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私の娘は残念ちゃんだった(公爵夫人のため息)
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翌日目が覚めてからずっと悶々としていたシルヴィア。エスコートについてイーサンに質問するのが近道ではあるが、頭の中に何故か危険信号。知ってしまったら元へ戻れない、何かが崩れる気がしていた。
結局一人で悶々として気付けば夜。無駄な精神披露で眠気に勝てず、考えることを手放して、ぬくぬくとベッドで就寝。
朝になり、ため息をついて朝食の場へ向かう。
食事中、母親から隣国での学生時代についてきかれた。
「シルヴィア。学園の皆様と仲よく過ごしていたというのは貴方のお祖母様から伺っております。実際はどうだったのですか?」
「はい。いい人たちばかりでした。よく食事をしに出かけたり、色々なところを見てまわったりもしました。」
「そう。それはよかったわ。それからもうひとつ聞きたいのだけど、お年頃ですもの。デートのお誘いとかはなかったのかしら?」
父親がピクっと反応する。可愛い娘に手を出そうとしたかもしれない人物の有無に関しては非常に気になったのだ。
「残念ながら。私、異性としては人気がないようです。」
「は?」
オリヴァーが口に持っていこうとしたスプーンを皿に置き、目が点になる。
「今、聞き間違いかな?異性としては人気がないっておかしな事をシルヴィアが言った気がするけど?」
「そのツッコミには同感だ。」
オリヴァーの言葉に父親が反応する。
「シルヴィア、男性の誰からもどこかへ行こうと誘われなかったの?」
「いいえ。お母様。何度か美味しい店をみつけたから行ってみないかとかそういったものはありましたよ?みんなで楽んで、本当に充実した日々でした。」
「「「みんな?」」」
「ええ。せっかく教えて頂けるのですもの。友人達みんなと楽しみたいでしょう?声かけたら和気あいあいになって。」
この瞬間両親も兄も可哀想なものを見るかのような視線になった。
「はぁー・・・神様は一応何本かの道をご用意してくださっていたのに、肝心の本人にみえてなかったということね・・本当にこの子ったら。」
「お母様?」
母とシルヴィアの様子にプッとオリヴァーが吹き出し笑いをする。
「母上。これも運命の1つかと。それに他の道に気付いても、多分今のこの流れに繋がっていた気がします。他の道に寄り道なんてしたら相手が全力で余所見させないかと。」
「お前、半分面白がってないか?」
「だって父上、あの人このことに関しては限りなく面倒臭い奴になるし、ある意味深刻な状況だけど、昔からの流れを客観的にみたら何だか笑えてきて・・・はっ!」
母からの圧が自分にかかってきて慌ててオリヴァーが誤解を解こうとする。
「母上、落ち着いて。僕はシルヴィアの味方です。シルヴィアが決めることですから。それに母上も、何だかんだいってもあの人の事は可愛がっていたでしょうが。シルヴィアが絡まなければ。」
あの人が誰のことを指しているのか、以前ならば気付かなかったかもしれない。だが、親友に指摘された今、シルヴィアは気付いた。でも年下の自分を可愛がってくれたあの様子からは、自分をそういう対象でみてるとは思えず、想像もしたことがなかったのだった。
「・・・あの人って、イーサン兄様の・・事・・ですよね?」
「シ、シルヴィア。どうした?急に何かに目覚めたか?自分の事に関しては鈍いお前が。」
せっかく戻ってきたばかりの娘がまた手元から離れる日があっという間にくることなんて公爵は受け入れられず、汗が出てくる。
「でも、イーサン兄様からは特に何も言われてないですよ?私だって何も言われてないから何も言いようがないわ。お父様もお母様もオリヴァー兄様もそんなに家族会議みたいな雰囲気出さなくても。」
「シルヴィア。貴方は殿下のことはどう思ってるの?お母様に教えて。」
「嫌だー!聞きたくないぞ父様は!!」
「貴方は黙ってて。」
「黙ってられるかぁぁぉぁぁ!!」
