268 / 619
閑話
〈閑話〉メネクセス王国 23
銀ランク上級〔土竜の盾〕リーダー テリュー視点
「で、あんたがあの時 薬局の美人親子襲撃事件に巻き込まれたって聞いてんだけど、その後の娘の事何か知ってる?」
「…………」
「巻き込まれって聞いてたけど、あなた魔法使いよね? さっきから魔力で何しようとしてるの?闇魔法だよね、それ」
「!?」
「闇魔法ね……。って事は巻き込まれた一般人じゃなく 暗殺者仲間確定って事で良いな?」
巻き込まれでケガを負った男は その後 教会に預けられて 治療を行われたことで回復、今は下働きである修道士として働いていると聞いて教会に来た。
だが 待合の応接室に到着した男を見て こいつは巻き込まれた住民などではなく 襲撃者側の人間だとすぐに分かった。
目つきが常人のそれとは違い過ぎた。
闇の世界に染まり切った奴だ。
俺たちはギルドの依頼で盗賊や山賊を相手にすることもある。そういった奴らは皆コイツと同じような濁った眼をしてた。
「俺は仲間に見捨てられただけだ。裏切者は逃げた」
俺たちが魔力視で確認していることが分かったらしく 大人しくなった。
ランクを聞けば銀の上級だという。俺たちと同じだというが 共和国出身だというし まともな依頼以外でランクを上げて来たんだろうと推察する。
あの国は 小さな国の集まりだから 元の国の方針が緩いと銀ランクまで簡単に上がることができるからな。まあ、結局その後 金ランクの壁に阻まれるわけだけど、俺たちみたいに貴族と関わりたくない組もいるから 銀の上級は有象無象の集まりとも言われてんだよな。
「お前が裏切られたかどうかはどうでもいい。あの母娘の娘の事を聞きたいの。何か知ってるなら言って」
「子爵に連れていかれた、養子にするつもりだって言ってた」
ダン!
「ひっ!」
「それは知ってる。その後の事を聞いてるの。お前はそれを知ってるのでしょう?
そのうち子爵を脅せるネタを持ってるからって 酒の席で漏らしたことがあるんでしょう?」
テーブルの上に出ていた男の手の指と指の間に 短剣が深々と刺さっている。
何の迷いもなくそこに短剣を突き刺したネリアは 真顔のまま 質問を続けている。怪我をしても回復するからって事なんだろうけど、知らない相手からしたら恐怖しかないだろうな。
2本目の短剣を腰のマジックバッグから取り出したところで 男が震えながら話し出す。
「あ、あの日 貴族が連れて行ったあとをつけた。下働きとしてあの屋敷に潜り込めば 魔道具を奪えると思って」
「魔道具?」
「ああ、あの娘が持ってたマジックバッグだ。容量によるがマジックバッグは金になる。
仲間に裏切られて 金も名誉も無くなった。だからせめて金目の物を探しに行ったが店は既に荒らされた後だったからな」
だからマジックバッグを持っているヴィオをつけた。
全部本当のことを言っているとは思えないけど、嘘でもないんだろう。まあそれは良い。
視線で続きを促せばごくりと生唾を飲み込み続ける。
「あの日に何があったのかは流石に分からねえけど、あの娘が殺されて運び出されるのは見た」
「は?」「なに?」
「なんですって!?ヴィオが殺されたっていうの? ちょっと ハッキリ言いなさい。どういうこと、見間違いではないの?」
