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第四章 緑石の力に潜む意思
『テオ』は何かを覚えてる
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ディランが父親と交代して、アレックスから離れていた時に、セステオが姿をみせた。
セステオはもうじき4歳になるという頃に石の中に閉じ込められた。当時わずか3歳のテオ王子の記憶は、家族や周囲の人の事が大好きだったことははっきり残っていた。だが、沈黙の森へ向かった理由はぼやけていた。気付いた時には森の奥にいた記憶。何が起きてるのかよくわからず、微かに誰かが自分を抱えていた感覚と、そこに姉が来たという場面。長い間、石に閉じ込められていた事も影響はしていたのかもしれない。とにかくあの日の記憶はそれだけ。さっきまでは。
うたた寝の束の間の夢。そこに、幼い頃の姉の絶望を浮かべたような表情が現れた。そして直後に姉が厳しい表情となり、声を出していた。
夢の中のお姉様は、何て言ってたんだろう?
とっても悲しそうな表情をして、急に怒ったような顔になっていた。
セステオは考えつつ、とにかく誰かに夢の事を話したかった。その矢先にディランの姿をみつけた。
この、姉が何かを言っていた記憶こそが、フォリーが遥か彼方に追いやって、封じている記憶であった。
「そうか、悲しそうで怒っているフォリーが夢に出たんだね。でもどうしてそんな話を?」
ディランがセステオの部屋で話し相手を努めていた。
「あにうえ、夢の中の姉様は、生々しかったんです。だから、これは夢だけど夢じゃないって思いました。テオだった僕の思い出なんだと思いました。みんな、何か思い出したら教えてと僕に言っていたでしょう?」
子どもの話し方と公式の大人の話し方が混ざり始めてるセステオに、無事に成長している様子がみられる。
「・・そういえば、お前、背が伸びてきたなぁ。」
ディランは思わず、セステオの話の内容とズレた事を呟いてしまう。
「え?本当ですか!僕、それは嬉しいです。」
セステオも釣られて話題が変わっている。
ニコニコしているセステオの頭にぽんっとディランは手を置く。
「ああ。育ち盛りだからな。急に背が伸びてくると成長痛といって、足とか痛くなるかもしれないが、心配するな。」
「はい!・・・・・ん?」
急にセステオが固まる。
「どうした?」
セステオの眼が挙動不審に動いている。
「あにうえ、この間、外へ行きたいと言ったら父上に叱られました。父上も母上も許可しないと。でも、でも、僕、姉様の様子をみたいです。」
「フォリーの様子?」
「わからないけど、急に心がザワザワしてきました。誰かが、僕に姉様を安心させろと言ってる。
よくわからないけど、誰かが。姉様が傷付いてる気がします。」
「安心ねぇ。うーん、外出なぁ・・・。え?どうしたセステオ?」
ポロリとセステオの緑色の眼の方から涙が落ちる。
「わからない。わからないよ、あにうえ。でもね、姉様は僕のせいで傷付いてる!お願い、あにうえ!」
セステオの頭にはっきりと夢の中のフォリーの言葉が蘇る。
『そんなの、信じない!信じないもん!!』
セステオはもうじき4歳になるという頃に石の中に閉じ込められた。当時わずか3歳のテオ王子の記憶は、家族や周囲の人の事が大好きだったことははっきり残っていた。だが、沈黙の森へ向かった理由はぼやけていた。気付いた時には森の奥にいた記憶。何が起きてるのかよくわからず、微かに誰かが自分を抱えていた感覚と、そこに姉が来たという場面。長い間、石に閉じ込められていた事も影響はしていたのかもしれない。とにかくあの日の記憶はそれだけ。さっきまでは。
うたた寝の束の間の夢。そこに、幼い頃の姉の絶望を浮かべたような表情が現れた。そして直後に姉が厳しい表情となり、声を出していた。
夢の中のお姉様は、何て言ってたんだろう?
とっても悲しそうな表情をして、急に怒ったような顔になっていた。
セステオは考えつつ、とにかく誰かに夢の事を話したかった。その矢先にディランの姿をみつけた。
この、姉が何かを言っていた記憶こそが、フォリーが遥か彼方に追いやって、封じている記憶であった。
「そうか、悲しそうで怒っているフォリーが夢に出たんだね。でもどうしてそんな話を?」
ディランがセステオの部屋で話し相手を努めていた。
「あにうえ、夢の中の姉様は、生々しかったんです。だから、これは夢だけど夢じゃないって思いました。テオだった僕の思い出なんだと思いました。みんな、何か思い出したら教えてと僕に言っていたでしょう?」
子どもの話し方と公式の大人の話し方が混ざり始めてるセステオに、無事に成長している様子がみられる。
「・・そういえば、お前、背が伸びてきたなぁ。」
ディランは思わず、セステオの話の内容とズレた事を呟いてしまう。
「え?本当ですか!僕、それは嬉しいです。」
セステオも釣られて話題が変わっている。
ニコニコしているセステオの頭にぽんっとディランは手を置く。
「ああ。育ち盛りだからな。急に背が伸びてくると成長痛といって、足とか痛くなるかもしれないが、心配するな。」
「はい!・・・・・ん?」
急にセステオが固まる。
「どうした?」
セステオの眼が挙動不審に動いている。
「あにうえ、この間、外へ行きたいと言ったら父上に叱られました。父上も母上も許可しないと。でも、でも、僕、姉様の様子をみたいです。」
「フォリーの様子?」
「わからないけど、急に心がザワザワしてきました。誰かが、僕に姉様を安心させろと言ってる。
よくわからないけど、誰かが。姉様が傷付いてる気がします。」
「安心ねぇ。うーん、外出なぁ・・・。え?どうしたセステオ?」
ポロリとセステオの緑色の眼の方から涙が落ちる。
「わからない。わからないよ、あにうえ。でもね、姉様は僕のせいで傷付いてる!お願い、あにうえ!」
セステオの頭にはっきりと夢の中のフォリーの言葉が蘇る。
『そんなの、信じない!信じないもん!!』
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