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魔導学園へ
第244話 授業の計画 後半
ドゥーア先生、ブン先生、二人の先生たちの興奮を抑えるなんて出来ず、久しぶりにスキャン魔法をすることになった。
私のイメージ上、寝てやるのが一番効果的な事もあり 長椅子に私が横たわる。
お父さんは 一人掛けのソファーに移動してもらったんだけど、先生たちが ソファーの前後を挟むように ジッと見つめてくるのはちょっと怖い。
「じゃあやりますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
目を閉じて 自分の中の魔力をゆっくり動かしていく。
まずは丹田に意識を集中して 魔力を全身に巡らせる。
「おお、ヴィオ嬢の身体全体に魔力が行き渡っているのが分かりますよ。頭の先から足の先まで、これは非常に繊細な動きですが 素早くて素晴らしいですね」
先生の声をBGMに 今度は自分の意識を切り替える。上から自分を覗き込むような気持にすればいい。
「魔力が全身に行き渡ったら、自分の身体を覗き見たいという気持ちに切り替えます。そうすれば 真上から自分を見下ろしているような感じに視点が切り替わります」
目はつぶったまま 説明する。
サブマスにするときは 喋ると意識が散漫になって 失敗したけど、何度か練習することで出来るようになった。
「確かに 木魔法で木の中を見る時も 目の前のものだけを見ている訳ではなかったですから それが可能なのですね。
どこまで見ることができるのでしょう」
「多分希望すればすべてだと思います。ただし、人体についての理解力が無いと 無理かもしれません。きっと実際に剥いでいる訳じゃないですから、知識と記憶で補完していると思うんです」
「ヴィオ嬢は どこでそんな知識を……」
「彼女の母親は 聖属性を使う冒険者だったのだ。かなりの知識量から 貴族階級出身者ではないかと我々は考えている。母君の教えは多岐にわたっているのだ。
しかもヴィオ嬢自身も冒険者、自分で魔獣の解体もするのだ、オークやゴブリンは人型だから 臓器などの知識に詳しくても驚かん」
ドゥーア先生が ブン先生に説明しているけど、お母さんが貴族出身という事になってしまっている。
でも多分違うと思います。
だって貴族の人が『てめぇ』とか『剥げ散らかしたデブ領主』とか『自分より弱いやつは男じゃない、そんな奴からの愛は信じるな』とか言わないと思います。
それから オークもゴブリンも ダンジョンでしかお会いしたことが無いので 解体したことはございません。
そしてゴブリンは 討伐部位が耳ですし、魔石は心臓部ですので、耳を切り取って 心臓を抉り出すぐらいしか解体はしないと思います。言わんけど。
「臓器まで見えるので、もし病変があれば 見えるんじゃないかなって思ってたりしてます。
……ふうっ、終わりですが 分かりましたか?」
説明が終わったところで集中を終わらせて 起き上がる。
全身に魔力を行き渡らせるだけなので 消費魔力はそう多くない。
最初こそ 慣れない事をしたから 魔力を無駄に垂れ流したけど、今は消費することなく見ることができる。他人の時には消費するんだろうけどね。
「魔力の流れ、感覚は分かりました。まずは 木魔法でおさらいをしてみることにします。その後に自分で自分を確認してみることにしましょう。ヴィオ嬢、アルク殿、お付き合い願えますか?」
先生たちは試したくて仕方がないというワクワクを隠すことなく行動するから面白い。
畏まった貴族ならしんどいけど、ちょっと変人な先生たちとなら この数週間も楽しく過ごせそうだね。
結果として、木魔法は難なく成功、自分自身を確認するのは何度かやって成功。
自分自身の解剖を見るのは楽しいと大興奮でした。
で、先生二人が成功したので、ドゥーア先生がブン先生を鑑定することになったんだけど、これは失敗だった。
「うわっ、ゾワって来ます。流れ込んでくるところから ムズムズが酷くって これは無理ですね。
あれだな、魔力酔いの酷い症状にも似ているかもしれません」
強い魔獣のお肉など、高魔力のものを摂取したり、魔力回復薬の供給過多などで起きる魔力酔い。
吐気、嘔吐、めまい、頭痛、蕁麻疹、発熱、全身のかゆみ等々、色んな症状が起きるらしいけど その中のかゆみに似ているらしい。
それは凄く嫌だね。痛いなら我慢できても 痒いは辛い。
私も両手を繋いだ状態で先生から魔力を流してもらったけど、手の先からゾワゾワが酷くて続けることは困難だった。
「ですが、血縁者や夫婦ならいけるかもしれませんからね、少し実験してみようとは思います。あとは 麻酔で寝かせている患者ならどうかも実験してみたいですね」
研究者ですね。私は対ヒトにできない時点で諦めたけど、色々試してみてくれるなら お任せいたします。
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