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第十四話 罪悪
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長いキスが終わるころには、衣服をあっという間に剥ぎ取られていました。
おもむろに起き上がったおにいさまは、僕の下腹部をゆったりと撫でつつ、小声で何かを呟きました。
「ひっ、あっ……ぁあ……、ぅ、ぅう……ッ、ふうぅ……」
途端、あらぬ場所が、とてつもない違和感で疼くのを感じました。ドッと全身に冷や汗をかき、首を横に振りながら、言葉にならない悲鳴を上げます。
おにいさまの眼前に粗末な恥部を完全に露出しているだけでもたまらないのに、このままでは粗相をしてしまうのではないかと、この世の終わりのような気分がしました。
しかし、おにいさまは僕のとてつもない焦りにも構わず、僕の全身をまったりとまさぐります。
おにいさまに触れられたそばから、皮膚の下に熱が宿り、感覚が高められていくようでした。
「いや……っ、いやです、まほう、魔法、解いてっ、いやぁ……っ」
「あなたのナカを綺麗にするための魔法だ。いましばらく、辛抱を」
「ぅうう~~っ、ふぅ、ふっ……ん、んんっ……! なんで、そんな、やだ、いや」
時間を追うごとに、その違和感は大きくなっていき、うずうずとソコを苛みます。粗相だけは、という必死の思いで下半身に力を入れました。
しかし、そのせいで、さらに違和感を拾い上げた腰がビクビクと跳ねてしまいました。
「うう……ふうっ……、ひっ、ズッ、ぐす、ううう~……ッ」
なんて浅ましい動きでしょうか。重い痺れが脳みそを直接締め付けてくるようです。
手に負えないほどの羞恥心ともあいまって、正常な思考能力がみるみる失われていきます。
下半身の違和感に気を取られて咽び泣いていると、おにいさまは僕の胸元におもむろに顔を埋めます。
間もなく、熱っぽく湿った感触が、そそり立った乳首の片方を包み込みました。
ゾワゾワと、頭を抱えたくなるような、甘ったるいざわめきが込み上げました。
おにいさまは、僕を片方の乳首を、舐めまわしたり、吸ったり、時に甘噛みをしたりと、好き勝手責め立てます。
もう一方も、指の腹でサリサリと撫でまわし、時に軽く摘まんだりなどしていました。
「あっ、ぁん、やっ、あああ……っ! はっ、はぁっ、ァ……! いや、それやっ、ああっ」
むず痒さに似た感覚が、ピリリと乳首を包み込み、粘性の高い懊悩が脳を覆うように襲い掛かって来ます。
おにいさまの優美な唇から、じゅる、とか、ちゅう、とか、そんな水音が漏れ出るたび、肩が震えました。
そうこうしているうちに、僕の中心が熱を持ち、首をもたげ始めました。
おにいさまは、なおも僕の乳首を口に含みつつ、そちらにゆっくり手を伸ばし、やわやわと揉みました。
刺激を受けてしまってはたまらず、ソコはあっという間に芯を持って勃ち上がります。
おにいさまは何の躊躇もなく、その大きな手で僕の屹立を掴み、ごしごしと扱き始めました。
「ひぁッ! やっ、ああっ、はぁ、だめ、いけな、ぁあ……!」
みるみる溢れ出した先走りが、おにいさまの手を汚します。大きな罪悪感と、隠し得ない興奮で、甲高い耳鳴りがやみません。
ぬるついたおにいさまの手のひらが、先端をくるくると刺激してきました。
わかりやすく腰が跳ねるので、ココが弱いのだと把握なさったらしいおにいさまは、それから執拗な手つきで僕を追いつめてきました。
「っ、ふうっ、ぅう……っ、ぁ、も、だめ、だめれすっ、でちゃ、あぁっ、ア……!」
