雪も積もれば冬となる～悪役公爵家に愛されちゃった！？～

公爵家編

58.錬金術の実験

　一人になる時間を、見つけて早速ポーションを作ってみることにした。シュウセツはガーデンでボール遊びをさせている。もし何かあったら大変だからね。

　Ｓ級回復ポーションに必要な素材は、以下の通り。
　衣草の花、１片。
　雪の雫、５滴。
　春の妖精の花、３輪。
　老人頭の花粉、２つまみ。
　魔力が含まれた水、適量。

　テーブルに、それぞれを用意してこの間貰ったグラスを器にして混ぜていく。良かった、まだ忘れていなかった。

　錬金術は順番が大事だ。ゲームでは間違えたら爆発して主人公がアフロの髪になって失敗になったが、この世界でどうなるかは分からないから慎重にならなきゃ。
　深呼吸をして、息を整える。しっかりと頭のなかでシミュレーションをして、気合を入れた。
　最初は雪の雫を１滴。春の妖精の花を１輪。水瓶の水を花が浸るまで入れて、色が変わるまで混ぜる。
　水がピンク色になったら、また雪の雫を１滴。そうすると、透明になるので、そこで花粉を入れると、白くトロミがつく。
　ここで衣草と花を１輪、同時に入れてよく混ぜる。今度は色が変わらないので注意深く見て、衣草が溶けた瞬間に残りの花を入れる。
　また花が浸るまで水を注ぎ、１度混ぜて赤色にしてまた雫を１滴。無色になったら、混ぜてピンク色。
　また一滴垂らして、今度は花を潰して色を滲ませる。零さないように丁寧に潰すと、花の匂いが強く漂ってくる。
　その色を最後に雫を入れて無色にして完成だ。

『出来た！Ｓ級回復ポーション！』

　あとは上澄みをポーション用の入れ物に入れれば、ゲームと同じだな。
　他にも衣草のところを睡混花と弾頭草だんとうそうにすればＳ級睡眠ポーションになる。弾頭草は、王国の温室でしか栽培されていない為、主人公じゃないと取りに行けない。まぁ、使う予定は無いけど。
　Ｓ級睡眠ポーションだけじゃなく、衣草の所の材料を変えれば、別のＳ級ポーションも作れるだろう。手順は同じだったから。

『俺も捨てたもんじゃないな』

　ウンウンと、頷きながら自画自賛した。まさか一発で出来るとは思わなかった。錬金術系はゲームと同じなのかな？
　このポーションは、あとでルダン様達に見てもらって、本当に使えるか判断してもらおう。
　今の俺は気力を使い果たして、もう起きていられないので報告は後にする。フラフラしながら、ベッドに倒れ込んだ。ルダン様達がいなくて良かったと思う。だってこれじゃあ、心配かけてしまう。一眠りして回復しよう。
　布団をかける余裕もなく、目眩も酷くなり、そのまま意識が遠くなった。