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一章 元オッサン異世界で爆誕....していたらしい。
しおりを挟む異世界、ザラディーン。
俺の生まれ変わった世界だ。
俺はザラディーンの中では小国のクエンティド王国の辺境の町の魔導具職人の子供として生まれた。
俺は6歳で俺の記憶が今甦ったところなのだ。
どうやらこの体を俺が乗っ取ったというより俺の記憶が今まで封印されていたというのが正しいらしい。
6歳迄の記憶に違和感を感じないし、もちろん俺自身が生きた前世の記憶にも違和感を感じないからおそらくエストワールがこう言うふうにしたのだろう。
だがエストワール、いやここはあえてアホ神と呼ばせてもらおう。
アホ神よ。何故俺は今生では
女なんだ?
俺が記憶が戻った時に唯一戸惑ったのはこの体の6年間の記憶が正に女の子だったこと。
そして俺は今井戸から水を汲み、自分の姿を写して眺めている。
髪は長く色はシルバーストーンメタリックの銀髪、これは俺と一緒に死んだ愛車の色だな。
眉、睫毛共に同じシルバーストーンメタリックで瞳の色はイノセントブルーマイカのような深い青。
肌の色は白磁器の様に白くとても滑らかですべすべしている。
水に写る自分を見て何処かで見た記憶がある。むろんこの子の記憶では無く、俺の記憶でだ。
[どういうことでしょうか?これは?]
??うん?俺は今[なんじゃこりゃ?]って松○優作ばりのセリフを言ったはずなんだが違う台詞が出てきたぞ?
[どうしたんだ?ジュエル。水に写った自分の姿を見ながら口をぼーっとしているが。]
俺の後ろから今生のオヤジ様が少し心配そうに声を掛けてくる。
ジュエルと言うのは今の俺の名前だ。
[なんでもありません。とと様]
また台詞が変わってるな俺は[何でもねえよ、オヤジ殿。]って言った筈なのに...
[ならいいが、ジュエル。少し冷えてきたから早めに家の中に入るんだぞ。]
そうオヤジ様が言い少し右足を引きずりながら魔導具を作る工房へ向かう。
オヤジ様は右足を怪我で悪くしたそうだが、少し引きずる位で日常生活には問題が無いようだ。
腕の良い職人の様でオヤジ様には何人もの弟子が居る。
みんな気のいいやつらで俺を可愛がってくれている。
まぁ、何故俺が女の子になってるのかは今色々考えても分からねえな。アホ神を捕まえた時に問い詰めて説教だ。
そう考えながら俺は家の中に戻った。
俺は家の中に戻り、リビングに入りながらこれからの事を考える。
言葉や文字は分かる、これはたぶんエストワールの配慮だろう。
そんな事を考えながら家の中を見渡す。
家の中には様々な魔導具が置いてある。流石は魔導具職人の家だな。
照明器具など俺の前世では電気製品だった物が魔導具に置き換わっている。
この世界では電気ではなく魔導が主流なようだな、電気製品が全く無い。
魔導具のおかげで文明レベルはある程度高いが生活様式自体はおそらく中世からよく進んでいても産業革命前位迄だろう。
エストワールが前世の俺の世界のを羨ましいがる訳だな。
だが俺はこの世界位の文明レベルの方がいい気がする。
人間は文明の進化が生物で言う生き物の進化みたいなものだが、文明の進化が早すぎると人間社会に必ず歪みを生む。
ある程度の文明レベルの方が人間の心は豊かでいられる、俺にはそう感じる。
そんな事を考えている最中に突然俺しかいないはずの部屋の中で声が聞こえる。
[貴様が我らが主神の下僕か?]
誰が下僕だこら。俺はその声に答える。
[どちら様でしょうか?エストワール様のお知り合いの方ですか?]
むう、また俺と言った事と違う言葉が口から出てるぞ?
[ほう?我らが主神の真の名を知っている人間ならば間違い無さそうだな。人間はエストワール様の事をエトルと呼んでいる筈だ。]
そう言いながら声の主が俺の前に出てくる。
俺の目の前に歯の生えていない口をパクパクさせ人間の言葉を喋りながら出てきたのは....ヤモリだった...。
コイツら...タヌキといい今度はヤモリかよ!と心の中で突っ込む。
もうコイツらの姿は気にするのは止めよう。頭が痛くなってくる...
[主神から下僕の貴様宛に手紙を託されている。本来主神が貴様のような下践の者に手紙など出す前例は無い。主神を奉り敬いながら有り難く受け取るが良い。]
そう言うと何もない空間から手紙が落ちてきた。
だから誰が下僕だ、尻尾を掴んで尻尾を切らせるぞヤモリ神よ。
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