ポリスドクター

警察ファン

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ポリスドクター

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あらすじ
警察官と外科医の恋愛ミステリー
登場人物
三島ひろき
警視庁刑事部特殊事件捜査係(以下特殊班、SIT)
通称SITの隊員。階級は巡査部長の29歳。
機捜隊出身で機捜隊時代に銃を持った凶悪犯を
素手で制圧した事がきっかけでSITから異例的に
スカウトされる。

河合愛
私立鴨川総合病院の外科医。25歳。
恋愛経験が乏しく、交際経験が一切ない。
大学時代に初恋の先輩に影響され、
バタフライナイフ術を体得した。

垣根優
SITの隊員で巡査長の28歳。
ひろきとは高校からの悪友で警察官としては
ひろきの1期後輩。だがひろきには職場でも
プライベートでも常にタメ口。
ひろきとは偶然、特殊班で一緒になるが
プライベートではよく遊んでいる。

喜多見美紀
警視庁特殊班の小隊長で警部の28歳。
優に気があるが、中々本音が言えずいる。
「階級はただの単位」という持論を持つ。

三島美嘉
ひろきの5歳下の妹で、ゲームセンターで
バイトをしながらSNS活動をしている。
時々、ひろきの家に押しかけ、居座っている。
彼氏に浮気され、破局したばかりの24歳。

加納裕美
私立鴨川総合病院の内科医。25歳。
愛とは医大時代からの同期で愛が交際経験がないのを
見かねて合コンによく誘い男性を紹介するが
知り合い程度に留める愛に頭を悩ませる。

葛城篤郎
私立鴨川総合病院の外科部長。
色々と愛に助言するが時々悪気なくセクハラに近い
発言をしてしまう56歳

賀九来篤寿
警視庁特殊班の大隊長で河合愛の父、柏木五郎の
元相棒、5年前に殉職した柏木を今でも慕い続け、
柏木を殺した犯人を今でも捜している54歳

柏木五郎
元警視庁捜査一課強行班係の刑事で愛の父。
5年前の連続殺人事件の犯人に拉致、監禁殺害され、
殉職した。2階級特進で警視正になった。
今でも警視庁では知らないものはいない程の英雄で
殺害される直前に自身殺害の凶器となるサバイバル
ナイフで犯人の左まぶたに一生残る傷をつけた。
本編
ひろき「あぁ、ようやくだぁ。うぅん!」
優「ヒロ、早く行こうぜ!!」

桜が散る警視庁の前で2人の刑事が伸びをしながら
警視庁をあとにする

バンバンッバババン!

優「スリーダウン!」
ひろき「兵器奪取!」

ピピッーーーー!!

アナウンス「タイム!5分38秒!!
暫定1位の15分19秒と大きな差を開いたー」

ひろき「お疲れ様!!軍用も良いな」
優「銃が同じモデルだから余計良い」

美嘉「どうだったー?」
ひろき「うぅん・・・もう少し死角と標的を減らすと
一般の人もやりやすくて良いかも」
美嘉「ありがと!お兄ちゃん!」
優「美嘉ちゃん、これ一般人には難しすぎるよ!」
美嘉「ですよね?うちの店長、元自衛隊員で
簡単の基準が狂ってるんですよ~
なんだっけ元レンジャー?隊員とか言ってた気が」
ひろき「マジかよあの人元レンジャー・・・」
???「ひったくりー!誰かー!」
優「仕事の時間だ!行くぞ」
ひろき「はいはい・・・ちょっと行ってくる!」
美嘉「は~い!」

二人が外に出るとカッターナイフを
片手にスクーターに乗った男が向かってきた

ひろき「ユウ!前輪を攻撃後に110番通報!」
優「了解!」

優は近くにあったカラーコーンバーを手に取り
剣道の構えを取った

次の瞬間カラーコーンバーをスクーター前輪の
ホイールにねじ込んだ。
ひったくりとスクーターが地面を擦るように
叩きつけられる。

ひろき「おい!あばれるな!ック!!
はい、10:57分窃盗及び銃刀法違反で現逮ね。
すいません、そこの作業員の方、そこの端材を
2つ下さい。あとマッキーも」
作業員「はい、おい!見習い!そこの端材2枚よこせ!
あとそこのビニールテープも取れ!!」
ひろき「感謝します!あとそこの女性の方!
ぬいぐるみを3つください!」
女性A「はい!どうするんですか?」
ひろき「簡易的なコルセットです!」
優「ヒロ!PB(交番)のPM(警察官)が10分で
現着(警察用語で現場到着)する。なんでも人混みで現着が遅れるそうだ」
ひろき「ワリィ、後で病院付き合ってくれ!こいつの
カッターが腹かすめた」
優「ホントに、お前は公務以外で制圧すると毎回怪我するよな・・・」
ひろき「俺だって怪我したくてしてるんじゃねぇよ!
あ、あと・・・」
優「美嘉ちゃんには内緒だろ?
はいはい、分かってるよいつもいつも、本当に心苦しい・・・」

私立鴨川総合病院 総合外来内

看護師「三島ひろきさ~ん、どうぞ~」
ひろき「は~い。あ、小隊長に連絡・・・」
優「やっておく。小長怖いからな笑」
ひろき「頼んだ!」
医者「今日はどうされました?」
ひろき「(若いな、研修中か?)実は・・・」

ひろきが傷口を見せると
若い医者がみるみるうちに青ざめてゆく

看護師「先生呼んできます!」
医者「はい!!」

ひろきが戸惑っていると
すぐに白衣を着た茶髪ポニーテールがよく似合う女性が
診察室に入ってきた。名札には”河合 愛”と書いてあった

ひろき「(可愛い///)」
愛「あぁ、これは研修医には無理ね。縫合セットを持ってきて、あとガーゼも少し多めに」
看護師「はい!」
愛「どうしてそんな怪我を?」
ひろき「ひったくりを取り押さえた時に・・・」
愛「へぇ~凄いですね(嘘つけ、どうせ私目当てで
傷つけたくせに。どうしてこんなに深く切ったのよ)
どうして警察に通報しなかったんです?」
ひろき「職業柄言いにくくて・・・」
愛「そうですか、大変ですね(どうせニートでしょ
身なりだけはちゃんとして。これで15件目よ、私
だって暇じゃないのに)

