願いを持ちしはじまりの緑石

御伽夢見

文字の大きさ
84 / 113
第五章 闇の胎動と2つの王家

コミヒは手段をかえ、ルーカスの暁の力は反応する

しおりを挟む
 コミヒがフォリーの様子を見て決心したことは再度、黒いモヤを探る事。前回、頬から血を流す事態が起きた。今回は黒いモヤの出処には焦点を当てない。別の角度で隠された何かを調べようと考えた。別の角度・・・つまり、フォリー自身の過去に焦点をあてる。沈黙の森で何があったかの過去は視ている。今回は、フォリーがどんな言動をとったのかについて目標を定める。

 問題は・・・フォリーがそれを許すかどうか。
 急がなくてはならないような気がする。自分の残された時間のことではない。何かが動き出す前に急がなくてはという強迫観念。
 そう、今と昔の止まっていた運命がどちらも動き出してるかのよう・・・・

 
           *


 「こんにちは、フォリー。今お話しても大丈夫かしら?」

 ピアスにコミヒからの連絡が入る。

 「こんにちは。お手紙でもなく、ピアスを介しての連絡をコミヒ様がしてくるなんて珍しいですね。」

 「そうね。貴方は今1人?」

 「はい。部屋にいます。元気ですよ?でも、倒れた事でみんなが大人しくしてなさいって。
 私、倒れた時の事を覚えてないので、気になるんです。でも、教えてもらえない。コミヒ様もその場にいたはずですよね?あの後何があったのかやはりコミヒ様も教えてはくれないのでしょうか?」

 「・・・その件なんだけど、貴方が嫌でなければ、沈黙の森の出来事があった時の貴方・・について過去視をしたいの。貴方に断らずに勝手に行ったところでたかが知れてる。でも。もし貴方が一緒に波長合わせてくれれば・・あの時の事を思い浮かべた状態でみせてくれれば、曖昧な部分も視えるかと思ってね・・・。」

 「?。構いませんよ。だって過去は消えない。思い出すと今も恐怖や悲しさや焦りが蘇ってきます。でも、なかった事にはできないじゃないですか。何かの謎が解けるなら・・・。」

 「そう。そうね、貴方は本来前向きな子。でもね、倒れた時の貴方はむしろ逆だったの。知ることに否定の方向だったの。だから、許可を求めてるの。」

 「・・逆?申し訳ありません。わからない・・・・・。」

 「いいのよ。それだけ辛い事を貴方は当時味わったということ。もう一度聞くけど、いいのかしら・・・・・・?」

 「はい。」

 「このまま行うわ。私に意識を向けて。辛いかもなんてもう聞かない。人形みたいになるほど辛くて当然・・な事だったのだもの。」


         *


 結局、過去視は無駄に終わった。フォリー本人は協力してるが、どうしても特定の場面は視えない。本人が当時を思い出してる中での過去視なら普段の過去視よりはるかに鮮明に視えるはずだった。実際、過去行った時に視えなかった場面もチラチラ視えた。だが、幼いフォリーが何かに驚いた顔をした後からバサっと何も視えなくなる。その場面に集中してみるが、何度やっても視えない。フォリーは協力していても、無意識下で拒否している部分がある。

 何に・・驚いたの?
 何があったの?

 再度手段を変えねばならなかった。勿論、まだ手段はあった。セステオだ。少なくとも石に取り込まれる前に何かあったと思われる。

 だが、セステオ自身、記憶がかなり曖昧。漠然としている状態だ。ましてや当時3歳。

 でも、コミヒは実行する気であった。

 セステオなら、耐えられる・・・・・。長い間閉じ込められ、救出された後、自分の年齢と実際の年齢が違う事実も、幼い頃の友達や兄達が記憶していた姿より成長している事実も受け入れた。甘えん坊だったセステオが泣くことなく、それを受け入れた。

 コミヒはセステオの2人の父王に話しを持っていくことにした。


          *


 ルーカスは何とか復活した。
フォリーがあの日見たものはコミヒの言うとおり、悲惨だった。


 幼い子どもがあんな悲惨なものをみせられたら・・いや、実際にフォリーはその場面を生で見ているんだ。

 狂ってもおかしくないのに、人形のようになって、自力で戻ってきた。

 あの子は強い。弱くて強い。強くて弱い。

 何故あの日にテオは森へ行ったのか・・
いや・・・・・行かされたのか?

 偶然フォリーが気付いたとはいえ、何故周りにいた者たちは気付けなかったのか・・・

 ルーカスは無償に妹の顔をみたくなった。
ルーカスが自室に行った後、妹が倒れたという話はルーカスには伝えられてなかった。
 ルーカスは復活するまで自室で過ごしていた。
 そんな時に不安にさせる事を伝えないように指示が出ていたのだった。

 そこで初めてルーカスは気付く。自分が不調で休むときや病気の時、必ずフォリーはルーカスの部屋に顔を出す。だが、今回は無い。フォリー自身が絡む内容なだけに、顔を出しにくかったのか?だが、兄妹喧嘩した時でさえ、不調なら心配して顔を出してきた妹・・・
 何か起きたか、それとも急な役目でも入ったのか?

 不安は余計に妹の顔を見たくさせる。

ルーカスは自室を出た。すると扉の側でジョーンズが静かに立っていた。

 「そろそろ復活する頃かと思いまして。」

 「心配かけてすまなかった。何か用か?」

 「その前に、どちらへ向かおうとされてます?」

 「フォリーのところに・・・何かあったのか?」

 「実はルーカスが休んだ後、フォリーが倒れた。」

 ジョーンズが幼馴染の口調となった。

 「・・何故?」

 「その場にいたけど、コミヒ様から沈黙の森での事で他に何か知ってるのではないかと聞かれ、倒れた。」

 「何か知ってる?」

 「テオとクリスタルの関係の事だと・・・
あ、フォリーは倒れた時の事は覚えてないぞ。
一見、元気だ。外へ行きたくてうずうずしてるだろうがな。」

 ルーカスはフォリーの部屋に向かって歩き出した。

          *

 「フォリー、俺だ。入るぞ。」

 ルーカスの姿をみて、フォリーはホッとした。

 「お兄様。大丈夫ですか?あの・・気持ち悪くない?」

 「いつまでも凹んでる訳にはいかないよ。お前、倒れたんだって?」

 「はい。でも、何故なのかわからないし、直前の事を覚えてないんです。」

 「そうか、それは大変だっ・・・」

 話しかけながら妹の頰に手を触れかけた時、ルーカスはそれ・・に気付いた。

 何だ、この闇は?

 誰でも影の部分はあるし、それぞれ各自で心のバランスを取っている。
 でも、いつものフォリーの状態ではない。

 何で急にバランスがおかしくなっている?

 それに、フォリーの闇に隠れてもうひとつ闇が隠れている。これはだ。

 暁の王子は自身の湧き出た怒り・・を飲み込んだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...