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キッド

下着選びは命がけ

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 クレア姫を知らない方は6章参照(*'ω'*)

 クレア×テリー
 ――――――――――――――――――





 キッドが雑誌をめくる。
 そこには様々なトレンドが載っている
 女子ならこのワンピース。ドレスもいかが? いやいや。ここはクールにパンツでいこう。パンツならば紳士の出番だ。今日もかっこよく決めるぜ。男ならお洒落に決めなきゃレディが振り向いてくれないぜ。
 キッドはページをめくる。あ、おれが載ってる。はあ。やっぱおれかっこいいなー。キッドが次のページをめくった。

 下着のページに行き着いた。

「……」

 そこにはセクシーネグリジェや、勝負パンツや勝負ブラジャー。世の中のレディたち、これくらい色仕掛けをしなきゃだめよ。でないと男は寄ってこないんだから。

(いやいや、見えてる見えてる)

 大事なところが隠しきれてないほぼ紐同然のパンツを、キッドがぼうっと眺める。

(……これをテリーが穿いてたら……)

「……あ、あんまり……、……見ないでよ……。……えっち……」

 キッドが無線機を口の前に構えた。

「あー、だれか、至急紐パン注文して。ほんと、見えるくらいのやつ。テリーのサイズね」
「これ」
「あれ、いたの? じいや」
「貸せ」
「あっ」
「ビリーだ。今の命令は聞き流せ」
「ちょっと、なにするんだよ」

 キッドがソファーから起き上がり、ビリーから無線機を奪いもどす。そして睨んでくるキッドを、ビリーは呆れた目で見下ろした。

「テリーになにを穿かせる気じゃ」
「紐パン」
「やめなさい。あの子はまだ17歳だぞ」
「もう17歳だ。いいか。17歳だからこそ穿かなきゃ。じいや、17歳は大人の階段をのぼってるんだぞ。あいつはな、いつまで経ってもかぼちゃぱんつばかりで色気がないんだよ。ここはおれが用意して穿かせてあげないと」

 そう。自分がやらなければ。
 テリーからかぼちゃぱんつを脱がせて、
 紐パンを取り出し、
 ほぼ紐で出来ているただの布切れを穿かせて、
 恥ずかしがって暴れるテリーをベッドに押さえつけて、
 全然隠れてもいないテリーの大切なところを、

「上からじっくり眺めないと。おれが」
「キッドや。よだれを垂らしているよ」
「おっと、じゅるり」
「鼻血も拭きなさい」
「ははっ。おれとしたことが」

 テリーのこととなると、全くだめになる。
 当然だ。おれはあいつにメロメロだ。メロメロメロロンだ。

 そのとき、ドアがばーーーん! と開いた音が聞こえた。この音でだれが来たか、二人共瞬時に悟った。

((ああ、あの人か))

「久しぶりぃーーーー!」

 笑顔のスノウが麦わら帽子を被ってリビングにやってきた。

「はー! あつかったー! 夏ってどうしてこうも暑いのかしらねー! ビリー、アイスー!」
「わたしはアイスじゃありません。王妃さま」
「だから王妃さまって呼ぶなっつってんでしょ。ぶつわよ」
「母さん、なにしにきたの?」
「やっだぁ! かわいい我が子の顔を見に来たに決まってんでしょ! もう! 元気!?」
「ああ、はいはい。元気元気」

 ――昨日、城で会ったよな? キッドはそんなことを思いながらあくびをした。

「ねえ、ビリー、麦茶出して。あー、暑い! あら、キッド、なーに、それ?」
「ファッション誌」
「ママも見たい!」
「はい」
「まー! 最近の若い子ったらこんなのが流行ってるのね! まっ! 可愛いドレス! あらぁ! わたしがもうちょっと若かったらねぇ……!」

 ビリーが冷たい麦茶をスノウのために用意し、テーブルに置いた。スノウがパラパラとページをめくっていき、やがてキッドが写ってるページを開いた。

「あら、素敵。若い頃のあの人にそっくり」

 うっとりしながらスノウがそのページを破り、ファイルの中に大切にしまった。

「ねー、キッド、あんたこのままモデルさんになっちゃえば?」
「おれは王さまだけで十分かな」
「もったいない! 我が子ながらこんなにかっこいいのに!」

 スノウが下着のページをめくった。じっと眺める。

「……」

 チラッとキッドを見た。そして、急に手が伸びて、キッドのパンツを少し下げて、下着を見た。

「母さん」
「あんた、それ男もの?」
「かっこいいだろ」
「物知り博士につくってもらったやつね? つまんない。ねえ、あんたもこういうの穿いてみたら?」
「それ、女ものだよ?」
「なによ。クレア、あんた、いざってときにテリーに男ものの下着を見せるつもり!?」