5分後

はい、終わりました。1週間くらいで抜糸できると思います。
それまで1日1回消毒をしてください。
とりあえず1週間分の消毒液と絆創膏出しておきます」
ひろき「はい、分かりました」
愛「1週間後の2時にいらして下さい。予約を入れておきます」
ひろき「ありがとうございます」

コンコンコン

看護師「三島さんの上司の方がいらっしゃいました」
愛「どうぞ」
美紀「失礼します」

警視庁特殊班の小隊長、喜多見美紀が入ってきた

愛「喜多見?」
美紀「河合先輩?」
愛「何であんたがいるのよ、ここ病院よ?」
美紀「いや、それはッ」

喜多見美紀が説明をしようとした瞬間
不穏な空気を感じたひろきが話を遮り美紀を連れ
診察室から出ていった

ひろき「もう行きましょう!すいません、
ありがとうございました。では1週間後」
愛「あいつも落ちぶれたな・・・
あんなニートを庇うなんて。どうしたんだろう」

1週間後

看護師「三島ひろきさ~んどうぞ~」
ひろき「はい」
愛「どうも、お久しぶりです怪我の具合はいかがですか?
(どうせ、アイツらみたいに悪化してるんでしょ、バレバレよ)」
ひろき「特に痛みとかもありませんでした」
愛「え?キレイ・・・」
ひろき「そうですか?」
愛「ご家族に医療関係者が?」
ひろき「いえ、警視庁の保健師に昼と退勤直前にやってもらいました」
愛「警視庁?」
ひろき「はい、言ってませんでしたっけ?」
愛「初耳です・・・すいません!
私てっきり嘘ついてたのかと。
よくいるんです、私に手当てされたいから自分で傷作ってくる人」
ひろき「あぁ、まぁ警察手帳見せなかった俺が悪いんです。改めてこうゆう者です」
愛「警視庁、三島ひろき、巡査部長。ホントだ!」
ひろき「はい、ホントです」
愛「久しぶりに見た・・」
ひろき「はい?」
愛「いえ、何でもないです・・・あ、あの時
ひったくりがどうのって言ってましたよね?」
ひろき「はい・・・」
愛「じゃあ先週警察官と運び込まれた患者さんって」

回想

看護師「河合先生、お疲れ様です。休憩は良いんですか?」
愛「別に良いです。いつもの奴なので
それに人手足りないんでしょ?やるしかないでしょ!
・・・フッ笑」
愛はひったくりと目があった瞬間
思わず笑ってしまった。

愛「随分可愛いコルセットですね笑」
ひったくり「好きでなったんじゃないです」
愛「そうですか、えぇっと~どれどれ・・・」

愛はひったくりの右腕にマジックで書かれた
カルテを見ると診察を始めた

愛「右の肋を骨折の疑い、あと右足首の靭帯損傷か
捻挫の疑い」

愛はカルテを読むなり右の肋と足首を診察した

愛「全部正解じゃん、誰だろ?これやったの」
警察官「目撃者の話によると若い男性二人組だそうです。
手当てしてどこかに行ってしまったと」
愛「へぇ~、まぁ医療関係者なのは間違いなさそうですけどね。
最後の方に頭部の精密検査をするようにと書いてあるので」
ひったくり「これはダサすぎる、早く外してください」
愛「分かりました、コルセット持ってきてください」
看護師「はい、Lサイズですかね?」
愛「そうですね」

診察室内

愛「じゃあ、あれって三島さんが?」
ひろき「はい、一応、応急処置と右腕にカルテを」
愛「三島さんだったんですね!医療関係者の方が
手当したのかと思ってました」
ひろき「まぁ、そう思われてもしょうがないですね」
愛「はい、抜糸終わりました。
傷口が完全に治るまでこれまで通り消毒と絆創膏で傷口の保護をして下さい。
前回と同じ物を2週間分また出しておきます」
ひろき「あの、お礼も兼ねて今度お食事でもいかがですか?」
愛「良いんですか?じゃあ、行きましょう」
ひろき「連絡先交換しましょう!」

数日後

愛「お待たせしました!三島さん」
ひろき「僕も今来た所です」
愛「今日お店どうします?」
ひろき「うまい店を知ってるのでそこに行きませんか?」
愛「はい!ちなみにどういうお店ですか?」
ひろき「高校時代の友人がやってる焼き鳥屋で」
愛「ちなみにそこ砂肝の唐揚げありますか?」
ひろき「はい、焼き鳥屋と言っても焼き鳥以外もたくさんあるんですよ、
砂唐お好きなんですか?」
愛「あ、すいません!つい」
ひろき「いや、ぜんぜん!笑カワヨボソッ」
愛「なんですか?」
ひろき「いや、なんでもないです!」

逆に可愛いなんて今のひろきには言えなかった

2ヶ月後

ひろき「久しぶりに帰れる・・・疲れたぁ~
この前の食事は最後良い感じだったな、また誘おう」
愛「やめッ・・助けて!!」
ひろき「え?!えっ?!えっ?!何してる!」
愛「三島さん!助けて下さい!」

裏路地で河合愛を壁に押さえつける肥満気味な男が
ひろきに襲いかかるがひろきは勢いを逆に利用し
床にねじ伏せた

ひろき「はい、動くな。23:10分、
暴行の現行犯な、河合さん110番通報出来ますか?」
愛「はい!」

愛は震える手で110番通報した。
15分後女性警察官が2人、男性警察官が4人到着し
それぞれで事情聴取を5分程行った

警察官A「失礼しました。特殊班の方だとは!」
ひろき「いえいえ、お気になさらずに!」
警察官A「あれ?そういえば・・・あ!ウチの特捜が今日、解散でしたね!
じゃあ、さっきまでやはり?」
ひろき「そうなんですよ。2日前から報告書とか作成してました」
警察官B「あのぉ、大変お疲れなのは重々承知なんですけど、署まで再現見分のご協力を・・・」
ひろき「はい、もちろん・・・」
女性警察官「あのぉ、河合さんが三島さんと一緒が良いそうで・・・」
ひろき「良いですよ」

パトカーの後部座席にて

ひろき「一緒ってこういう事ですか?」
愛「はい、嫌ですか?」
ひろき「別にそういう訳じゃなくて」

愛はひろきにくっつく形でパトカーに乗っていた
警察官A「お気になさらずに!
たまにいるのでPCでいちゃつきだすカップル・・・」
ひろき・愛「まだ違います!」
警察官A「失礼しました笑」