男の言葉に激高したのはネリアだ。男の襟を掴み上げて ガクガクとしているけど 机に乗り上げているから 短剣が男の手に深く刺さっている。
「あがががががが」
「なに言ってんのか分かんないわよ!ヴィオはどうしたの!」
「ネリア、ネリアちょっと待て、剣が刺さってるから」
ネリアを男から引きはがし とりあえず回復薬をぶっかけてやる。
「な、な、お前ら いかれてるぞ。こんなの尋問じゃねえか。俺が何し……んぐっ」
「うるさい、暗殺者ギルドに関わりがあるやつが何言ってんの?」
シエナが両頬を掴み 男の顔を引き上げる。うまく喋れないのと 指が頬にめり込むくらいになってるから痛いのだろう。
「シエナ、まずは話を聞こう。
それから お前さんが闇ギルドと関わりがあるってのは 既にギルドの照会で分かってる。
ちょっとそれを調べるのに時間がかかったけど この国にいる間はギルドがねえからバレねえと思ったかもしれないけどな、共和国ではお前ら指名手配されてっから。
俺らはお前を捉まえて引き渡せば この聞き取り調査も問題なしって事だな。
だが俺たちはヴィオの事を探している。お前のことは二の次だ、だから分かってることを話した方がいいと思うぞ」
元々アイリスが襲撃された事に対して調べは入っていた。
まあ貴族が直接かかわっていないかどうかという 自分たちの身の潔白を知らせるためのものだったのは腹立たしいが、その中で隣町の破落戸以外に 共和国出身の冒険者が関わっていたことが分かった。
メネクセス王国のギルド所属の冒険者もいたが 素行が悪く 国内のいたるところで問題を起こしていた奴らだとすぐに分かった。
国内で依頼が受けれないから国外へと思ったのか それは分からない。
で、もう一組が共和国出身のこいつらだ。
国を跨いでいるから調べるのに時間がかかったが 獣人の子供、貴族の子供、聖属性もちの誘拐事件に関わっていた可能性が高く 引っ張る予定が国外に逃げられて探していた。という情報がヘイジョーから来たって訳だ。
そのパーティーの主要人物だったのか、置いて行かれたくらいだから下っ端だったのか、だけど実際に会った感じだと 多分こいつは主要人物の方だと思う。
闇属性をこれだけスムーズに使える奴が 下っ端でいる筈がないしな。
という事は それでも置いて行かれたという事は 余程人望が無かったか、逃げたやつらが下っ端で 嫌気がさしたかだな。
ちなみに指名手配されている奴は4人、クズ、ゲドゥ、ジミン、ディス。クズとジミンはギルドタグがあった事で死亡した破落戸の中にいたことは判明している。
「という事で お前はディスかゲドゥのどっちだ?この町で名乗ってるのは偽名なんだろ?」
まあそういう訳で こいつは皇国から出たら いつでもギルドに引っ張れる状況な訳だ。
それが分かったらしく 大人しく座り込んだ。
「馬車に乗ってたのは あの屋敷の執事だ。ブチブチ文句を言いながら『ごみ処理は自分の仕事じゃない、この町だと顔がバレるから ロッサ村にいく』って言いながら荷台に子供を放り込んでたんだ」
「で?お前はロッサ村に行ったんだろ?」
ビクッとするけど 気付かない筈がないだろう 舐めてるのか?
