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⑰堕神の道連れ−1
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ハヌマーンは遠い昔に天界で暮らしていたが、色欲に溺れて追放されて堕神となった。
「え。エロイの?」
「俺から色欲を取ったら何も残らん」
偉そうに言ったハヌマーンを呆れて眺める。
堕天してもちっとも懲りていないらしい。
「天界などより下界の方が余程に楽しいからちっとも構わんが、下界では不死薬を作れなくて困った」
「不死薬ってアンブロシアとは違うの? そんなものを何に使うの?」
「勿論、俺が飲む。不死薬を飲むとアッチも元気になるからな」
(精力剤かよ)
俺は心の中でツッコんだ。
「アンブロシアもネクタルも天界から持ち出せないが、両方を混ぜて俺がこちょこちょっと呪文を唱えれば不死薬となる。効果は落ちるが、不死薬ならば地上に持ってこられるからな。堕天させられる前もよく持ってきていた」
「迷惑なやつぅ……」
「何を言う。人が飲めば寿命が延びるのだぞ」
「不死薬なんだから、永遠に生きられるんじゃないの?」
「飲み続ければな」
なるほど。一回飲んだからって安泰じゃないのか。
「少しくらい人の寿命を延ばしたからってどうなるんだよ」
「権力者に取り入って、ハーレムが作れる」
「~っ!」
こいつ、本当に元神様なの? 俗物過ぎない?
「しかし下界に落とされてしまってはもう不死薬を作る事が出来ない。しかも俺が持っていた不死薬は獣に奪われてしまった」
無念そうに言ったハヌマーンに、不思議に思って聞いてみる。
「あんたは堕神してもロクと対等に戦えるくらい強い。なのに獣に奪われたって?」
「空を翔ける獣が俺から薬を騙し取り、飛び去ってしまったのだ」
「もしかして、鳥の獣人に取り上げられたって事?」
「そうだ」
あれれ、これはもしかしたら……。
俺はそっとロクの顔を見上げてみた。
ロクは見事なポーカーフェイスを装っていたが、心当たりのありそうな顔をしている。
「ロクぅ、どうする?」
「ハヌマーンを街中に連れて行く事は出来ないが、私の城に置くことは出来るだろう」
「厄介事を呼びそうだよ?」
「構わない。お前が制御出来るだろう?」
それは緊箍児を締めればハヌマーンは逆らえないみたいだけどさぁ。
「でも、不死薬を作れないハヌマーンなんていらないんじゃない?」
「そ、それだけではない! 俺は分身を作れるし、如意棒を好きな大きさにする事も――」
「ってそれはお前の暴れん棒だろうがっ! 下ネタかよ!?」
腰をカクカクと振って見せるハヌマーンを見て、俺は顔を赤らめつつそう叫んだ。
そうしたらロクが俺からハヌマーンが見えなくなるように立ち塞がった。
「チヤの毒になるなら放っておこう」
「おいっ! 俺は役に立つぞ! 連れていけ!」
なんでそんなに一緒に行きたがるのかと思えば、どうやら俺から天界の匂いがすると言う。
「え? 甘いのは出してない筈だけど……」
ふんふんと自分の匂いを嗅いだら、ハヌマーンがキラーンと目を光らせた。
「この地上には甘い物は存在しない。昔、神々がそう決めたからな。なのに移り香か何かわからんがお前からは甘い匂いがする。おかしいじゃないか? お前は何者だ?」
酷く訝しげなハヌマーンを見て、俺は戸惑う。
甘い物は存在しないって、神々がそう決めたって、じゃあ異世界召喚の事は知らないのか?
「それにどうして緊箍児の事を知っている? 扱えるのは天界の者だけなのに」
頻りに首を捻るハヌマーンを見て、俺がハヌマーンを手掛かりだと思ったように、ハヌマーンもまた俺を手掛かりだと思っている事に気付いた。
もしかしたら天界に帰る足掛かりになるかもしれないとでも思っているのか。
『俺は天界とは関係ない』と言ってしまうのは簡単だった。
でもそうすると異世界人である事、前々から獣人たちが召喚を行っている事を話さなければならない。
それは獣人たちにとって不利益をもたらすんじゃないか。
俺は困ってしまってロクの上着をギュッと掴んだ。
「天界の話は地上にも伝わっている。お前が昔から下界に降りてきていたなら、見えているのだし、その緊箍児の事だって知られていてもおかしくはないだろう?」
「しかし操れる奴がいるとは――」
「もう一度、試してみるか?」
「い、いいっ! 必要ないっ! そうだな、たまたまそんな奴がいてもおかしくないよな。ハハハ……」
ハヌマーンが迎合するように笑い、一旦は追求を諦めたようだ。
しかし一緒にいたら勘付かれるかもしれない。
『どうする?』とロクを見上げたら、青い瞳をキュッと瞑られた。
お前の好きにしろ、と言っているように見えた。
「あのさぁ、もうちょっと天界の話が聞きたいんだけど、それはあんたの禁忌に触れない?」
「別に天界の事を話すのは禁じられていない」
「なら一緒に来て欲しい」
「うむ、我が如意棒も振るってやろう!」
「それはいらない」
この色ボケ、下ネタから離れられないのだろうか。
下界の女性に手を出さないように見張っていなければならないな、と気を引き締めていたらロクが話を変えた。
「え。エロイの?」
「俺から色欲を取ったら何も残らん」
偉そうに言ったハヌマーンを呆れて眺める。
堕天してもちっとも懲りていないらしい。
「天界などより下界の方が余程に楽しいからちっとも構わんが、下界では不死薬を作れなくて困った」
「不死薬ってアンブロシアとは違うの? そんなものを何に使うの?」
「勿論、俺が飲む。不死薬を飲むとアッチも元気になるからな」
(精力剤かよ)
俺は心の中でツッコんだ。
「アンブロシアもネクタルも天界から持ち出せないが、両方を混ぜて俺がこちょこちょっと呪文を唱えれば不死薬となる。効果は落ちるが、不死薬ならば地上に持ってこられるからな。堕天させられる前もよく持ってきていた」
「迷惑なやつぅ……」
「何を言う。人が飲めば寿命が延びるのだぞ」
「不死薬なんだから、永遠に生きられるんじゃないの?」
「飲み続ければな」
なるほど。一回飲んだからって安泰じゃないのか。
「少しくらい人の寿命を延ばしたからってどうなるんだよ」
「権力者に取り入って、ハーレムが作れる」
「~っ!」
こいつ、本当に元神様なの? 俗物過ぎない?
