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ソフィア

図書館司書と夢の君(2)

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 何も見えない。
 ただ、ソフィアの吐息だけは伝わる。
 ただ、ソフィアの鼓動だけは伝わる。
 速くて、荒い息。自分の心臓も同じように激しい運動に鼓動を速くさせる。
 ぱんつ越しにバイブが激しく振動している。
 足の指がつんと伸びる。
 指がテリーの肌に触れた。

「あっ!」

 それだけで絶頂してしまう。
 バイブが振動を止めた。
 テリーが荒い呼吸を繰り返す。
 冷たい手がテリーの頬に触れた。
 口に近付き、指を口内に入れた。テリーが舌を動かす。長い指を舐める。指がふやけるくらいしゃぶることになるかもしれないと思えば、またバイブが動き始めた。

「きゃあっ!」

 上に固定された両手が揺れた。大切な箇所にバイブを当てられたら、凄まじい快楽に襲われる。

「ん、んん、んん! んっ! んん!」
「我慢しないで」
「ひゃっ」
「啼いて。聞かせて」

 長い指が太腿を優しく撫でれば、またテリーの体が跳ねる。

「んっ」
「あ、また我慢した」

 耳に吐息がかかる。

「お仕置き」
「っ」

 バイブの振動が激しくなった。より強く当てられる。

「あっ! あっ! あぁ! ああああ! だめぇええええ!!」

 その瞬間、ぱちん、とテリーの意識がなくなった。くたりと脱力し、頬を優しく叩かれて目を覚ます。

「テリー、まだ終わってないよ」
「ふえ……」
「しょうがない子」

 恋しい子。

「テリー」
「ひゃっ」

 肌に何か当てられた。

「な、なに?」
「カス取り用の羽根。もちろん、未使用ね」

 頬に当てられる。

「気持ちいい?」
「……やわらかい」
「くすす」

 テリーのお腹に触れた。

「ひゃ」

 つん。

「ちょ、やめっ」

 つん。

「くくっ」

 つん。

「ふふっ、ソフィー、それ、やっ……」

 するー。

「んふふふふ! やめてよ! ふふふ!」

 するん。

「あははは! あははは!!」

 ワキをくすぐられる。

「ちょ、いやあ! それ! あははは!」

 くすぐられる。

「はははは! いやー! あははは!!」

 くすぐられる。

「は……あ……」

 くすぐられる。

「ん、っ、はぁ、んんっ……」

 バイブが動き出す。

「あっ!」

 ぶるるるる。

「あぁぁぁ……! あああ……!!」

 羽根がつついてくる。

「あっ!」

 くすぐってくる。

「あっ、や、だめっ、そんな、あっ! んん……!」

 ぶるるるるる。

「あんっ! もう! らめ! らめなの! また、イクぅ!!」

 腰が痙攣した。

「ひゃっ」

 当てられる。

「いやぁああ! ソフィー! まだ、まだイッてる! イッてるぅ!!」

 気持ちいい。

「そ、そんな、一辺に、されたらっ、あっ、だめっ! あぁっ! あああっ!」

 とろりととろけてしまう。

「……っ」

 ――絶頂を越えたら、脱力が待っている。荒い呼吸を繰り返し、ぼんやりとする意識の中、視界を塞いでいたベルトが取られた。

(あっ)

 自分だけを見つめるソフィアで視界が覆われる。

「……ソフィー……」

 ソフィアが乱暴に唇を重ねてきた。

(あっ)

 唇で犯される。

(溶けちゃう……)

 舌が絡まって、体がのしかかり、束縛された両手が解放される未来はまだ見えない。

「ん、ふぅ、んん……」

 ソフィアがブラジャーのホックを外し、脱ぎ捨てた。

(ひゃっ)

 テリーのブラジャーを上に退かされる。中から小さな膨らみが現れ、ソフィアの胸とテリーの胸がぴたりとくっついた。

 舌が強く締め付けられる。

「んっ」

 舌同士が抱きしめあっているかのように。

「ん、ぐちゅ、んふっ、ん……」

 テリーのぱんつの紐をソフィアが解いた。

「んんっ」

 ソフィアの指が濡れているそこへと入っていく。

「んっ!」

 傷つけてはいけないそこを、丁寧に撫でる。

「や、ぁ……」

 どんどん指が速くなっていく。中からは水に濡れて動く指の音が響いてくる。

「テリー、聞こえる? 君の音だよ」
「や、やぁ……」

 クチュクチュクチュクチュ。

「こんなにえっちな音を出して、はしたない……」
「ご、ごめんなさい……」

 クチュン!