 スイッチが切り替わった。
 クレアがスノウに呆れた目を向けた。

「あたくしは一週間一ヶ月一年間、ほぼキッドだ。あたくしの下着は新しいものが常に塔に用意されているし、買いに行く必要などない」
「かーー! わかってないわね! 塔に勝負下着はないでしょう!?」
「……勝負下着……?」
「セクシーランジェリーよ!」
「そんなものあってどうする」
「ばかね! 可愛いだけのつまんない下着身につけて、夜の営み時にテリーが喜ぶと思ってるの!?」
「あいつは女だ。女の下着になんか興味な……」

 ――クレア……似合ってるわ。

「興味……」

 ――あたしのクリスタル……。その下着…
 すごくそそられる……。
 ――あっ……。ダーリン、だめ……!
 ――どうして? あたしのために着てくれたんでしょう? だったら、

 テリーがニヤリとして、レースの布を噛んで……。

 ――あたしが脱がせても、問題ないわね?
 ――あっ……! ダーリン……!
 ――クレア……。

 下着が、パサッ。

「買うしかない!!!!!」

 クレアが立ち上がった。

「母上! 今すぐに戦闘準備だ!」
「任せなさい! クレア! ママと変身よ!!」
「「へーーーんしん!!」」

 スノウとクレアが一般人に紛れ込むためその場で着替えだす。ビリーがため息をつきながら窓のカーテンを閉めた。


(*'ω'*)


 テリーがじろりと見る。
 クレアが可愛いワンピースを着てにこにこしている。しかも両手をにぎにぎしてくる。

「ダーリン、会いたかった」
「暑いんだけど」
「もー、そういうこと言わないのー」

 ぷにぃ、とほっぺたを指で押される。テリーは思った。こいつなんか企んでやがる。

「クレア、なに企んでるの?」
「あ? あたくし、なにも企んでなくってよ。いつだってダーリンのことばかり」
「じいじ、こいつ何たくらんでるの?」
「若い者のなかには入れんでな」
「クレア」
「ダーリン、今夜一緒に寝よ?」
「……」

(絶対なにか企んでやがる)

 泊まりに来たのはいいけど、

(絶対なにか企んでやがる)

「あたくし、ダーリンと一緒に寝たいの。ね? いいでしょ?」
「あのね、さすがに恋人だからって裸でなんて一緒に寝ないわよ」
「なにを言う。そんなはしたない真似、あたくしだってするつもりはない」

 クレアがにやりと笑った。

「ロザリーよ! 暑い夏、恋人と夜二人で寝たいときにどうすればいいと思う!?」
「部屋を冷やしてベッドのまわりに氷袋を置いて囲んで一人で寝る」
「不正解! 愚か者が! 答えは簡単! 薄着をすればいいのだ!!」

 というわけで、

「見よ! 風通しの良い最新ネグリジェを!」

 部屋でクレアが風通しの良い最新ネグリジェをテリーに見せつけた。テリーはそれを見て、とても感心した。たしかに風通しが良さそうだ。どこのブランドかしらと思って見てみると、有名なランジェリー専用ブランド会社だ。ほう。ランジェリーの会社か。だったら話はわかる。なるほど。これは確かに通気性が良さそうだ。だがしかし、そうか。ランジェリーなのね。だからか。

「透けてるわね」
「透けてないよ」
「いや、それ透けて……」
「透けてないよ」
「セクシーネグリジェ?」
「いいえ」
「クレア、これはセクシーネグリジェですか?」
「いいえ。テリー。これはペンです」
「そっちじゃねえ。こっちっつってんのよ」
「暑い夜におすすめです」
「どっちの意味かしらね?」
「サイズも貴様にぴったりのものを用意してやった。さあ、このネグリジェに着替えるが良い」
「部屋に戻るわね」

