4 / 18
4話
しおりを挟む
「まず、ザイアス殿下。本当に、俺はトランスウェル様に酷いことをされた事実はありません」
そうだな、した覚えはない。する理由もないしな。
真摯に事実を伝えてくれるルイに対し、まだ疑念を抱いているのか訝しげな表情を崩さないまま殿下は言葉を続ける。
「だが、彼が随分酷い言葉をなげかけたと聞いている。それこそお前のクラスメイトや、先生方にも確認はとっている」
おーおー、いっちょ前に裏を取りやがって。どんだけこの馬鹿殿下は俺を悪者扱いにしたいのやら。情報収集をきちんとしたこと自体は褒めるべきか……いや基本中の基本なのでする必要も無いな。というかもうちょい精査しろや。
「確かに、強い口調で厳しいご指摘を頂くことは何度も、数え切れないほどございます。しかし、それは平民故に俺が礼儀を逸してしまったり、慣習に慣れないがためにお言葉を頂いていただけです。それ以上のことはありません」
曇りない眼で言い切る庶民に、徐々に焦りを見せ始める殿下は、好きな相手だろうにだんだん声を荒らげてくる。
「っ、だが、時折ケニーに連れ出され、食堂に顔を出さず、日付が変わるほど深夜遅くになるまで寮に帰れないことがほぼ毎日あると聞いているぞ。しかも朝は決まって眠そうに目を擦り付けながら食堂に出てくると……お前、隠しているだけで本当は何かしらアイツから折檻を受けているのではないのか!?」
バカ王子の言葉に、さすがに周囲もざわりとどよめいた声が上がった。
……失礼な奴らだ、全く。
そうだな、した覚えはない。する理由もないしな。
真摯に事実を伝えてくれるルイに対し、まだ疑念を抱いているのか訝しげな表情を崩さないまま殿下は言葉を続ける。
「だが、彼が随分酷い言葉をなげかけたと聞いている。それこそお前のクラスメイトや、先生方にも確認はとっている」
おーおー、いっちょ前に裏を取りやがって。どんだけこの馬鹿殿下は俺を悪者扱いにしたいのやら。情報収集をきちんとしたこと自体は褒めるべきか……いや基本中の基本なのでする必要も無いな。というかもうちょい精査しろや。
「確かに、強い口調で厳しいご指摘を頂くことは何度も、数え切れないほどございます。しかし、それは平民故に俺が礼儀を逸してしまったり、慣習に慣れないがためにお言葉を頂いていただけです。それ以上のことはありません」
曇りない眼で言い切る庶民に、徐々に焦りを見せ始める殿下は、好きな相手だろうにだんだん声を荒らげてくる。
「っ、だが、時折ケニーに連れ出され、食堂に顔を出さず、日付が変わるほど深夜遅くになるまで寮に帰れないことがほぼ毎日あると聞いているぞ。しかも朝は決まって眠そうに目を擦り付けながら食堂に出てくると……お前、隠しているだけで本当は何かしらアイツから折檻を受けているのではないのか!?」
バカ王子の言葉に、さすがに周囲もざわりとどよめいた声が上がった。
……失礼な奴らだ、全く。
20
あなたにおすすめの小説
恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています
水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」
王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。
一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……?
勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!
新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜
若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。
妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。
ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。
しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。
父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。
父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。
ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。
野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて…
そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。
童話の「美女と野獣」パロのBLです
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
王子様から逃げられない!
一寸光陰
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる