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番外編(高校時代)
靴下
しおりを挟む月子はいつも下を見てる。
靴とか汚れてたらすぐ気付く。
だから靴下は結構大事なのだ。
(あ、これ穴空いてる)
捨てよ。
(新しい靴下どうしようかな。あ、これワンちゃんだ)
買ってみた。
「……あれ、今日犬なんですか?」
ほーら、気づいた。
「あ、そうなんだ。猫のやつ穴空いちゃってさ」
「あれ可愛かったのに」
「そうなんだよ。でもこれも可愛いから」
「可愛いです」
私の靴下の犬を見て、月子がへにゃあ、と笑う。
「可愛い」
(月子の方が可愛い)
私もへにゃあ、と笑い、月子と学校へ行く。
「小テストやばかった」
「あー、受験に響くー……」
(月子大丈夫だったかな?)
料理部で聞いてみる。
「えっ、47点?」
「……」
「おけおけ。えーっと、ちょっとだけ夜時間ある?」
夜に月子の家で勉強会。
「リンちゃんいつもごめんねぇ! これ、良かったら……」
「あ! 魚好きなんです! やったー!」
焼き魚を食べながら、月子の勉強を見る。
「で、答えは?」
「3……」
「そうそう!」
「ふぁーーー」
月子が机に突っ伏した。
「頭かち割れそう……」
「でもこれだけわかってれば次は大丈夫」
「すみません……こんな時間まで……」
「大丈夫、大丈夫」
……月子の靴下が目に入った。あ。
「月子、穴空いてる」
「え、あ、嘘。わーー最悪。気に入ってたのに」
「……それさぁ、捨てる?」
「え?」
「1回くらいなら縫って使っても良いんじゃない?」
月子がきょとんとした。
「確かに」
「私もよく縫ってるよ。縫いすぎてサイズ小さくなったら捨てるけど」
「え、先輩、意外と節約家!」
「それ縫うからかーして」
「あ、でも、これ、洗ってから……」
「大丈夫だよ。こっちでやっておくから」
「え、でも、臭いし」
「洗うから大丈夫」
「……え、じゃあ……」
月子が靴下を脱ぎ、袋に入れて私に渡した。
「すみません、粗末なものを……」
「大丈夫、大丈夫」
月子の脱ぎたて靴下。
「やっておくからさ」
――家に帰ってから、すぐに部屋で吸った。
(……月子の足の匂い……)
鼻にツンとくる月子の足の匂い。
(あ、これいける……)
ベッドに倒れながら、匂いを嗅ぐ。
(はぁー……これ……)
すごい。
「……」
指が動く。
「…………」
月子の匂いが、体の奥まで届く気がする。
「…………………」
体が震える。だが、止められない。匂いに包まれ、指が動き、――力んでた体が一定までいくと、固まった。
「っ」
脱力し……月子の靴下を抱きしめる。
(……これ欲しいー……)
やばい。これは刺激が強すぎる。癖になりそう。
「はぁー……、……お風呂入ろ……」
私は起き上がり――その2日後、綺麗になった靴下を月子に渡した。
「えー! 穴が塞がってる!」
「へへーん!」
「ありがとうございます! これ気に入ってたので……」
月子がチョコレートを渡した。
「あの、これお礼です……」
「あ、いいよ、別に。私がやりたくてやってるから」
「でも……」
「てかさ、なんか思ったのよ。裁縫の技術って必要だなって。他にも穴空いてる靴下とかない? 月子のなら練習したいなって思ったんだけど」
「あ、え、あ、じゃあ……あの……気に入ってて捨ててないのが……あって……」
「あ、やろうか?」
「えーー助かります……!」
「でもさ、いちいち取りに行ってたらまた夜遅くなるし、月子履いてきてくれないかな」
「あ、そうですね! わかりました! 履いてきます!」
「ありがとー!」
月子の手を握りしめ、笑みを浮かべる。
「助かるよ」
「こちらこそです! いつもありがとうございます!」
「裁縫って意外と楽しいんだね」
「あたしも今度やってみます!」
「じゃあ私の靴下でやってみる?」
「あ、いいですね!」
可愛い月子の手が、今日も私の手を握りしめる。
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