警察署内の会議室

刑事A「三島さん、まさか戻ってくるとは!
確かに無線で警察関係者が制圧したとありましたが、まさか三島さんだとは!」

1時間後

刑事A「じゃあ、今日はありがとうございました。
また何かあれば110番して下さい。
三島さんもお疲れ様でした、ゆっくり休んで下さい。」
ひろき「はい、では失礼します」

帰り道

ひろき「大変でしたね。まさか日付超えるとは
思ってもいませんでした」
愛「そうですね。・・・三島さん!今日は本当に
助かりました、またご飯行きましょう」
ひろき「はい、ぜひ!」
愛「すいません、わざわざ家の前まで」
ひろき「いえ、大丈夫です。ゆっくり休んで下さい」
愛「三島さんこそゆっくり休んで下さい。」
ひろき「おやすみなさい」
愛「おやすみなさい、三島さん」

3日後

優「ひろき、おはーこの間は大変だったみたいだな」
ひろき「ホントだよ、でも一番怖かったのは河合さんだよ」

私立鴨川総合病院、外科医局内

愛「はぁ~、カッコ良かったなぁ~///」
加納裕美「やっほー、愛。ってあんたどうしたの?」
愛「あぁ、裕美かぁびっくりしたぁ」
外科部長「あれ?内科医が何かようですか?」
裕美「あぁ、外科部長!実はA塔の患者さんのことで相談があるんですけど」

特殊班内

ひろき「今日って何かあったっけ?」
優「今日は射撃訓練と術科訓練だったと思うぞ、
小長が道着もって出勤してたし」
ひろき「じゃあ、更衣室に逆戻りかぁ・・取ってくる」
優「俺のもついでによろ」

警察術科センター内

バンッバンバンッ
カランカラカラン

ひろき「20発終わったー、次は術科訓練かぁ、小隊長強いからなぁ・・・」
優「こっちも終わった。いくぞ」

特殊班内

ひろき「いやぁ、鬼疲れた・・・」
優「強烈だったな・・・」
美紀「何を弱音吐いてるの?さっさと拳銃のメンテ終わらせて、報告書を書きなさい」
ひろき・優「はい・・・」
ひろき「そういえば優、5年前の連続殺人事件
覚えてるか?最後は警察官が拉致されて殉職した奴」
優「あぁ、てかどうした?急に5年前の事件なんか」
ひろき「いや、今日が柏木警視正の命日だからさ」
優「そういえば今日柏木警視正の月命日だったか?」
ひろき「うん、今何故かふと思い出したけど高校時代俺ら柏木警視正と会ったことあったよな?」
優「あったっけ?」
ひろき「ほら、美嘉が家出した時に俺ら二人で心当たり探したじゃん?」

12年前の夏

ひろき「美嘉ー?どこだー?母さん反省してたから!もう帰ろう~!返事してくれ~!!」
優「美嘉ちゃーん、返事して~。
駄目だここら辺にいないのか?学校に連絡して
警察行ったほうが良いんじゃ?」
柏木五郎「あの、君たち、三島美嘉ちゃんの
お兄さんとそのお友達だよね?」
ひろき「そうですけど何か?」
五郎「いや、妹さんが坂の上の公園で遊んでてね、
それを教えに来たんだよ。決して怪しい者では
ないから安心して」
ひろき「じゃあ、なぜ妹の名前を?」
五郎「覚えてないのかい?君たちが小学生の頃に
小学校で防犯教室したの。その時も妹ちゃんが
迷子になって、おじさんと捜したじゃないか」
優「ひろ、知り合いか?」
ひろき「・・・あ、あのときの!」

12年後の現在

優「あぁ、確かに!でもどうして急に思い出したんだ?俺らが17の時のこと」
ひろき「さぁ?でも、後でお礼に行こう」
優「だな」

次の日

ひろき「おはようユウ」
優「おはよう」
美紀「おはよう二人共、早速で悪いけど職務事項を伝達するわ。
二人とも、もしかしたら明日から奥多摩へ
捜査本部に応援で行ってもらうかもしれないから
そのつもりで、今日中には最終的な指示を出すから」
ひろき・ユウ「はい!」
無線「至急至急、警視庁より、特殊班及び、銃器対策部隊あて、現在品川3丁目9番地3号の
雑居ビルにて拳銃などで武装した被疑者が人質を取り
立てこもっている、PM(警察官)が3名銃撃を受けた
模様、現在はマル被に説得などを行っている模様、
特殊班については現急(現場急行の略)マル被の説得及びマル被の確保に向かわれたい、
銃器対策部隊は有事の際は出動されたい為待機願いたい、以上警視庁」
美紀「喜多見班、出動よ防弾装備を装備、
現着後マル被の人物像データをもとに交渉の札を揃える。
もしもの時は銃器対策班は待たずに突入するから図上演習セットも忘れずに。
拳銃の弾倉は予備含め3本、特殊拳銃は予備含め弾倉2本の携行とします。
その他は現場で指示しますが止む終えない時は個人の判断で射殺を許可します」
喜多見班「了解!」
無線「賀九来より、出動準備中のSIT宛、
装備はマル被を刺激しないため、私服で急行されたい。
銃は拳銃のみ、弾倉数は小隊長に任せます。
これは命令だ、以上」
美紀「チッ、全員私服に拳銃のみ、弾倉数は1本
フル装填で携行その他は変更なし」

その場の全員、特にひろきが納得してなかった

ひろき「了解」
美紀「三島、気持ちはわかるけど抑えましょう。
大隊長の命令よ」
ひろき「はい・・・」
優「ひろ、今は警察官として抑えよう」
ひろき「分かってるよ」

現場

ひろき「喜多見班現着!」
無線「了解」
美紀「じゃあ私は現地対策本部で話を聞いてきます。
ここから、現場の指揮は任せますから、絶対に人質を助け出して。
責任は私が取るから。
喜多見班はマル被の人物像を頭に叩き込むこと」
喜多見班「了解!」
ひろき「もしもの時は個人判断で突入、制圧を試みます」
美紀「その時はくれぐれも気をつけて」
ひろき「了解」