 テリーが立ち上がり、ドアノブをひねった。――そこではっとして、気がつき、クレアに振り返った。

「あなた、また細工したわね!?」
「知らないよ」
「カギどこよ!? やめなさいって言ってるでしょ! トイレ行きたくなったらどうするのよ!」
「そのときは漏らしたお前を見て腹抱えて笑ってやるから安心しろ」
「ぜったいいや!」
「仕方ない。ならば、着替えてくれたらドアを開けてやろう」
「だれが着替えるか! だいたいね! そういうのはソフィアとかリトルルビィとかメニーとか、可愛くてセクシーな体つきの女、もしくは美人が着れば似合うのよ!」
「大丈夫だ。着てみろ」
「いやよ! そんなすけすけの! 恥ずかしいじゃない!」
「ふん! そんなことだろうと思った! 案ずるな! ロザリーよ!」

 クレアが着ていたネグリジェを脱ぎ投げた。

「あたくしもすでに、着ている!!」
「なんでーーーーーー!?」
「どうだ! かわいいだろ! セクシーだろ!」
「やめなさい! こら! 見せつけるな!!」
「どんどん見るがいい! 貴様だけに特別……」

 テリーが狙いを定めてベッドに飛び込んだ。クレアが押し倒される。

「へぶ!」
「動くなっつってんでしょうが!!」

 テリーがタオルケットをぐるぐる巻に巻き付け、クレアの下着姿を隠した。

「ふう」
「ダーリン! あたくし芋虫になって、動けなくなっちゃった!」
「ああ……やめて。これ以上熱くさせないで。ただでさえ暑いのにもっと暑くなってきた……」
「まさか、あたくしに興奮して!?」
「別の意味でね」
「貴様との夜のために用意したんだ。たくさん眺めていいぞ」

 クレアがベッドから落ちて、くるくると床に転がってタオルケットから脱出する。

「どうだ。可愛いだろ」
「はいはい。可愛いわね」
「ダーリン、ちゃんと見て」
「可愛い可愛い。わかったから」
「ダーリン」

 クレアがずいっと顔を近づかせ、テリーの顔を覗いてくる。

「なぜあたくしを見ない?」

(見れるわけねえだろうが!!!!!)

 すけすけレースのおかげで筋肉のついた色気のあるお腹とおへそが丸見えで、くびれも、太ももも、恥骨の線も全て丸見え。

(目のやり場に困るのよ!! ばかっっっっっっ!!)

「ほら、テリー。見よ。この特殊パッドを」
「……あ? どうしたの? その谷間。パッドいくつ詰め込んだの?」
「耳かして」
「ん」
「ひそひそ」
「……ほー……」
「自然に見えるだろ?」
「胸があるように見えるわ」
「触ってみよ」
「……ああ、パッドだ……」
「すごいだろ」
「苦しくない?」
「全然」
「ナイトブラ的な?」
「そうそう。ナイトブラ的な」
「ほー……」
「ダーリン、おそろいにしよ?」
「……あたしはいい」
「……」
「むくれてもだめ。あのね、これあなただから似合うのよ?」
「大丈夫。朝の着替えはすでにクローゼットに用意している」
「他のネグリジェないの?」

 テリーがベッドから離れ、クローゼットを開けてみた。そして、ぞっと顔を青ざめた。

「ひっ!!!」

 ずらりと、セクシーランジェリーが並んでいた。

「いいいいい! なによ、これーーーー!!」
「やだ! ダーリンに見られちゃった……!」

 はずかしい!

「仕方ない。見られた以上、貴様にはセクシーネグリジェを着てもらうしかないようだな……!」
「どういう理論!?」
「大丈夫大丈夫ぅ! 優しくするからぁ!」
「や、やめ……」
「くひひひひひ!!」
「こ、こないで!」

 ドアノブをひねる。が、開かない。

(そうだった! 開かないんだった!)

 テリーが自分に重なる影に気づき、はっと後ろを見た。もうそこには、不気味な笑みを浮かべる愛しのクリスタルが立っていた。

「さあ、ロザリー、あたくしのお人形ちゃんになってもらおうか……」

 ――ああ、短い人生だったわ! ニクス、アリス! さようなら! ママ、アメリ! 元気でやるのよ! リトルルビィ! ちゃんと更生するのよ! ソフィア、いい男見つけるのよ! お兄ちゃん、ミックスマックスなんかさっさと卒業するのよ! メニー、てめえは地獄に落ちがやれ! あーーーーーおやめになってえええええええ……!


