと、皆がきょとんとする。その間抜けな表情を見て、ふっと、テリーがにんまりとにやける。

「優勝をするのは、このテリー・ベックスに決まっているわ! でしょ? メニー?」
「え……ああ。えーっと……そう……じゃない……とも……言い切れないから……」

 メニーが視線を逸らすが、テリーは高らかに笑い出した。

「おっほっほっほっほっ! あたしの羽根つきを見て驚くがいい! この平民ども! 全員ぶっ倒してくれるわ!」
「ふふっ、なーに? テリー、お前自分が勝てると思ってるの?」

 やれやれとキッドが呆れたように笑った。

「優勝は俺のものだ!」
「ふんっ! あたしが優勝したらその場で解散よ! 暗くなるまで好きなことを好きなだけしてやる!」
「残念だけどテリー、それは駄目だな。なぜなら優勝は私のものだからね」
「テリー! 今のうちに謝っておくね! 申し訳ないけど優勝は私が貰うよ!」
「……どうなることやら……」

 メニーがため息混じりに呟く。
 それぞれが、それぞれの目的のために、勝利を狙う。

 こうして、羽根つき大会は始まったのであった。

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