私立鴨川総合病院 中央待合室にて

裕美「愛!丁度良かった!これ見て!
愛が言ってた刑事さんが写ってる!」

ニュースの速報で現場の様子が中継され
隣のビルから撮っていると思われる中継を
外科医局内で数人が集まって見ていた

愛「えぇ、嘘!なんで?!」
裕美「立てこもり事件らしいよ!
ほら!あのグレーのスーツにベスト着てるあの人!」
愛「あぁ!三島さん!!えっ?!拳銃?!」
看護師A「河合先生!外科部長が」
愛「あ、はい!すぐ行きます」

愛は心配そうな面持ちで外科部長室に向かった

現場にて

ひろき「図上演習はこんなもので良いな、
もうそろそろマル被も落ち着いた頃だ、交渉を
始めよう」
優「ひろ、その時は十分注意しろ嫌な胸騒ぎが」
ひろき「おう。じゃあ、いくぞ!!」

ひろきは車から降りると前任の交渉役から
スピーカーを受け取り、交渉を始める

ひろき「はじめまして、私は警視庁特殊班の三島です!
僕とお話しましょう!出てきて下さい!」
被疑者「話すことなんて何もない!!早く追加の拳銃と車を用意しろ!!
さもなくば人質は全員皆殺しだ!!」
ひろき「落ち着きましょう!!車は今、手配しています!
拳銃はもう少し待ってくれませんか!必ず用意しますから!
だからどうか!早まらないで下さい!僕を信じて!」

現地対策本部にて

美紀「医療ミス?」
刑事A「はい、まず被疑者氏名ですが相澤高貴、28歳
三年前にひき逃げ事件の被害に遭い都立品川大学附属病院に搬送されましたが、
妻の愛佳さんの処置をしていた北川先生が大動脈を更に傷つけてしまい、出血性ショックで死亡。
愛佳さんの前に相澤の処置もしたそうですが縫合の際、神経と筋肉を一緒に縫合してしまい、
今も左肩の動きに支障があるようで事故以来、正社員での雇用が全くありません」
美紀「交渉は難しそうですね・・・SATの出動要請は
しましたか?」
刑事B「いえ、有事の際は銃器対策班を出動させよと、賀九来隊長が・・・」

現場にて

ひろき「下に来て、僕と一対一で話しましょう!」
相澤高貴「うるせぇ!もう俺には失うものは何もない!
そんな俺に!あの方は力を与えて下さった!
いざとなったら全員まとめて死んでやる!
そしてあの方に褒めてもらうんだ!」

ひろきは前任にマイクを渡し、全員に指示を出す

ひろき「全員、突入準備」
美紀「もう、交渉は難しそうね・・全員何してるの?」
ひろき「突入します。目視では武装は銃だけです」
美紀「分かった・・・全員、受傷事故に十分配慮して」

美紀以外の喜多見班は銃を持ち
被疑者がいる部屋に向かう

ひろき「警察だ!銃を捨てろ!」
高貴「うるせぇ、まずはこの女だ!」

相澤が女性に銃口を向けたため、
相澤の左肩に向けて発砲した

高貴「クッ!コノヤロウ!!」

相澤はそう言うと銃を乱射しだした

バンッ!

1発銃声とともに相澤は倒れた。
それを確認すると優が被疑者の確保に向かうが
足を止めた。即死だろう、眉間に生々しい煙と共に
血が溜まった穴が一つ空いていた

優「ヒロ、死んでッヒロ!どうした!
撃たれてる!救急隊連れてこい!至急至急、
SIT2垣根より、現地本部!三島巡査部長が
被疑者に左腹部を銃撃されました!
被疑者は三島巡査部長が射殺!至急搬送先の手配願いたい!どうぞ!」
無線「現地本部了解、搬送先はすでに手配済み、
私立鴨川総合病院に搬送される模様、垣根巡査長、及び喜多見警部以外はマル害の救出、
及びマル被の身体捜検(警察用語でボディチェック)を実施せよ。以上、現地本部」
優「ヒロ、しっかりしろ!ヒロ!」

私立鴨川総合病院

手術室のランプが消えた

美紀「河合、三島は?」
優「無事ですか?」
愛「弾丸も摘出し、一命も取り留めました。
意識が戻れば心配はありません。では」

2日後

ひろき「ん、うん?あれ?ここは?」

ひろきが目を覚ましたのは2日後だった

ひろき「河合さん?」
愛「ん?あ、!三島さん!」

愛はひろきの左手を握りしめながら
ベットの縁に顔を突っ伏して寝ていた。
寝ぼけた状態でナースコールをしすぐに看護師が来た。
その後1時間くらいして美紀と優が来た

優「おぉ、ヒロ元気そうやん」
美紀「公務災害の書類置いておくから、
あと、報告書もよろしくね」

美紀はパソコンと警視庁のロゴが入った
茶封筒を置いてそそくさと優を連れて
病室から出て行ってしまった

ひろき「そっけないなぁ、銃撃されたからって
冷たい奴らだ・・・」
愛「何か悪いことしたんじゃないですか?」
ひろき「なんだろ?・・・」

2日前

愛「ゥグッ、グスンッウゥ~」
優「あ、喜多見さん」
美紀「何だかんだ私達より、河合先輩のほうが
心配してたんじゃないかな・・・」
優「しかも本人の手術もやってますからね」

愛は二人から死角になる所で号泣していた

現在

優「ホントに良かったんですか?あんな態度取って」
美紀「今は二人の時間をあげましょう。
彼が退院したら、監察官聴取や事情聴取がたくさん
あって、当分帰れないんだから・・・今だけは
警察官としてじゃなく、一人の男性としての
時間を上げましょう」
優「はい・・・」

病室

ひろき「河合さん、心配させてごめんなさい」
愛「ホントですよ・・・三島さんが撃たれた
って聞いて心臓が止まりそうになりました!」
ひろき「ごめんなさい」
愛「ホントですよ!」
ひろき「まさか撃たれるとは・・・」
愛「予測してなかったんですか?」
ひろき「はい、まさか防弾チョッキの隙間からとは・・・」

ピリリリッ

愛「はい、河合です・・・分かりました。
三島さんの病室から向かいます」
ひろき「カンファレンスってやつですか?」
愛「いや、三島さんの手術に関しての報告会です。
急遽今日の15:00からに変更になったんです」
ひろき「俺のせいでごめんなさい、いってらっしゃい」
愛「いってきます!」