「あんっ!」
「ここから溢れてる。どうして?」
「だ、だって、ソフィーが、触って、くるから……!」
「私のせいなの? 違うでしょう? テリーが出してるんだから、テリーが悪いんだよ? 悪い子にはお仕置きしなくちゃ」

 指が激しくピストンする。

「あっ! あっ! あっ! あっ!」
「ほら、どんどん溢れてくる。悪い子だね」
「あっ! だめっ! あっ! いやっ! それ、あっ!」
「なんて言うの? テリー」
「き、気持ちいい! これ、気持ちいい!!」
「くすす。気持ちいいの? 淫乱なんだから」

 クチュクチュクチュクチュ。

「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
「テリー、びちょびちょだよ」
「らめっ! もう! ソフィー!」
「イクの? くすす。……いいよ」

 ちゅん!

「きゃぁあっ!!」

 中からどろりとした潮が出る。

「あぅ……」

 目の前の人物をすごく抱きしめたくなって、両手を動かすが、拘束は解かれず、何も出来ない。

「……ソフィー……」
「かわいい」

 抱きしめられる。

「……ソフィー」
「もっと呼んで。テリー」
「ソフィー……」
「テリー、好き。ちゅ」
「んちゅっ」
「ちゅ」
「むちゅ」
「はぁ。好き。テリー。もっと、声、聞かせて」
「ソフィー」
「んっ」
「むちゅ」
「テリー、私の君」
「ソフィー、……抱きしめたい……」
「……だめ。まだ外さない」
「あたしも、抱きしめたい……」
「まだだめ」

 額にキスを落とす。

「んっ」

 ソフィアの手によって、テリーの足が大きく左右に開かれた。ぴくっ、と腰が揺れれば、ソフィアの手が伸び、今度は胸を揉まれる。

「あ……」

 ゆっくり動き始める。

「ああっ、ソフィー……!」
「テリーも胸好きだよね」

 先端をつまめば、この通り。つん。

「あんんっ!」
「えっちな子」

 ソフィアがバイブをお互いの股の間に置き、スイッチを入れれば、ぶるると再び震え始める。

「んっ!」
「ん。……いい感じ」

 ソフィアがテリーに唇を重ね、股を押し付けてくる。

「テリー、私達の間で動いてるね」
「あ、あたし、ぱんつ、してないのに……」
「イッたら脱ぐから」

 最初からバイブなんて痛いじゃない。だが、しかし、テリーの喘ぎ声を聞き、すでにそこは濡れている。震えるバイブにより股間を押しつければ、テリーの股間にも押し付けられ、快楽がまたやってくる。

「や、また、イク……」

 やわらかい膨らみを、ねちっこく動かす。

「はぁ、はあっ……あぅ、……だめっ……」
「何がだめなの?」
「気持ちくて、おかしく、なっちゃう……」

 人差し指と中指で、胸の先端を挟んだ。

「ひゃんっ!」

 バイブのスイッチを中に変える。振動が少し強くなる。

「んん、んんんん……」
「あっ、いい、これ……」
「ソフィー……!」
「っ」

 上擦った声にそそのかされて、ソフィアがスイッチを上に上げた。強。

「あああああああ!」

 激しく震える。

「あっ、ソフィー! イクぅ! もう、イッちゃぅぅ!!」
「いいよ。見ててあげる。だから、……一緒に、イこう……」
「あっ、あぁっ! あ、もう、もぉ……!」

 体が跳ねた。

「あああああっ!」
「っ」

 テリーのエロい姿を見て、ソフィアも絶頂する。ぷるぷる体が震え、痙攣し――バイブが止まった。

(……電池切れかな?)