そして、あまりにあっけなく、僕は果てました。堪え性のなさは、そこはかとない不満感を下腹部に滞留させます。浅ましい感覚が、なおも、グルグルととぐろを巻いていました。
ふと、いつの間にか、下半身の違和感が消えていることに気付きました。魔法が効果を発動しきったのでしょうか。
しかし、心なしか、熱っぽい痺れが、あらぬところで燻っているような気もしました。
あいまいな快楽に浸ってぼんやりとしていれば、おにいさまは、乳首から口を離し、顔をお上げになりました。
いじめられた乳首はすっかり赤く腫れ、つん、と存在を主張しつつ震えています。おにいさまの唾液を纏ったソレはいやに官能的に見えました。
「純真なあなたを見ていると、眩しかった。直視できなかった。あなたの生命が輝きを増すのを感じるたびに、どうすれば、俺の手中の灯に戻ってくれるだろうかと、罪深いことを考えずにはいられなかった」
「罪深い……? っは、んっ、うう……ふっ、ぅ♡」
おにいさまは僕の首元に顔を埋めました。そして、首筋をじっとりと舐め、かぷりと噛みついてきました。
追って、鈍い痛みが熱を帯びて、じわじわと広がっていきます。
「俺を受け入れてくれ……リエル、どうか。暗闇の中で、光を探して足掻くのは、もうたくさんだ」
おにいさまのおっしゃることは、いつもどこか曖昧で、僕には難解です。理解されなくてもいい、とすらお思いなのではないかと思うのです。
今更、僕のことが必要だと言われても、納得は出来ません。自分がどこまでも役立たずであることを、とことん思い知ったからこそ、今の僕があるのですから。
しかし、おにいさまが、嘘をおっしゃるような方ではないことだけは、よく知っています。
「貴方がいなければ、とうになかった命です。貴方の望むように……僕に、それを拒むことはできません」
喜んでこの身を捧げる、なんてはしたないことは、口が裂けても言えませんが。
おにいさまほどの方にも、気の迷いが生じることはあるのだろうと思います。
成人して何年か経ったとはいえ、まだお若い身空。英雄として完全無欠のお姿を、国民の総意として望まれるお立場など、どんなに気負いなさることか、想像もつきません。
気の迷いが晴れれば、また、僕の存在など必要ないとお気づきになるでしょう。
おにいさまのお心を慰めるのに、今は僕がちょうどいいというだけなのです。自惚れてはいけません。
いつか、そんなおにいさまの苦悩を理解し、寄り添ってくださる女性が見つかるまでの、幸せな幻なのでしょうから。
おにいさまは、一瞬、何故か、今にも泣き出しそうに顔を歪めました。
しかし、どうしてそんな顔をなさったのかは教えてくださらずに、僕の体をうつ伏せにひっくり返しました。
おにいさまの望むように、なんて啖呵を切ったはいいものの、僕は男同士でどのように交わるのかを知りません。
これから何をされるのだろうという恐怖感に、たまらず膝が震えます。
おにいさまはおもむろに僕のお尻を撫で、むにむにと揉みしだきだしました。時折、お尻のあわいがぐっと広げられ、羞恥のあまり鳥肌が立ちます。
「……っ、ぅ、ふ……、ぅぐ、ひぅ……」
次いで、おにいさまは、一度出して萎えた僕のモノを握り、搾るように扱きます。
そう間もなく先走りが溢れ出て、そこでおにいさまは手を動かすのをやめてしまわれました。
そして、尻のあわいにそっとぬるついた指先を沿わせたかと思えば、ツプリと、不浄の穴に差しいれたのです。たちまち、異物感で下半身が強張り、どっと冷や汗が溢れました。
「まっ……なに、そこっ……だめです、そんな、汚い……っ!」
「先程、魔法で綺麗にしたんだ、汚くなどない」
「いや、でも……っ」
「俺の望むようにと、貴方が仰せになった。力を抜いて。決して傷つけない」