マジックバッグを狙っているなら死体からの方が奪い取りやすいんだからな。
アイリスのマジックバッグは一見するとただのズタ袋だ。敢えてそうした方が狙われないと言っていた。それを持ってたなら 貴族は気付きもしなかっだろうし そのまま捨てた筈だ。
「いなかったんだ」
「は?」
「馬車の後を追って 隣町に行ったけど、俺が付いた時には 子供はいなかった。
捨てなかったとは思わない。戻ってくる馬車にすれ違った時 子供が入ってなかったのを確認したしな。
だけど、多分捨てられたはずのゴミ場には いなかった。ただ……」
言い淀む男は 両サイドからの冷たい視線に 視線を落としたままぼそりと呟く
「多分死んでなかったんだと思う。まだ村人も起き出す前だったのに ゴミ場から川まで点々とゴミが落ちてたんだ。
だから 川に向かったんだろうと思ってる。この国は魔魚もいないけどあの水量だ。深さも結構あるしな、結構探したけど結局見つからなかった。多分溺れて死んだんだろう、勿体ないことをした」
子爵には 娘は生きていて お前たちに復讐しようとしているとでも脅すつもりだったらしい。
話を聞き終えたことで (推定)ゲドゥに回復魔法をかけ クリーンで服についた血液も綺麗にしてやる。これで無茶な尋問をされたなどと誰も信じないだろう。
とりあえず男との話が済んだことで 教会から出る。
ここからでもよく見えるレミスドーレ山脈を見つめてしまう。
「ロッサ村は私の実家のあった町。あの川は山脈から流れてきていると思われてるけど違う。
皇国にある山が水源で リズモーニに流れてる。他の町の皆は気付いてないけど 川の流れている幅だけ山に穴があるの」
「それって、じゃあ」
「シエナ、山を越えたら結界は無くなる。川には魔魚もいるんだ。溺れてなくても魔魚にやられる可能性が高いだろう」
ネリアの情報に シエナの表情が明るくなるが それは期待できないだろう。
あの山近くにあるプレーサマ領地は 凶悪な魔魚が多い。特に風の季節は稼ぎ時とばかりに冒険者が集まるレベルの 魔法を使う魔魚までいる魔境だ。
俺だって 生きてプレーサマに流れ着いてくれてたらと思うけど……。
「ううん、可能性はなくないと思う。こないだ話したでしょう、アイリスの魔道具の事。
あの時 ネックレスだけじゃなくて 色変えの魔道具のことも話してたの。
自分の珍しい髪色が目印になる可能性があるから 国外に出るまでは 敢えてそのままにしておくけど、出た後は色を変えるつもりだって。
ヴィオの場合は目もフィルとお揃いでしょ?だから両方変えれるようにって。
見せてもらった魔法陣は複雑すぎて意味わかんなかったけど、ヴィオの護りにもなるようにとっておきを込めたって言ってたの」
「ネックレスは目立つから 奪われる可能性を考えてたのかもね」
「うん、そう思う。イヤーカフ型にしておけば 髪を下ろしてたら分からないだろうって言ってた」
「とっておきってどんな?」
「うん、ヴィオの身に危険が迫った時、特にネックレスの時みたいに自分で発動できないような状況に陥った時に聖結界をヴィオに纏わせるってものだったわ。
発動したら一定時間結界に護られる分 色変えは解けちゃうけど生死にかかわるならしょうがないよねって。だから」
「ああ、もしそれが発動してたら 無事リズモーニに到着してるかもしれないな」
アイリスのとんでも魔道具だから十分にあり得そうだ。
もしそうであれば リズモーニに行けば分かる。可能性が高いなら 魔境村サマニアにいるかもしれねえ。
「とりあえず あいつらにも教えてやらねえとな。
ネンシーに戻って、エクロヤに行ってから リズモーニ入り、そっからだと 早くても火の季節か」
それこそ山越えできれば手っ取り早いが 命がいくつあっても足りねえからな。
伝令係をしてくれた皆にも早く伝えてやりたいし、よし、メネクセスに一旦帰ろう!
ヴィオ、お前が生きてると信じてる。待ってろよ!
「で、あんたがあの時 薬局の美人親子襲撃事件に巻き込まれたって聞いてんだけど、その後の娘の事何か知ってる?」
「…………」
「巻き込まれって聞いてたけど、あなた魔法使いよね? さっきから魔力で何しようとしてるの?闇魔法だよね、それ」
「!?」
「闇魔法ね……。って事は巻き込まれた一般人じゃなく 暗殺者仲間確定って事で良いな?」
巻き込まれでケガを負った男は その後 教会に預けられて 治療を行われたことで回復、今は下働きである修道士として働いていると聞いて教会に来た。
だが 待合の応接室に到着した男を見て こいつは巻き込まれた住民などではなく 襲撃者側の人間だとすぐに分かった。
目つきが常人のそれとは違い過ぎた。
闇の世界に染まり切った奴だ。
俺たちはギルドの依頼で盗賊や山賊を相手にすることもある。そういった奴らは皆コイツと同じような濁った眼をしてた。
「俺は仲間に見捨てられただけだ。裏切者は逃げた」
俺たちが魔力視で確認していることが分かったらしく 大人しくなった。
ランクを聞けば銀の上級だという。俺たちと同じだというが 共和国出身だというし まともな依頼以外でランクを上げて来たんだろうと推察する。
あの国は 小さな国の集まりだから 元の国の方針が緩いと銀ランクまで簡単に上がることができるからな。まあ、結局その後 金ランクの壁に阻まれるわけだけど、俺たちみたいに貴族と関わりたくない組もいるから 銀の上級は有象無象の集まりとも言われてんだよな。
「お前が裏切られたかどうかはどうでもいい。あの母娘の娘の事を聞きたいの。何か知ってるなら言って」
「子爵に連れていかれた、養子にするつもりだって言ってた」
ダン!