警視庁内の会議室

管理官「いや、君の部下は大手柄だったな、
射殺の件は止む終えない。むしろ警視総監賞ものだ!」
美紀「ありがとうございます」
管理官「なに?気になることでも?」
美紀「被疑者が所持していた凶器のでどころが
気になりまして。閃光弾や手榴弾にC4爆薬まで
拳銃の弾倉も5本以上所持していました。
とても一般人が入手したとは・・・」
管理官「その件は組対と公安が全力で捜査している
気になるのは分かるが、特殊班は通常公務に加え、
報告書や現場検証の立ち会いをしてくれ」
美紀「分かりました。失礼します」

美紀が静かに会議室のドアを閉めると
廊下を重い足取りで歩き出した

私立鴨川総合病院外科医局内

愛のディスクには恋愛攻略本や男性の落とし方100選、
男性がキュンとするシュチュエーションと仕草集。
と恋愛関係の本が無造作に置かれていた

愛「こんなに早く接近するとは」
葛城篤郎「恋の勉強ですか?」
愛「外科部長!、すいません。仕事中に」
篤郎「いや、恋は良い、仕事に身が入る。
それに三島さんのところから帰ってきたあなたは女性の顔をしている」
清掃員「部長、それはセクハラです」
篤郎「おっと失礼」
愛「じゃあ、三島さんの病室に行きます」
篤郎「河合さん」

篤郎が愛を呼び止める

愛「はい、なんですか?」
篤郎「当分、三島さんについていて下さい。
彼、刑事なんでしょ?柏木、君のお父さんみたいに
脱走するかも」
愛「はい」

病室

ひろき「今更なんだ?」
亜香里「随分と平気そうじゃん!」
ひろき「答えろ、今更何しに来たと聞いてるんだ、
勝手に浮気して、勝手に別れを切り出して。
俺がテレビで取り上げられたから今の彼氏と別れて
より戻そうとしてのこのこ戻ってきたか?」
亜香里「あの方が教えてくれたの、あんたがここで入院してるって。
寄り戻してくれるって言うなら生かしておいたけど、しょうがないわあの方の命令だもん」

そう吐き捨てると左手でひろきの首を掴み
右のポケットから何かを握り、取り出そうとしたが
その時、愛が戻ってきた。

愛「何してるんですか!ちょっと!離れて下さい!」
亜香里「チッ邪魔ね。勝手に犯人に殺されれば良いわ」

亜香里が愛を睨みつけて病室を出ていった

愛「あの人は?」
ひろき「元カノです。3年前に浮気されて別れました」
愛「あぁ、テレビでヒーローになったからのこのこ
と戻ってきたってことですか?」
ひろき「そういう事です(あの方?確か被疑者も同じことを・・・)」
愛「へぇ~最悪ですね(元カノ・・・)」
ひろき「そういえばあいつの上着、何か気になる
・・・あ!あの膨らみは凶器だ!!」
愛「え?!」
ひろき「あの膨らみ方はナイフのような小型のものではない。スタンガンだ!
河合さん、急ぎましょう!」
愛「ちょっと!三島さん!!ダメです!」

ひろきが慌てて病室を飛び出し、走っていった
愛が走りながら外科部長に事情を電話で説明した。

ひろき「亜香里!ちょっと待て!ハァハァ」
亜香里「ひろき!やっぱり戻ってくる気になった?」
ひろき「ハァハァ武器を捨てろ、俺は警察官だハァハァ
誤魔化しても無駄だ。武器を床に置け」
愛「三島さん!足早すぎ!ハァハァしんど・・
三島さん、警備員に報告して任せました。
あとはそちらに任せましょう」
ひろき「ハァハァこいつは、クラウマガ(イスラエルの
格闘技)を体得してます。」
亜香里「覚えててくれたの?嬉しい!
流石ひろきね!でもごめんね、あの方に1度断られたら殺せって言われてるの」
ひろき「?!!」

亜香里がナイフを出し、ひろきに襲いかかるが
ギリギリでかわし、引き離した。
それを見た他の患者がパニックを起こす。

ひろき「そんな物捨てろ!」
亜香里「あの方からもし、ひろきに断られたらひろきを殺せ、そう言われた。
でも、その女に邪魔された。だからひろきを殺したら次はお前よ・・」
愛「バカな事はよして下さい。
そんな事してもなんにもなりません」
亜香里「何を分かったような。調子に乗らないで」
ひろき「あの方って誰だ?」
亜香里「私に寂しい思いをさせたからこうなったのよ。
人のせいにしないで」

そう言うとひろきに襲いかかるが
ひろきに制圧された

ひろき「確保!時間!」
愛「え、11:42分・・」
ひろき「殺人未遂の現行犯な!」
亜香里「諦めるもんか!」

亜香里はそう言うと靴かかと部分に仕込んでた
カッターナイフの替え刃をひろきに向かって
振り上げ、ひろきの左腹部に刺さる

愛「三島さん!」
ひろき「クッ、グフッゲボ」

そこに警備員が駆けつけ亜香里を連行していった。

愛「三島さん?、しっかり!誰か!ストレッチャー!
急いで!早く!三島さん!!しっかり」

愛は右手で傷口を押さえながら
左手で外科部長に電話をかける

篤郎「何をやっている!!何のために見張らせたと思ってるんだ!
凶器を見逃すとは何が警備員だ!!
聞いてるのか!!」
警備会社の社長「申し訳ありませんでした!」
篤郎「河合さんも!、もっと強く止めなッ!!・・・
無理ですね、警察官相手に走りで勝て、なんて無茶な話ですね失礼しました。
ですが私に連絡してきたのはグットでしたよ」
愛「はい、ありがとうございます」
看護師「河合さん!三島さんが!」
愛「!」

病室

ひろき「あれ?河合さん、どうしたんですか?」
愛「え?どういう事?」
ひろき「え?何のことですか?」
看護師「すいません、急に目を覚まされたので混乱してしまって・・・本当にすいません」
ひろき「あぁ、まぁしょうがないですね」
愛「少し二人の時間をちょうだい」
看護師「はい、先輩行きましょう」
看護師A B C「はい」

看護師が病室から出たのを見届けてから
ひろきが話し始める

ひろき「何回もごめんなさい。反省してます」
愛「ほんとに心配しましたよ・・あと、退院が半月伸びました」
ひろき「おぉぉぉ、マジかァァァ」
愛「嫌ですか?」
ひろき「あなたとは病室で患者と医者ではなく、
街で男と女性として会いたかったので///」
愛「そうですか。あ、医局に戻らないとなので」
ひろき「いってらっしゃい(引かれたかな・・)」