無茶をおっしゃいます。こんなことなら、傷つけられた方がまだ始末がよろしい。自分の中でまだ名前のついていない、未知の刺激。
ただでさえ僕の体は愚鈍極まりない仕様なのです。受け入れるのは至難でした。
しかし、おにいさまは、そんな僕の体の扱いを、僕よりも分かっていらっしゃるような素振りで、みるみる指を押し進めてきます。
僕の方はといえば、力が抜けたというより、腰が抜けて力が入らないと言ったような態勢でした。
気付かないうちに骨の一本や二本抜かれてしまったのではないかとすら思いました。
「ほぐれてきた。もう一本増やす。いいだろうか、リエル」
「グッ、ふっ……ぅう……ぁ、だ、駄目と、言えば……やめて、くださいますか」
「……それは」
「ふっ、ふふ……はっ、ひぅ、ぁは……っ、ふぅっ、ぐす、ひゅ、ひっ……」
そんなの、僕が何を言ったところで無駄ではありませんか。どうしてわざわざ僕の意見などお求めになるのでしょう。おかしなおにいさまです。
それだけ、僕の体が不甲斐ないのが悪いのでしょうが。
おにいさまのお望みにすぐ応えられない、意気地なしな心と体が憎い。おにいさまの望むようにしたいのも、間違いなく、僕の本心のはずなのです。
「練習、しておけば、よかった……こんなことを、お望みになる、なんて……ふふ、知っていたら、僕、魔法より、慣らし方を覚えたのに……」
「……どうやって」
「教えて頂けそうだった方には、何人か心当たりがありますが……こういった用途で、僕にご興味がおありの方は、それなりにいらっしゃいました。貴方のこと、ふしだらな人間がお嫌いな方だと思っていたので、もうこれ以上嫌われないようにと、かたくなにお断りしましたが、思い返せば、勿体ないことを」
「本気で言っているのか」
「あ、っ……、いっ、ん……っ、ふううっ!」
おにいさまは、先程までの慎重さが嘘のように、思い切りよく指を増やされました。二本の指でずっぷりと貫き、たちまち、振動を深く響かせるように、腕全体を動かしたのです。
痛みはありませんでした。しかし、内臓を押し返すような圧迫感が息を詰まらせ、本能が警鐘を鳴らすような衝撃がありました。
「こんなことを、あなたが、俺でない、だれかと……?」
「ふっ……うう、あぁ……っ、はぁ、あんっ、んんっ!」
「冗談でも、許しがたい……あなたのこんな姿を、他の誰かがっ」
「あっ、やぁっ、お許しを、お許しください……っ、あぁっ、ひぁ! うぅっ……♡」
振動を与え続けられているうちに、ある一点がジンジンと熱を持ち始めました。
そうなってからは、おおざっぱにゆるい刺激を与えられるだけで、ムズムズとたまらない感覚が下腹部に迸り、いやにはしたない声が出てしまいます。
「嘘でもいい、俺だけと言って……どうか俺を殺戮者にしないで。あなたのこととなると、どうにも冷静ではいられなくなる……っ」
「なに、をっ、あぁ! はぁ……ふぅ、んぉっ♡ あ、だめっ、そこっ、あぁッ♡」
「ずっと、汚らわしい願望を抱いていた。無垢なあなたには、決して向けてはいけない欲望を……どうすれば、あなたの眩さを、少しでも翳らせることができるだろうかと」
突如、ぬかるみをかき回していたおにいさまの指が抜かれ、一抹のカタルシスが僕の意識をぼやけさせました。
おにいさまのおっしゃることをうまく処理できず、途方に暮れてしまいます。きっと、重大なことをおっしゃっているはずなのに。
「リエル……」
呼ばれて、僕は咄嗟に背後を振り返りました。瞬間、腰をしっかりとつかまれ、僕の尾てい骨のあたりに、熱く重いモノが、のし、と乗っかる、うすら寒い感覚がしました。
