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閑話
〈閑話〉サマニアンズ 3
〔サマニアンズ〕トンガ視点
〈ヴィオさんとアルクは ケストネル公爵領にある ダムを見に行ってから戻ってくるそうですよ〉
薄い封筒を開ければ サブマスの一言が添えられていた。
そっか、ダムが気になるとは言ってたしね、父さんとしても いろんな経験をさせてやりたいって言ってたから 遠回りして帰ってるんだろうな。
「ヴィオたちはまだ村に帰ってないみたい。
ダムを見に行くって東のケストネル公爵領地に行ってるみたいだから 帰るなら水の季節か 火の季節かもね」
「それだけ離れてるんじゃ 諦めて帰る可能性はあるな」
「そうね、だけど 一応気を付けるようには言っておいた方が良いわ」
「そうだね、ヴィオたちがウミユに行くことも相手は知ってた事を思えば 何らかの形で父さんたちの動きを追えてるのかもしれないし、サブマス達には伝えておくよ」
まさか まだヴィオの事を付け狙うやつがいるなんて 本当に鬱陶しい奴らだ。
そいつらの狙いは何だ?
「だけど そいつらの狙いは何なんだ?
前にヴィオが言ってたみたいな傀儡か政略結婚の駒にしたいと思ってんのか?
実際やんごとない人の娘だったわけだし、あいつらの飼い主は 侯爵ってやつなんだろ?」
僕と同じことを考えていたらしいルンガの発言に 皆も固まる。
ヴィオ自身が父さんと一緒にいることを選んだ今、無理にメネクセス王国に連れてくる必要もないとして 置いてきたけど、あいつらの目的が行方不明になった娘を見つけ出したとするのであれば 先に僕らと一緒に連れてきた方が良かったのかもしれない。
今更後悔しても遅いけど、まずは父さんたちに例の奴らはまだ諦めていない事を伝えておこう。
サブマスからは直ぐに連絡がきて 二人が戻り次第注意するように伝えること、それから村に余所者が来るなら警戒するように呼び掛けると言ってくれた。
ヘイジョーからも直ぐに連絡が届き、フィルさんにも 僕らがメネクセス王国に到着している事、後数週間で王都に到着予定である事などを伝えたとの事だった。
◆◇◆◇◆◇
水の季節の始まりの週末 王都に到着した。
リズモーニの首都を出て二か月弱というのは 共和国内を旅していた僕たちからすれば かなり早い移動だったんだけど、これも ヴィオが教えてくれた風魔法を使って走ったお陰だ。
〔土竜の盾〕のメンバーも使えるようになった事で 交代で魔法を使うことでかなりの距離を稼ぐことが出来たのが大きい。
「それで、王様と会うって やっぱり城に行くことになるの?
テリューたちは知り合いだからいいけど、僕たちはちょっと場違いじゃない?」
「馬鹿野郎、俺たちだって王様になったフィルと会うとか無理だわ。
会うのは城じゃねえ、ギルドの会議室を借りてる。ヘイジョーのギルマスが先に来てるはずだから紹介する」
マジか。
いや でもそれはそうか。
テリューたちが受けた依頼は国王陛下からの依頼だ。勿論受けた時は名を伏せてだっただろうけど、本人たちは分かっていることだ。
それの結果報告をするなら ギルマスが立ち会ってもおかしくはないか。
メネクセス王国のギルドは リズモーニと同じ作りになっており、ただ町の規模によって大小はある。
ここは王都だけあって かなり大きいけど 見た目はよく似せている。
「〔土竜の盾〕だ、ヘイジョーのギルマスと待ち合わせをしている。彼らは俺たちの同行者だ」
「〔土竜の盾〕の皆様ですね、マスターは 既にお待ちでいらっしゃいます。三階一番の部屋へどうぞ」
カウンターにギルドカードを出したテリューは 周囲に視線をやってから 小さな声で確認し、受付嬢も分かっていたのか カードの確認をしたら直ぐに目的の部屋を教えてくれた。
三階はギルマスの部屋だったと思うけど、このギルドはかなり階数が多く見えた。
三階に行けば 小部屋が幾つか連なっており、全てが会議室になっているのが分かった。
僕たちが案内されたのは角部屋だった。
コンコンコン
「どうぞ」
野太い男性の声が聞こえ テリューが扉を開ければ スキンヘッドの体格の良い男が座っていた。
ギルマスというには ガタイが良すぎる気もするけど、うちのギルマスも大概だったと思い 辺境のギルマスだったらそんなものかと思い直す。
「ギルマス、久しぶりだな」
「おお!戻ったか。ん? お前たち 一年半前より身体つきが良くなってないか?」
テリューたちの姿を見れば 眉間の皺が取れて 朗らかな顔になった。
僕たちと一緒に過ごした時間はそんなに長くなかった筈だけど、そんなに前から探してたのか???