(*'ω'*)


 すけすけのレース。
 セクシーパンティ。
 パッド付きネグリジェ。

「……なんということだ……」

 クレアが目の前の光景に、ごくりと固唾をのみこんだ。

「ダーリン……」

 クレアが眉を下げた。

「ぜんぜん色っぽくない!!!!!!」
「うるせえ! だから言っただろうが!!」

 筋肉のついてないお腹はぽよん。ふともものお肉もぽよんぽよん。なるほど。テリーは着やせするタイプだったのか。

「お前な、だから痩せろとさんざん言っているのだ」
「うるさい!! お黙り!! 婚約者をこんな姿にさせて! こんな屈辱を与えて! タダじゃ済まさないからね!!」
「おお、立ち上がるとさらに赤ちゃん体型……」
「うるせええええ! わかってるわよ!! んなことおおおお!!」

 テリーがタオルケットを体に巻き付かせ、ベッドにうずくまった。

「ぐすん! ぐすん!」
「ロザリー、泣くな。別にあたくし、そんなお前も嫌いじゃないぞ」
「お黙り! 完璧体型のあなたに言われてもなにも説得力がないのよ!」
「この体を維持するのも大変なんだぞ。男は細いからな。あたくしもキッドになるためにこの体を維持する努力をしているのだ。一緒に鍛えるか?」
「いやよ! あたし、運動なんてごめんだわ。植物ちゃんたちを育てるだけで満足よ!」
「やれやれ。努力をしない奴は言い訳をべらべら並べることに長けている」
「もう寝る」
「待って。あたくしも寝る」
「寝る前にカギ解除して」
「はっ、そうだった」

 クレアがベッドから離れ、細工していたカギを解除する。ドアが開くようになり――振り返る。

「トイレは?」
「さっき行った」
「電気消すぞ」
「ん」

 明かりが消えた。部屋が暗くなる。

「暗くなるとなにも見えないな」
「当たり前でしょ」
「そう怒るな」

 クレアが狭いベッドに入ってきた。テリーもまた狭くなる。

「ダーリン、こっち向いて」
「もう寝るから」
「寝る前のキス」
「……」
「ん」
「……はー……」

 テリーが振り返り、クレアに体を向ける。軽く唇を押し付けると、クレアの唇に触れた。暗闇に慣れた目でかすかに見えるクレアの目を見つめる。

「……おやすみ」
「ダーリン、ちょっと話そう?」
「なによ。もう眠たいんだけど」
「最近どのゆーちゅーばー見てる?」
「ねーーーえーーー」
「ダーリンの声がききたいの。ね? お話しよ?」
「夜ご飯中に散々話したでしょ」
「あたくしもっと話したい」
「クレア、もう寝ましょう?」

 クレアの手がテリーの腰を掴んだ。

「明日寝坊するわよ」
「夕方までに城に戻れば問題ない」
「クレア」
「もったいないではないか。せっかくテリーが泊まりで来てるのに」

 しかも、一緒のベッドで寝て、

「裸同然の格好でそばにいるのに」
「ひゃっ」

 突然頬にキスをされて、――クレアの手がテリーの体に触れ、驚いて肩が揺れる。

「クレア、ちょっ」
「いい生地だな。さわり心地がいい」
「このっ……セクハラ姫……んっ……」
「ほう。これは楽だ」

 クレアの両手がレースの中に入っていき、テリーの腹を上に向かってなぞりだす。

「わっ!」
「くくっ。ぷにぷにしてる」
「……ダイエットするもん……」
「このままでいい。……さわり心地がいいからな」
「んっ」

 唇が塞がれる。クレアがそのまま馬乗りしてきた。

「ん、んんっ」

 クレアの手がテリーの体をなぞる。

(ちょ、これ、また、いつものパターン……!)

「く、クレア……!」
「ダーリン、したくなってきた」
「だめ。もう寝るわよ」
「一回だけ」
「またそう言って何度もするんでしょう!? だめ!」
「一回だけ」
「クレ……」

