26 / 113
第二章 光でも闇でもなく
コミヒ姫の能力
しおりを挟む
「そういえば、パンをありがとうね。嬉しかったわ。」
コミヒがフォリーの頭を撫でながらディランに言った。
「すみません。直接お渡ししたかったのですが、人命がかかってるかもしれないとなると、そちらを優先したくて。入国して管理局内の配達関連の店に直ぐに行き、頼みました。」
「そう。それは間違ってないわ。命が優先で合ってます。
その過程でフォリーが倒れた。医師の診断の説明は教えて頂かなくてもいいわ。“はっきりとはわからない。”でしょうから。」
クルーが驚いた表情をした。
「あら、そんなに驚く事ではないのよ。私見た目こんなだけれどこの辺では誰よりもおばあちゃんよ。知ってますでしょ?
まず完全に安心できるような診断結果なら、貴方達がどよ~んとしてないでしょう。まぁ、おばあちゃんでなくても気付けるかな?」
「おばあちゃん・・・数十年前に子供産んでるくせによく言う。」
小声でディランが呟いたがコミヒにしっかり聞き取られてしまった。
「そりゃあ、中身も若いままなのは事実よ。今はね。」
「それよりも、今回の目的は達成したの?助けたい人の命は何とかなるのかしら?」
クルーがピクっと反応し、答えた。
「ワイスの花はご存知ですよね?わずかに残った種が私では手の届かないところにありまして、手にするためにお二人に来ていただいたんです。」
「ワイスの花・・人命・・・風土病ね。そうか、他の薬もあるけど、直ぐに効果が必要な状況になっているとしたらワイスの花が確かに確実ね。種は何とかなったの?」
「手にできました。しかし、種が生きてるのか不明のため、至急保護施設へ送りました。」
クルーが不安そうに下を向く。
「なるほど・・・では、その種を一粒、今、私に貸してくれないかしら?この国に住み着いてから、私に身分関係なく皆様親切にして下さるし、たまには私からもお返ししたいわ。それに、フォリーが倒れてまで頑張ったのでしょう?」
「お返しなど。あなた様は我が国とご自身の母国どちらにも利益をもたらして下さってるではないですか。それに種を一粒だけお渡しして何か案でもあるのですか?」
「そうね、ちょっとした奇跡が起きるかもね?」
コミヒはディランに視線を向ける。
「クルー、私・・いや、俺からも頼む。一粒とはいえ、大事な種なのはわかる。でも、コミヒ様を信じてもらえないだろうか?種が生きていればコミヒ様の能力が使えるかも知れない。」
しばらく沈黙となったが、過去コミヒがファイアルに危害を加えたことはないし、むしろ国を気に入ってくれてずっと住んでいるという事実にクルーは目を向けた。
「少々お待ちを。」
クルーが手首に付けていたブレスレットに話しかける。
「私だ。フーリーに保護施設へ向かい、私が施設に預けた種を一粒だけ持ってくるように伝えてくれ。」
*
半時程過ぎ、フーリーがあらわれた。
「ありがとうフーリー。」
「どういたしましてって、あれ?コミヒ様?!」
「ご無沙汰ね、フーリー。あなたも立派になって。」
「相変わらずの美しさで驚いてます。本当に歳を取らないのですね。」
眼を大きく開きフーリーが言った。
微笑みを浮かべながらコミヒが答える。
「あら。それは間違ってるわ。歳はとってますよ。不老なだけです。」
「頭でわかっていてもやはり驚いてしまいます。100年を超えているという話は聞いたことがありますが
・・・正確には何歳なのですか?」
「こら、フーリー!!何て失礼な事を言うんだ!女性に歳を聞くんじゃない!」
「いや、だってクルー、聞きたくなるじゃん?」
クルーは慌ててフーリーの両頬をぐーっと手で伸ばした。
「い、いひゃい、いひゃい、痛っ!」
「あなた達、それくらいにして。さ、種を私の手にのせて頂けるかしら?」
その騒ぎの中、ディランがフォリーの様子に気付いた。
「どうしたの?ディラン。」
「え、いや、何・・何となくフォリーの表情がうるさそうにしているような気がして・・・。」
「あら。自分も大変な状況なのに。何をのん気にうるさがってるのかしら、このお嬢さんは。ま、でも私達の声は何となく聞こえる状態なのね。」
コミヒの手のひらの上に種が置かれた。
「さて。滅多に見れないものが見れるかもよ?