 動かなくなったバイブを放り投げた。もう用はない。テリーの足に足を絡め、股間同士がつくように座る。

「ぁっ」
「ん?」
「……つ、ついてる……」

 女同士のそこが、くっついてる。

「テリー、目を逸らさないで」
「……ん……」

 上を見上げれば、ソフィアが自分を見つめてる。

「ずっと私だけを見てるんだよ?」
「……うん……」

 ソフィアの腰が動いた。テリーが思わず目を見開く。

「っ」

 ぱちん、と音が鳴る。

「んっ」

 小刻みに動き始める。

「ん、ん、ん、ん、ん、ん……」

 こりこりしているところが当たる。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ……」

 ごりゅごりゅごりゅ。

「あ! あ! あ! あ! あ!」

 また濡れてくる。

「あた、ってる! ソフィー! 気持ちいいとこ、あたってる!」
「テリーはここ好きだね」
「あ! あ! あ! あ! あ!」
「動けない中、犯されるってどう? ドキドキする? 今度は疑似レイプもしてみる?」
「や、やだぁ!」
「でも、喜んでるのはテリーだよ?」
「だ、だって」

 テリーの潤んだ瞳が見つめてくる。

「ソフィーが、いるから……!」

 ソフィアの胸がズクンとうずいた。

「テリー」
「むっ」

 我慢できなくて唇を重ねる。

「テリー」
「んん……」

 腰が揺れる。

「テリー」
「はぁ、はぁ、はぁ!」
「ん」
「あっ!」
「ああ、ここ、いい……」
「あ、あ、あ、あ、あ、あぁぁああ……!」
「イク?」
「……ん……!」
「いいよ。私も、……だから、一緒に……」
「はぁ! はあ! はあ!」
「テリー」
「ソフィー……!」

 絶頂してしまう。

「~~っっっ……! ……! ……」

 ――ソフィアがテリーの上に倒れた。お互い脱力してしまう。乱れた呼吸を繰り返し、ソフィアの手がしんどそうに伸びた。

(……あ)

 両手が解放された瞬間、ソフィアに触れる。

「……ソフィー」

 強く抱きしめられるから、テリーも、もっと強く抱きしめる。

「……ソフィー……、……愛してる……」
「……うん、私も愛してるよ。テリー」

 また、恋人同士の唇が重なり合う。しかし、今度は、それはそれは、とても優しいものだった。


(*'ω'*)


「……あたしが知らない男と結婚する夢?」

 テリーがカレーを味見した。うん。なかなかだわ。さすがあたし。後ろから抱きしめて離れないソフィアが頷いた。

「うん。私の目の前でね、知らない人と結婚する君の夢。もう、本当に悪夢だった」
「将来的にそうなるかもしれないわよ」

 ソフィアが腕の力を強めた。

「冗談だってば!」
「……」
「……でも、わかんないでしょ。ずっとこうしていられる保証なんてないんだから」
「……」
「……もう」

 テリーがおたまを置き、ソフィアに振り返り、そっと抱きしめ返した。

「……困った奴ね」
「……そりゃ、私とテリーが結ばれない未来もあるかもしれないよ。例えば、テリーが殿下と結婚するとか」
「おえっ。そんなのごめんよ」
「私も、テリーと離れるのはごめんだよ」

 ソフィアが強く抱きしめる。

「ずっと、そばにいて。テリー」
「……今、いるでしょ」
「まだそばにいて」
「大丈夫よ。少なくとも、まだ当分はあんたの面倒を見てあげるつもりだから」

 テリーの手が優しくソフィアの背中をなでた。

「……だから、元気出してよ。……ソフィーらしくない」
「キスして」
「……ん」

 ちゅ。

「もう一回」
「ん」

 ちゅ。

「もう一回」
「しつこい」
「もう一回」
「……もう」

 ちゅ。

「……くすす」

 ソフィアがでれんと頬を緩ませた顔を見て、テリーの鼻の下もでれんと伸びる。

「カレー、まだかな? お腹空いちゃった」
「……もう少しで出来るわ」
「ナンも温めないとね」
「うん」
「……その後は?」
「……一緒に寝る?」
「……寝る」
「じゃあ、食べて、そうね。少し、一時間くらいの映画でも見て……」

 手を握る。

「一緒に寝ましょう」

 一緒に寝れば、きっと怖い夢なんて見ない。

(これから先なんて、どうなるかわからないのよ。馬鹿な夢を見たものだわ)

 こんなに怖がるなんて。

(もう! ソフィーったら! あたしがいないとだめなんだから!! 好き!!)

 背中から包まれる体温を感じながら、テリーが胸をときめかせながら、もう一度カレーを味見した。そんなテリーを抱きしめるソフィアの顔は、とても安心しきった顔だった。


 図書館司書と夢の君 END
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