愛が病室を出てつぶやいた

愛「心臓が持たん///」
篤郎「どうかしました?」
愛「!!なんでもないです!」

1ヶ月半後

ひろき「お世話になりました~!」
看護師・女性患者「行かないでぇ~グス」
愛「何言ってるんですか?退院出来たんだから
喜ばないと!あなた達も早く退院してくださいね」
女性患者「はぁ~い」
ひろき「ありがとうございました!
河合さんもありがとうございました。今度は、ね!」
愛「もうケガしないで下さい」
ひろき「はい、すいません!」
ピリリリッ
ひろき「はい、三島です。はい、はい、了解しました。では」
愛「お仕事ですか?」
ひろき「はい、でも聴取系は一切なくなりましたよ!
って、自慢できないか・・・」
愛「いってらっしゃい!」
ひろき「いってきます!!//」

警視庁特殊班

ひろき「お久しぶりです。」
篤寿「三島巡査部長、退院おめでとう」
美紀「早速で悪いんだけど捜査会議が始めるわ」
ひろき「あ、はい!」
優「お久、元気そうで」
ひろき「見舞い来いよ」
美紀「捜査会議を始めます。公安からの極秘要請で
先日の被疑者を我々、特殊班で捜査する事になりました。三島、あなたは」
ひろき「大丈夫っす。普通に捜査しますから
それに、あいつには結果だけ見れば感謝しないと」
美紀「分かった。"普通"の捜査を期待してる」
ひろき「もちろん!」
美紀「早速だけど、三島、垣根は拳銃の入手ルートと
被疑者が言ってたあの方という人物を調べて」
ひろき・優「はい!」

拳銃保管庫

ひろき「拳銃なんて使うかな・・・」
優「まぁ、念の為ってことだよ。
報告書見ただろ?あれは民間人だけで手に入れられる
代物じゃない。多分被疑者の言うあの方?が軍用兵器を持ってる。だからだよ」
ひろき「拳銃よし、ワッパ(警察用語で手錠)も
よし!これくらいか・・・」
優「インナータイプの防弾チョッキ着るか」
ひろき「だな、病室のベットに逆戻りは嫌だ」

警視庁の廊下内

ひろき「なぁ、河合さんとデートに行きたいんだけど
2回目だとどこがおすすめ?」
優「海岸沿いのドライブデートは?」
ひろき「そうだな、そうするわ!」
優「病院デートは飽きたか?」
ひろき「病院では彼女が忙しすぎて
プライベートとして会ってたのはほとんど夜だ」
優「夜?!お前!もう付き合ったの!?」
ひろき「そっちじゃねぇ!見張りだよ!」
優「なんだよぉ~期待させんじゃねぇよ!」
ひろき「それと鴨川総合病院の近くに聞き込み行くよな?寄ってくれねぇか?」
優「あぁ、そういえば色々と紛れてたんだっけ?」
ひろき「あぁ、スマートタグとか色々入ってたよ」

被疑者の自宅

ひろき「被疑者って何の仕事してたんだ?」
優「確か、派遣社員だったぞ」
ひろき「あの方って誰だ?」
優「まだ分からない。まぁ、ネットとか履歴が残る手段は使ってなかったんだろうな」
ひろき「まぁ、そうだよな。なぁ優、このイニシャルなんだ?」
優「AK?なんだ?」
ひろき「まさか小銃?」
優「小銃まで調達する気だったのか?」
ひろき「いや、でもそれは無い。現場にあった銃器は拳銃だけだったんだろ?
それにあの時被疑者が持ってたのは拳銃だけだ」
優「じゃあなんだ?」
ひろき「誰かのイニシャルかも」
優「近所に聞き込みに行くか。
もしかしたら不審人物見てるかも」
ひろき「そうだな、その中にAKがいるかも」

近所の女性宅

近所のおばちゃん「いたわよぉ~変な人が」
ひろき「それってどんな人でした?」
近所のおばちゃん「170cm位の男の人でねぇ、
体格はお兄さんたちくらいかねぇ、でも歳は
私のより少し下くらいかなぁ?白髪まじりで
大体40代後半位だったなぁ右腕に薄茶色の
紙袋抱えてて、とにかく不気味だったのよぉ~」
ひろき「紙袋ってどういう感じのやつですか?」
近所のおばちゃん「取っ手がないやつよ!
フランス?の買い物袋みたいなやつ!」
優「なるほど、ありがとうございました。
何かあればこの番号にご連絡を下さい」

二人で名刺を差し出し、部屋をあとにした

ひろき「じゃあ、今度は・・・下の階に住んでる
大家さんに話を聞くか」
優「そうだな、その前に覆面行ってボールペンのインク入れ替えてくる」
ひろき「俺の使うッ俺も持ってなかったごめん笑」
優「ホントに、お前は笑 ちょっと待ってて
あ、あと昼飯のゴミも捨ててくるわ」
ひろき「おう!待ってるわ。
あ、このケチャップ!ってもう居ない」

ひろきがスマホをいじりだしてすぐ、近くに路駐していた大型ワゴンが動き出した

優「ヒロ~、お待たせぇ~ッあれ?
ヒロ?どこいった~電話してみるか」

優が電話をかけると近くのごみ捨て場から
着信音が聞こえた

優「あれ?これヒロの携帯?・・・大変だぁ!!
もしもし?、小長?実は」
美紀「はい?!すぐに向かうわ!私が現着するまで付近の防カメの所有者を控えておいて。
30分ほどで向かうわ」
優「はい、分かりました」

優は電話を切るとすぐに防犯カメラを捜した

プレハブ小屋にて

ひろき「う、ん、ん?ここは」
篤寿「目が冷めたか?三島くん」
ひろき「ッ!・・・やはりあなたでしたか、大隊長」
篤寿「君が柏木と顔見知りとは知らなかったよ。
SITに柏木と顔見知りがいるなんて、危ない芽は摘んでおかねばなぁ。
なぜ俺が犯人だと思った?」

