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3話

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「なりません、ケニー様!」


そうすれば、何故か俺のそばに控えていた護衛・アルバートが、いきなり声を荒らげて反論する。

「なぜそのような戯れを!? 今まさに、殿下から貴方を寝取ろうとする庶民の発言など、聞く価値など無いというのに…っ!」

まあ、言いたいことは分かる。
友人としてであれば、その発言に大きく頷きたいところでもあるが。

「控えろ。護衛ごときが。今は、お前の発言を許可していない」
「……っ!失礼、致しました」

未だ顔は盛大にしかめているものの、自分の不手際に気付き、押し黙ってくれた。
俺を思ってくれてのことだろうが、この場にはふさわしくない言動なのだから仕方がない。……まあ、そこがコイツの可愛いところでもあるけれど。
気を取り直して、改めて殿下の許可を促してみる。

「さて、殿下は?」
「……俺は元より、構わない。話してくれ」
「お許し頂き、ありがとうございます」

そう言って、ルイは立ち上がり、感謝の意を表すお辞儀を行った。初めてパーティに参加したにしては、綺麗な姿勢であった。……それが出来るなら、最初からやればいいものを。
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