「ひっ!」
「それは知ってる。その後の事を聞いてるの。お前はそれを知ってるのでしょう?
そのうち子爵を脅せるネタを持ってるからって 酒の席で漏らしたことがあるんでしょう?」
テーブルの上に出ていた男の手の指と指の間に 短剣が深々と刺さっている。
何の迷いもなくそこに短剣を突き刺したネリアは 真顔のまま 質問を続けている。怪我をしても回復するからって事なんだろうけど、知らない相手からしたら恐怖しかないだろうな。
2本目の短剣を腰のマジックバッグから取り出したところで 男が震えながら話し出す。
「あ、あの日 貴族が連れて行ったあとをつけた。下働きとしてあの屋敷に潜り込めば 魔道具を奪えると思って」
「魔道具?」
「ああ、あの娘が持ってたマジックバッグだ。容量によるがマジックバッグは金になる。
仲間に裏切られて 金も名誉も無くなった。だからせめて金目の物を探しに行ったが店は既に荒らされた後だったからな」
だからマジックバッグを持っているヴィオをつけた。
全部本当のことを言っているとは思えないけど、嘘でもないんだろう。まあそれは良い。
視線で続きを促せばごくりと生唾を飲み込み続ける。
「あの日に何があったのかは流石に分からねえけど、あの娘が殺されて運び出されるのは見た」
「は?」「なに?」
「なんですって!?ヴィオが殺されたっていうの? ちょっと ハッキリ言いなさい。どういうこと、見間違いではないの?」
男の言葉に激高したのはネリアだ。男の襟を掴み上げて ガクガクとしているけど 机に乗り上げているから 短剣が男の手に深く刺さっている。
「あがががががが」
「なに言ってんのか分かんないわよ!ヴィオはどうしたの!」
「ネリア、ネリアちょっと待て、剣が刺さってるから」
ネリアを男から引きはがし とりあえず回復薬をぶっかけてやる。
「な、な、お前ら いかれてるぞ。こんなの尋問じゃねえか。俺が何し……んぐっ」
「うるさい、暗殺者ギルドに関わりがあるやつが何言ってんの?」
シエナが両頬を掴み 男の顔を引き上げる。うまく喋れないのと 指が頬にめり込むくらいになってるから痛いのだろう。
「シエナ、まずは話を聞こう。
それから お前さんが闇ギルドと関わりがあるってのは 既にギルドの照会で分かってる。
ちょっとそれを調べるのに時間がかかったけど この国にいる間はギルドがねえからバレねえと思ったかもしれないけどな、共和国ではお前ら指名手配されてっから。
俺らはお前を捉まえて引き渡せば この聞き取り調査も問題なしって事だな。
だが俺たちはヴィオの事を探している。お前のことは二の次だ、だから分かってることを話した方がいいと思うぞ」
元々アイリスが襲撃された事に対して調べは入っていた。
まあ貴族が直接かかわっていないかどうかという 自分たちの身の潔白を知らせるためのものだったのは腹立たしいが、その中で隣町の破落戸以外に 共和国出身の冒険者が関わっていたことが分かった。
メネクセス王国のギルド所属の冒険者もいたが 素行が悪く 国内のいたるところで問題を起こしていた奴らだとすぐに分かった。
国内で依頼が受けれないから国外へと思ったのか それは分からない。
で、もう一組が共和国出身のこいつらだ。
国を跨いでいるから調べるのに時間がかかったが 獣人の子供、貴族の子供、聖属性もちの誘拐事件に関わっていた可能性が高く 引っ張る予定が国外に逃げられて探していた。という情報がヘイジョーから来たって訳だ。
そのパーティーの主要人物だったのか、置いて行かれたくらいだから下っ端だったのか、だけど実際に会った感じだと 多分こいつは主要人物の方だと思う。
闇属性をこれだけスムーズに使える奴が 下っ端でいる筈がないしな。