「ああ、色々あったんだ。とりあえずまずは防音だな。オトマン頼む」
「もうやってる」
「流石だな、助かる。
ギルマスに紹介しておく、彼らは〔サマニアンズ〕ヴィオを保護してくれていた熊獣人のアルクさんの息子たちだ」
「〔サマニアンズ〕のリーダー トンガだ。こっちは弟のルンガ、幼馴染のクルトだ」
「そうか、ヴィオの……。
俺は ヘイジョーのギルドマスターをやっている ラースだ。
ヴィオの事を助けてやってくれてありがとう。感謝する」
立ち上がったギルマスが手を差し出してきたので握手を交わす。
ヴィオがヘイジョーにいたのは ほんの二年足らずだったはずなのに こんなに行方を気にしてくれる人がいたんだと少し嬉しくなった。
「まあ とりあえず座ってくれ。
フィルは この後お忍びで来るはずだ。日が落ちてからって事だったから それまでに話を聞かせてくれ」
どうやら王様は闇魔法が得意属性にあるらしく 気配を隠蔽してギルドに来るつもりだとの事。
合流するまでに テリューたちが依頼を受けてから ヴィオを探し出すまでの行動を、僕たちからは ヴィオがどんな女の子なのかの説明、それから 本人の希望で帰ってくる気がない事を伝えた。
「あとは 例の付きまといをどうするかって事だけど、そこはフィルの考えを聞いてからだな。
とりあえずサマニア村のギルマスたちには注意喚起しておいたし、あの村は全部がヤベエから 気を付けるって言ったなら大丈夫だとは思う」
あ~、そういえばテリューたちはサマニア村での聞き込みで断念したって言ってたもんね。
あの村は閉鎖的ではあるけど、受け入れた相手の事は大切にするから 一見の冒険者相手には警戒心が高かったんだろうね。
コンコン コン コン コンコンコン
報告が終わってからは防音結界も解き メネクセス王国で回っておくべきダンジョンの話や 水生成魔法の事などを話していた。
窓から見える外の景色が完全に夜になった頃、不思議なノック音が響いた。
ギルマスが立ち上がり ノックを数回返せば それに応えるように 数回ノック音が鳴る。
室内の皆が静まり返っていれば 扉が開かれ フードを深くかぶったローブのヒトが入ってきた。
〈ヴィオさんとアルクは ケストネル公爵領にある ダムを見に行ってから戻ってくるそうですよ〉
薄い封筒を開ければ サブマスの一言が添えられていた。
そっか、ダムが気になるとは言ってたしね、父さんとしても いろんな経験をさせてやりたいって言ってたから 遠回りして帰ってるんだろうな。
「ヴィオたちはまだ村に帰ってないみたい。
ダムを見に行くって東のケストネル公爵領地に行ってるみたいだから 帰るなら水の季節か 火の季節かもね」
「それだけ離れてるんじゃ 諦めて帰る可能性はあるな」
「そうね、だけど 一応気を付けるようには言っておいた方が良いわ」
「そうだね、ヴィオたちがウミユに行くことも相手は知ってた事を思えば 何らかの形で父さんたちの動きを追えてるのかもしれないし、サブマス達には伝えておくよ」
まさか まだヴィオの事を付け狙うやつがいるなんて 本当に鬱陶しい奴らだ。
そいつらの狙いは何だ?
「だけど そいつらの狙いは何なんだ?
前にヴィオが言ってたみたいな傀儡か政略結婚の駒にしたいと思ってんのか?
実際やんごとない人の娘だったわけだし、あいつらの飼い主は 侯爵ってやつなんだろ?」
僕と同じことを考えていたらしいルンガの発言に 皆も固まる。
ヴィオ自身が父さんと一緒にいることを選んだ今、無理にメネクセス王国に連れてくる必要もないとして 置いてきたけど、あいつらの目的が行方不明になった娘を見つけ出したとするのであれば 先に僕らと一緒に連れてきた方が良かったのかもしれない。
今更後悔しても遅いけど、まずは父さんたちに例の奴らはまだ諦めていない事を伝えておこう。
サブマスからは直ぐに連絡がきて 二人が戻り次第注意するように伝えること、それから村に余所者が来るなら警戒するように呼び掛けると言ってくれた。
ヘイジョーからも直ぐに連絡が届き、フィルさんにも 僕らがメネクセス王国に到着している事、後数週間で王都に到着予定である事などを伝えたとの事だった。
◆◇◆◇◆◇
水の季節の始まりの週末 王都に到着した。
リズモーニの首都を出て二か月弱というのは 共和国内を旅していた僕たちからすれば かなり早い移動だったんだけど、これも ヴィオが教えてくれた風魔法を使って走ったお陰だ。
〔土竜の盾〕のメンバーも使えるようになった事で 交代で魔法を使うことでかなりの距離を稼ぐことが出来たのが大きい。
「それで、王様と会うって やっぱり城に行くことになるの?