おにいさまは目を細め、眉間にしわを寄せて、僕のことを見下ろしていらっしゃいました。
その時、僕は、もう後戻りができないことを、身をもってようやく悟ったのでした。
おもむろに起き上がったおにいさまは、僕の下腹部をゆったりと撫でつつ、小声で何かを呟きました。
「ひっ、あっ……ぁあ……、ぅ、ぅう……ッ、ふうぅ……」
途端、あらぬ場所が、とてつもない違和感で疼くのを感じました。ドッと全身に冷や汗をかき、首を横に振りながら、言葉にならない悲鳴を上げます。
おにいさまの眼前に粗末な恥部を完全に露出しているだけでもたまらないのに、このままでは粗相をしてしまうのではないかと、この世の終わりのような気分がしました。
しかし、おにいさまは僕のとてつもない焦りにも構わず、僕の全身をまったりとまさぐります。
おにいさまに触れられたそばから、皮膚の下に熱が宿り、感覚が高められていくようでした。
「いや……っ、いやです、まほう、魔法、解いてっ、いやぁ……っ」
「あなたのナカを綺麗にするための魔法だ。いましばらく、辛抱を」
「ぅうう~~っ、ふぅ、ふっ……ん、んんっ……! なんで、そんな、やだ、いや」
時間を追うごとに、その違和感は大きくなっていき、うずうずとソコを苛みます。粗相だけは、という必死の思いで下半身に力を入れました。
しかし、そのせいで、さらに違和感を拾い上げた腰がビクビクと跳ねてしまいました。
「うう……ふうっ……、ひっ、ズッ、ぐす、ううう~……ッ」
なんて浅ましい動きでしょうか。重い痺れが脳みそを直接締め付けてくるようです。
手に負えないほどの羞恥心ともあいまって、正常な思考能力がみるみる失われていきます。
下半身の違和感に気を取られて咽び泣いていると、おにいさまは僕の胸元におもむろに顔を埋めます。
間もなく、熱っぽく湿った感触が、そそり立った乳首の片方を包み込みました。
ゾワゾワと、頭を抱えたくなるような、甘ったるいざわめきが込み上げました。
おにいさまは、僕を片方の乳首を、舐めまわしたり、吸ったり、時に甘噛みをしたりと、好き勝手責め立てます。
もう一方も、指の腹でサリサリと撫でまわし、時に軽く摘まんだりなどしていました。
「あっ、ぁん、やっ、あああ……っ! はっ、はぁっ、ァ……! いや、それやっ、ああっ」
むず痒さに似た感覚が、ピリリと乳首を包み込み、粘性の高い懊悩が脳を覆うように襲い掛かって来ます。
おにいさまの優美な唇から、じゅる、とか、ちゅう、とか、そんな水音が漏れ出るたび、肩が震えました。
そうこうしているうちに、僕の中心が熱を持ち、首をもたげ始めました。
おにいさまは、なおも僕の乳首を口に含みつつ、そちらにゆっくり手を伸ばし、やわやわと揉みました。
刺激を受けてしまってはたまらず、ソコはあっという間に芯を持って勃ち上がります。
おにいさまは何の躊躇もなく、その大きな手で僕の屹立を掴み、ごしごしと扱き始めました。
「ひぁッ! やっ、ああっ、はぁ、だめ、いけな、ぁあ……!」
みるみる溢れ出した先走りが、おにいさまの手を汚します。大きな罪悪感と、隠し得ない興奮で、甲高い耳鳴りがやみません。
ぬるついたおにいさまの手のひらが、先端をくるくると刺激してきました。
わかりやすく腰が跳ねるので、ココが弱いのだと把握なさったらしいおにいさまは、それから執拗な手つきで僕を追いつめてきました。
「っ、ふうっ、ぅう……っ、ぁ、も、だめ、だめれすっ、でちゃ、あぁっ、ア……!」
そして、あまりにあっけなく、僕は果てました。堪え性のなさは、そこはかとない不満感を下腹部に滞留させます。浅ましい感覚が、なおも、グルグルととぐろを巻いていました。