という事は それでも置いて行かれたという事は 余程人望が無かったか、逃げたやつらが下っ端で 嫌気がさしたかだな。
ちなみに指名手配されている奴は4人、クズ、ゲドゥ、ジミン、ディス。クズとジミンはギルドタグがあった事で死亡した破落戸の中にいたことは判明している。
「という事で お前はディスかゲドゥのどっちだ?この町で名乗ってるのは偽名なんだろ?」
まあそういう訳で こいつは皇国から出たら いつでもギルドに引っ張れる状況な訳だ。
それが分かったらしく 大人しく座り込んだ。
「馬車に乗ってたのは あの屋敷の執事だ。ブチブチ文句を言いながら『ごみ処理は自分の仕事じゃない、この町だと顔がバレるから ロッサ村にいく』って言いながら荷台に子供を放り込んでたんだ」
「で?お前はロッサ村に行ったんだろ?」
ビクッとするけど 気付かない筈がないだろう 舐めてるのか?
マジックバッグを狙っているなら死体からの方が奪い取りやすいんだからな。
アイリスのマジックバッグは一見するとただのズタ袋だ。敢えてそうした方が狙われないと言っていた。それを持ってたなら 貴族は気付きもしなかっだろうし そのまま捨てた筈だ。
「いなかったんだ」
「は?」
「馬車の後を追って 隣町に行ったけど、俺が付いた時には 子供はいなかった。
捨てなかったとは思わない。戻ってくる馬車にすれ違った時 子供が入ってなかったのを確認したしな。
だけど、多分捨てられたはずのゴミ場には いなかった。ただ……」
言い淀む男は 両サイドからの冷たい視線に 視線を落としたままぼそりと呟く
「多分死んでなかったんだと思う。まだ村人も起き出す前だったのに ゴミ場から川まで点々とゴミが落ちてたんだ。
だから 川に向かったんだろうと思ってる。この国は魔魚もいないけどあの水量だ。深さも結構あるしな、結構探したけど結局見つからなかった。多分溺れて死んだんだろう、勿体ないことをした」
子爵には 娘は生きていて お前たちに復讐しようとしているとでも脅すつもりだったらしい。
話を聞き終えたことで (推定)ゲドゥに回復魔法をかけ クリーンで服についた血液も綺麗にしてやる。これで無茶な尋問をされたなどと誰も信じないだろう。
とりあえず男との話が済んだことで 教会から出る。
ここからでもよく見えるレミスドーレ山脈を見つめてしまう。
「ロッサ村は私の実家のあった町。あの川は山脈から流れてきていると思われてるけど違う。
皇国にある山が水源で リズモーニに流れてる。他の町の皆は気付いてないけど 川の流れている幅だけ山に穴があるの」
「それって、じゃあ」
「シエナ、山を越えたら結界は無くなる。川には魔魚もいるんだ。溺れてなくても魔魚にやられる可能性が高いだろう」
ネリアの情報に シエナの表情が明るくなるが それは期待できないだろう。
あの山近くにあるプレーサマ領地は 凶悪な魔魚が多い。特に風の季節は稼ぎ時とばかりに冒険者が集まるレベルの 魔法を使う魔魚までいる魔境だ。
俺だって 生きてプレーサマに流れ着いてくれてたらと思うけど……。
「ううん、可能性はなくないと思う。こないだ話したでしょう、アイリスの魔道具の事。
あの時 ネックレスだけじゃなくて 色変えの魔道具のことも話してたの。
自分の珍しい髪色が目印になる可能性があるから 国外に出るまでは 敢えてそのままにしておくけど、出た後は色を変えるつもりだって。
ヴィオの場合は目もフィルとお揃いでしょ?だから両方変えれるようにって。
見せてもらった魔法陣は複雑すぎて意味わかんなかったけど、ヴィオの護りにもなるようにとっておきを込めたって言ってたの」
「ネックレスは目立つから 奪われる可能性を考えてたのかもね」