テリューたちは知り合いだからいいけど、僕たちはちょっと場違いじゃない?」
「馬鹿野郎、俺たちだって王様になったフィルと会うとか無理だわ。
会うのは城じゃねえ、ギルドの会議室を借りてる。ヘイジョーのギルマスが先に来てるはずだから紹介する」
マジか。
いや でもそれはそうか。
テリューたちが受けた依頼は国王陛下からの依頼だ。勿論受けた時は名を伏せてだっただろうけど、本人たちは分かっていることだ。
それの結果報告をするなら ギルマスが立ち会ってもおかしくはないか。
メネクセス王国のギルドは リズモーニと同じ作りになっており、ただ町の規模によって大小はある。
ここは王都だけあって かなり大きいけど 見た目はよく似せている。
「〔土竜の盾〕だ、ヘイジョーのギルマスと待ち合わせをしている。彼らは俺たちの同行者だ」
「〔土竜の盾〕の皆様ですね、マスターは 既にお待ちでいらっしゃいます。三階一番の部屋へどうぞ」
カウンターにギルドカードを出したテリューは 周囲に視線をやってから 小さな声で確認し、受付嬢も分かっていたのか カードの確認をしたら直ぐに目的の部屋を教えてくれた。
三階はギルマスの部屋だったと思うけど、このギルドはかなり階数が多く見えた。
三階に行けば 小部屋が幾つか連なっており、全てが会議室になっているのが分かった。
僕たちが案内されたのは角部屋だった。
コンコンコン
「どうぞ」
野太い男性の声が聞こえ テリューが扉を開ければ スキンヘッドの体格の良い男が座っていた。
ギルマスというには ガタイが良すぎる気もするけど、うちのギルマスも大概だったと思い 辺境のギルマスだったらそんなものかと思い直す。
「ギルマス、久しぶりだな」
「おお!戻ったか。ん? お前たち 一年半前より身体つきが良くなってないか?」
テリューたちの姿を見れば 眉間の皺が取れて 朗らかな顔になった。
僕たちと一緒に過ごした時間はそんなに長くなかった筈だけど、そんなに前から探してたのか???
「ああ、色々あったんだ。とりあえずまずは防音だな。オトマン頼む」
「もうやってる」
「流石だな、助かる。
ギルマスに紹介しておく、彼らは〔サマニアンズ〕ヴィオを保護してくれていた熊獣人のアルクさんの息子たちだ」
「〔サマニアンズ〕のリーダー トンガだ。こっちは弟のルンガ、幼馴染のクルトだ」
「そうか、ヴィオの……。
俺は ヘイジョーのギルドマスターをやっている ラースだ。
ヴィオの事を助けてやってくれてありがとう。感謝する」
立ち上がったギルマスが手を差し出してきたので握手を交わす。
ヴィオがヘイジョーにいたのは ほんの二年足らずだったはずなのに こんなに行方を気にしてくれる人がいたんだと少し嬉しくなった。
「まあ とりあえず座ってくれ。
フィルは この後お忍びで来るはずだ。日が落ちてからって事だったから それまでに話を聞かせてくれ」
どうやら王様は闇魔法が得意属性にあるらしく 気配を隠蔽してギルドに来るつもりだとの事。
合流するまでに テリューたちが依頼を受けてから ヴィオを探し出すまでの行動を、僕たちからは ヴィオがどんな女の子なのかの説明、それから 本人の希望で帰ってくる気がない事を伝えた。
「あとは 例の付きまといをどうするかって事だけど、そこはフィルの考えを聞いてからだな。
とりあえずサマニア村のギルマスたちには注意喚起しておいたし、あの村は全部がヤベエから 気を付けるって言ったなら大丈夫だとは思う」
あ~、そういえばテリューたちはサマニア村での聞き込みで断念したって言ってたもんね。
あの村は閉鎖的ではあるけど、受け入れた相手の事は大切にするから 一見の冒険者相手には警戒心が高かったんだろうね。
コンコン コン コン コンコンコン
報告が終わってからは防音結界も解き メネクセス王国で回っておくべきダンジョンの話や 水生成魔法の事などを話していた。
窓から見える外の景色が完全に夜になった頃、不思議なノック音が響いた。
ギルマスが立ち上がり ノックを数回返せば それに応えるように 数回ノック音が鳴る。
室内の皆が静まり返っていれば 扉が開かれ フードを深くかぶったローブのヒトが入ってきた。
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