ふと、いつの間にか、下半身の違和感が消えていることに気付きました。魔法が効果を発動しきったのでしょうか。
しかし、心なしか、熱っぽい痺れが、あらぬところで燻っているような気もしました。
あいまいな快楽に浸ってぼんやりとしていれば、おにいさまは、乳首から口を離し、顔をお上げになりました。
いじめられた乳首はすっかり赤く腫れ、つん、と存在を主張しつつ震えています。おにいさまの唾液を纏ったソレはいやに官能的に見えました。
「純真なあなたを見ていると、眩しかった。直視できなかった。あなたの生命が輝きを増すのを感じるたびに、どうすれば、俺の手中の灯に戻ってくれるだろうかと、罪深いことを考えずにはいられなかった」
「罪深い……? っは、んっ、うう……ふっ、ぅ♡」
おにいさまは僕の首元に顔を埋めました。そして、首筋をじっとりと舐め、かぷりと噛みついてきました。
追って、鈍い痛みが熱を帯びて、じわじわと広がっていきます。
「俺を受け入れてくれ……リエル、どうか。暗闇の中で、光を探して足掻くのは、もうたくさんだ」
おにいさまのおっしゃることは、いつもどこか曖昧で、僕には難解です。理解されなくてもいい、とすらお思いなのではないかと思うのです。
今更、僕のことが必要だと言われても、納得は出来ません。自分がどこまでも役立たずであることを、とことん思い知ったからこそ、今の僕があるのですから。
しかし、おにいさまが、嘘をおっしゃるような方ではないことだけは、よく知っています。
「貴方がいなければ、とうになかった命です。貴方の望むように……僕に、それを拒むことはできません」
喜んでこの身を捧げる、なんてはしたないことは、口が裂けても言えませんが。
おにいさまほどの方にも、気の迷いが生じることはあるのだろうと思います。
成人して何年か経ったとはいえ、まだお若い身空。英雄として完全無欠のお姿を、国民の総意として望まれるお立場など、どんなに気負いなさることか、想像もつきません。
気の迷いが晴れれば、また、僕の存在など必要ないとお気づきになるでしょう。
おにいさまのお心を慰めるのに、今は僕がちょうどいいというだけなのです。自惚れてはいけません。
いつか、そんなおにいさまの苦悩を理解し、寄り添ってくださる女性が見つかるまでの、幸せな幻なのでしょうから。
おにいさまは、一瞬、何故か、今にも泣き出しそうに顔を歪めました。
しかし、どうしてそんな顔をなさったのかは教えてくださらずに、僕の体をうつ伏せにひっくり返しました。
おにいさまの望むように、なんて啖呵を切ったはいいものの、僕は男同士でどのように交わるのかを知りません。
これから何をされるのだろうという恐怖感に、たまらず膝が震えます。
おにいさまはおもむろに僕のお尻を撫で、むにむにと揉みしだきだしました。時折、お尻のあわいがぐっと広げられ、羞恥のあまり鳥肌が立ちます。
「……っ、ぅ、ふ……、ぅぐ、ひぅ……」
次いで、おにいさまは、一度出して萎えた僕のモノを握り、搾るように扱きます。
そう間もなく先走りが溢れ出て、そこでおにいさまは手を動かすのをやめてしまわれました。
そして、尻のあわいにそっとぬるついた指先を沿わせたかと思えば、ツプリと、不浄の穴に差しいれたのです。たちまち、異物感で下半身が強張り、どっと冷や汗が溢れました。
「まっ……なに、そこっ……だめです、そんな、汚い……っ!」
「先程、魔法で綺麗にしたんだ、汚くなどない」
「いや、でも……っ」
「俺の望むようにと、貴方が仰せになった。力を抜いて。決して傷つけない」
無茶をおっしゃいます。こんなことなら、傷つけられた方がまだ始末がよろしい。自分の中でまだ名前のついていない、未知の刺激。