「うん、そう思う。イヤーカフ型にしておけば 髪を下ろしてたら分からないだろうって言ってた」
「とっておきってどんな?」
「うん、ヴィオの身に危険が迫った時、特にネックレスの時みたいに自分で発動できないような状況に陥った時に聖結界をヴィオに纏わせるってものだったわ。
発動したら一定時間結界に護られる分 色変えは解けちゃうけど生死にかかわるならしょうがないよねって。だから」
「ああ、もしそれが発動してたら 無事リズモーニに到着してるかもしれないな」
アイリスのとんでも魔道具だから十分にあり得そうだ。
もしそうであれば リズモーニに行けば分かる。可能性が高いなら 魔境村サマニアにいるかもしれねえ。
「とりあえず あいつらにも教えてやらねえとな。
ネンシーに戻って、エクロヤに行ってから リズモーニ入り、そっからだと 早くても火の季節か」
それこそ山越えできれば手っ取り早いが 命がいくつあっても足りねえからな。
伝令係をしてくれた皆にも早く伝えてやりたいし、よし、メネクセスに一旦帰ろう!
ヴィオ、お前が生きてると信じてる。待ってろよ!
あなたにおすすめの小説
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました
水谷繭
恋愛
メイベル・ホワイトは目立たない平凡な少女で、美人な姉といつも比べられてきた。
求婚者の殺到する姉とは反対に、全く縁談のなかったメイベル。
そんなある日、ブラッドという美少年が婚約を持ちかけてくる。姉より自分を選んでくれたブラッドに感謝したメイベルは、彼のために何でもしようとひたすら努力する。
しかしそんな態度を重いと告げられ、君といると疲れると言われてしまう。
ショックを受けたメイベルは、ブラッドばかりの生活を改め、好きだった魔法に打ち込むために魔術院に入ることを決意するが……
◆なろうにも掲載しています
【完結】遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【残り数話を持ちまして3月29日完結!!】
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
ガリ勉令嬢ですが、嘘告されたので誓約書にサインをお願いします!
荒瀬ヤヒロ
恋愛
成績優秀な男爵令嬢のハリィメルは、ある日、同じクラスの公爵令息とその友人達の会話を聞いてしまう。
どうやら彼らはハリィメルに嘘告をするつもりらしい。
「俺とつきあってくれ!」
嘘告されたハリィメルが口にした返事は――
「では、こちらにサインをお願いします」
果たして嘘告の顛末は?
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
【短編】「中身はいいけど顔がなぁ」と笑った侯爵令息。美人の姉目当てに地味ブスな私を利用したこと、謝られても手遅れです
恋せよ恋
恋愛
「……結局、男の人は、顔しか見ていないのね」
絶世の美女である姉エリザベスを狙う男たちから
「地味ブス」と蔑まれてきた伯爵家の養子アイリス。
そんな彼女に、幼馴染のアレンからの頼み事が。
友人レオナルドの「女嫌い」克服のため
彼と文通を重ね、アイリスは生まれて初めての恋を知る。
しかし、文通で育んだ絆は、すべて彼の「暇つぶし」と
「美貌の姉への足がかり」に過ぎなかった。
「アイリス? 中身はいいけど、顔がなぁ」
「俺、面食いなんだよ。あの子、おしゃれする気ないのかな」
冷めた令嬢と、後悔に悶える貴公子の、すれ違いロマンス!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!