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公爵家編
71.指輪
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話が終わると、ルダン様は、おもむろに小さな金属の輪を取り出した。
「ウェイン、手を貸してくれ」
ルダン様に言われて、右手を差し出した。ルダン様は俺の手を取り、小指に指輪を着けた。サイズがぴったりな銀色に輝く指輪は、メビウスの輪のように1箇所だけ捻れていた。
「この指輪は、裏側にディゾル家の紋章が描かれてある。私の伴侶だと示す指輪で、君にもし何かあった時に必ずディゾル家の一族が助けてくれるものだ」
それは、俺がルダン様とずっと傍にいられる証だった。空に手を翳すと、キラリと赤く輝く。
「あ、ありがとうゴザイマス。大切にシマス」
指輪がはまった右手を胸の上に持って、左手で大切に重ねる。ジ~ンとする喜びを噛みしめた。
「メルと共に無事に卒業出来たら結婚しよう。その時に、その指輪を薬指にはめてくれ」
「ハイ」
俺とルダン様は、会話が無くなり静かに見つめ合う。顔が近くなって唇がくっつく寸前で、バタンと扉が開いた。
俺達はびっくりして、音がした方へと顔を向ける。そこにはシュウセツよりかなり大きい猫?がいた。大きさは、大型犬くらい?
猫と言っていいのか分からない生き物は、俺と目が合うと凄い勢いで突進してきた。
「わぁあ!」
俺は驚いて、目を瞑る。しかし、思った衝撃は来なかった。
そろぉっと、目を開けるとルダン様がその生き物の頭を掴んで止めていた。ぶらんと垂れ下がった生き物をそっと地面に置き、手を離す。
「にゃぁおー」
声もシュウセツよりも低い。でも、シュウセツと似たような柄模様だ。
「もしかして、シュウセツ?」
「にゃおん!」
気づいてくれて嬉しいと言わんばかりの声で鳴く。
「えっ?どうして、こんなに大きくなったの?」
タッと、ソファに飛び乗り擦りよる。頭を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らした。
シュウセツはベロンと俺の顔を舐める。ザラリとした舌が痛い。それからスンスンと鼻で俺の臭いを嗅いできた。
「近い」
ルダン様がシュウセツの顔を手で押し遠のける。シュウセツが不満げに鋭い牙を見せ、ガリガリとソファを引き裂いた。
そんなシュウセツを気にせず、ルダン様は舐められた俺の顔を、ゴシゴシとハンカチで強めに拭いた。
「良いか、シュウセツ。ウェインと遊ぶときは力加減を考えなさい。お前の力でウェインは簡単に傷ついてしまうぞ」
その言葉はまるで俺が壊れ物だと言ってるようにも聞こえ、ルダン様が俺を大切に思っていることも伝わってきた。照れくさくなって、彼を直視出来なくなり、胸板にしがみついた。
「ウェイン、手を貸してくれ」
ルダン様に言われて、右手を差し出した。ルダン様は俺の手を取り、小指に指輪を着けた。サイズがぴったりな銀色に輝く指輪は、メビウスの輪のように1箇所だけ捻れていた。
「この指輪は、裏側にディゾル家の紋章が描かれてある。私の伴侶だと示す指輪で、君にもし何かあった時に必ずディゾル家の一族が助けてくれるものだ」
それは、俺がルダン様とずっと傍にいられる証だった。空に手を翳すと、キラリと赤く輝く。
「あ、ありがとうゴザイマス。大切にシマス」
指輪がはまった右手を胸の上に持って、左手で大切に重ねる。ジ~ンとする喜びを噛みしめた。
「メルと共に無事に卒業出来たら結婚しよう。その時に、その指輪を薬指にはめてくれ」
「ハイ」
俺とルダン様は、会話が無くなり静かに見つめ合う。顔が近くなって唇がくっつく寸前で、バタンと扉が開いた。
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「わぁあ!」
俺は驚いて、目を瞑る。しかし、思った衝撃は来なかった。
そろぉっと、目を開けるとルダン様がその生き物の頭を掴んで止めていた。ぶらんと垂れ下がった生き物をそっと地面に置き、手を離す。
「にゃぁおー」
声もシュウセツよりも低い。でも、シュウセツと似たような柄模様だ。
「もしかして、シュウセツ?」
「にゃおん!」
気づいてくれて嬉しいと言わんばかりの声で鳴く。
「えっ?どうして、こんなに大きくなったの?」
タッと、ソファに飛び乗り擦りよる。頭を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らした。
シュウセツはベロンと俺の顔を舐める。ザラリとした舌が痛い。それからスンスンと鼻で俺の臭いを嗅いできた。
「近い」
ルダン様がシュウセツの顔を手で押し遠のける。シュウセツが不満げに鋭い牙を見せ、ガリガリとソファを引き裂いた。
そんなシュウセツを気にせず、ルダン様は舐められた俺の顔を、ゴシゴシとハンカチで強めに拭いた。
「良いか、シュウセツ。ウェインと遊ぶときは力加減を考えなさい。お前の力でウェインは簡単に傷ついてしまうぞ」
その言葉はまるで俺が壊れ物だと言ってるようにも聞こえ、ルダン様が俺を大切に思っていることも伝わってきた。照れくさくなって、彼を直視出来なくなり、胸板にしがみついた。
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