ひろきは両腕を後ろ手に手錠で拘束されていた

ひろき「そんな事より解いて下さい。大隊長!
あなたは警察官でしょう!柏木警視正の無念を晴らすために
その地位まで上り詰めたんでしょう?こんな事しても無駄です!」
篤寿「無念?フッ俺が晴らすも何もアイツを殺ったのは俺だよ」
ひろき「は?!?!」
篤寿「押収した大麻やら拳銃やらをヤクザに流してたんだよ。
それをあいつに気付かれてな、ヤクザの下っ端にあの事件を起こさせて、
捜査中にあいつを拉致させてヒットマンに殺させたんだよ!」
ひろき「警察官がそんな事して許されると思っているのか!ましてや押収品を横流しするなんて・・・」
篤寿「あいつもそう言ってたな、懐かしいよ」

私立鴨川総合病院にて

愛「あれ?私のスマートタグ知らない?」
裕美「あぁ、あれなら三島さんが入院している時に
小型マイクと一緒に巾着袋に入れて三島さんの財布の中に入れたよ?」
愛「えぇ、何でよぉ、」
裕美「直接渡そうと行ったらいなかったし内科部長に急に呼ばれてしかたなく・・・」
愛「そうじゃなくて!」
裕美「てゆうか見れないの?どこにいるか」
愛「はぁ、じゃあちょっとスマホで見てみる?」
裕美「マジ!?」
愛「うん、しょうがないじゃん」
裕美「やってみて!」

愛は電源を入れると自分の目を疑った
病院の立入禁止範囲内の所で反応があった

愛・裕美「何で?」
裕美「あ、音声がオンになった」
スマホ「三島くんもあいつのように死んでもらうしか
ないようだね?五年前の事件のように警視庁に動画を送りつけてやるよ、
ちょうど拳銃を携帯しているし、やっぱり神は俺の味方だな。
大隊長としての自覚はないのか!グッ」
愛「裕美!!喜多見に電話して」

愛はすぐに食堂を飛び出して小屋に向かった

愛「(5年前ってまさか、三島さん!!!)」

小屋にて

篤寿「俺の拳はどうだ?だがまさか拳銃があるなんてねぇ」

篤寿がひろきの拳銃を奪い銃口を向けた

バン!!

愛「(ひろきさん!!)」

愛が走って小屋につく頃には
篤寿は小屋からいなくなっており、代わりに銃で撃たれ、
死んでいるような体勢でぐったりしているひろきがいた

愛「ひろきさん!しっかりして下さい!!」
ひろき「く、うぅ。ガハッゴホッ」
愛「ひろきさん!大丈夫ですか!」
ひろき「河合さん、クッ」
愛「動かないで!胸のあたりを撃たれてます。
すぐに人を呼びますから」
ひろき「あぁ、大丈夫。防弾チョッキ着てるから」
愛「血が出てますよ?」
ひろき「あぁ、多分これはケチャップです。
覆面で昼飯食べたときの」
愛「言われてみれば・・・」

いつもは簡単に見分けられる血とケチャップが
見分けられないくらい気が動転していた

ひろき「そういえば、河合さん。
さっき"ひろきさん"って」
愛「いや、そのごめんなさい!なんか咄嗟にその///」
ひろき「嬉しいです。その、こんな状況で言うのも
なんですが、好きです。あなたの事が」
愛「私も好きです///・・・」

美紀「三島!!」

美紀が小屋に飛び込むとひろきと愛がキスをしていた

美紀「ん"ん"警察です」
ひろき「あ!小長!」
愛「喜多見!?」
美紀「無事そうで何より」
ひろき「大隊長は?!」
美紀「休暇中だけど?それよりもッ」
ひろき「被疑者は大隊長です!至急、緊急配備を!」
美紀「え?!大隊長が?!」
ひろき「それだけじゃなく、5年前の連続殺人事件!
そして警察官殺人事件の首謀者も大隊長です!」
美紀「そんなわけ・・・」
愛「私も聞いてました。本当です」
美紀「分かりました。垣根、二人をお願い」

美紀はすぐに無線通信を始めた
15分後、近くの警察署でひろきと愛、別々に聴取を受けた後、ひろきは監察官聴取が始まった

監察官「では、後ろから殴られ、気がついたら
あのプレハブ小屋で拘束されていたと?」
ひろき「はい、垣根巡査長が覆面パトカーに用事を済ませに向かった直後に
僕は次の聞き込み地点の現地調査をスマートフォンでしていました。
そしたらエンジン音が聞こえて、その時は特に
気にしていなかったんですけど。直後に急に」
監察官「なるほど、車に心当たりは?」
ひろき「近くの路上駐車してあった大型のワゴン車が
怪しいと個人的には睨んでいます」
監察官「なるほど、では賀九来警視に関して知っていることをすべて話して下さい。
まず、行き先に心当たりは?」
ひろき「分かりません。元々大隊長とはほとんど話したことがありませんでした」
監察官「では」

翌日

ひろき「おはようございます」
美紀「三島、おはよう」
優「おはようございます。あ!ヒロ~お前心配したぞ~、
監察官聴取って聞いて本当にビビったわ~」
ひろき「大隊長のこと聞かれただけだよ、心配しすぎ」
優「あ、小隊長。大隊長の捜査の件なんですけど」
ひろき「捜査させて下さい」
美紀「何言ってるの?」
優「でも!」
美紀「させないわけ無いでしょ。
SITの問題はSITの中でケリをつける」
ひろき「小隊長・・・」
美紀「責任はすべて私が取ります。
三島と垣根は大隊長のマル索(警察用語で捜索)に
出ること。2人1組を崩さずに捜査に出ること。
他の喜多見班は大隊長の周辺を洗い直して」
喜多見班全員「はい!」

篤寿の自宅付近

ひろき「あそこが大隊長の家だ。
奥さんとは15年前に離婚、息子は奥さんについて行ったらしく、
どちらともここ10年は全く会ってないそうだ」
優「息子さんが今、高校2年生か」
ひろき「話は聞けないな。
離婚のタイミングで奥さんの実家がある長野県に親子で引っ越したそうだ。
父親は事故で死んだと周りに言ってきたらしい。
いつも事件、事件で家にはほとんど帰らず誕生日もクリスマスも運動会も
来なくて息子も嫌気がさしたらしい」
ひろき「んで、まずはどこを捜す?」
優「とりあえず、ん?あれ?元奥さん?!」
ひろき「スーツケース?優、小長に連絡!」
優「もうやってる」
ひろき「通話しながら行くぞ」

