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ミドウ村
第411話 ミドウのギルド
このギルドの建物をデザインしたのがチアキさんだと聞いて、それは大陸のギルドと共通点があるのも当たり前かと思った次第。チアキさんはご自身がよく遊んでいたゲーム世界のギルドを思い出しながら、良いトコ取りをしながら作ったのだという。
「あらぁ、チャーキ様がお越しになるなんて、どうなさったんですの?」
「やあやあ、今日は俺じゃなくて彼女の為にね。ここの転移陣ってあっちの大陸にも送れるんだっけ?」
気安い感じで受付嬢とやりとりしているチアキさんを見て、そういえばこの人はこの村でどういう立場の人なんだろうと思う。勇者というのはあちらの大陸での称号で、それも捨ててチアキアサカになったと言ってたしね。
「ルイスさん、チアキさんって村長さんなんですか?」
「あ、そういえばお伝えしていませんでしたね。村長はベルフォンスの父ですので違うんですが、それよりも上というか……」
「この村を作ったのがチャーキじゃから村長のようなもんじゃがな、面倒じゃからと嫌がったんじゃ。自分より長命種の奴らが多いのだから、そいつらでやれと言ったから村長じゃないだけじゃな」
「面倒だろう? あとはこの大陸にギルドシステムを作るのに結構色々移動してたしな。家だけ作って放浪してたようなもんだ。だからそんな偉いもんじゃない」
そっか、ギルドのシステムなんて誰かが作って持って来ないと出来ないもんね。それがあちらで創設した人なら難しいことではなかったって事か。なんだかんだ言いながら面倒見がいいというか、困った人は放っておけないタイプの人なんだろうね。
ちなみに猫獣人のミケさんがあの家にいるのも、他の集落を回っている時に孤児になってたミケさんを拾ってきたから。
ミケさんはニャン様姿のままなんだけど、あれは人化できないからニャン様のままでいるんだって。
リルベルッティでは獣姿でいる人も多いみたいだけど、人化できるけど獣多めの方が楽だからという理由でそうしているだけで、全く人化出来ないというのは一人前の獣人ではないと見做されるんだって。ミケさんは成人になった時点で人化が出来なかったという理由で家族に捨てられたそうで、人化が出来ないというのは差別の対象にもなるから、地元の集落では仕事もさせてもらえなかったんだって。なんか、どこにでもそんな事があるんだと思って嫌になるね。
でもチアキさんはモフラーだし、獣姿ではあるけど仕事もできれば会話もできる、全く問題ない! って連れて帰ってきたらしい。うん、何か想像つくよね。
「よかった、ヴィオ、転移陣は大丈夫だって。あっちからも時々荷物を届けてもらってるから、ちゃんと動いてたみたいだ」
どうやら転移陣がちゃんと稼働しているのかどうかを確認してくれていたらしい。ありがとうございます。
「あら、お嬢さんがお手紙を送るのかしら?」
「はい、これギルドカードです。〖グロンディール大陸〗のリズモーニ王国、プレーサマ辺境伯領都、サマニア村の冒険者ギルドに送れますか?」
「あら、結構細かい指定なのね。えっとちょっと待ってね」
お姉さんはちょっと焦った感じで奥に行ってしまった。あちらでは『領地名』と『ギルド名』を告げれば良かったんだけど、大陸が違ったから国名から伝えたんだけど……。
しばらく待てば、お姉さんが戻ってきた。
「お待たせしちゃったわ。ごめんなさいね、ここからの転移陣の設定が『メネクセス王国』『リズモーニ王国』『オリオール国』『フラミス国』『バースユイ国』『リロトマ国』各国の首都にあるギルドね。
そこだけしか通じてなかったの。その国の領地にっていうのであれば、そこからさらに転送してもらう感じになっちゃうわ」
成程、オリオール以降の名前は共和国の南部にある領地名だね。って事はまだ小国時代にチアキさんがこっちに来たからそうなってるのかな。北部が含まれないのは奴隷云々の事が原因だろうね。メネクセス近郊の小国は入ってないけど、竜人族の人達が移動したことのある場所かどうかって感じなのかな。皇国が無いのはまあ、うん、仕方がなさそうだね。
「あ、じゃあリズモーニ王都のギルドで大丈夫です。ちょっとだけ書き足して封筒を入れ直してもいいですか?」
「ええ勿論よ。お手紙の道具は必要かしら?」
それは持っているから大丈夫と断り、空いているテーブルを借りてドゥーア先生宛にお手紙を書いた。
《ドゥーア先生こんにちは、突然のお手紙を失礼します。実はこの間誘拐されまして――》
いや、何か違うか。いきなり誘拐の事とか言われてもびっくりするよね? 書き直そう。
《ドゥーア先生こんにちは、突然のお手紙を失礼します。
今私は別の大陸にいます。先生のお話に出ていた翼人族の人も住んでいるという大陸は本当にあったのです≫
ん~、知的好奇心満載の先生にこれを送ったら、絶対に見に行きたい! となりそうだよね。それってどうなんだろう。ここの人たちはあちらの大陸から逃げてきた人たちもいるから、出来れば存在を知られたくないかもしれないよね。そしたら書かない方がいい?
「どうした?」
「あ、チアキさん。ん~、私の恩師が王都にいるので無事を伝えようと思ったんですけど、この大陸の事を伝えてもいいのか悩んでて……」
手元を覗きに来たチアキさんに聞いてみた。
ああ、ベル君とルイスさんは地下訓練場に身体を動かしに行ったので不在です。
「いいんじゃないか?」
「え?」
軽く返答があったけどいいの?
「ああ、来ようと思ってこれる場所じゃないしな、来れるような奴は竜の友達がいる奴くらいだろう? それ以外でやばいのが来たとしても、余程の大群じゃなければプチッとされるだけだろうから心配はいらないぞ」
あ~、そういうあれですね。めっちゃ納得です。
性善説かと思ったけど、ビッチ聖女を知っているチアキさんがそんなに甘い筈がありませんでした。
という事で、この大陸にいる事、しばらくはこちらで鍛えるつもりなこと、こっちにも面白いダンジョンがあるようだから沢山経験してくるつもりである事、それから同封している手紙をサマニア村に送ってほしいことを書いて封筒に入れた。
念のために魔法封をチアキさんがかけてくれたので、ギルド職員が勝手に開封することはないだろう。
どうか無事に先生の元へ届きます様に。
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