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公爵家編
17.背中の熱
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ふるりと身体が震えて、目が覚めた。久しぶりに寒いと感じ、ふぅと息を吐くと、白い息になる。
あれ、俺、風呂に入ってたはずじゃ?まだぼやけている頭で考えた。
お風呂からの記憶が無く、今はベッドの上だ。そこから推測すると、多分、お風呂の中で眠ってしまい、ベッドに寝かされたのだろう。
寒さを凌ぐ為、シーツを手繰り寄せる。ディゾル家に来てからというもの、いつも寝るときには背中にあった熱が無く、そこにルダン様がいないことを示していた。
窓からは夕焼けが見える。まだ夜は始まっていなくて、納得する。普通の人ならまだ寝るには早い時間だった。分かってはいるが、どうしてルダン様がいないのかと、理不尽にもそう思ってしまう。
「起きたのか」
後ろから声が聞こえて、ハッとして俺は身体を反転させた。それくらいなら、俺一人でも出来るようになったから。
そこにはルダン様がいた。近くにいてくれたことにホッと安心する。
ルダン様はソファに座って、テーブルには紙の束が積んであった。きっと仕事中だったのだろう。
彼はガラスのペンを透明な液体が入った小さな入れ物に差し、白いハンカチで手を拭いた。
その様子をジッと見つめていると、彼は片方の頬に笑みを浮べる。ルダン様の笑顔を見たら、さっきまでの寒さが和らいだ気がした。
「ご飯、食べるか?」
「ゴハン?」
「あぁ、ご飯だ」
多分、食べるかどうかを聞いているのかな?俺の知ってる食べるって単語と違うけど別の言い方なんだろう。
でもそう聞かれると、なんだかお腹が空いてきた。さっきまでは何も感じなかったのに、変なの。
「ゴハン、オーシー」
「あぁ、そうだな。美味しいご飯を食べよう」
ルダン様は、俺がしがみついているシーツごと両腕ですくい上げる。あまりにも軽々持ち上げるもんだから、自分が風船にでもなったのかと思った。
「寒かったか?」
何かを尋ねている感じがする。しかし、オレにはまだ意味が通じないから、頭を傾げるしか無かった。ルダン様は、そんな俺を小さく笑う。ルダン様はソファに、俺を定位置に座らせて、そっと俺の頬を撫でた。
ルダン様がワンちゃん説を上げたが、実際のところ俺の方が犬なのかも知れない。だって撫でてくれると、嬉しくなるから。
「グレイ」
「はい」
俺がうっとりしている間にルダン様に呼ばれたグレイさんは、テキパキと書類やペンをワゴンに乗せて片付け、テーブルを拭いて綺麗にする。書類が乗ったワゴンはドアの前に待機していた別の使用人に渡し、彼は手を拭いて、紅茶を入れてくれた。
グレイさんが用意してくれた紅茶を飲ませてもらいながら、俺は静かにご飯を待った。
あれ、俺、風呂に入ってたはずじゃ?まだぼやけている頭で考えた。
お風呂からの記憶が無く、今はベッドの上だ。そこから推測すると、多分、お風呂の中で眠ってしまい、ベッドに寝かされたのだろう。
寒さを凌ぐ為、シーツを手繰り寄せる。ディゾル家に来てからというもの、いつも寝るときには背中にあった熱が無く、そこにルダン様がいないことを示していた。
窓からは夕焼けが見える。まだ夜は始まっていなくて、納得する。普通の人ならまだ寝るには早い時間だった。分かってはいるが、どうしてルダン様がいないのかと、理不尽にもそう思ってしまう。
「起きたのか」
後ろから声が聞こえて、ハッとして俺は身体を反転させた。それくらいなら、俺一人でも出来るようになったから。
そこにはルダン様がいた。近くにいてくれたことにホッと安心する。
ルダン様はソファに座って、テーブルには紙の束が積んであった。きっと仕事中だったのだろう。
彼はガラスのペンを透明な液体が入った小さな入れ物に差し、白いハンカチで手を拭いた。
その様子をジッと見つめていると、彼は片方の頬に笑みを浮べる。ルダン様の笑顔を見たら、さっきまでの寒さが和らいだ気がした。
「ご飯、食べるか?」
「ゴハン?」
「あぁ、ご飯だ」
多分、食べるかどうかを聞いているのかな?俺の知ってる食べるって単語と違うけど別の言い方なんだろう。
でもそう聞かれると、なんだかお腹が空いてきた。さっきまでは何も感じなかったのに、変なの。
「ゴハン、オーシー」
「あぁ、そうだな。美味しいご飯を食べよう」
ルダン様は、俺がしがみついているシーツごと両腕ですくい上げる。あまりにも軽々持ち上げるもんだから、自分が風船にでもなったのかと思った。
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何かを尋ねている感じがする。しかし、オレにはまだ意味が通じないから、頭を傾げるしか無かった。ルダン様は、そんな俺を小さく笑う。ルダン様はソファに、俺を定位置に座らせて、そっと俺の頬を撫でた。
ルダン様がワンちゃん説を上げたが、実際のところ俺の方が犬なのかも知れない。だって撫でてくれると、嬉しくなるから。
「グレイ」
「はい」
俺がうっとりしている間にルダン様に呼ばれたグレイさんは、テキパキと書類やペンをワゴンに乗せて片付け、テーブルを拭いて綺麗にする。書類が乗ったワゴンはドアの前に待機していた別の使用人に渡し、彼は手を拭いて、紅茶を入れてくれた。
グレイさんが用意してくれた紅茶を飲ませてもらいながら、俺は静かにご飯を待った。
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