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学園編
109.オーガスト視点
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「リラ。どうして、君が倒したことにしたんだい?」
私の部屋で本を片づけていたリラに質問した。
髪に風を含ませて振り向く。その姿に可愛いと思う。
「だって、天気まで変えちゃった魔法なんて国に目をつけられちゃうじゃないですか。そんなのは、可愛そうだったんです」
「リラは優しいなぁ」
素直に彼女を褒めると、ポポポッと頬を染める。その愛らしさに目を細める。
やはり彼女は氷の女神のような慈愛がある。そんなところが女神も気に入ったのだろう。
「でも、私、打算的な思いもありました。あのグリフを倒せる程ならば、皆、オーガスト様との関係を認めてくれるかなって」
「あぁ、なるほど。それは良い考えだ」
確かにグリフを倒せた実績があるなら、私の婚約者として不足はないし、あの得体の知れないメイドもリラの役に立てたとしれば喜ぶだろう。
それに彼女の方が相応しいとなればあの女との婚約も破棄できる。そうなれば、晴れてリラと結婚が出来るのだ。
そこまで考えていたリラは素晴らしい。あとはあの女をどう説得するかだな。あの女はきっと自分の手柄にしたがるだろうから。
コンコン
扉が叩く音が鳴った。私とリラがいる時は邪魔しないように言ってあるはずだが。
「誰だ」
「メル・ディゾルです。入室の許可をくださいませ」
思ってもない客だ。しかし、丁度良い。
「入れ」
「ありがとうございます」
ガチャっと扉が開いて、メル・ディゾルが入ってくる。
「それで、今日は何のようだ?」
「グリフの事でお話があります。まずはリラ様に感謝を。私のメイドを庇って下さりありがとうございます」
初めて頭を下げた姿を見て、私もリラも目を丸くして驚く。まさか頭を下げるなんて!
しかし、すぐ上げた顔は何も可愛くない鉄仮面のように無表情だった。
「次に凍らせたグリフですが、ディゾル家当主が責任を持って処分しますので、ご安心ください」
「あっあぁ、そうだな」
そういえば、グリフの行方について考えた事もなかった。メルにその事を知られぬように適当に頷いておく。
「それと、グリフがリラ様の魔法を弾いた件ですが、どうやら何者かが氷系統の魔法を弾く障壁が掛けていたようです」
「つ、つまりはリラの暗殺が目的ということか!?」
「いえ、それは確証が無いのでなんとも言えません」
「そ、そうか。何かあれば報告してくれ」
「畏まりました」
用事が済んだ女はそそくさと部屋を出ていった。なんとも可愛くない奴だ。婚約者が別の女性といるのだから、少しくらい不機嫌そうにすれば可愛げがあるというのに。
私の部屋で本を片づけていたリラに質問した。
髪に風を含ませて振り向く。その姿に可愛いと思う。
「だって、天気まで変えちゃった魔法なんて国に目をつけられちゃうじゃないですか。そんなのは、可愛そうだったんです」
「リラは優しいなぁ」
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やはり彼女は氷の女神のような慈愛がある。そんなところが女神も気に入ったのだろう。
「でも、私、打算的な思いもありました。あのグリフを倒せる程ならば、皆、オーガスト様との関係を認めてくれるかなって」
「あぁ、なるほど。それは良い考えだ」
確かにグリフを倒せた実績があるなら、私の婚約者として不足はないし、あの得体の知れないメイドもリラの役に立てたとしれば喜ぶだろう。
それに彼女の方が相応しいとなればあの女との婚約も破棄できる。そうなれば、晴れてリラと結婚が出来るのだ。
そこまで考えていたリラは素晴らしい。あとはあの女をどう説得するかだな。あの女はきっと自分の手柄にしたがるだろうから。
コンコン
扉が叩く音が鳴った。私とリラがいる時は邪魔しないように言ってあるはずだが。
「誰だ」
「メル・ディゾルです。入室の許可をくださいませ」
思ってもない客だ。しかし、丁度良い。
「入れ」
「ありがとうございます」
ガチャっと扉が開いて、メル・ディゾルが入ってくる。
「それで、今日は何のようだ?」
「グリフの事でお話があります。まずはリラ様に感謝を。私のメイドを庇って下さりありがとうございます」
初めて頭を下げた姿を見て、私もリラも目を丸くして驚く。まさか頭を下げるなんて!
しかし、すぐ上げた顔は何も可愛くない鉄仮面のように無表情だった。
「次に凍らせたグリフですが、ディゾル家当主が責任を持って処分しますので、ご安心ください」
「あっあぁ、そうだな」
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