「しかし下界に落とされてしまってはもう不死薬を作る事が出来ない。しかも俺が持っていた不死薬は獣に奪われてしまった」
無念そうに言ったハヌマーンに、不思議に思って聞いてみる。
「あんたは堕神してもロクと対等に戦えるくらい強い。なのに獣に奪われたって?」
「空を翔ける獣が俺から薬を騙し取り、飛び去ってしまったのだ」
「もしかして、鳥の獣人に取り上げられたって事?」
「そうだ」
あれれ、これはもしかしたら……。
俺はそっとロクの顔を見上げてみた。
ロクは見事なポーカーフェイスを装っていたが、心当たりのありそうな顔をしている。
「ロクぅ、どうする?」
「ハヌマーンを街中に連れて行く事は出来ないが、私の城に置くことは出来るだろう」
「厄介事を呼びそうだよ?」
「構わない。お前が制御出来るだろう?」
それは緊箍児を締めればハヌマーンは逆らえないみたいだけどさぁ。
「でも、不死薬を作れないハヌマーンなんていらないんじゃない?」
「そ、それだけではない! 俺は分身を作れるし、如意棒を好きな大きさにする事も――」
「ってそれはお前の暴れん棒だろうがっ! 下ネタかよ!?」
腰をカクカクと振って見せるハヌマーンを見て、俺は顔を赤らめつつそう叫んだ。
そうしたらロクが俺からハヌマーンが見えなくなるように立ち塞がった。
「チヤの毒になるなら放っておこう」
「おいっ! 俺は役に立つぞ! 連れていけ!」
なんでそんなに一緒に行きたがるのかと思えば、どうやら俺から天界の匂いがすると言う。
「え? 甘いのは出してない筈だけど……」
ふんふんと自分の匂いを嗅いだら、ハヌマーンがキラーンと目を光らせた。
「この地上には甘い物は存在しない。昔、神々がそう決めたからな。なのに移り香か何かわからんがお前からは甘い匂いがする。おかしいじゃないか? お前は何者だ?」
酷く訝しげなハヌマーンを見て、俺は戸惑う。
甘い物は存在しないって、神々がそう決めたって、じゃあ異世界召喚の事は知らないのか?
「それにどうして緊箍児の事を知っている? 扱えるのは天界の者だけなのに」
頻りに首を捻るハヌマーンを見て、俺がハヌマーンを手掛かりだと思ったように、ハヌマーンもまた俺を手掛かりだと思っている事に気付いた。
もしかしたら天界に帰る足掛かりになるかもしれないとでも思っているのか。
『俺は天界とは関係ない』と言ってしまうのは簡単だった。
でもそうすると異世界人である事、前々から獣人たちが召喚を行っている事を話さなければならない。
それは獣人たちにとって不利益をもたらすんじゃないか。
俺は困ってしまってロクの上着をギュッと掴んだ。
「天界の話は地上にも伝わっている。お前が昔から下界に降りてきていたなら、見えているのだし、その緊箍児の事だって知られていてもおかしくはないだろう?」
「しかし操れる奴がいるとは――」
「もう一度、試してみるか?」
「い、いいっ! 必要ないっ! そうだな、たまたまそんな奴がいてもおかしくないよな。ハハハ……」
ハヌマーンが迎合するように笑い、一旦は追求を諦めたようだ。
しかし一緒にいたら勘付かれるかもしれない。
『どうする?』とロクを見上げたら、青い瞳をキュッと瞑られた。
お前の好きにしろ、と言っているように見えた。
「あのさぁ、もうちょっと天界の話が聞きたいんだけど、それはあんたの禁忌に触れない?」
「別に天界の事を話すのは禁じられていない」
「なら一緒に来て欲しい」
「うむ、我が如意棒も振るってやろう!」
「それはいらない」
この色ボケ、下ネタから離れられないのだろうか。
下界の女性に手を出さないように見張っていなければならないな、と気を引き締めていたらロクが話を変えた。
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