 クレアがキスをしてきた。

「んぐっ」

 熱い舌がテリーの口の中へと侵入してくる。

「んっ、んん、んん……!」

 クレアの指が優しく体をなぞっていく。

「んっ!」

 くすぐったい。

「ん、んぅ……!」

 クレアが唇を離す。

「けほっ、ク、クレア、いい加減に……!」
「はあ……♡」

 クレアが息を吐きながら上体を起こし、……テリーの両足を左右にぱかりと開かせた。

「ひゃあああ!」
「ああ、いい。テリー……♡」
「いい、じゃなくて!」
「やっぱりこのネグリジェ、こういうとき専用なのだな♡」
「……え?」

 クレアの指がテリーのパンツをなぞる。

「なに? それ、どういう意味……」
「テリー、穿くとき気づかなかったか?」

 クレアがテリーの耳に囁いた。

「このパンツ」

 穴が開いてるんだぞ。

「ここ♡」

 指が穴を通り、テリーの敏感なところに触れた。

「きゃっ!」
「おや。……くひひっ」

 これはどういうことだろう。

「M字開脚テリーちゃん。足開かれて、興奮しちゃったの?」
「ひっ、う、うるさ……!」
「おい、とろとろではないか……♡ ダーリンったら、いけない人♡」

 クレアの指が直接ラインに沿ってなぞっていく。そのたびにテリーの体がびくりと跳ねた。

「あんっ!」
「体は正直だな。テリー」
「んっ、ちがっ、これ、は……!」
「ダーリン。ここかたいね。……ほぐそうね♡」
「あっ、やっ、だめ、だめっ、そこ、……あっ……!」

 指が当たる。グリグリと押し付けてきて、こすりつけてきて、どんどん体に力が入っていく。

「どんどん溢れてくるぞ。テリー」
「やめっ、あっ、クレ……ア……!」
「ダーリンったらどうしたの? このかたいところ、直接ぐりぐりされてるだけなのに、そんなはしたない声出しちゃって……」
「んっ、んっ、んっ、んっ……!」
「グチュグチュ聞こえる。くひひっ、ダーリン。これ、ダーリンの音だよ? きこえてる? この水の音……♡」
「はぁっ、はぁっ……!」
「くひひひっ! もー……! ダーリンのえっち……♡!」

 クチュクチュクチュクチュ♡!

「口では嫌がってるくせに……こんなに音出して……♡」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ……!」
「イキそう?」
「やめっ、クレア、やめっ、やめっ……!」
「うん。……一回、イこっか……♡」

 クレアの指が、奥まで押し込まれた。

「あっ……!!」

 テリーの奥から、なにかが走ってきた。

(……だめっ……!!)

 ――………~~っ……!!

 テリーの腰がびぐんっ!! と痙攣した。

「あっ……」

 その瞬間、クレアの指が中できつく締め付けられる。

「あっ、ダーリンったら」
「……っ……」
「くひひ。すごい。ぎちぎち締め付けてくる……! はあ……。……ぴくぴくしてて、かわいい……」
「……、……っ……、……はっ……、ぁ……」

 息を吐けば、体全体の力が抜けていく。

「はぁ……はぁ……」
「ふう。ふふっ、くひひっ! ダーリン。……すごく……えっちな顔してる……」

 クレアが舌なめずりする。

「もっと気持ちよくなろうね……♡」
「……ばか……」
「ほーう? まだ元気いっぱいのようだな?」

 クレアの指が一本追加された。

「ひっ!」
「ならば付き合ってやろう。仕方ないな。ダーリンってば」
「クレア、もっ、むり……」

 さっきよりも緩くなった中で、指が動いてる。

「や、あ、あ、あ……」
「ん、いい声……」
「んぐっ」

 口をふさがれ、またクレアの手がテリーの体をなぞる。テリーの口内にクレアの舌が徘徊し、舌が絡まり合う。

(熱い、熱い、熱い……)

 ぼうっとしてきたら、下が動く。

(あっ!)

 クレアの手がブラ部分に入ってきた。

(あ、え、うそ……! 今、触られたら……!)

 直接かたくなった先端を触られたら、テリーの腰がまたびぐんっ! と揺れた。

「んぐっ!」

 また快楽の波が押し寄せてくる。

「ん、ん、ん……!」

(そんな、一気に……!)

 下に入ってる指が抜かれた。

(あっ……)

 また入れられる。

(あっ!)

 引っ込んだり、入れてきたり、引っ込んだり、入れてきたり。胸が揉まれ、先端をつままれ、優しく転がされ、つままれて。口では舌に巻き付かれて。

(クレア、だめ、また、あたし……!)

「ん、んっ、ん、んっ……!」

(だめっ、もう、我慢、できなっ……!)