30分後

ひろき「すいません、警察です。
スーツケースの中身見せて下さい」
元嫁「は?はい・・・」

ひろきがスーツケースを開けると
中には何も入ってなかった

元嫁「逃げて~!!」
ひろき「ん?!あ、おい!」

元嫁が叫ぶと自宅から篤寿が逃げていく

ひろき「待て!!」
優「至急、マル援願います!」

ひろきと優が走って追いかけ線路沿いまで行った所で
河合愛が偶然篤寿の前を通りかかってしまった

ひろき「あ!河合さん!避けて!」

ひろきの声掛けも虚しく、
愛は篤寿に捕まってしまった

篤寿「動くな!この女殺すぞ!」
ひろき「観念しろ!ん?」

愛が篤寿のミリタリージャケットのポケットから
バタフライナイフを取り出し、手慣れた手付きで振り回し始めた。
愛が振り回したナイフの刃先が篤寿のナイフの刃先に
ぶつかりバタフライナイフと共に飛んでいった。
その瞬間ひろきと優は篤寿を取り押さえた

ひろき「確保!!」
優「10:45分!」
ひろき「10:45分、銃刀法違反及び人質強要で現逮!」
優「身体捜検!同時刻着手!」

取調室

ひろき「いつまでもダンマリを決め込むんですか?」
篤寿「・・・」
ひろき「SITの大隊長にまで上り詰めた人がする事とは、到底思えませんが?」
篤寿「・・・」
ひろき「じゃあ、僕の推理を聞いてもらえます?」
篤寿「・・・」
ひろき「あなたは、柏木警視正に・・・」

取調室の様子を愛も美紀と一緒に隣の部屋で
マジックミラー越しに見ていた

ひろき「押収品の横流しがバレてしまった。
そしてあなたはこれはまずいと過去に拳銃を横流ししたヒットマンに助けを求めた。
そしてあなたに依頼されたヒットマンはあなたに言われた通り連続殺人事件を起こした。
そして、本来の計画通りに柏木警視正を拉致、殺害した。
どこか間違ってますか?」
篤寿「・・・」
ひろき「そして、どこからか俺と柏木警視正が過去に面識があると知った。
民間人か一般の捜査員なら良いと思っていたがSITの隊員だったから
あの立てこもり事件を起こさせどさくさ紛れに口を封じようとした。
装備品に関して横槍を入れたのは少しでも喜多見班を不利にした状態で確保させる為。
そしてあなたが前もって俺を優先的に殺すように言っておけば俺の口を封じられる。
そう考えたんですよね?」
篤寿「・・・」
ひろき「だが、まさか現場であの方発言をすると思わなかった。
貴方は早く俺の口を封じようと俺の元カノと接触し俺の殺害を依頼したが、こちらも失敗した。
そうすれば最終手段として今まで押収品を横流しにしてきた人達に依頼し
俺が1人になったタイミングで拉致し、拳銃で俺を撃った。
だが俺が防弾ベストを着ていた為、命に別状はなかった。だが顔がバレた為、
緊急配備を発令されると想定したあなたは元奥様を利用し逃げるチャンスを作ろうとした。
が、これも失敗し逮捕され、今こうなっている。どうです?中々筋は通ってるでしょ?」
篤寿「・・・なぜ、俺だと思った?」
ひろき「被疑者の自宅にあったカレンダーに【A,K受け取り】と書いてあったんです。
その時に【A(篤寿),K(賀九来)】なんじゃないかと思ったんです」
篤寿「俺はお前がのちに計画の邪魔になると思った。だからどうにかして、お前を殺そうと思った」
ひろき「だからって」
篤寿「そもそも俺はッ!」

篤寿の言葉を遮りひろきは話し始めた

ひろき「なぜ!、柏木警視正はあなたの横流しの事を上層部に黙ってたんでしょう?
下手したら自分も疑われ処分されるかもしれないのに」
篤寿「!・・・」
ひろき「信じたかったんじゃないですかね?あなたが最後に警察官として行動する事を」
篤寿「・・・何が、」

篤寿が震えながら口を開く

篤寿「何が分かるってんだ!俺はあいつと違って
聴取もまともに出来ない!パトカーの運転と捜査能力
だけを買われて配属された俺の何が分かるっ!」

ダン!!

ひろきが机に右の拳を叩きつけた

ひろき「分からねぇよ」
篤寿「そうだろ?!なのにッ!」
ひろき「仲間を殺した奴の悩みなんて分かりたくねぇよ。
お前みたいに警察官なのに犯罪に手を出す奴の気持ちなんて・・・俺は絶対に分かりたくない!
柏木警視正は殺される直前、悲しかったろうな!最後まで!
あんたに裏切られた事が!死んでも死にきれなかったろうになぁ!」
篤寿「ウゥ、グスッうわぁぁぁぁぁ」

取調室には篤寿の後悔の泣き叫び声がこだまする

別室にて

愛「お父さん・・・」
柏木吾郎「良くやった。愛・・・」
愛「えっ?!」
美紀「どうかしました?」
愛「なんでも・・・」
美紀「今も、見守ってくれているんですね河合先輩を」

美紀は静かに涙を流す愛に優しく言葉をかける

1週間後

テレビニュース「朝のニュースです。
5年前に発生した連続殺人事件及び警察官殺人事件の実行犯として金子一馬容疑者が
警視庁特殊事件捜査係に逮捕されました。金子容疑者は先日同部署に逮捕された
賀九来篤寿容疑者に依頼され、連続殺人事件及び警察官殺人事件に関わったとして
警視庁から指名手配されていました。
警視庁の調べによると実行犯が金子容疑者で首謀者、
つまり委託したのが賀九来容疑者との事です」
裕美「最近このニュースばっかりだね」
愛「まぁ、大事件だからね」
裕美「これから彼氏とデート?」
愛「うん、ひろき今日非番だから」

警視庁特殊班内

ひろき「マジか!!優、小長と付き合ってたの?」
優「おう、まぁな」
ひろき「何かお似合いを超えたカップルだなぁ・・・」
美紀「他の隊員には内緒で」
ひろき「それだけで俺を引き止めたんですか?
愛とこれからデートなのに」
美紀「あ、ごめん。行っていいわよ、お疲れ様」
ひろき「お疲れ様でした」

駅前にて

愛「ひろき、お待たせ」
ひろき「お、来た来た。じゃあ、行こっか」
愛「うん!」

これは警視庁刑事部特殊犯罪捜査係通称SITの隊員と
市立病院に勤務する女性外科医の恋愛ミステリー
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