よく見るざまぁ展開と思いきや……?【完結】

あか

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16話

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「……どうして。どうして、お前はそこまでしてくれるんだ?ルイ……」

 殿下の呆然もした声に、平民も彼の方へと振り向く。目の前の出来事が理解が出来ず、戸惑っているのか情けない姿を見せる殿下に、平民は慈愛に満ちた笑みを向けた。


「そんなの、決まってます。さっきもお伝えしましたが、俺は、殿下のことをお慕いしてます。だから、傍でお支えしたいんです」
「……俺は、王位継承権第二位とはいえ、王になれる訳では無い」
「問題ないです。俺は、王妃になりたいわけじゃないんです。ただ、貴方の隣をお支えしたいのです」
「……特別頭もいい訳では無いし。権力も、思ったよりも大したことない男だぞ?」
「俺よりは頭がいいですし、きっかけは確かに王子という身分だったかとしれませんが、それは貴方を好きな理由の1つに過ぎません」

 殿下の腑抜けた質問に対し、平民は一つずつ丁寧に応えていく。俺も殿下と同様、あんな自分のことしか考えられない短絡的な男でいいのか?と思わなくもないが。  
 当の本人が、あのお馬鹿殿下がいいと表明し、今日まであの男にできる限りの努力と研鑽を重ねてきたのだ。そんなひたむきな想いに、これ以上、他人が口出しすべきではないだろう。



「俺が好きな殿下は、入学した時ひとりぼっちだった俺に優しくしてくれた殿下ですよ。それに、殿下は不器用でも、俺を守ろうとしてくれたじゃないですか。……その気持ちは、本当に嬉しかったんです」
「ルイ……っ」

 平民に抱きつく殿下は、王子としては少し頼りなく。けれど、安心したように彼を抱きしめていた。当の本人も、困ったような、でも嬉しそうな笑みで抱きしめ返していた。
 なるほど。これが庶民の中で流行っている純愛ラブロマンス、というものか。

「……全く。あの平民、根性は確かなのだから、本当にあんなバカ殿下いいものやら。もっといい男にすればいいだろうに」
 未だに平民を強く抱き締め続ける殿下にあきれつつも、そんなことを独りごちれば。背後から、不満そうな声がぽそりと響く。

「……他人事のように言ってますが、いいのですか?あのような者に、貴方の今までの努力を奪われてしまって」

 その声に振り向けば、不満そうな顔をする護衛が俺を見ていた。
 そんな顔をしても映えるのだから、イケメンは得だな。そう思いつつ、口元をニヤリとあげてみる。

「問題ない。だからこそ、私は今、このような立ち回りが出来るからな。
それに、あんな自分しか見えていない自己中男、王からの懇願がなければこっちから願い下げしたいぐらいだ」
「……しかし」
「それなら、あのどうしようもない馬鹿殿下のことを心の底から惚れてくれる、根性のある奴を試すのも、また一興だろう。もし、次にしかるべき手順で破棄されてしまったら、俺が家を継ぐ手筈を整えるだけだ」

 まだ文句を言いたげな護衛を他所に、俺はもう一度あの二人の方へと目をやる。
平民に縋り付く殿下と、彼よりも小さな身体なのに優しく抱きしめるその姿は美しく、羨ましくも感じた。

「……。本当に、殿下のことは」
「くどい。アレには、婚約者としての義務以外に思うことはないよ」
「……」

 今度は、心配そうな視線を俺に向けてくる。俺がやけっぱちになったとでも思っているのだろうか?もう俺は、守られるだけの子供ではないというのに。

「そうだな。もし、俺に選ぶ自由があるとすれば。こんな僕の傍でも見放さず、絶対に護ってくれる者の方が、いいな」
「……そんな者が、いたらいいですね」
「…………このニブチンが」
「はい?」

 そんな、他人事のように気落ちした声で呟く護衛に、俺は思わずぽろっと口から零れ落としてしまった。
 目を伏せ、少し気落ちしたような声で呟く彼の姿は大人しくなった犬のように見えた可愛い、が。もう少し、他人の機微を学んで欲しいものだ。

「まあ、いい。とりあえず、近いうちに父上たちを説得してみせる。……俺がどんな道を選んでも、お前はついてこい、アルバート」
「はっ!……貴方が望んでくださるならば、どこまででも」

 俺の呼び掛けに、表情を引きしめてこちらをしっかり見つめてくる護衛に、思わず笑みをこぼす。
 そうして気持ちを切り替えて、まだくっついてる2人の元へと足を運んでいく、


 さぁ、忙しくなるのは、これからだ。



 ……to be continued ??


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