「んんんんんっ……!!」

 ――どろりとしたものが出てきた。

「……ふはっ……」

 クレアが唇を離した。

「はぁ……。ふふっ、テリー、気持ちいいんだな……」

 とろけた顔してる。

「あたくしも、もうがまんできないから……」

 クレアがテリーの腕を引っ張って、上体を起こさせた。

「テリーが上ね?」

 クレアが下に倒れ、足を開き、テリーのあそこと自分のとがくっつくように重なり合わせた。当たれば、テリーの腰がふたたびぴくりと揺れた。

「ぁっ……」
「あ、すごい。テリー、当たってる……」

 パンツ脱いでないのに、穴が開いてるから。

「はあ、もう、びしょびしょ……」

 ゆるりと、クレアの腰が揺れ始めた。

「っ」
「ダーリンも動いて」
「ん、……っ……」

 言われて、テリーも真っ赤な顔で腰を動かし始めた。それを見て、つい、クレアの口から笑い声が漏れる。

「ふひひっ」

 恥ずかしそうな顔で、テリーが腰を揺らしてる。あ、当たってる。ちゅくちゅく言ってる。

(あっ♡ すごい♡ テリー……♡)

 上から頑張ってるねぇ♡

(ほら、もっともっと動かせ)

 はしたない顔でいやらしくお互いの腰が揺れる。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
「あっ、テリー、いい、これ、きもちい……」
「クレア……っ……」
「ん、ゆっくり、やさしく……♡」
「はや、はやい、ってば……」
「んっ、あっ、すごい、あっ、あん、あっ、テリー……!」
「んっ、んっ、あっ、んっ、ひゃっ、あっ……」
「あっ、イきそう……、これ、あっ、すごすぎて、んっ、そろそろ……」
「クレア、あたし……っ、も……」
「一緒にイク? イケそう?」
「わか、な……」
「あっ、そこ……!」
「ひゃっ、」
「あっ、テリー、そこ、いい……!」
「やっ、はやっ、だめっ……!」
「あっ、イク、テリー、イク、イク、イクぅ……!」
「あっ……っ……!」
「んっ……!」

 お互いの視界が、一瞬、真っ白に光った。

「……っ」

 テリーがふらりと体を揺らした。

「……」

 しかし、クレアと重なってることに気が付き、意識を保たせ、足を閉じ、クレアの横に倒れた。

「……」

 クレアが荒くなった呼吸を整える。

「……」

 テリーが過呼吸にならないよう、深呼吸する。

「……」

 クレアがテリーに顔を向けた。

「……もう一回……♡」
「ぶん殴られたいの……?」
「あたくし……まだ……一回しか……イッてない……♡」
「あたしは……もう無理……」
「まだ……足りない……」
「だめ……」
「……はあ……」
「……キスしてあげるから……それで許してくれない……?」
「ん」

 突き出された唇に、テリーがキスをした。クレアの額から汗が流れた。

「……くひひ……」
「お願い。今日は……もう、寝かせて……」
「体力のない奴め……」

 クレアがテリーを抱きしめ、頭にキスをした。

「朝起きたら……シャワー入ろうね」
「……そうする……」
「一緒に」
「入らない」
「まだなにも言ってない」
「嫁入り前」
「……はいはい。そうですね」

 嫁入り前なのに、こういうことはしていいのか? おい、テリー、貴様、色々と矛盾が見えるのではないか?

「……ん」

 寝息がきこえる。目の前を見たら、テリーが安らかに眠っていた。

「……まだ足りないのに」

 もう一度だけ頭にキスをして、クレアが微笑む。

「おやすみ。ダーリン」

 セクシーネグリジェ、ある意味成功だな。

(……また買ってこよ……)

 クレアもそこでまぶたが下りて……夢の中へと旅立った。

 夏の夜のベッドに、セクシーネグリジェを着た二人が向かい合い、安らかに眠る。










 翌朝。


「キッドや」
「んー?」
「もう少し声を落としてくれ」
「……」

 キッドがビリーに振り向き、にやりとした。

「くくっ。……ごめんね。じいや。昨晩はすごく盛り上がっちゃってさ……」
「あの子はまだ17歳だぞ。無理をさせるんじゃない」
「可愛かったよ。もう、すごく可愛くて……すげーエロかった……」

 キッドがにやけながらファッション誌を開いた。そのページは下着特集。

「次はどれにしよっかな……」
「はあ」

 いやらしい笑みを浮かべるキッドを見て、また近いうちにテリーが腰を押さえながら二階から下りてくることを予想して、ビリーがため息を吐いた。





 下着選びは命がけ END
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