「・・・オリヴァー兄様にも聞かれたけど、イーサン兄様は頭の回転も早いし、優しいし、よい賢王になると思ってます。」
だから、そっちじゃないって、シルヴィア。
兄は妹の行く末が少々心配になってきていた。
結局一人で悶々として気付けば夜。無駄な精神披露で眠気に勝てず、考えることを手放して、ぬくぬくとベッドで就寝。
朝になり、ため息をついて朝食の場へ向かう。
食事中、母親から隣国での学生時代についてきかれた。
「シルヴィア。学園の皆様と仲よく過ごしていたというのは貴方のお祖母様から伺っております。実際はどうだったのですか?」
「はい。いい人たちばかりでした。よく食事をしに出かけたり、色々なところを見てまわったりもしました。」
「そう。それはよかったわ。それからもうひとつ聞きたいのだけど、お年頃ですもの。デートのお誘いとかはなかったのかしら?」
父親がピクっと反応する。可愛い娘に手を出そうとしたかもしれない人物の有無に関しては非常に気になったのだ。
「残念ながら。私、異性としては人気がないようです。」
「は?」
オリヴァーが口に持っていこうとしたスプーンを皿に置き、目が点になる。
「今、聞き間違いかな?異性としては人気がないっておかしな事をシルヴィアが言った気がするけど?」
「そのツッコミには同感だ。」
オリヴァーの言葉に父親が反応する。
「シルヴィア、男性の誰からもどこかへ行こうと誘われなかったの?」
「いいえ。お母様。何度か美味しい店をみつけたから行ってみないかとかそういったものはありましたよ?みんなで楽んで、本当に充実した日々でした。」
「「「みんな?」」」
「ええ。せっかく教えて頂けるのですもの。友人達みんなと楽しみたいでしょう?声かけたら和気あいあいになって。」
この瞬間両親も兄も可哀想なものを見るかのような視線になった。
「はぁー・・・神様は一応何本かの道をご用意してくださっていたのに、肝心の本人にみえてなかったということね・・本当にこの子ったら。」
「お母様?」
母とシルヴィアの様子にプッとオリヴァーが吹き出し笑いをする。
「母上。これも運命の1つかと。それに他の道に気付いても、多分今のこの流れに繋がっていた気がします。他の道に寄り道なんてしたら相手が全力で余所見させないかと。」
「お前、半分面白がってないか?」
「だって父上、あの人このことに関しては限りなく面倒臭い奴になるし、ある意味深刻な状況だけど、昔からの流れを客観的にみたら何だか笑えてきて・・・はっ!」
母からの圧が自分にかかってきて慌ててオリヴァーが誤解を解こうとする。
「母上、落ち着いて。僕はシルヴィアの味方です。シルヴィアが決めることですから。それに母上も、何だかんだいってもあの人の事は可愛がっていたでしょうが。シルヴィアが絡まなければ。」
あの人が誰のことを指しているのか、以前ならば気付かなかったかもしれない。だが、親友に指摘された今、シルヴィアは気付いた。でも年下の自分を可愛がってくれたあの様子からは、自分をそういう対象でみてるとは思えず、想像もしたことがなかったのだった。
「・・・あの人って、イーサン兄様の・・事・・ですよね?」
「シ、シルヴィア。どうした?急に何かに目覚めたか?自分の事に関しては鈍いお前が。」
せっかく戻ってきたばかりの娘がまた手元から離れる日があっという間にくることなんて公爵は受け入れられず、汗が出てくる。
「でも、イーサン兄様からは特に何も言われてないですよ?私だって何も言われてないから何も言いようがないわ。お父様もお母様もオリヴァー兄様もそんなに家族会議みたいな雰囲気出さなくても。」
「シルヴィア。貴方は殿下のことはどう思ってるの?お母様に教えて。」
「嫌だー!聞きたくないぞ父様は!!」
「貴方は黙ってて。」
「黙ってられるかぁぁぉぁぁ!!」
「・・・オリヴァー兄様にも聞かれたけど、イーサン兄様は頭の回転も早いし、優しいし、よい賢王になると思ってます。」
だから、そっちじゃないって、シルヴィア。
兄は妹の行く末が少々心配になってきていた。
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