そしてこの力こそが次代に継がれる力。余程の時でないと使わない力。見た目はたまに見かける能力と間違えられますけどね。」
コミヒはそう言うと何かに集中するかのように種をじっと見つめる。
「生きてる波動はあるわ。」
「機械等使わなくてもわかるのですか?!それが『能力』?!」
「いいえ。これは序の口。これからが本番よ。」
コミヒが再び種を見つめる。コミヒの手のひらから淡い光が発せられ、それは温かさを伴い始め、光は大きなオーブ状になっていく。
「「え?!」」
クルーとフーリーが声を出した。
コミヒがフォリーの頭を撫でながらディランに言った。
「すみません。直接お渡ししたかったのですが、人命がかかってるかもしれないとなると、そちらを優先したくて。入国して管理局内の配達関連の店に直ぐに行き、頼みました。」
「そう。それは間違ってないわ。命が優先で合ってます。
その過程でフォリーが倒れた。医師の診断の説明は教えて頂かなくてもいいわ。“はっきりとはわからない。”でしょうから。」
クルーが驚いた表情をした。
「あら、そんなに驚く事ではないのよ。私見た目こんなだけれどこの辺では誰よりもおばあちゃんよ。知ってますでしょ?
まず完全に安心できるような診断結果なら、貴方達がどよ~んとしてないでしょう。まぁ、おばあちゃんでなくても気付けるかな?」
「おばあちゃん・・・数十年前に子供産んでるくせによく言う。」
小声でディランが呟いたがコミヒにしっかり聞き取られてしまった。
「そりゃあ、中身も若いままなのは事実よ。今はね。」
「それよりも、今回の目的は達成したの?助けたい人の命は何とかなるのかしら?」
クルーがピクっと反応し、答えた。
「ワイスの花はご存知ですよね?わずかに残った種が私では手の届かないところにありまして、手にするためにお二人に来ていただいたんです。」
「ワイスの花・・人命・・・風土病ね。そうか、他の薬もあるけど、直ぐに効果が必要な状況になっているとしたらワイスの花が確かに確実ね。種は何とかなったの?」
「手にできました。しかし、種が生きてるのか不明のため、至急保護施設へ送りました。」
クルーが不安そうに下を向く。
「なるほど・・・では、その種を一粒、今、私に貸してくれないかしら?この国に住み着いてから、私に身分関係なく皆様親切にして下さるし、たまには私からもお返ししたいわ。それに、フォリーが倒れてまで頑張ったのでしょう?」
「お返しなど。あなた様は我が国とご自身の母国どちらにも利益をもたらして下さってるではないですか。それに種を一粒だけお渡しして何か案でもあるのですか?」
「そうね、ちょっとした奇跡が起きるかもね?」
コミヒはディランに視線を向ける。
「クルー、私・・いや、俺からも頼む。一粒とはいえ、大事な種なのはわかる。でも、コミヒ様を信じてもらえないだろうか?種が生きていればコミヒ様の能力が使えるかも知れない。」
しばらく沈黙となったが、過去コミヒがファイアルに危害を加えたことはないし、むしろ国を気に入ってくれてずっと住んでいるという事実にクルーは目を向けた。
「少々お待ちを。」
クルーが手首に付けていたブレスレットに話しかける。
「私だ。フーリーに保護施設へ向かい、私が施設に預けた種を一粒だけ持ってくるように伝えてくれ。」
*
半時程過ぎ、フーリーがあらわれた。
「ありがとうフーリー。」
「どういたしましてって、あれ?コミヒ様?!」
「ご無沙汰ね、フーリー。あなたも立派になって。」
「相変わらずの美しさで驚いてます。本当に歳を取らないのですね。」
眼を大きく開きフーリーが言った。
微笑みを浮かべながらコミヒが答える。
「あら。それは間違ってるわ。歳はとってますよ。不老なだけです。」
「頭でわかっていてもやはり驚いてしまいます。100年を超えているという話は聞いたことがありますが
・・・正確には何歳なのですか?」
「こら、フーリー!!何て失礼な事を言うんだ!女性に歳を聞くんじゃない!」
「いや、だってクルー、聞きたくなるじゃん?」
クルーは慌ててフーリーの両頬をぐーっと手で伸ばした。
「い、いひゃい、いひゃい、痛っ!」
「あなた達、それくらいにして。さ、種を私の手にのせて頂けるかしら?」
その騒ぎの中、ディランがフォリーの様子に気付いた。
「どうしたの?ディラン。」
「え、いや、何・・何となくフォリーの表情がうるさそうにしているような気がして・・・。」
「あら。自分も大変な状況なのに。何をのん気にうるさがってるのかしら、このお嬢さんは。ま、でも私達の声は何となく聞こえる状態なのね。」
コミヒの手のひらの上に種が置かれた。
「さて。滅多に見れないものが見れるかもよ?
そしてこの力こそが次代に継がれる力。余程の時でないと使わない力。見た目はたまに見かける能力と間違えられますけどね。」
コミヒはそう言うと何かに集中するかのように種をじっと見つめる。
「生きてる波動はあるわ。」
「機械等使わなくてもわかるのですか?!それが『能力』?!」
「いいえ。これは序の口。これからが本番よ。」
コミヒが再び種を見つめる。コミヒの手のひらから淡い光が発せられ、それは温かさを伴い始め、光は大きなオーブ状になっていく。
「「え?!」」
クルーとフーリーが声を出した。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる