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シルヴィアは考える、斜め上の方向に
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夜、シルヴィアはベッドの上で過去を振り返っていた。
過去に学園で強引アピールの令息に壁ドンされたことが実はある。一回ではない。自力で逃げ切ってるが。しかも壁ドン野郎は一人ではない。
焦ったことはあっても泣くことはなかった。むしろ冷たい目で睨み返し、相手が怯んだスキに逃げるか、女性らしく悲鳴を上げてその悲鳴に相手が緩んだスキに脱出していた。
じゃあ、イーサン相手にどうだったのか?
“おかしいなぁ。悲鳴も出なかったし(何やらイーサン兄様の背後から滲み出るオーラが怖かったが)泣いちゃった。
でも嫌で泣いた?ショックで泣いた?
嫌ではなかった。ショックというかびっくりした。イーサン兄様が知ってる兄様とは違うように思えて、そっちのほうがショックだったような気がするのよね・・・。
大きくなって、からかい方が変わってきた?
私の事とても可愛がってくれて面倒もみてくれたし、遊んでくれた。でも、時々私の事からかっていたから。
確かにドレスとアクセサリーはお兄様色になっていた。でもそれは王妃様の考え。
あれ?でも兄様あの時に何て言っていた?
意図には沿ってないけど沿ってるだっけ?
兄様の周囲に婚約者候補にあがる人っているんじゃないの?
(皆様王子本人に手厚く優しく敵にならない範囲で蹴散らされてます。)
幼馴染で筆頭公爵家ってだけで私に目をつけているだけじゃないのかしら?
小さい頃からお互いよく知ってるという意味ではお手軽だもの。
(王家とクラーク公爵家は何代もも蜜月状態なので、今更政略結婚は必要ありませんということをシルヴィアは忘れている)
でも、何故私は顔が赤くなったの?
ああ、そりゃあ、子供の頃と違って顔が近くに来ることなんて最近なかったから恥ずかしくなるか。”
子供の頃と今と自分の気持ちが変化している事に気付いていない残念なシルヴィアお嬢様。
“でも、具体的に何か説明が王家から私にあったわけじゃないもの。変な事何も考えられないわ。”
むしろ言葉でなく、具体的に実行中であるのだが、このズレこそ公爵夫人が狙っていた状況であった。天然ボケにプラスしてたくましく逃げて生き延びるスキルを成長期に鍛えておくこと。
公爵夫人の想定外は思いの外、娘が自身については疎いということだった。
“あ!そうか!
私、あの時のイーサン兄様の黒い笑顔と黒いオーラが怒ってると思って怖かったんだわ!
そうよ、だから焦ってドキドキして顔が熱くなったんだ。それでどうしていいかわからなくて涙がでちゃったのね。”
どうしていいかわからなかったという事に関しては正解なのだが、それ以外は赤点ものである。
親友の令嬢がこのシルヴィアの考えを聞かされたら恐らく説教となる。
*
一方のイーサンは・・・
「参った・・・寝れない。」
寝ようとすると頬を染めて涙目のシルヴィアの顔が浮かんできて切なくなる。
あの顔を他の男にはみせたくないっていうか見せるつもりは僕にはない。
小さな頃から抱えていたシルヴィアという夢。
それを確実に手に入れるために色々考え始めてしまうため、眠気が去っていく状況。
王家が強引に話を持っていくことはできる。とっくの昔に公爵家には意向を伝えてあるから。でも条件は最終的にシルヴィアの選択次第というもの。
見慣れた年上の幼馴染ではなく、一人の男性としてじゃないと僕は選んでもらえても嫌だ。
その場合は男性として受け入れてもらえるまで耐えてみせる。
自信があるようで実はピュアなイーサンであるからこそ、黒いバージョンの笑顔の破壊力は凄まじいということに気付いていたのは同類のマリアンヌだけ。
過去に学園で強引アピールの令息に壁ドンされたことが実はある。一回ではない。自力で逃げ切ってるが。しかも壁ドン野郎は一人ではない。
焦ったことはあっても泣くことはなかった。むしろ冷たい目で睨み返し、相手が怯んだスキに逃げるか、女性らしく悲鳴を上げてその悲鳴に相手が緩んだスキに脱出していた。
じゃあ、イーサン相手にどうだったのか?
“おかしいなぁ。悲鳴も出なかったし(何やらイーサン兄様の背後から滲み出るオーラが怖かったが)泣いちゃった。
でも嫌で泣いた?ショックで泣いた?
嫌ではなかった。ショックというかびっくりした。イーサン兄様が知ってる兄様とは違うように思えて、そっちのほうがショックだったような気がするのよね・・・。
大きくなって、からかい方が変わってきた?
私の事とても可愛がってくれて面倒もみてくれたし、遊んでくれた。でも、時々私の事からかっていたから。
確かにドレスとアクセサリーはお兄様色になっていた。でもそれは王妃様の考え。
あれ?でも兄様あの時に何て言っていた?
意図には沿ってないけど沿ってるだっけ?
兄様の周囲に婚約者候補にあがる人っているんじゃないの?
(皆様王子本人に手厚く優しく敵にならない範囲で蹴散らされてます。)
幼馴染で筆頭公爵家ってだけで私に目をつけているだけじゃないのかしら?
小さい頃からお互いよく知ってるという意味ではお手軽だもの。
(王家とクラーク公爵家は何代もも蜜月状態なので、今更政略結婚は必要ありませんということをシルヴィアは忘れている)
でも、何故私は顔が赤くなったの?
ああ、そりゃあ、子供の頃と違って顔が近くに来ることなんて最近なかったから恥ずかしくなるか。”
子供の頃と今と自分の気持ちが変化している事に気付いていない残念なシルヴィアお嬢様。
“でも、具体的に何か説明が王家から私にあったわけじゃないもの。変な事何も考えられないわ。”
むしろ言葉でなく、具体的に実行中であるのだが、このズレこそ公爵夫人が狙っていた状況であった。天然ボケにプラスしてたくましく逃げて生き延びるスキルを成長期に鍛えておくこと。
公爵夫人の想定外は思いの外、娘が自身については疎いということだった。
“あ!そうか!
私、あの時のイーサン兄様の黒い笑顔と黒いオーラが怒ってると思って怖かったんだわ!
そうよ、だから焦ってドキドキして顔が熱くなったんだ。それでどうしていいかわからなくて涙がでちゃったのね。”
どうしていいかわからなかったという事に関しては正解なのだが、それ以外は赤点ものである。
親友の令嬢がこのシルヴィアの考えを聞かされたら恐らく説教となる。
*
一方のイーサンは・・・
「参った・・・寝れない。」
寝ようとすると頬を染めて涙目のシルヴィアの顔が浮かんできて切なくなる。
あの顔を他の男にはみせたくないっていうか見せるつもりは僕にはない。
小さな頃から抱えていたシルヴィアという夢。
それを確実に手に入れるために色々考え始めてしまうため、眠気が去っていく状況。
王家が強引に話を持っていくことはできる。とっくの昔に公爵家には意向を伝えてあるから。でも条件は最終的にシルヴィアの選択次第というもの。
見慣れた年上の幼馴染ではなく、一人の男性としてじゃないと僕は選んでもらえても嫌だ。
その場合は男性として受け入れてもらえるまで耐えてみせる。
自信があるようで実はピュアなイーサンであるからこそ、黒いバージョンの笑顔の破壊力は凄まじいということに気付いていたのは同類のマリアンヌだけ。
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