ただでさえ僕の体は愚鈍極まりない仕様なのです。受け入れるのは至難でした。
しかし、おにいさまは、そんな僕の体の扱いを、僕よりも分かっていらっしゃるような素振りで、みるみる指を押し進めてきます。
僕の方はといえば、力が抜けたというより、腰が抜けて力が入らないと言ったような態勢でした。
気付かないうちに骨の一本や二本抜かれてしまったのではないかとすら思いました。
「ほぐれてきた。もう一本増やす。いいだろうか、リエル」
「グッ、ふっ……ぅう……ぁ、だ、駄目と、言えば……やめて、くださいますか」
「……それは」
「ふっ、ふふ……はっ、ひぅ、ぁは……っ、ふぅっ、ぐす、ひゅ、ひっ……」
そんなの、僕が何を言ったところで無駄ではありませんか。どうしてわざわざ僕の意見などお求めになるのでしょう。おかしなおにいさまです。
それだけ、僕の体が不甲斐ないのが悪いのでしょうが。
おにいさまのお望みにすぐ応えられない、意気地なしな心と体が憎い。おにいさまの望むようにしたいのも、間違いなく、僕の本心のはずなのです。
「練習、しておけば、よかった……こんなことを、お望みになる、なんて……ふふ、知っていたら、僕、魔法より、慣らし方を覚えたのに……」
「……どうやって」
「教えて頂けそうだった方には、何人か心当たりがありますが……こういった用途で、僕にご興味がおありの方は、それなりにいらっしゃいました。貴方のこと、ふしだらな人間がお嫌いな方だと思っていたので、もうこれ以上嫌われないようにと、かたくなにお断りしましたが、思い返せば、勿体ないことを」
「本気で言っているのか」
「あ、っ……、いっ、ん……っ、ふううっ!」
おにいさまは、先程までの慎重さが嘘のように、思い切りよく指を増やされました。二本の指でずっぷりと貫き、たちまち、振動を深く響かせるように、腕全体を動かしたのです。
痛みはありませんでした。しかし、内臓を押し返すような圧迫感が息を詰まらせ、本能が警鐘を鳴らすような衝撃がありました。
「こんなことを、あなたが、俺でない、だれかと……?」
「ふっ……うう、あぁ……っ、はぁ、あんっ、んんっ!」
「冗談でも、許しがたい……あなたのこんな姿を、他の誰かがっ」
「あっ、やぁっ、お許しを、お許しください……っ、あぁっ、ひぁ! うぅっ……♡」
振動を与え続けられているうちに、ある一点がジンジンと熱を持ち始めました。
そうなってからは、おおざっぱにゆるい刺激を与えられるだけで、ムズムズとたまらない感覚が下腹部に迸り、いやにはしたない声が出てしまいます。
「嘘でもいい、俺だけと言って……どうか俺を殺戮者にしないで。あなたのこととなると、どうにも冷静ではいられなくなる……っ」
「なに、をっ、あぁ! はぁ……ふぅ、んぉっ♡ あ、だめっ、そこっ、あぁッ♡」
「ずっと、汚らわしい願望を抱いていた。無垢なあなたには、決して向けてはいけない欲望を……どうすれば、あなたの眩さを、少しでも翳らせることができるだろうかと」
突如、ぬかるみをかき回していたおにいさまの指が抜かれ、一抹のカタルシスが僕の意識をぼやけさせました。
おにいさまのおっしゃることをうまく処理できず、途方に暮れてしまいます。きっと、重大なことをおっしゃっているはずなのに。
「リエル……」
呼ばれて、僕は咄嗟に背後を振り返りました。瞬間、腰をしっかりとつかまれ、僕の尾てい骨のあたりに、熱く重いモノが、のし、と乗っかる、うすら寒い感覚がしました。
おにいさまは目を細め、眉間にしわを寄せて、僕のことを見下ろしていらっしゃいました。
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